中小企業白書にみる起業の成功ポイント

カテゴリ:マーケティング |  更新日:2017.01.04

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中小企業者の定義(参考:中小企業庁HP

製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業   :資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業   :資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 :資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

中小企業の利益向上における課題

中小企業白書に公表された、全体企業の課題として挙げられた上位3つは下記です。

第1位:新規顧客・販売先の開拓

第2位:優秀な人材の確保・人材育成

第3位:既存顧客・販売先の見直し

(注) 中小企業の中で、売上高経常利益率上位25%の企業を高収益企業といい、 売上高経常利益率下位25%の企業を低収益企業という。

高収益企業、低収益企業ともに『新規顧客・販売先の開拓』がダントツの1位となりました。確かにいくら良い商品やサービスを持っていても、売る先がなければ会社として利益をあげることができません。では実際に何もないところからスタートした起業家の皆さんは、どのように『新規顧客・販売先の開拓』をするべきなのだろうか?

まずしっかりと認識すべきことは、商品やサービスをつくることと、それらを売っていくことは全く異なるプロセスであるということです。そのため全然違う力が求められます。商品やサービスがよい、悪いという言葉も相当に抽象的です。

例えば、松坂牛でできている牛丼と吉野家の牛丼はどちらがよい商品でしょうか?質の意味では、松坂牛でできている牛丼だと思います。しかし、ここに値段がついて、松坂牛でできている牛丼は4,000円、吉野家の牛丼は300円だとします。

あなたはどちらを買いますか?

必ずしも良質なものが、商品やサービスとしてよいものか?というと、そうでないということもあります。良い商品だと、一生懸命やっているほとんどの会社が思っています。ただ良い商品の”良い”というのは、質の観点だけでの話であることが多いわけです。この発想では商品は売れていかないでしょう。

理由は、4,000円払えば、松坂牛でできている牛丼が食べられてそれは当たり前だと思うからです。でも、これを何とかして、980円で松坂牛でできている牛丼が食べられますとしたら、これは、バカ売れする商品になるかもしれないですよね。

なので、まず最初に”良い商品を持っている”という勘違いをしていないか?ということを考えるべきです。仮に、質以外の点でも、良い商品ができたとしましょう。そのあとの展開ですが、基本的に商材による部分もあります。展開の仕方は一律ではないと思います。

ただ各社共通して意識すべきことをご説明いたします。

1、 よい商品=他社にない価値のある商品なので、メディア掲載の確率が高いはず。
そのため、広報戦略に力を入れるべきです。ベンチャーや中小企業であればあるほど、広報と無縁の会社が多いわけです。ただ、もしメディアにあなたの商品が取り上げられたらどうでしょうか?何十万、何百万人の人に一気にあなたの商品が認知されるようになるわけです。

資金のないベンチャーや中小企業ほど、メディアをうまく活用する視点を持つべきです。

2、 営業力の強い他社企業とのアライアンスや代理店の仕組をうまくつくって展開していくということ。既に、自分の商品のユーザーを多数囲っている企業などとのアライアンスをつくっていくことで、自らは0から顧客開拓をしなくて済むようになります。そのため1社1社、1人1人のエンドのお客様にアプローチする視点ではなく、その1社1社、1人1人のエンドのお客様を囲っている企業などに注目すべきです。

3、 WEBマーケティング、コンテンツマーケティングを活用したWEB系の施策も必須だと思います。WEB上に販売の仕組をつくることは財産にもなりえます。

例えば、DMを1回打ったとしても、ほとんどのDMは捨てられてしまい意味を失います。
しかしWEB上にページを作成し、検索にしっかりと引っかかるようにしておくと、これは1枚のつくったDMが長い間、人に見られ続けることになります。今やどのような業種であってもWEBの活用を前提に販売を設計することも大切だと思います。

第2位は『優秀な人材の確保・人材育成』です。特に高収益企業が力を入れているようです。お金をかければ、『優秀な人材の確保・人材育成』は割と簡単にクリアできるような気がしますよね。実際に高収益企業はこの課題をクリアするために、「積極的に賃金を高めていきたい」と回答しているようです。ただ、あまり費用を割けないスタートアップ企業などは、どのようにこの課題をクリアすれば良いのでしょうか?お金をかけないでもクリアする方法はあるのだろうか?

よく言われる話ですが、お金をインセンティブにして会社に入社してくるタイプの人はベンチャーやスタートアップの考え方にはあいません。そのため、そもそもそのような人は採用対象にはなりません。ベンチャーやスタートアップにあるものというのは、お金ではなく、大きな夢やワクワク感、つくりあげていく感じ、一体感、発展途上、可能性などです。このようなキーワードや価値観を大切にしている人が採用のターゲットになります。

採用力というのは、明らかに金銭の大きさではなく、会社のお客様貢献度や社会貢献の大きさなどによるところも多いと思います。ベンチャーやスタートアップは、とにかく自社サービスをうまくいかすこと、サービスの本質部分にフォーカスして面白いサービスをつくるべきです。また、まだまだ会社の制度などがきっちりと出来上がっているわけではないので、会社文化や制度が柔軟であることも、強みにすべきです。

職場環境などもまたある意味、商品だと捉えて、働く人もお客様だとして、魅力的な商品=会社をつくるという発想も大切かもしれません。

ただし、やはり最終的に重要なことは、採用できるかどうかでなく、採用した人が、会社にとって高い忠誠心を持って、働き結果を出してくれるかどうかです。そのために一番大切なことは、会社が求めている人物像を明確にすべきです。

会社サイドが意外と、人物像などを明確にできていないケースも多々あり、曖昧な採用活動をしているケースも散見します。最初の頃の採用は、自分の知っている人や、信頼できる人からの紹介に絞ることもよいかもしれません。採用コスト(時間、費用、結果を出してくれるまで)はとても大きいです。

一定の成長まで実現すると、その後、人の壁に企業はぶつかります。そこを乗り越えられない企業も多くいます。1人目、2人目は信頼筋からというのもよいかもですね。

第3位は『既存顧客・販売先の見直し』です。特にこの項目は、低収益企業が圧倒的に多く回答しました。”見直し”というのは具体的にどのようなことをいうのでしょうか?既存顧客・販売先はそれとして売り上げがでているのであれば、どんどん新規開拓をしていった方が良いように思えますが、何かここにコツがあるのだろうか?

低収益企業の問題として、販売先に問題があるのか?ということを検討しなくてはいけません。そもそも圧倒的に利益率の低いものを販売しているのかもしれません。その場合には、商品の価値を引き上げて、単価を変えるか、原価を抑えるしかありません。

中小企業の場合には、顧客との関係性において、イニシアティブ(交渉上の優位性)を持っている企業がかなり少ないわけです。そのため仕入れが高いのに、販売価格が安いといったことが多々起きえてしまうわけです。このような状況は独立経営として、よくはありません。

そのため利益率を改善するためには、イニシアティブをとれるようにならなくてはいけません。イニシアティブは、独自の価値や技術を持っているかどうかによってきます。そのため、1つは商品やサービスを磨くこと尽きます。どこでも買うことができるようなありきりたりのものを扱っていてもジリ貧になっていくだけです。

既存顧客や販売先の見直しというのは、商品自体を変更し、利益率を改善できないかということで対象自体を変えてしまうことや、工数がものすごいかかっているお客様に関しては値上げをしたり、サービス提供を打ち切ったりといったような見直しまで多々あります。

また、既存のお客様に対して、今の商品以外で販売できるものがないか、既存のお客様が実際に何に困っているのか?ということを調査し、商品開発などにあてることもあり得ます。

新規のお客様にばかりを相手にしていると、サービスの改善などがみえてこないのと、今の商品のPDCAを回すことができません。商品は一度つくって終わりではありません。

どんどん改善していく仕組みを、販売しながらセットする必要があるわけです。そのため、新規のお客様に販売し続けることだけが選択肢ではありません。

利益配分の考え方

高収益企業と低収益企業では多少の違いは見られますが、全体を見ていきましょう。

まず、利益配分の全体の順位は下記です。

第1位 従業員への還元

第2位 株主への還元

第3位 内部留保

第4位 販路の拡大

第5位 新商品・新技術のための研究開発

その他項目として、設備投資、雇用の維持・拡大などがあり、2位以降はそれほどの差がないようです。

(注)中小企業の中で、売上高経常利益率上位25%の企業を高収益企業といい、 売上高経常利益率下位25%の企業を低収益企業という。

第1位は、従業員への還元でした。これは、従業員の昇給などが主かと思いますが、その他で「従業員への還元」として何があげられますでしょうか?また、伊藤氏も同じように、利益が出た際は「従業員への還元」を意識されているのだろうか?

従業員への還元として一番大きな形は恐らく賞与扱いでしょうね。ベース給与を上げることは、企業からすると固定費の増、社会保険料の増になってしまいます。その年はよかったとしても、翌年以降売上がどうなるかわからない場合、固定でコストを上げることはなかなかしにくいのが企業です。

その他には、社員旅行、会社の福利厚生の充実があると思います。福利厚生では、休みを多くするとか、各種従業員にとってメリットとなる制度を整えるとか、昼食を会社が支給するとか、様々なものがあります。

結局、ES=従業員満足度が高くないと、CS=顧客満足度を上げることができないと考えられ始めています。そのため、良い会社は、従業員への利益還元をするというある意味、一番合理的な選択をするようになっているということです。

第2位は株主への還元です。これは、高収益企業では第1位で、逆に低収入企業はあまり優先度は高くないようです。これは単純に株式公開などに関わっているのだろうか?

そうですね、株主への還元をするのは主に上場しているような株式公開の会社です。

公開会社でない場合には、オーナーが大抵、株主兼代表取締となり、会社の所有と経営が一致していることが多いです。そのため、株主でもあり、代表でもあるため、公開会社でない会社の場合には、株主への還元をする必要がないということですね。

会社法でいえば、会社の所有者=株主ですので、株主に一番還元すべきだという考えがある所以ですね。公開会社の場合には、所有と経営が異なる場合が多いので、そのため、所有者は収益から配分をくださいとなるわけです。基本的に、株主が役員などの決定をできますので、経営サイドも株主を意識しながら経営していくことになるわけです。

第3位は内部留保(企業が経済活動を通して獲得した利益のうち、企業内部へ保留され蓄積された部分のこと。/ 引用ーWikipedia)です。高収益企業、低収益企業ともに同じぐらいの割合の企業が重要と答えました。具体的に利益の何%を内部留保にまわす、など決めている部分などあるのだろうか?また、逆に内部留保を後回しする企業には、どのようなデメリットがあるのだろうか?

どのくらい内部留保にまわすかというのは、企業によって全く異なると思います。

業種や企業のタイミングによって、キャッシュが必要な場合にはキュッシュを置いておくでしょうし。企業としてやはり自己キャッシュを持っていることはとても大切なことです。運転資金の2年分くらいのキャッシュを手元に持っていると、経営者は比較的安心して経営ができたりします。合理的な留保金額や割合というのはないと思います。ここは経営者の価値観それぞれでしょう。

内部留保をしない会社というのは、3つあると思います。
1、意図して内部留保していない

2、意図せず内部留保していない

3、内部留保できない

意図しているケースとしては、投資に優先的にキャッシュをまわしているということであればそれはそれでよいのだと思います。内部留保ができません=キャッシュに余裕のない会社は、まずは売上を上げることを考えねばですよね。

何もお金のことや事業の見通しを考えないという会社さんが『2』です。しっかりと今後の事業計画から、必要なキャッシュなどを考えて計画性を持って対応すべきです。内部留保でなくとも、外部からのデッドをはじめとする資金調達で事足りるケースもありますが。(キャッシュがない会社は調達も場合によってはしにくくなってしまいますが!)

4位以降の項目(販路の拡大、新商品・新技術のための研究開発、設備投資、雇用の維持・拡大 等)はかなり回答にばらつきがあったようですが、何かポイントはあるのだろうか?会社の継続年数、段階や業種によって違ってくるかと思うが、共通で言えることはあるのだろうか?

業種とタイミングによって、企業の優先順位は異なります。成長企業に共通して言えることは、優秀な人財の採用合戦をし、なかなか成果を出せていないということ。企業=人だと言われますが、採用力の強い会社でないとなかなか成長は描けません。

採用力というのは、

1、企業のやっていることの面白み、社会的な意味などの面

2、仕事の裁量の大きさや自由度、待遇的な面

だと思っています。結局は、項目1番であった「従業員への還元」ともリンクしていく話なわけです。そのため、結局1つの投資が循環していくイメージですね

意外な部分として、役員報酬・賞与、関連会社への出資・M&Aの項目への回答が少なかったようです。会社のことを一番考えなければならない役員の報酬を後回しにするというのは、経営者としてなにか考えがあるのだろうか?また、大きく利益がでれば出資やM&Aなどを積極的に行う会社も稀にあると思うのですが、それらを行う時期などどのように見極めれば良いのだろうか?また大きなお金が動くと考えた時に注意するべき点は何だろうか?

長い目でみている経営者が多いのかもですね。目先の利益よりもまずは会社の足もとづくりと。

また役員報酬以外のところで、役員はいろいろなキャッシュをつくることもできます。そのため、実はどこかでキャッシュを得ている可能性もありますw

まだまだ日本の場合には、特に、中小企業においてM&Aは主流ではありません。ここから企業経営者の高齢化が問題化した際に、M&Aの選択肢は増えていくでしょう。大きなお金が出る際には、しっかりとその後のキャッシュフローに影響がないかということと、投資対象のデューデリジェンス(綿密なチェック)が欠かせないですよね。

費用調整の考え方

『費用調整の考え方』について考えていきます。
ここでは、高収益企業と低収益企業、バラバラでみていきましょう。まず、高収益企業の順位は下記です。

第1位 役員賞与・給与の削減
第2位 従業員の労働時間の削減
第3位 従業員賞与・給与の削減

(注) 中小企業の中で、売上高経常利益率上位25%の企業を高収益企業といい、 売上高経常利益率下位25%の企業を低収益企業という。

上位3項目とも給与に関係してくる項目となりました。第1位に、役員賞与・給与の削減とでていますが、やはり会社の上に立つ人間は、それなりにリスクを背負うべきだということでしょうか?

会社の数字に対して最終的な責任を取るのは経営者の仕事です。
そのため、会社の調子が悪く、費用調整しないといけなくなった場合には、当たり前のごとく、役員報酬が減るというのは自然なことでしょう。それなりにリスクを取るなんていう軽い話ではなく、他の誰よりも経営者は責任を取らねばいけません。それが経営者という仕事でしょう。

第2位は、従業員の労働時間の削減となりました。いわゆる「残業を極力させない」ということですね。これは普段から、雇用者・被雇用者ともに意識しなければならないことだと思いますが、改めて、となると具体的にどのように対策するのでしょうか?「仕事があるのに残業できない」となると従業員の大きな不満につながるかと思いますがいかがでしょうか?

労働時間の削減がよいこととして語られる一方で、危険なこともあります。
まずもって、ベンチャーで働いている人、ベンチャーで働きたい人は、公務員のような働き方は死んでもしたくないでしょう。自分の成長のために働いているからです。

小さい頃に、時間を忘れて没頭した何かが皆さんありますよね?仕事がその没頭するものという人も多くいるのです。それにもかかわらず、やたらと、公務員的な思考を持った人の労働者保護のように政府は加担しています。これは辛いことですね。

労使での明確な信頼関係をつくり、双方納得の上で、目指すべきところ、目指すべき働き方を決めるべきです。一律に労働時間を減らしたほうがよいなんてことは絶対にありません。

第3位の従業員賞与・給与の削減に関して、景気によって日本全体でこのようなことが起こっていたらそれほど不満は出なそうですが、完全な会社の業績悪化の対策となると不満が出るかと思います。長く続けば辞職する社員も少なくなさそうですね。何か対策や、従業員のモチベーションを保つための最善な対処法などあるのでしょうか?

給与の出し方の問題でしょう。
そもそも会社の数字にすべての従業員がコミットしている状況を作り出せば、成績が悪い=給与が低いということは当たり前です。
会社の業績が悪いと自分の会社なのに従業員が他責になっている状態がよくありません。
もっと会社の組織を見直して、個々の成果に対して、報酬を設定する仕組みに変えるべきです。

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続いて、低収益企業の順位は下記です。

第1位 役員賞与・給与の削減
第2位 従業員賞与・給与の削減
第3位 原材料費の調整

第2位に「従業員賞与・給与の削減」が挙がりました。第1位の「役員賞与・給与の削減」と、それほどの差もありません。これは、低収益企業ならではの理由があるのだろうか?

低収益企業なので、切りやすいところからコストカットしていくわけです。
低収益企業=経営者の力が弱い会社です。確率論的に、簡単な、短期の方向で問題解決をはかっていくわけです。従業員の給与を減らすことは、従業員の納得がないと確実にESを下げて、悪いスパイラルに入っていきます。会社の構造を変える必要があります。

第3位に「原材料費の調整」という新しい項目が挙がってきました。具体的にどのような費用のことだろうか?

原価のかかるビジネスですね。メーカーなどが、取引先を見直し、もっと安く出してくれるところを探したり、品質を下げたものを仕入れたりということです。

白書内に、『高収益企業は中長期的視点から売上を伸ばす取組を強く意識している一方、低収益企業は費用を節減する取組を強く意識している様子がうかがえる。(引用ー中小企業白書)』とありますが、高収益企業が中長期的視点なのに対し、低収益企業は短期的視点を意識していると言うことでしょうか?また、その理由は何が考えられますか?

中長期でビジネスをみることができているので、高収益につながり、短期でしかビジネスをみていないので、場当たり的な対応となり、低収益化していくのです。

参考:中小企業白書


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