【第6回】(前編)地方都市圏で、士業事務所をゼロから始め、組織として運営する6つの方法『人材育成』

どんな要素にも勝る人材育成

地方都市圏で、士業事務所をゼロから始め、組織として運営するためには、実に様々なことを行う必要があります。 集客の戦術、ブランド造りなど多くの要素がありますが、どんなものを差し置いても必要な要素があります。   それが「人材育成」。   雇用した人材を育成することなく、日々忙しく過ごしても「ある程度」の案件遂行は可能です。 でもそれは「短期」のこと。1年や2年は持つでしょう。任せることのできる事が限られますので、多くの分野において所長先生が頑張れば良い、ということになります。 でも事務所をやる以上は、1年や2年ではなく長期的に持続させないといけませんよね? 所長先生一人がいつまでも権限のすべてを握り、深夜営業、休日営業していたら、体が持ちません。 倒れたら終わり。心が壊れたら終わり。 また、所長先生一人で頑張り続けることは、事務所そのものがいつまでも「親方」や「社長」ステージにとどまることを意味します。 苦しく、厳しい時代を長引かせるだけです。 事務所のステージを考えるうえでも、持続ということを考えても「人材育成」は絶対不可欠な要素だと考えます。 (参照:【第2回】士業事務所の“カタチ”を知る )  

人材育成が苦手な士業の多い、3つの理由

一方、士業は人材育成がものすごく苦手。 この理由は3つあると思います。

(1)業界として所長一人の個人事務所が圧倒的多数であること。

士業という業界は、所長一人の個人事務所が圧倒的に多いですよね。 所長一人ということは、人材育成の必要のない形です。多くの人は経験がありませんから、話にのぼることはなく、業界として育成ノウハウの共有もない状態といえると思います。  

(2)人材育成の経験がないまま、開業してしまう。

多くの先生は、一般企業において人材育成の経験がないまま、開業してしまいます。 かくいうわたしもそうでした。 前職はレンタルDVD店のフリーターです。 人材育成の経験は、部下を持つ役職に就いてないと得ることができません。 それも、ただ部下を持った、ではなく、部下を育てあげた経験です。 人材育成に関するビジネス本を一冊も読まずに、部下を持ち、何となくサラリーマン生活を送っていた方は、残念ながら「ただ部下を持った」に分類されると思います。 育て上げるには、人の辿った歴史を参考にすることが絶対不可欠だとわたしは思っています。 上司の自分への姿勢を「見る」のと、自分の部下に対する姿勢を「考える」のとは、天と地の差があります。 多くの先生は、部下を育て上げた経験がない。育成とは何なのか、知らない。  

(3)ロールモデルがない。

実は、士業界は、人材育成の成功モデルが少ないのです。 組織的事務所が少ないのもありますが、どこかで語られることも少ない。 情報がない。 書籍も無いに等しい。 参考とするべきロールモデルが実質的には、無いという業界です。 結果、自分一人で切り拓いていかねばならないのが現状かと思います。     以上の3つの理由から、士業は人材育成がものすごく苦手なのです。 そして、プラスアルファとして1つあります。   士業は独立が多いという現状です。   従業員は、資格を持っておれば、いつでも独立開業できる状態です。 実際、独立開業した方の中には、士業事務所の従業員として働いてからという方も多いのではないでしょうか。   そして、所長先生は10人中9人が、ワンマン。   独立された方の中には「こんな事務所じゃ働きたくない。もっといい事務所を作るんだ!」そして「あんな~~士にはなりたくない!」という反発型の独立が散見されます。 また極めて独立しやすいという業界であることは、「独立」という要素が、人材育成の一般的な脅威である「退職」にプラスアルファした要素と言えるかと思います。 ゆえに、一般的な人材育成の本を読んでも少しズレを感じる方も多いようです。  

問われる“姿勢”

士業は人材育成が苦手。これは業界全体として、その傾向は強いと言わざるをえません。 そして士業は、うまくいくかどうかは別として、独立しやすい業界です。   これは、「人材育成に失敗=独立」という法則が成り立ってしまうことを意味します。   人材育成は多くの場合、一発勝負。育成に失敗したらそこで終わり。 悪い要素だらけですね。 ではどうすれば、良いのでしょうか?わたしは   「人材育成に関して、一般の企業経営者よりも、広く深く知り、考える必要がある」   と思います。まずここ。 一般の企業経営者が学ぶよりも、もっと学ばないといけない。 一般的な程度で学ぶのでは、足りないのではないか? こう思うのです。 “日々の実務が忙しいから”、“自分は教えてもらわなかったから”、などの「できない理由」を並べるのは簡単です。 でも現実は、「人材育成に失敗=独立」そして「一発勝負」。 わたしは経験上、日々の実務よりもはるかに高いハードルじゃないかと感じます。   後編では、“人材育成に関して不可欠な3つのこと”について、書かせていただきたいと思います。  

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