目次 [非表示]
平均収入は減少している
驚くことに、弁護士の平均収入は近年減少傾向にあります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、平成17年には弁護士の平均年収は1177万円となっていましたが、平成23年にはそれが659万円にまで落ち込んでいます。 この数字を見ると、弁護士の平均収入が確かに減少していることがわかります。しかも、わずかに減少しているということではなく、なんと500万円以上も落ち込んでいるのです。 このような事態となった背景には、二つの要因があります。弁護士としての仕事の内部の要因としては、ロースクールの設置や司法試験制度改革によって法曹人口が増加したことで、ライバルが増加したことが挙げられます。競争相手が増えることで、一人ひとりの弁護士の収入が打撃を受けているのです。 また、外的要因としては弁護士事務所を頼る顧客自体の数が減少したことが挙げられます。近年ではインターネットなどを利用して簡単に法律情報を入手することができるようになってきました。そのため、一般の市民でも弁護士を頼ることなく、自分で法律の問題を考えることが増えてきたようです。高待遇での採用の可能性も
以上では、平均年収を見ながら弁護士の年収が下がってきている現状を確認してきました。しかしながら、大手事務所を中心としていまでも高待遇で司法試験合格者を採用しているケースは多く存在しています。
一例として、大手事務所で採用された場合の収入を見ていきましょう。
修習生の時点で採用されると、初任給が年収で650万円(給与12ヶ月、賞与2ヶ月、弁護士会費相当分)となっています。これは、他の職業の初任給と比較するとはるかに好待遇なのではないでしょうか。
またその後、修習期間を終えて正式に弁護士となってからの収入もモデル年収例が示されています。あくまで一例ですが、1年目で年収800万円、3年目で年収1380万円ということもあり得るようです。このケースは弁護士の中でも特に成果を出している人のものですが、本人の活躍次第では年次の浅いうちからこれだけの好待遇を得ることが可能です。
ここで注意しなければならないのは、中小事務所に採用されたり、自分の事務所を構えて独立したりした場合にはこれほどの収入を得られない可能性もあるという点です。そうした意味では、弁護士としてのキャリア設計を早い段階で考えておく必要があると言えそうです。
確かに、近年では弁護士の収入が下がっていることや、司法試験に合格しても仕事が得られないということも現実に起こっていますが、まだまだ弁護士は収入面で魅力的な仕事であり続けています。