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先日、ある税理士とこういう会話をしました。
私:「弊社が販売しているDVDの価格帯は、だいたい1~2万円が多いですね」
税理士:「私は税務系のDVDって買わないのでよくわからないのですが・・それって高くないですか?」
私:「そうですかね?他社よりも安い方だと思いますよ」
税理士:「私は映画が好きで、よくDVDを買うんですが、普通のDVDって3~4千円ですよね。DVDの原価って、内容が映画でもセミナーでも同じですよね?だとすると、高いように思うのですが」
この発想って、純粋でなかなか面白いなと思いました。確かに言われてみれば、業界内の平均などを考えなければ、DVDが1万円以上するというのは、生活的な視点からすれば高いように感じるでしょう。
さて、この質問・疑問には、私なりの答えがあります。マーケティングの世界でよく言われる表現を使うと、「ドリルを売っているのではない。穴を売っているのだ」。
日曜大工店にドリルを買いに行く人がいます。この人はドリルを買う需要があるわけなんですが、この人が欲しいのは実は「ドリル」ではなく、ドリルで開けるその「穴」なのです。当たり前のようですが、これが事実です。
DVDに話を戻すと、弊社提供しているのはDVDではなく、その中身・コンテンツなのです。例えば、こう考えればわかりやすいでしょう。そのDVDを見れば、間違いなく10万円儲かるとします。このDVDの値段は10万円未満でありさえすれば、確実に売れますし、買ったお客さんも喜ぶこと間違いなしです。
弊社提供しているDVDはこのようなものではないにしろ、本に載っていない内容であったり、値段以上の価値が認められる場合には、他のDVDの価格に関係なく、購入いただけるというわけです。
ネット広告などで「格安」「激安」を謳っているサイトを見ると、正直「わかってないな」と思うことがほとんどです。なぜなら、安い理由がまったくわからないから。
安くすれば売れるというのは勘違いです。問題なのは、払った以上の価値があるかどうかはDVDと同じです。
【なぜ顧問料が安いんですか?】
処理している件数が多いから、コストを低く抑えることができる
今の時期に限っては業務が少ないので
営業コストが不要だから
【なぜ高いんですか?】
- ノウハウがあるから
- 他の事務所で提供できないサービスだから
- 業務範囲がこれだけ広いから
このように、理由を明示することで、安い理由・高い理由が初めて理解できて、お客様はお金を払ってくれる、というわけです。
お客様は、「こっちの事務所の方が良さそうに見えるから」依頼するのです。間違っても、良いから依頼するのではありません。いい商品が売れない理由はここにあります。
提供するサービス・商品の実際の良し悪しではなく、「良さそうに見えるかどうか?」の方が、集客する上では重要なのです。
レストランに行くことを思い浮かべてください。注文する料理を実際に食べてみるまで、美味しいかどうかはわかりません。メニューを見て、「美味しそうに見える料理」を注文しているはずです。そもそも、「美味しそうに見えるレストラン」を選んでいるはずです。
この「美味しさの判断基準」は、例えば
- 食材の産地を厳選している
- 有名なシェフが作っている
- 歴史の長いお店である
- お客様の声がたくさんある
- 有名人がよく来ている
- 雑誌に載ったことがある
などが挙げられます。
これは、お客様が士業事務所を選ぶときもまったく同じです。お客様は、依頼するまでサービスの良し悪しは分かりませんので、「良さそうに見える方」を選んでいるのです。
士業が「良さそうに見えるかどうかの判断基準」は、例えば
- お客様の声がある
- 本を出版している
- 推薦の声がある
- 実績がある
- 経歴がすごい
などが挙げられます。
最近の傾向として、士業の価格破壊も一段落したところでしょうか。最近ではこの反動から、「うちの事務所は絶対に値下げなんてしない」という士業の方も増えました。
問題なのは、安いか高いかではありません。価格というのは、常に顧客からの見え方と連動しているということです。
ですから、「うちの事務所は安い」ではなく、「○○だから安い」と伝えなければ意味がなく、「うちの事務所は高付加価値」ではなく、「○○という背景があるから付加価値が高い」と謳わなければならないのです。
提供するサービスの値段は、事務所の方針を決定づけます。安くするなら数をとらないとダメですし、高くするなら付加価値を高めなければなりません。ここで終わりではなく、問題なのはこの事実をどのように「見せる」なのです。
ホームページのみならず、パンフレット・チラシ・セミナーなどで、お客様にどのように見せるかにこだわれば、集客はうまくいくのです。