士業の集客戦略~全体と部分の考え方~


今回は、士業のための戦略に関してお話していきたいと思います。
私が好きな著者に楠木健先生がいます。楠木先生は「ストーリーからの競争戦略」で一躍経営学界のスターダムに。私はこの著書は好きではないのですが、最近発売になっている他の著書を何度も読み返しています。特に「戦略読書日記」(プレジデント社)は、本当に面白いのでぜひ読んでいただきたい著書です。私は本のみならず、(重いので)電子書籍も持っています。
 この本には「戦略のジレンマ」という言葉が出てきます。少し引用してみましょう。

「僕が競争戦略論について昔から強いフラストレーションを感じることがあった。それは、競争戦略の本質にかかわる問題だ。あっさり言ってしまえば、競争戦略とは「他社と違ったよいことをしろ」に尽きる。他社と同じでは完全競争に近づいてしまい、遅かれ早かれ儲からなくなる。だから違いをつくる。昔も今もこれからも、これが戦略の基本論理である。ここまでは納得できる。
それと同時に、その「違ったこと」は成果を出すうえで「よいこと」「儲かること」でなくてはならない。これも当たり前のように納得がいく。
ところが2つを合わせるとどうも納得がいかない。「他社と違ったよいことをしろ」と言った瞬間にジレンマに突き当たる。もしそんなに「よい」ことだったらとっくに誰かが気づいてやっているはず。みんな何とかして儲けようと真剣に商売をしているのである。「よいこと」ほど「違い」になりにくい。よしんばまだ誰も思いついていないこと、やっていないことであっても、その「よい」ことをしてぼろ儲けしていれば、他社も同じことをやろうとするはずだ。遅かれ早かれ違いが違いでなくなってしまう。」

 この意見はもちろん単純化した見解でしょう。実際に顧客が士業を選ぶ際には、すべての士業を見比べるわけではないですし、遠い人より近い人を選ぶのは、医者を選ぶときと同じなのでしょう。しかし、この「戦略のジレンマ」というのは、士業にとっても行き着くところは同じと考えていいはずです。
 では、士業が集客をするのに何が必要なのか。私が毎月2名の方に取材し、また取材ではなくても多数の士業の方にお会いさせていただくたびに感じるのは、「センス」なんじゃないかと。
 「センス」なんてことを口にしてしまうと、センスがない人は救えないし、センスがある人は何をやっても勝てるのだという、ある種のあきらめを感じるかもしれません。
 再度、同著から違う文章を引用してみます。


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「戦略をつくるということは、商売全体を組み立てるということであり、担当者の手に負えない。あくまでも経営者の仕事だ。戦略をストーリーとして考えるという僕の視点からすれば、戦略は分析の産物ではない。戦略の構想は何よりも「綜合」(シンセシス)の思考を必要とする。戦略をつくるという仕事にはそもそも「分析」(アナリシス)の思考とは相容れない面がある。
 分析と綜合の違いは、「スキル」と「センス」の違いといってもよい。分析がスキルを必要とするのに対して、綜合はセンスにかかっている。」

 私が感じるに、集客できている士業の方と、集客できていない士業の方の違いはたった1つで、(ノウハウなり商品なりの)「部分」を考える人か、「全体」を考える人かというポイントです。
 過去に弊社の主催で、ベンチャーサポート税理士法人の事務所見学会を開催いたしました。ベンチャーサポート税理士法人は全国に事務所を出し、急速に伸びている会計事務所です。
 確かに、ベンチャーサポートはネットでのスキルがスゴイのだと思います。しかし、その「部分」を真似したら同じように集客ができるのかといえば、そうではないでしょう。
 人材の採用からマネジメント、投下する資金、集客のフロー、営業人材の配置、事務所の出店場所・・・すべての要素が「全体」として絡まって、今の急成長があるのであって、どこか1つを真似したらうまくいくということではありません(もちろん一部分の参考にすべき部分を真似すること自体には、改善という価値はあります)。
 弊社では開催しませんが、他社では「士業の集客ノウハウ公開セミナー」などがよく開催されています。このような「ノウハウ」なるものは、所詮ノウハウという「部分」であって、「全体」ではないことに問題を感じるのです。

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