社労士の今後は?~注目される分野とは?~

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注目集める社会保険労務士

 社会保険労務士の資格は、近年では専門学校での人気資格のひとつとして知られており、毎年たくさんの人たちが合格をめざして受験しています。平成24年の試験結果を見てみると受験者は51,960人にものぼり、以前よりも広く世間から認知される職業となりました。

 社会保険労務士の仕事が注目されるきっかけとなった出来事のひとつが、2007年に発覚した5000万件の年金記録紛失の問題です。それまで年金に対してあまり関心を払っていなかった人たちが自分の年金の支給額や支給開始の時期に疑問や不安を感じはじめ、年金の専門家である社会保険労務士への相談は急増しました。

 また、同時に団塊世代の大量退職によって退職金への関心が高まったり、不況による派遣切りの問題が起きたりしたこともあり、社会保険労務士の活躍の場は大きく広がったのです。今後も、複雑化する雇用形態の問題や年金・保険の問題を解決するために、社会保険労務士のさらなる活躍が期待されています。

時代とともに変わる仕事内容

 一方で、少しずつ需要が減ってきた仕事もあります。それは、労務関係の手続きの代行や給与計算です。以前であれば、従業員が健康保険に加入するときの手続きや、月々の給料や退職金の計算を社会保険労務士に頼むケースが多々ありました。

 しかし、不況とともにできるだけ外部委託を減らそうという企業の思惑があるなかで、こうした業務の発注が少しずつ減ってきています。その流れを後押しした背景には、世の中のIT化があります。近年ではどの企業でもインターネットを導入しており、わからないことは瞬時に調べることができるようになりました。

 たとえば労務関係の手続きでわからないことがあったとき、以前のように専門家である社会保険労務士に相談しなくても、総務担当者がネットで調べればすぐに解決できるようなケースが増えてきたのです。
さらに、確定申告や給与計算の専用のソフトが広く普及したことにより、パソコン上に数字を打ち込むだけで簡単に計算ができることが一般的になりました。これからの社会保険労務士は、ただ知識があるというだけではなく、依頼者の悩みを解決できるようなコンサルティング能力をしっかりと磨き、活躍の場を広げていくことが必要です。

今後のニーズ

 社労士の仕事の中には、年金問題など高齢者に関わる仕事が数多くあります。今後団塊の世代が、高齢者の部類に入ると、ますますコンサルティング(第3部門)での相談件数は増えてくることに違いありません。この点では、ニーズは高まってくるものと考えられます。その上、今の不況では、企業も労務問題や雇用関係などの相談に関する案件も増え、社労士に頼んで少しでもコスト削減に努めていくようにする企業も増えてくることでしょう。
 この点においても、今後のニーズは高まってくるものと考えられます。また、男女間の賃金格差の問題や雇用関係も依然として改善されていない傾向にあり、この問題でも、ニーズは増えてくるでしょう。
 いずれにしても、社労士の資格を取得したからおわりではなくて、ニーズのある分野の専門家になれるようにしなければいけません。

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