顧客のニーズにあわせて事業を拡大! 南青山税理士法人が積み重ねてきた信頼の軌跡とは

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成長の源泉は「覚悟」


まずは、独立されるまでの経緯を教えてください。


もともと父が会社を経営していまして。それで私も、子どもの頃から自分で事業をしたいと思っていました。会社を経営するにあたりもっとも基本となるのは何かと考えたとき、思いついたのが「会計」で。そこでまず、会計士の資格を取得することにしました。

大学卒業後は、「監査法人トーマツ」に入社。2002年のことです。約9年間在籍しました。トーマツでは、主に東証一部上場企業やこれから株式公開をする企業の支援を担当。そのときの経験から、「企業側の立場からいろいろなアドバイスをしていきたい」という気持ちが芽生えたのかと思います。

トーマツでは、付加価値を提供していくという観点から、セミナーの活動もしていました。講師としてお話をさせていただく中で、コミュニケーションを重視した営業スタイルで事業を展開したいという気持ちも大きくなっていきましたね。

また、当時はトーマツという看板を背負っていたために、「その看板を下ろしたらどうなるだろう?」という興味もありました。それでちょうど、国際会計基準がこれから導入されるというタイミングで、トーマツを辞めました。2011年の6月です。

トーマツを辞めたあとは、先輩の会計事務所で1年半ほどお世話になり、そこでコンサルティングや、M&Aのデューデリジェンスや、バリュエーションなど、いろいろな業務をそこで経験しました。

完全に独立したのは2013年の3月です。それが今の南青山税理士法人になります。結果的には、国内で2番目に国際会計基準を任意適用した会社になりました。しかしその後、国から「国際会計基準の強制適用を延期します」と発表されたのです。市場そのものがなくなってしまったため、当初の目論見からは外れるかたちになりました。

それでも、これまでの人脈やクライアントからの支援を得て、スタートをきることができました。

それこそはじめのうちは、家賃ひとつとっても8万円のところにするか、10万円のところにするか迷っていましたね。

スタート期には、たまたまトーマツの後輩が来てくれて、結果的に二人で事業を開始しました。業績は順調で、売上ベースで1年目には1億円を超えていたと思います。それから現在までに二回ほど引っ越しをして、現在のオフィスに至ります。

いま考えれば、無理に売上をとりにいくのではなく、信頼を勝ち取るために仕事をしていたことが功を奏したのかもしれません。信頼がビジネスにつながり、やがて売上にも反映されたのではないでしょうか。

急速に成長できた秘訣はどこにあると思いますか?


やはり覚悟だと思います。私の場合は独立するとき、自宅を売却しました。そして、何があってもいいように、妻にも話しました。もしうまくいかなかったとしても、安いところ住めばいいですよね。

また、うちの標語に、「専門性」「迅速」「誠実」という3つの指標があります。それらの要素をかみして、できる限りお客様のためになるようにやってきた結果、今があるのだと思います。

とくに、うちの場合は紹介営業がほとんどです。ですので、いいサービスを提供していると、お客さまが自然と来てくれるのです。つまり、お客さまがお客さまを呼んでくれるモデルなんですね。

重要視しているのは「提案力」です。通常の税理士さんは、日々の記帳や申告の業務に追われているばかりで、経営者の相談役にはなれていないと思います。しかし、経営者が求めているのは専門家からのアドバイスなのです。

我々は、経営者に対してしっかりと提案をしていくことに力を入れています。それが差別化につながっているのかもしれません。抱いていただいている期待感に対して、それを超える提案をする。その結果、継続的に利用してくれて、お客さまも紹介してくれるのです。

私たちは、お客さまにとっての良きパートナーであり、良きアドバイザーであり続けたいと考えています。だからこそ、お客さまのビジネスが成長していくにあたり、「この人たちが必要不可欠だ」と思っていただくことが重要なのです。

たとえば、お客さま同士のネットワークを組むということもやっています。

われわれは会計・税務の専門家なのですが、それ以外の領域のご相談に関しても、周りのお客さま同士がつながることによって補完することができる場合もあります。そういった部分に関しても、しっかりと提案できる体制を整えているのです。

また、うちの特徴として、「南青山FAS株式会社」というコンサルティング会社を運営していることが挙げられます。こちらではM&Aを多くやっていて、おおむね月2、3件ほどでしょうか。

M&Aは専門性が高い業務です。財務デューデリジェンスや税務のデューデリジェンスも必要となります。そういった場合に、我々が保有しているリソースを活用することで、適切な対応が可能となるのです。大手企業からの依頼も数多くいただいております。

一方で税理士法人としては、個人の方から会社の設立、はては上場案件まで、幅広く対応しています。強みとしては、会社の設立から上場まで、一貫したサービスを提供できることです。どのステージでも対応できる事務所は少ないのではないでしょうか。

はじめは小さくても、これから大きくなるといったときに、必要なすべてのサービスを一緒に提供できる。そこに価値を感じていただいているお客さまも少なくないと思います。

さらにもう1つ、「南青山ヒューマンリソース」という企業も運営しています。こちらはまだこれからの事業なのですが、派遣紹介などの人材ビジネスをやろうとしています。登録はこれからですね。

要するに我々は、「会計」「税務」「コンサルティング」「人材」という側面において、あらゆる角度から経営を支援していこうと考えているのです。全方位で貢献していく。どの分野で出会ったお客さまでも、広がりのあるサービスが提供できるようになっています。

提案力と総合力の両輪が大事


新規事業の着想はどこから得ているのでしょうか?


たとえば最近では、経理のアウトソーシングが増えています。その点に着目して、人材ビジネスに着手しようと考えました。会計も税も担当していると、そのあたりのニーズは敏感に感じることができます。「経理の人が辞めてしまった」とか「人材が不足している」などと、相談をいただくこともあります。

つまり、日頃からお客さまの声に耳を傾け、何を求めているのかと考えていることが、結果的に新しいサービスに結びついているのです。必要なものを、必要なタイミングで提案、提供していく。会社のステージによって、必要なもの・ことがありますので、そのようなタイミングで提案できる体制づくりを意識しているのです。

上場企業の社長さんとお会いすると、税理士も会計士もいてすでに体制は整っているのですが、M&Aのご提案であれば聞いてもらえる。そこから次の仕事につながるというケースも多いです。そういった提案要素の手広さを保つために、新規事業があるのだと思います。

ただ、新規事業は大変です。とくにM&Aは会計税務界の総合格闘技だと言ってもいいかと思います。その理由は、相手の会社を買収するので、会計の知識も税務の知識も労務の知識も必要です。つまり総合力が問われるのです。

また、相手企業の分析もしなければいけないので、それなりに専門性がないとできません。そういった部分については、これまでに培ったスキルやノウハウを駆使して対応するようにしています。

監査の過程では、M&Aの資料などをチェックすることが結構あります。ですので、監査とM&Aは似て非なるものですが、相手の調査をするという意味においては同じなんですね。

あとは、社内の体制も整えるようにしています。顧問などの形態で専門家の方にも協力してもらっているのです。ホームページ見ていただくと分かりますが、たとえば組織再編の書籍を30冊ぐらい書いているメンバーがいたり、国税OBの方にも参加してもらったりしています。

やはりベースになっているのはお客さまの役に立つ、ということでしょうか?


そうですね。お客の視点に立ち、我々がなにを提供できるかを常に考えるということ。それがもっとも大切なことだと思います。あるサービスをつくり、「これでどうですか?」と言うのではなく、相手の視点に立ったときになにが必要かということを考えるようにしています。

最近では、「セカンドオピニオンサービス」も行っています。

「今の税理士さんは昔からの付き合いだからちょっと替えにくい」という方がいらっしゃいますよね。そういう方に対してアドバイザーとして、別途、顧問契約を結ばせていただいているのです。要は2人体制ですね。実務はそちらの税理士さんにお任せして、我々はひたすら提案をします。

お客さまの視点になるためのコツなどはありますか?


提案に力を入れつつ、総合力を上げることが大事だと思います。会計もそうですし、税務もそうですし、ネットワークもそうですし。そのように総合力を上げていかないと、提案そのものができません。専門性も知識もないといけないわけです。

紹介すると言っても、それだけの人脈もないといけないですし。私たちは、お客さまの視点で必要なもの・ことをつねに考えつつ、総合力を上げていく努力をしています。いろいろな方とお会いし、自ら勉強する。自分の刀の腕を磨くということですね。あくまでもサムライ業ですから。

自分1人で大手企業を相手にしていても、そこでなにか提供できないとお客さまにはなりません。それでも、1千億、あるいは1兆円というような大きな企業のところに単身で乗り込んでいかなければならないときもある。ある意味では、つねに桶狭間のような感じです。

桶狭間といえば、ヤングマガジンで連載している『センゴク』という漫画があるのをご存知ですか。うちの家庭はもともと、その漫画に登場する仙石久秀にルーツがあります。

家紋も永楽通宝銭という家紋なんですよ。お金の家紋になっているので、この職業は天職かなと思っています。永楽通宝という。

仙石氏の城紋で、これ織田信長よりいただいたものなんです。もともと楽市楽座とか、信長が推進していましたよね。信長の家臣になったときにこの家紋をもらって掲げていくんです。

あともう1個、面白いエピソードで、うちの親戚が機動戦士ガンダムを描いているんです。事務所にサインが飾ってあるんですけど。大河原邦男さんという、メカニックデザイン、要するにガンダムをずっと描いている人がうちの親戚なんです。

なので、ロゴマークもデザインしてもらっているんですよ。

「顧問先が増えるということは、信頼が増えているということ」


今後の活動についてはいかがでしょうか?


これから僕がやろうとしているのは、地方の税理士さんや、まちの税理士さんと提携して、M&Aのサポート業務をやっていこうと思っています。

大手や専門性のある事務所は別として、まちの税理士事務所さんがいざM&Aなどの案件がきても対応できませんよね。そういった部分でサポートする業務をやっていこうと考えています。

あとは、女性の社会進出を応援しようと思っています。そのきっかけとして、先ほどもお話した経理のアウトソーシングを考えています。

その部分では教育モデルを取り入れる予定です。実務経験がない方でも、うちで教育して企業に送り出すというモデルを構想しています。派遣か、紹介か、あとは正社員で経理まるごと引き受けるということもありますので。

社会的な課題に取り組むという発想もそうですし、企業側で経理人材が不足していますからね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。


やはり、経験のある専門家に依頼することが事業で成功するために最も重要である、ということに尽きると思います。

要するに、経営者は事業に集中した方がいいと思うんです。ですので、会計とか税務については、専門家に任せたほうが事業を成長させることができると思います。まずは本業に注力してもらうことですね。

そのために必要な専門家になることが私たちの使命です。専門家を評価するのはやはり実績です。どんなクライアントを相手に仕事をしているのかという部分が重要ですので、そのあたりも含めて評価していただければと思います。

あとは、つねにお客様の立場にたって考えることが大切ですね。

やはりビジネスの成功は信頼されることにあると思います。信頼の積み上げこと最重要だと思っていて。たとえば、顧問先が増えるということは、信頼が増えていることと同義です。

では、信頼はどう勝ち取ればいいのでしょうか。「作業者」と思われてしまえば信頼してもらえません。やはり、アドバイスや提案をし、付加価値を提供することによって信頼を築いていけると思います。

「おかげさまで売上げが上がりました」「非常に管理がスムーズになり、事業に集中できるようになりました」などの声をいただけるようになることを目指すべきですね。そのときにはじめて信頼が生まれる。

成果を上げて、信頼を積み重ねた結果、信頼が人を呼び、大きく成長できる。信頼の構築には時間がかかるので、コツコツ積み重ねなければなりません。作業者として業務をこなしているだけではダメなのです。

作業者として仕事をしているうちは、金額のみで判断されることになります。結果、価格競争に巻き込まれていき、厳しくなるばかりです。そうではなく、コンサルティングや提案などによって付加価値をつけていけば、値段で比較されません。価値に対して費用を支払ってくれるようになる。

さらに「あの先生に任せるといろいろと提案してくれるし、紹介もしてくれる」と言われるようになれば、自然と信頼の輪が広がります。実績が仕事を呼び、信頼が信頼を呼ぶ。そのくり返しではないでしょうか。

そのうえで、自分たちが他とどのように違うのかということを、しっかりと把握して説明していくこと。よその事務所と同じような説明はしない。戦略的に違いをつくり、付加価値を生み、選んでもらえるようになることが大切ですね。

伝えるという部分でいえば、専門的な言葉を使わないことです。相手に理解してもらってはじめて意味があります。とくに士業の方は、難しいことを難しい言葉で説明するのを得意としていますが、それでは相手に理解してもらえません。

自分たちの価値を理解してもらうために、伝わる言葉で丁寧に説明していくこと。そして、どんどんチャレンジしていくこと。そうすれば、士業という分野でも、それ以外でも、大きく成長できると思います。



  

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