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【第2回】クラウド会計に乗り遅れた税理士は淘汰される?!

目次 [非表示]

「クラウド会計」を勧めると・・・税理士の仕事が無くなっちゃうんじゃないの?!
と思いました編集部は、今回、その真相に迫ってみました!
今回はファーサイト税理士事務所の土井先生に聞いてみましょう。
 
 

書籍のご紹介

『これ1冊ですべてわかる!会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』

利用者数200万人超!爆発的に普及しつつあるクラウド会計の導入・活用実務の決定版。

経理業務を極限まで効率化し、経営の生産性を上げる。新しい「会計インフラ」を、知識ゼロからでも使いこなせるようになる1冊。

 
 
土井:端的に言うと、「今のような業務スタイルはなくなっていく」と思われます。
 
オックスフォード大学の発表や調査機関の調査結果などにより、
「今後10年でなくなる仕事」「AIに取って代わられる職業」などの記事を最近見かけるようになりましたが、
その中で、“税務申告代行者”や“簿記・会計・監査の事務員”などという職業も記載されているのを目にされた方も少なくないのではないでしょうか。
 
上記のような、いわゆる会計事務所の仕事のうち、記帳や申告書作成という一定のルールに従って処理される業務は確かにAI(人工知能)の得意とする分野の一つであることは間違いありません。
 

我々税理士の仕事はどう変わっていくのでしょうか?

税理士事務所の業務時間のうちかなりの時間を記帳作業に使っている事務所においては、クラウド会計システムを導入することでそういった時間は格段に減少することとなります。
 
クラウド会計システムを導入するかどうかは税理士事務所の判断になりますが、世の中の流れやクライアントの意向から、クラウド会計システムの導入を避けて通れなくなることも多々出てくるのではないでしょうか。
実際、私の事務所では今年に入ってから“新規に開業するにあたりクラウド会計を利用してタイムリーに業績を把握したい“とか、”クラウド会計を利用したいのだが税理士に反対された“ので「クラウド会計を扱える税理士に変更したい」という理由で新規にお付き合いを始めさせていただいているクライアントが数社あります。
 
クラウド会計システムの場合、従来のソフトとのデータのインポート・エクスポートが簡単でいまいちと思えば、すぐに元の会計システムへ戻せるため、税理士の気付かないところでソフトを導入して、自社に合っていると思えば、クラウドシステムを扱えない税理士はすぐさま変更するという、なかなか仁義なき様相を呈してきています。
クラウド会計に対応できていない税理士であると、顧問税理士に選ばれるための選択肢が1つ減っていることを感じます。

クラウド会計を扱うのにどのような能力が必要か?

 
クラウド会計の扱いそれ自体は非常に簡単です。細かな機能の違いはあれ従来の会計ソフトにある基本的な機能は装備されていますし、自動取り込みされた仕訳候補を確定するなどクラウド会計特有の処理も確定ボタンをクリックするだけといういたってシンプルな作業で完了するので、普通に会計ソフトを扱える税理士であればまずつまづくことはないと思います。
 
一番の問題は、クラウド会計ソフトそれ自体よりも、それらと連携する各種クラウドソフトが多数あるという事です。
クラウド会計システムは様々なベンダーが開発したソフトと連携することが可能です。
 
例えば最近飲食店等で良く見かけるようになって来たタブレットレジシステムですが、タブレットで注文をすれば厨房へ注文が送られ店のスタッフを呼ばずとも注文をすることができ、そのまま精算までできてしまいます。このデータをそのままクラウド会計へ送ることももちろん可能です。
 
ただこのタブレットレジシステムですが、様々な種類が市場に出回っておりそれぞれに機能も違うため、個人商店規模にフィットするAirレジや、Airレジの機能に顧客管理や売上分析などができるようにしているスマレジ、ユビレジ、USEN Register、EC-Orangeなど、サービス業や小売業、飲食店それぞれにフィットするタブレットシステムがあり価格も様々であるため顧問先からどれを導入したらよいのか聞かれたときに的確な回答をするには付け焼刃の知識では不可能です。また、各種カードに対応しているようで実はJCBには対応していないなど、意外な落とし穴があることもあります。
こういった情報は連携アプリの案内をさらっと見ただけでは把握しにくくなっていることもあるため、顧客へ提案する際にこういった落とし穴に気づかず提案してしまうと、顧客の信頼を損なうことになってしまうこともあります。
 
従来の会計事務所の業務であれば、クライアントから各種帳票類を預り、それらを入力し試算表を作成する事で最低限の業務はこなせていたのが、各種帳票類が出来上がってくる段階からの知識や経験が求められる時代になってきており、恐るべき速さで色々な連携ソフトが市場に出回る状況において、それらすべてのメリット・デメリットを一つの事務所で網羅するのは不可能に近い部分もあるかと思いますが、少なくともメジャーな連携ソフトについては知識と経験を有していることが必要であると感じます。
 
 
(マネーフォワード社資料より2016年1月時点での連携)
 

経営者はクラウド会計の何を知りたいのか?

 
土井:最近、新規のクライアント獲得のために営業を行っていると、クラウド会計に変更したいクライアントから聞かれる質問で多いのが、「クラウド会計に変えると会社はどう良くなるのか?」というものです。
みなさん経営者ですから、もちろん経営者にとってどうメリットがあるのか?ということになってきますので、乱暴な言い方をすると入力作業を行う従業員が楽になったところで、経営者がそれをメリットと考えるかというと、そうでもないことも多いです。
それゆえ、クラウド会計に変えると“入力が楽になります”とか“早く家に帰れます”というのは、あまり経営者には響かない回答になってしまいます。
 
経営者にとってのメリットの一つとしては、やはりタイムリーな会社の状況把握による、資金繰りに関する不安の解消や銀行融資への早期対応が挙げられます。
経営者の悩みと言えば、売上、人、資金繰りの三つと言われることが多いですが、資金繰りの不安を解消できるツールとしてはかなり有用だと思います。マネーフォワード社においては銀行と提携し、MFクラウド上の会計データを金融機関が閲覧できるようにし、従来よりも融資実行までの時間を短縮する取り組みを行っています。
 
また、前述のように、会計システムだけでなく売上から経費の支払いまで等の総合的なシステム構築の支援を行うことで数百万単位の費用削減効果が実現できる場合もあることも興味を持っていただける理由の一つとなっています。
 
この様に、今後は企業の経営というものについてクラウドシステムを利用することによる業務フローの改善等の総合的なコンサルティングができるような税理士でないと、付加価値のあるサービスは提供できないのではないでしょうか。業務効率化の知識と経験がなく記帳業務と節税対策しかできない事務所は、システムの進化スピードを考えると過去の遺物となる日も近いのではないでしょうか。
 
新規クライアント獲得のための営業活動の場面では、知識と経験に基づき、企業全体の業務フローを聞き出し、どこに非効率なフローがあり、どのような改善方法を取れば、効率的かつ効果的な業務フローとなり得るのかといったことまで含めて話ができないと、今やインターネットで検索すれば税理士の業務について様々な情報を得ることができ、クライアントもインターネットを利用することで知識を蓄えている時代に、従来のようなありきたりな節税対策で良質な新規クライアントが獲得できるほど甘くはない時代になってきていることを感じます。
 
そういう意味で税理士が営業活動を行う際の話題に大きな変化が出てきており、この変化についていけない税理士というのは淘汰されてしまう可能性が大きいのではないでしょうか。
 
次回は、人事・設備投資面で会計事務所の経営やそこで働くメンバーにとってどんな影響が生じるか明らかにしていきます。ご覧いただきありがとうございました。
 
 
 
 
 
記事提供者:
 
土井貴達
1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。
一般社団法人クラウド経営協会 代表理事。
土井公認会計士・税理士事務所 代表
(URL)http://doi-accounting.com/

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