<第2回>新しいことに挑戦する好奇心で、メディア進出を目指す!

第1回の対談記事(会員登録なしで読めます)
<第1回>業界の偉い人との絆を若いうちに作るべき理由業界で太い絆を作る極意を不動産鑑定士兼公認会計士の冨田建氏に伺いました。

勝利への道は独占市場を作ること

【ミカタ編集部】 
冨田先生は、開業1年目は苦しかったそうですが、そのあとは順調に売り上げを上げてこられました。その秘訣は何でしょうか。
 
【冨田氏】
個人事務所でやっているのですが、本来の不動産鑑定業務の他に例えば不動産に関する税務相談や税務アドバイザリーや、ご依頼を頂いてのセミナー講演、各種媒体への寄稿や、あるいは不動産に強い公認会計士としての公的業務といった私独特の派生業務も頂いていますので、派生業務を含めるとどうやら平均的な不動産鑑定士の倍以上のペースでお仕事をさせて頂いているみたいです。本当にありがたいことです。
で、言えるのは、無用な甘さは悪ということです。
私はプロ野球が好きなのでよくこの例えを使うのですが、自分がエースの立場で投げている。例えば周りに同じように不動産を評価する人がいた。その人たちは自分よりも劣るが、性格は良かった。それで「お前は性格いいから、俺のエースの座を譲るよ」と言う人はいますか?競争の世界だからマウンドは譲らない。その精神は絶対に必要です。第一、お客様に対して最高のものを提供しない事にもつながるので失礼です。
当然、エースの座に俺がいる。他の誰にも譲らない。少なくとも、私は不動産鑑定士としては最多勝をとれるエースと思っていますので、いつもその意識は持っています。
但し、例えば公示価格の鑑定評価のように他の不動産鑑定士と一緒に仕事をすることもあります。そこでは最大限敬意を払わなければなりません。バランスが大事です。
 
【ミカタ編集部】
これから公認会計士の先生が開業しました、となっても、冨田先生とはキャリアの年数が違います。長いキャリアの先輩に勝つためにはどのような努力や取り組みが必要だと思われますか?

 
【冨田氏】
独占市場を作ることです。私の場合は「会計・税務のわかる不動産鑑定士」というポジションですが、普通の不動産鑑定士は会計はわかりません。税務相談等の税務業務は税理士法で禁じられていますから税理士ではない不動産鑑定士にはできません。しかし、私は会計もわかるし税理士なので税務業務もOK。だから会計や税務で鑑定評価が必要な時にお話しを頂ける。ごくたまに税理士兼不動産鑑定士はいますが、不動産鑑定がメインの公認会計士兼不動産鑑定士は他に聞かないですから、特に会計絡みの不動産鑑定については私以外の誰に来るんだという感じですね。そこに違いがあります。
それと同じように、その新しい公認会計士はその人なりの独壇場を作ればよいのではないのでしょうか?
 
【ミカタ編集部】
ではそれは、資格を持っているかどうかということになるのでしょうか?

 
【冨田氏】
私の場合は特殊で、独壇場を作るのに何も別の資格を持っている必要はないと思います。公認会計士なら会計のフィールドの中で「ここは俺」という分野を作る事でしょうね。
ちなみに、世の中に不動産鑑定士兼公認会計士は私の推定では30〜40人程度いると思います。ただ、大抵は監査法人などで会計をメインにしていて不動産鑑定がメインの公認会計士兼不動産鑑定士が私の他にいないというのがあるので、「会計のわかる不動産鑑定士」は私の独壇場でしょう。
あえて言うと、私が有難い事に案件を豊富に頂けているのは、「不動産鑑定士兼公認会計士・税理士」だからではなく、それ以外のプラスアルファがあるからとも自惚れています。
資格を取れる能力と、実際に案件を取れる能力は全く別です。極端な話、弁護士兼公認会計士で案件を取れない人がいて、もう少し簡単な資格で案件をたくさん取れる人がいてもおかしくない。資格の難易度と案件を取る能力は別物。難しい資格に合格した人こそそこを認め、色々な工夫をしつつ、変にお高く止まらないことです。
 
【ミカタ編集部】
お高く止まってしまうと、人との絆を作ることにも尻込みしてしまったりもしますね。

 
【冨田氏】
そういうところもありますね。専門知識とか公正性のような大前提は別として、ひとつだけ、士業に大切なものを挙げるとしたら何だと思いますか?
 
【ミカタ編集部】
僕は人の縁を大切にすることだと思います。今までお世話になった方やこれからなる方など、ひとつひとつのご縁を大切にする。

 
【冨田氏】
それもあるでしょうね。私は、端的に言うと、好奇心だと思っています。独立するということ自体も一つのチャレンジというか好奇心だし、そのあとどんな展開になるかは全くわかりません。その時に、自分のできる範囲になりますが、人の縁にしても業務内容にしても、「この仕事ちょっと面白そう」とか「この人たちちょっと面白そう」という良い意味での面白さがあることによって、業務がマンネリ化しない。マンネリ化の原因は好奇心がないことです。
 
【ミカタ編集部】
同じことを繰り返していたら衰退ですよね。

 
【冨田氏】
衰退だし、もったいない。せっかく難しい資格を取って士業の仕事に就いたのに、嫌いなものやつまらないものを仕事をするのはもったいない。その状況を排するのに一番大切なのは好奇心です。 
 

AIよりも、人が担当したほうがいい仕事もある!

【ミカタ編集部】
ひとつお伺いしたいことがあります。今AIがどんどん発達しています。アメリカのある学者はロボットに仕事を奪われるランキングを出したりしています。それに対して冨田先生が考えていることを教えていただきたいです。どうしたら生き残っていけて、今後どのように仕事の仕方を変えていくことが必要か、などです。
 
【冨田氏】
まず私個人の話からすると、私は不動産鑑定士なのでAIに非常に強い資格だと思っています。不動産鑑定士は不動産を現地に見に行かなければなりません。しかも法務局の図面がたまに間違っていることもあります。もう一つは、鑑定評価書は機械的に価格を出すのではなく、実はアートの側面があります。鑑定評価書というのは「ある不動産の公正な価格はこの額」と決定する作業ですが、過程においていろいろな裁量があります。裁量の一例として、この辺の住宅地の取引水準は45〜55万円/㎡が概ねだけれども、その中で100㎡の標準的な土地があったらいくらですかという話です。低めが良いなら4,500万円、高めが良ければ5,500万円、という幅が出て来ます。その理論的に許される裁量の幅がある中で、自分の描いた価格をいかに美しく結論付けるかが不動産鑑定士の役割です。そこにはご依頼者と対立する利害関係者とのある種の交渉的要素もあるし、アートでもあるので、機械にはできない。更には、不動産鑑定士の関係官庁の方と話をするに、実際の不動産取引その他の情報もAIだけで集めるのは無理があると思います。
つまり、不動産鑑定って、交渉的側面やアートの側面がある上に現地に行かなければならないし、役所にいろいろ聞かなければいけないし、記録の調査もしなければいけない。体を動かす必要があるんです。AIに交渉的側面やアートの側面を任せたり体を動かしたりする仕事は無理なので、少なくとも私が現役のうちは多分大丈夫だと思っています。
その上で、私は公認会計士、税理士でもあるのでそこについて話します。現在、会計事務所の会計・税務系資格の無資格者を中心とする事務員が行っている記帳代行等の簡単な作業や機械的な作業はもうAIに取られてしまうでしょう。
しかし、その人でなければできない仕事はありませんが、その人が担当した方がより良い仕事はあります。
今の対人にしてもAIにしても、その人がやってくれた方がより良いと思われるような業務体系にする必要があります。そうなってくると、AIが得意そうな単純な記帳業務や機械的な判定などは、それ自体がもともと公認会計士や税理士の仕事かという話もありますが、そこはAIに任せるべきではないでしょうか。
そうでなくて機械の上を行くような高度な会計や税務を、世の中の役に立つという大前提の上で、考えて行かなければならないと思います。第一、あの難しい資格の資格試験を合格したのは、誰にでも出来る単純作業をしようと思ったからではなく、一般の人にはできない高度な業務をしようと思ったからです。そこを忘れてはいけない。
折よく、たまたま仲間から提案を頂いたので私も仲間の公認会計士数人と高度会計のチームに参加しようとしています。まあ、私はそこでも不動産鑑定担当ですが。
 
【ミカタ編集部】
その人が担当したらより良くなるという役割を全うする、そのポジションを見つけていくということですね。今後冨田先生が目標とするものはなんでしょうか。

 
【冨田氏】
メディア進出です。最近は不動産会社のセミナー広告で新聞に顔写真入りで掲載して頂いたり、Yahoo!ニュースにも記事を書かせていただいていますので、次は・・・という感じですね。
 
【ミカタ編集部】
今後一番目指すメディアはどこですか?

 
【冨田氏】
テレビです。それが今の私の目標です。
 
【ミカタ編集部】
最後に、読者の方に学びや成長につながるメッセージをいただけたらと思います。

 
【冨田氏】
私も発展途上なのですべてが正しいとは限りませんが、一つは正義を忘れないこと。いくらお金が稼げても、社会のためにならないことはいつか害悪をもたらします。当事者だけのマイナスではなく、みんなのマイナスになります。なので、私のポリシーとして、「ご依頼者のためにならない鑑定評価書は書かない」というのがあります。
もう一つは先ほど言った好奇心。この二つを持ち合わせていれば、全員成功するとは限らないけれど、自分がエースと思えるようなもの、つまり自分が鑑定するのが一番いいんだと思えるだけのものが持てる。それがなければ独立すべきでないと思います。

【ミカタ編集部】
冨田先生ご自身は、開業されたとき自信はお持ちでしたか?

 
【冨田氏】
体制づくりなど手探りの部分はありましたが、鑑定業務については独立前にあれだけやってきたのだから大抵のことには対応できると思っていました。最初にいた鑑定事務所の時は、5年間もやった上に、終電の一本前で帰って今日は早いと喜んでいる環境でした。普通の鑑定事務所の10年分以上の経験はしたと思います。あの頃はとにかく鑑定漬けでした。今もですけど(笑)。ありとあらゆる鑑定評価の類型もやってきて、他の鑑定事務所の鑑定評価書を見ても、この評価書はこう書いてあるけれどこうじゃないと思えることも結構あったので、勿論今はもっと高いレベルになっていますが独立当時でも少なくとも平均以上はいっていると思っていました。そのレベルまで行かなければ独立するのは無理だと思いますし、ましてやその士業の業務に経験がないのに独立するなど論外。
個人的には十分に実務経験がないまま独立するのは危険である以前に、そもそもお客さんに対しても失礼だと思います。
まずは下積みで数をこなし、質を高める。その時に教えていただける事務所には指導するその士業の先輩がいるわけですが、その人たちへの礼を失しないようにするのも大事。お金をもらえて、教えてもらえる。中には「こんなに働かされて」と言う人もいますが、それはちょっと違うと思います。もちろん労働基準法は大事ですが、一方で「この人たちはお金を払って血縁もない私にノウハウを教えてくれているんだ」という感覚を常に持っていることが大切です。
 
【ミカタ編集部】
本日は、冨田建不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所代表、冨田会計・不動産鑑定株式会社代表冨田建さんにお越しいただきました。ありがとうございました。

 
 

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