<第2回>ボイストレーニング教室、アクア事業、ミャンマー進出

目次 [非表示]

第1回の対談記事(会員登録なしで読めます)

自身の経験からボイトレビジネスをスタート

【ミカタ編集部】
のちほどミャンマーのお話もお伺いしたいと思います。今天野先生は会計士のお仕事以外にも、ボイストレーニングの教室をやっていらっしゃいます。これをやる経緯はなんでしたか?
 
【天野氏】 
会計事務所のお客様と二軒目でクラブやスナックに行って歌う機会があります。以前、ちょっと高級な赤坂のクラブなどに連れていってもらった時に、すごくきらびやかで楽しいのですが、大きいお店だとステージになっていて、そこでみんなの前で歌いました。あれが音痴にはとてもつらい。私は音痴で、楽しい場のはずなのに、最悪の時間でした。それがすごく嫌で、どうせならその場を楽しめるように、歌えるようになろうと思い、ボイストレーニング教室に通っていました。しかし、結構長い期間通いましたが、まったく音痴が治らず、サービスもひどかった。こんな業界があるのかというくらい場当たり的なサービス。ネットで集客して、生徒がやめても追わない。クルクル回転させて、次のお客さんが取れればいい、というスタイルでした。私はこの時の嫌な気持ちを踏まえて、本当に音痴が治るサービスを作ろうと思い、3年前に、自分が通っていた教室を買い取って、一から仕組みを作りました。ですので、今でもお金を払って自分の教室に通っています。今、生徒が125名を超えて、大手だと5,000人くらい生徒がいるのでまだまだですが、順調に伸びています。
 
【ミカタ編集部】
始められたのはいつ頃ですか?

 
【天野氏】 
3年前の8月です。会計事務所を開業して2年くらい経った頃です。
 
【ミカタ編集部】
すごいですね。ご自身もボイストレーニングを受けていらっしゃるということで、素敵なボイスが聞こえていると思います。

 
【天野氏】 
平日に一人カラオケに週3、4日で行ってます。仕事しないで。近所のカラオケ店で顔なじみになっています。「この人仕事してるのか?」と思われていますね。
 
【ミカタ編集部】 
はたから見たら資格を持って仕事をしているようには見えませんね。ボイストレーニング事業に関しては、今後の展望はありますか?
 
【天野氏】 
やはり店舗をもう少し増やしたいです。小さい教室一つで生徒が125人と言ったら、0から1にするという意味では起業していていると言えますが、数字で言ったら小さいので、校舎を3つ4つにしたり、海外展開したりしたいです。今、上海でやっても面白いかなと思っています。いずれにしても大きくしないと説得力もありませんので。
 
【ミカタ編集部】 
今その下地を固めているような状況ですね。今後の展開がますます楽しみですね。もう一つ、アクア事業もやっていらっしゃるということですが…。
 
【天野氏】 
これは現場には深くは関わっていませんが、もともと社員がやっていた趣味の延長で、ビーシュリンプという、1センチにも満たないのに錦鯉のように1匹何万円とするエビで、大人な趣味の世界があります。彼がその道のプロなので、新潟で店舗を構えてやっています。店舗やネットでの小売り以外にも、ブリーディングや用品のデザインもすべて行い、海外に降ろしたりしています。

【ミカタ編集部】 
趣味でやっていることが意外とうまくいくこともあると思います。うちも行政書士法人の事務所がありますが、そこの代表がもともと乗馬をやっていました。乗馬で使うような馬具をECサイトで趣味程度で売ろうということになり、自分でサイトを作ってやったら意外とうまくいきました。「馬ベンチャー」というのをECでやっています。

【天野氏】
それは絶対いいと思います。最近、クライアントから相談を受ける必ず言うのが、BtoBは企業の論理が働くから、世の中で不足しているものを探して売れば当たるという面がありますが、BtoCは、絶対に自分が好きなものをやったほうがいいと伝えています。世の中に有る/無いや、誰がやっている/やっていないなどは関係なく、とにかく自分が好きで欲しいものをとことんやれば、少なくとも自分と同じ属性の人には響きます。ボイトレ教室もまだ生徒は125人ですが、私は本気で音痴を治そうとしてやっています。音痴が経営しているのは多分日本で私の教室だけです。普通の教室だと音痴の生徒の割合は10〜15%ですが、私の教室は4割くらいで、ちょっと異常な割合です。音痴が本気でやっているから音痴が集まるということです。起業して外れるのは、BtoCで、“まだ誰もやっていない”とか、“これは面白い”、“売れる”とか、売る側の論理になっている場合です。買う側の論理ではなく。ボイトレ教室を始める時も色々な新しい仕組みを作って、当初は先生たちも嫌がりました。でも、これだったら少なくとも私がお金を払う、私が欲しいものだからということで進めました。自分でお金を払うくらいのことをやれば、BtoCは当たると思います。外れるのは大抵、売る側の論理になっている場合です。“現に今、あなたはそれにお金を払っていないでしょう?”と言うビジネスがたくさんあります。だから私は、自分が好きということがすごく大事だと思っています。

【ミカタ編集部】
自分が好きなことをするのってエネルギッシュにもなれますし…。

【天野氏】
アイデアがいくらでも出ますよね。好きだから。自分の中にニーズがあるので。

【ミカタ編集部】
こんなのやったら面白いんじゃないかということが、ポンポン出てきますよね。しかも、士業でやっていることとは全く関係ないので、話題性もあります。そこもその人の付加価値やブランディングにつながりますよね。まさしく、天野先生にお会いする前に、なぜボイトレ教室をやっているんだろうとすごく気になりました。

【天野氏】
士業がよく起業支援をしますが、自分で起業してビジネスを始めない限り、本当の支援は絶対にできません。どんなに良いことを言っていても、社長に「自分でやってみろ」と言われたら黙ってしまうじゃないですか。当社のクライアントの年商は多くても数億円くらいなので、“いざとなればあなたの経営は俺がやってやる”くらいの覚悟でアドバイスします。だから響くのだと思います。
また、自分でビジネスをやっているからこそ、資金繰りなど、プライドがあって社長が言えないことにも気付いてあげられる。例えば、社員が辞めるということも、自分が経営をやっていないと、社員が辞めることの意味があまりわからない。創業当初に社員が辞めるというのは、社長にとっては全人格を否定されるくらいにショックなことです。そういったことも、自分でビジネスをしていれば分かります。逆に、忙しそうにしているけど甘えている社長もすぐに分かる。だから事業をやっているというのは絶対に大事だと思います。

【ミカタ編集部】
僕たちももともとウェイビーという会社を設立したのが8年前ですが、最初の7ヶ月間まったく売上が立たず、本当にカードで借金生活みたいな生活を送っていました。でも8ヶ月目に代表の伊藤が行政書士の資格を持っていることに気づき、会社設立をするときに自分たちも行政書士のお世話になったことを思い出しました。そこからスタートして自分たちでウェブを作って「ウェブ集客」をし、集客の記事を書いて、とやってきたので、お客さんに実体験をお話することもできます。お金の創業融資もやっているので、銀行の交渉の仕方ももちろんなのですが、それ以外にも、融資のもらい方には銀行だけでなくクラウドファンディングや、ベンチャーキャピタルもあるというお話や、そこでどのようなプレゼンをしたらいいかも伝えられます。なんだったら自分が出資できるというようになれば強いですよね。そんなことをしている事務所はないですから。

【天野氏】
融資のアドバイスはみなすると思いますが、私はそれだけではありません。机上論で言えば、資金繰り表を作って、“いつ頃資金がショートしますね”と言うのですが、実際にはベンチャーはそんなタイミングでは資金はショートしません。数百万〜一千万円くらいなら、家族、親、友達などからかき集めてでもなんとかする。つまり、机上論ではショートするけれど、私はそんなところではショートしないと思っている。それよりも、身内からお金を借りる時はとてもつらいものです。プライドが許さないというか。それをつらくなくするための考え方まで伝えたりします。

【ミカタ編集部】
少し精神論的なところもあるのですね。

【天野氏】
でもそこで机上論を出して、“ここでショートする”とか、“会社と個人のお財布を分けましょう”とか、みんなそんなことは言われなくても社長たちは分かっているのです。お財布を分けられないくらいにお金が無いのが分かっているので、そのようなアドバイスは言いません。プライドを傷つけるだけなので。資金繰りが苦しいことは資料見れば分かりますから、もっと社長に寄り添ってアドバイスします。

ミャンマーを選んだ理由

【ミカタ編集部】
今天野先生の事務所では東京以外、ミャンマーにも進出されているというお話ですが、スタッフ間のコミュニケーションはどうされていますか?

【天野氏】
ミャンマー事務所は、日本人女性のパートナーがいて、彼女が代表として、リクルート、マネジメント、営業、実務と全部こなしています。スタッフはミャンマー人だけです。4年くらい現地にいてミャンマー語もマスターして、英語を話せないミャンマー人も雇っています。私はこちらでセミナーや入口段階の質問対応などをやっています。

【ミカタ編集部】
ミャンマーで進出支援をしていらして、ミャンマーで商売もされているということですが、そもそもなぜミャンマーにされたのですか?

【天野氏】
医療観光を中国でやっていましたが、尖閣などの問題があって、世の中の中小企業がASEANにシフトしました。私は尖閣の後、医療観光をやめて時間があったので、ASEAN進出のサポートをしようと思い、当時のアジア進出のピークはインドネシアでしたので、ジャカルタやホーチミンに行きました。現地の事務所と提携してASEAN進出をサポートする体制を作ったのですが、拠点がないとどうしても売上にならず、拠点を作ることしました。その時ちょうどミャンマーは民主化されたタイミングでライバルも少なかったので、ここならbig4相手でも勝負できるということで、ミャンマーに行きました。

【ミカタ編集部】
実際にミャンマーで自社で商売されているというのは、どのようなものなのですか?

【天野氏】
ミャンマーにいるパートナーの女性の趣味が高じて、ロンジーという現地の民族衣装の仕立て事業をしています。

【ミカタ編集部】
それをやることになった経緯はなんですか?

【天野氏】
もともと好きだからだと思います。よく現地でロンジーを着ていて、好きでどこかに仕立てを出して作っていたのだと思いますが、自分で起業した方が社長と話すのも自信がつくからやったほうがいいですよ、という話はしました。

【ミカタ編集部】
そちらはうまく回っているのですか?

【天野氏】
そうですね。数字が上がっているようです。

【ミカタ編集部】
実際に天野先生がミャンマーのスタッフと関わることはあまりないのですか?

【天野氏】
全くありません。最初の頃は、クセのある現地の責任者の方も結構いたので、女性だと上から目線で批判してきたり、お酒の席に頻繁に誘われたりすることがあったので、私が出張に行って、そういう面倒なお客さんと食事や話をすることもありました。今はそういう人もいないし、逆に私が行くとその者の仕事の邪魔をしてしまうので、現地にはあまり行かずに、日本でセミナーをしたり、サイトに手を加えたりしています。

【ミカタ編集部】 
ミャンマー向けにですか?

【天野氏】 
はい、ミャンマーに興味がある日本企業向けにです。

【ミカタ編集部】 
ミャンマーのセミナーもかなりやっていらっしゃいますよね。月にどれくらいですか?

【天野氏】
年間5,6回くらいです。

【ミカタ編集部】 
今度100名くらい集まる場所で話す機会があったり、すごいですね。そういう案件はどこから取って来るのですか?

【天野氏】 
トヨタのOBグループの団体があり、その理事の方と知り合い、そこからです。最初の頃は、当然そのような機会は無いので、自社で集客して参加者5人、10人というのを結構やりました。2年間くらいちょこちょこやっていたら、その実績も見て呼んで頂き
ました。福岡市や東大阪市、中小機構に呼ばれて講師をしたこともあります。

【ミカタ編集部】 
セミナーを開催し続けることはすごく大事だと思います。やっていないとセミナー自体のクオリティは洗練されてきません。うちの代表の伊藤もよく言いますが、一人でも二人でもいいから、毎回開催し続けることが大事であって、万が一そういう大きな案件が来た時に、どれだけ自分がうまくしゃべれるか、相手に伝わるセミナーの準備をしておけるかが大切です。

【天野氏】 
それはあると思います。実績を見てくれますから。最初の頃は、例えば大宮でセミナーやるというと、2,3週間前に大宮駅周辺の銀行に飛び込みで回って、本部の人や営業の人を会場に呼んでもらったりしていました。大宮、浦和、横浜、川崎、千葉と各地でやりました。それを2年くらいやって、資料がだんだんできてきました。その経緯があって今でも群銀さんはミャンマー案件を紹介してくださったり、奈良の地銀さんは中小企業の展示会に呼んでくださったりしました。

【ミカタ編集部】 
それだけ全国の銀行とつながりを持っている会計士の先生はなかなかいないのではないでしょうか。

【天野氏】
相続に強いところや古い事務所はやはり銀行との付き合いはあると思います。

【ミカタ編集部】
天野先生みたいに若くしてつながりを持っているのも一つのブランディングですよね。本当にセミナーは一人二人でも開催し続けることが大切ですね。今後ミャンマーの展開はどのように考えていらっしゃるのですか?

【天野氏】
ミャンマーはアウトバンドとして見ると勢いがものすごくて、東京の事務所もクライアントが増えていますが、ミャンマーの事務所は、日本よりも契約のペースが速いです。アウトバンドは当面、ミャンマーの一点集中でいきます。中途半端にこれからフィリピンなどを立ち上げるよりも、その方が儲かると思っています。

【ミカタ編集部】
日本人がミャンマーに進出するのを圧倒的にサポートするというポジショニングを取るのですね。

【天野氏】 
ビッグ4も進出していますが、世界的な企業や一部上場企業などは、保険料込みでビッグ4に依頼します。ビッグ4以外の中堅や中小の会計事務所は、まだ5社くらいしかありません。ミャンマーの会計事務所と契約しようとする日系企業の担当者が、ミャンマーへ出張に行って、現地の日系の会計事務所と面談をすると言っても、大体5社以上はアポを取らず、多くても3,4社くらいです。3、4社の中で一社くらいはフィーリングが合わないところがあるとすると、大体3社に1社くらいの割合で契約をもらえるので、今はもうこの中でどんどんやっていこうと思っています。


登録することで、 利用規約・プライバシーポリシーに 同意したものと見なされます。

関連記事