<第1回>商業登記にコンサルティング業務の付加価値をつける

商業登記というニッチな分野で新たなポジションを築いている松本光平氏に、顧客ゼロからスタートした司法書士事務所について、将来の展望を含めお話を伺いました。

プロフィール 松本光平

東京都小金井市出身 明治大学政治経済学部卒業

新卒で中堅ハンバーガーチェーンに就職しわずか3年で飯田橋店の店長に昇格。店長時代には、QSCコンテストでAランクを獲得する。

その後、結婚を期に損害保険の営業職へ転向、営業の面白さに気がつくも経理とマネジメント経験をかわれ、IPO目指す設立2年目のベンチャー企業に転職する。その間離婚も経験。
ベンチャー企業では、経理業務の傍ら500店以上の加盟店の売上管理を行う。

そして、勤務していたベンチャー企業の倒産をきっかけに、一念発起して司法書士に転向。企業の最悪の場面に直面し、経営者、取引先、従業員の人間模様を見て、同じような経験をする人を少しでも減らしたいという思いから司法書士になる。
その後、企業法務・商業登記を専門とする都内の司法書士事務所で、種類株式発行、ストックオプション発行、合併等の組織再編、医療法人の登記など幅広い業務を担当する。登記申請件数は1500件以上
その経験を生かし40歳を目前にして渋谷区円山町にゆう司法書士事務所を開設する。IPO・M&Aを目指すベンチャー企業を中心にストックオプションの発行、資金調達の支援や法務顧問などの法務サービスを提供しています。

対談スタート

選ばれるためには特徴を作る

【ミカタ編集部】
こんにちは。本日はゆう司法書士事務所代表の松本光平先生にお越しいただきました。松本先生はベンチャー企業に特化した法務コンサルをされており、前職の司法書士事務所では累計1,500件ほどの登記もこなしていらっしゃいました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。まず初めに松本先生のプロフィールをお伺いしたいのですが、開業するに至ったご経歴やきっかけをお聞きしてもよろしいですか?

【松本氏】
前職は飲食業や総務経理など、司法書士とは全然関係ない業界にいました。司法書士になったきっかけは、総務経理をやっていたベンチャー企業がある日突然倒産してしまい、職を失ったことから始まります。その中で自分がやりたかったことやできることを考えた時に、司法書士として会社の法務支援ができるというのはいいなと思い、司法書士試験を受験しました。

【ミカタ編集部】
なぜ会社の支援をやろうと思ったのですか?

【松本氏】
就職していた企業が基本的に中小企業で、社長さんとの距離が近く、その仕事をよく見ることができました。社長の方がどういうところで苦労するかということを身近で見ることができたんです。社長は社長にしかできないことが多くて、「社長は孤独だ」という言葉を聞くことがありますが本当にそうで、自分にできることがあればいいなと思いました。小さい会社だったからこそ幅広い経験ができ、中小企業の状況を理解しつつ、今後法務の専門知識も追加することによって、社長さんの手伝いができると考えました。

【ミカタ編集部】
今司法書士の先生は世の中にたくさんいらっしゃいますが、選ばれる先生になるために意識的にやっていらっしゃることにはどのようなことがありますか?

【松本氏】
司法書士という資格があることによってある程度業務範囲は限られてしまいますが、一般的には不動産登記の分野と商業登記の分野、あとは成年後見の分野と訴訟の分野があります。大体は不動産登記の分野を主にやっている先生が多いです。そうなると不動産登記の分野には競合が多いですし、あとから参入するのも難しい。将来的な展望としても、頭記の件数自体が減ってきていること、あっても大手の事務所に集約していることがあって、小さい事務所が入っていくというのはなかなか難しい状況です。なので司法書士の業務の中でも特化する必要があるというのがまず一つです。その中でも商業登記はニッチな分野であるので、まずはそこにターゲットを絞りました。ただ商業登記だと単価が低く、そのために敬遠されているという事情もあるのですが、特化すれば登記だけではなく会社法や企業法務にも詳しくなってきますし、聞かれることもあります。そういった付加価値を付けていくことによって、よりコンサルティングのようなかたちでその報酬ももらえますし、選んでいただける特徴を持つことができるという思いで選びました。

【ミカタ編集部】
登記と一緒にコンサルティングもやっているということですね。2017年の8月に開業されましたが、開業前スタートダッシュを切るために準備していたことはありますか?

【松本氏】
開業前には資格の登録や事務所の準備、営業ツールの準備などやることがたくさんあります。開業すぐにすべてが揃っている状態を理想としていましたので、それを目指して当時は準備をしました。ただやはり一部間に合わないところがありました。開業してすぐにホームページを公開できるよう考えてはいましたが、結果的に遅れてしまったのでそこは少し反省点でした。また、ネットワークづくりは早くからやるに越したことはありません。私もやろうと思ってはいましたが、あまり早いうちからやると事務所の場所も決まっていないし電話番号もないし、名前も決まっていないので、難しかったです。本当は6カ月前くらいからできればいいと思っていましたが実際できたのは1カ月前とか2カ月前とかになってしまったので、そこも反省点というか、うまくいかなかったところです。

【ミカタ編集部】
ネットワークづくりとは、具体的にどのようなネットワークを広げていらっしゃるのですか?

【松本氏】
商業登記のお仕事は会社様から直接いただくということは少なく、税理士さんや弁護士さんなど他士業の先生からの紹介が主になりますので、基本的にはそのような先生方とのネットワークづくりを重視しております。

【ミカタ編集部】
先ほどのお話の中にもありましたが、税理士の先生とのネットワークを開拓していらっしゃると。そうすると税理士の先生からお仕事が来る機会が多いのですね。

【松本氏】
そうですね。やはり会社様の顧客を一番持っているのは税理士先生かなと思います。

【ミカタ編集部】
税理士の先生はやはり本契約とかを持っていらっしゃることが多いのですか?そういったところから開拓をしていこうということですかね。税理士の先生と距離を近づくために意識していることはありますか?

【松本氏】
当然最初の頃は仕事がないので、仕事が欲しいという気持ちが出てしまいがちですが、仕事がいただけるのは信頼ができてからで、信頼ができたからこそ仕事が紹介してもらえるというところがあるので、まずは信頼していただく、仲良くなるということを第一の目標としております。

【ミカタ編集部】
今現在仲良くなるためにやっていることはなにかありますか?

【松本氏】
自分の顔写真を入れて業務の特徴などを書いた名刺を作り、少しでも印象付けるようにしています。あとはお会いした後にそのときお話した話題などを書いたはがきを送るようにしています。そのおかげでメールの返答をいただいたりすることもあります。

【ミカタ編集部】
さきほどおっしゃっていたのですが、ウェブを最初ご自身で作られたそうですが、9カ月ぐらいかかったそうですね。後でプロに頼んだら3か月ぐらいで済んだというお話でしたが、もう一度やるとしたらプロに頼みますか?

【松本氏】
期間もありますが出来栄えも違いますので、頼みます。ホームページは見た目の印象でプロが作ったものか素人が作ったものか見分けがついてしまうので、プロに作ってもらった方が信頼感につながるのではないかと思います。

顧客ゼロからのスタート

【ミカタ編集部】
前までの事務所がこの場所の近くということなのですが、前の事務所で3年半勤められていて、お客様を少し引き継がせていただいたということもあるのですか?

【松本氏】
引き継ぎがあればとてもありがたいのですが、なかなかそういうわけにも行きませんでした。事務所さんに迷惑をかけますし、業務の特性としてメインで直接担当を持つということはなかったので、お客様を引き継ぐことはありませんでした。ゼロから開拓する覚悟でやめましたし、実際そうなりました。

【ミカタ編集部】
顧客ゼロの状態から松本先生は開拓されているのですね。今具体的に営業の開拓はどのようにされていますか?

【松本氏】
ホームページを作ってはいますが、それで直接集客というのは難しいので、ホームページはお客様が一人でも来ればいいかなというところです。やはりリアルの営業がメインになりますので、他の士業の先生とネタを作るということをまず重視し、士業の先生方が集まる交流会に出席したりしています。あとは社長様が集まる場所ということで、金融機関がやっている経営者の会というものに入らせていただきました。

【ミカタ編集部】
そういったコミュニティに参加したりされているということですね。



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