起業後の経理は自分でする?丸投げ? おすすめは?

ポイント
  1. 経理を自分でするか、外注するか悩んでいる起業家に、代行サービスのメリット・デメリットを解説
  2. 本業に集中するために、必要な選択の一助になる

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独立・起業を考えている方の中には、経理業務を「自分でするか」「外注するか」で悩むことが多いようです。経営者自身が経理を兼任することも大切ですが、事業拡大などの本業に取り組む時間がおろそかになっては本末転倒といえます。そこで今回は経理代行サービスを利用するメリットやデメリット、経理を自身で行う際の注意点などを紹介します。起業後の経理のあり方を検討する際の参考にしてください。

1 起業後の経理業務の手段

起業後の経理業務は大きく分けて、「経営者が行う」「経理担当者に任せる」「経理代行サービスを利用する」の3つの方法があります。

 1-1 経営者が経理業務を行う

起業した場合の事業規模にもよりますが、中小・零細に該当する企業の場合では経営者が経理事務を行うケースも見られます。

平成19年に中小企業庁が実施した「中小企業の会計についての実態調査」で「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート(回答数4,272件)によると、「経理財務担当の人員(事業主以外)」に関する質問の回答では、「1人」が59.2%、「2人~5人」が26.2%となっており、「0人」は12.4%です。

「0人」の内容は不明ですが、経営者が兼務しているか、経理代行業者などに委託しているかのどちらかになるでしょう。ただし、雇用者の少ない個人事業者などでは経理事務を経営者自身で行うケースが少なくありません。

 1-2 経理担当者に任せる

先ほどの「中小企業の会計についての実態調査」のとおり、中小企業等においては1人以上の経理担当者が設置されるケースが多くなります。また、平成26年度の調査では「1人」が58.2%、「2人」が17.9%となっており、「1人~2人」にすると76.1%にもなります。

従業員数が1千人を超える大企業などの場合では経理担当者が10人以上いるケースもありますが、中小企業でも従業員数が200人以上になると3名以上いるケースも少なくないでしょう。

 1-3 経理代行サービスを利用する

経理業務を専門業者に外注する(アウトソーシング)という方法もあります。一般的に「経理代行サービス」と呼ばれている業者です。

主な提供サービスとしては、記帳、勤怠管理・給与計算、売掛金・買掛金管理(請求書の作成・発送等)、決算業務及び申告業務、年末調整業務などです。コストに関しては提供する事業主体やその提供サービスの内容により大きく異なります

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経理業務のアウトソーシング おすすめ代行業者8選

2 経理代行サービスの特徴

経理代行サービスの具体的な内容とメリット・デメリットを見ていきましょう。

 2-1 経理代行サービスの代表的な業務

経理代行サービスには代表的な記帳業務や給与計算等から、税理士等の資格保有者だけが可能な税務申告など幅広い業務が提供されています。

記帳

記帳業務は企業で日々発生する会計情報を帳簿に記録する作業で、経理代行サービスの基本的な提供業務といえるでしょう。

企業の資産や収益・費用の変動に関わる取引は簿記のルールにしたがって記録し、そして税金を計算の上納税することが企業には要求されています。そのため、会計データの記帳(電子データの記録)は経理の基本業務であり、経理代行サービス会社の中心業務となっているのです。

経理代行サービスの記帳業務では、取引先からの請求書、領収書や通帳の写しなどの書類を受け取り次第、入金・出金の記録が正確に記帳(入力)されます。

勤怠管理・給与計算

給与計算サービスとは、タイムカードなどの情報をもとに社員の給与明細書・賞与明細書や源泉所得税納付作成書の作成などを行うサービスです。また、有給管理、年末調整事務や社会保険・労働保険の手続なども合わせて提供されるケースもあります。

企業のタイムカード等の勤怠データや就業規則等をサービス会社に渡すと、労働日数や労働時間数などの勤怠データが集計・記録(入力)され給与計算が行われます。残業・休日出勤、手当・控除、健康保険料、厚生年金保険料、所得税・住民税などが計算され給与明細書等が作成されるのです。

また、従業員への給与の振込などを代行してくれるケースもあります。「給与計算の負担が重い」「従業員に給与を知られたくない」「保険料率の改定などが心配」「担当者の急な退職等が不安」と考えている企業にとって給与計算サービスは有効です。

売掛金・買掛金管理

企業の販売や仕入に関わる掛取引を適正に管理する売掛金・買掛金の管理がサービスとして提供されるケースも少なくありません。

売掛金や買掛金の管理を不適切にしていると大きな損失を被り経営リスクに発展しかねないため注意が必要です。商品やサービスはすでに提供しているのに検収が遅れる、請求書の発行が遅れるようでは代金の回収が遅くなりキャッシュフローの状況が悪くなっていきます。

そうした状況が続けば資金ショートの可能性が高まり経営リスクに陥ることもあるのです。また、買掛金を計上していても支払いが長引けば、税務調査で支払の可能性の低い負債として収益への変更が求められるということもあります。

経理代行サービスに売掛金や買掛金の管理を委託することで、上記のような問題を回避することが可能です。

決算・税務申告

領収書、請求書、通帳の写しなどを渡すと、1年分の記帳、決算書の作成、税務申告書の作成、法人税の申告などを行ってくれるサービスです(記帳代行、決算書・申告書の作成、申告代行)。

ただし、税務申告は税理士等がいるサービス会社か、提携しているサービス会社に限られます。なお、決算時や申告時、年末調整時だけの一時的な依頼にも対応するサービス会社もあります(例:企業が記帳・入力したデータをもとに決算書・申告書の作成及び申告を行うなど)。

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