既存事業にドローンを導入・活用するために必要なこと

ポイント
  1. 建設現場での活用
  2. 今後の課題
  3. ドローン導入企業のサポート

フライトが挑む土木現場でのドローン導入とその課題

自社の事業にドローンを活用する例が増えている。しかし、まだまだドローンをうまく活用できていない企業が多いのが現状だ。とくに導入時には技術面などさまざまな課題がある。

そんな企業が新しくドローンを導入するためのサポートをしているスタートアップがある。FLIGHTS(東京・港、以下フライト)だ。

測量部長であり、DJIインストラクターでもある加塩博士さんに話を聞いた。

FLIGHTS測量部長兼、DJIインストラクターの加塩氏

「ドローンの現場は実際どうなっているのか。」フライトの事業内容は、ドローン操縦士派遣ドローンの新規導入サポート事業ドローン操縦資格取得や操縦技術向上のための講習ドローンに特化したメディアの運営ドローン本体や周辺機器の販売など、ドローンサービスに関連する事業を展開している。(同社ホームページより)

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アイコンストラクションでのドローン活用

加塩さんがメインで携わっている事業は、アイコンストラクションと呼ばれる測量分野だ。

アイコンストラクション(以下、アイコン)とは土木における、国土交通省が2016年度より導入した建設現場での情報化の新基準。生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる全プロセスを情報化するものだ。

たとえば、これまで地形を人の力で測っていたものをドローン使って3Dで測量できるようにする。ドローンを使って、地形の起伏や形状を3次元でデータ化する。工事前と工事後に設計図通りになっているかどうかをチェックするといったことをおこなう。

工事は、基本的に重機を使っておこなう。そのほんの一部の工程のみ、ドローンを活用している。アイコン=ドローンと思っている人もいるかもしれないが、それは違うようだ。

ドローンはあくまでアイコンの過程で使われる一部でしかないが、その効果は大きい。

加塩さんは前職で土木をやっていたこともあり、ドローンでもっと多くのことができるという可能性に早くから気づいていた。その後、ドローン業界への転職を決意したという。

しかし、土木業界においては、元々の現場にいた人でない限り、参入は難しいという。ドローン業界から参入するには現場を知っている人が不可欠だという。土木業界では、現場に出なければわからないことが多いからだ。

また、対面や電話で仕事を進めることが多く、メールを使わない人が多数いる。土木業界を知っている上で、ドローンの可能性への理解がある人材が望ましいようだ。

ドローンの産業用途への活用とサポート

産業用途では、消防などの防災関係、災害調査で赤外線カメラ付きのドローンが活用されている。

フライトが、消防関係者に使い方をレクチャーすることもある。最初はドローン操縦方法から始まり、最終的に災害現場への応用まで訓練を続ける。同社は今年3月、鹿児島県薩摩川内市の消防署で初心者講習会を開催した。

M210という産業用ドローンの飛ばし方や、赤外線カメラの使い方までをレクチャーした。同消防署では、4月から赤外線カメラや操縦の技術を向上するための自主訓練をおこなっているという。

薩摩川市消防局での活用事例

フライトの社員が災害現場でドローンを操縦することは基本的にできない。そのため、現場で活躍する人がドローン操縦を習得することが不可欠だという。フライトは、そういった主役となる人たちのパートナーとして自分たちを位置付けしている。

このように、自分たちが持つノウハウを教えて、導入をサポートすることもあれば、工程を代行しておこなうこともある。

「今あるノウハウは半年後や1年後には広まって当たり前になっている。新しいノウハウが広まる頃には、自分たちは新しい課題に挑戦していきたい」と加塩さんは語った。

できなかった点や、困った点などを顧客から相談されるため、使った人にしかわからない悩みを共有できる。

それを同社が拾いあげて、解決する。このようにして、業界全体のレベルアップを目指しているという。

ドローン導入時の課題

一番難しいのはヒアリング、つまり顧客の課題を明確にすることだという。「ドローンを使ってこういうことがしたい」というように、求めているものをクリアにしていく段階が必須。それができたところほど、結果が出ている。

しかし、その擦り合わせに時間がかかる。そのあとは、目的のために必要な練習や、やるべきことを事前に共有することが大切だという。

また、電子メールも普及していない土木業界では、ドローンを普及していくためには苦労が多い。過去に、スマートフォンの導入時なども現場から反発があったという。「解決策は、時間をかけて説明するしかない。

2年、3年経っていくと、年配の人ほどそういったサービスを使うようになる。今は、ドローンをただのおもちゃのように考えている人も多いが。時間をかければ必ず浸透する」と加塩さんは強調した。

また、ドローンを導入する企業の経営者も、ある程度ドローンに対する理解をしておく必要がある。ドローンには常に墜落のリスクなどがつきまとうからだ。仮に工期が遅れていても、悪天候の際にはドローンを飛ばさないという決断が必要なこともある。

ドローン導入企業へのサポート

フライトは、ECサイトでドローンや周辺機器の販売もしている。自分たちも実際現場で使っているので、問い合わせがあった時、現場レベルでの回答ができるという。見積依頼があったときは、用途を確認し、別の機体を勧めることも。

使う目的によって、購入する機体の提案ができるのが同社の強みだ。顧客が2、3時間かけてインターネットで調べた情報よりも、同社が数分ヒアリングした後の提案の方が的確なこともある。自分たちでできないことは任せた方が、仕事が進む場合が多い。

また、ドローンを購入したものの、1年間まったく使っていないような企業も多い。販売後のサポートでは、その具体例を見せていく。

そうでないと、導入した企業が自分たちで運用できるようにはならない。そういったところに、正しい活用方法を提案していくこともサービスの一環だ。

導入前の企業で「ドローンで何かしたい」という声がよくあるという。しかしこの場合、結局何もできずに終わることが多い。それよりも、「今の本業にドローンをどう生かすか」という視点が重要だという。結局のところ、ドローンは本業じゃなく、手段という認識が必要だ。

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ドローンの導入効果と普及

「地方の現場では、いまだに9割以上の作業が人の力でおこなわれている。ドローンを導入すれば間違いなく時間短縮になるが、慣れるまではどうしても時間がかかる。10人がかりでやっていた作業が2人だけで済んだ例もある。馴染んでくれば間違いなく時短になる」と加塩さんは言い切る。

ドローンをただ飛ばすのは簡単だ。しかし、トラブル時に対処するのが難しく、時間がかかる。教えてもらうことよりも、自主的に練習して自分で課題を見つけてクリアしていく必要がある

また、地方にはアイコンの案件自体は、ものすごくたくさんある。しかし、肝心のドローンに関する情報は入ってこないという難点も。「測量する人のチャンスはまだまだある。なんとか頑張っているけど、やり切れていない人たちの助けになりたい」と加塩さん。

現場のIT化が進んでいない土木業界でのマーケティングは大変だが、協会、建設系の新聞、地場の業者などを通じて広めて行くという。

これからも消防、土木業界のドローン導入のサポートをメインでして行きたい。それを現場で一緒にひたすらやる。今はそれしか考えていない」これからの産業用途でのドローン活用がどう変わっていくのかが、楽しみだ。

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著者プロフィール

林聖人

フリーランスライター。 大学卒業後、商社で輸入品の流通事業に8年間携わる。 月100時間を超える残業や、生産性の低い働き方を続けることに疑問を抱き、2018年に「働き方」専門のライター・ジャーナリストとして独立。 また独立前に8つの副業を経験し、自身でも「副業」を専門テーマに実態調査や、情報発信をおこなう。 2017年から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで「働き方・副業」に関する記事を担当している。

桃井美里

2018年から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで、コラムを担当。 こども写真館「スタジオマリオ」の店長を経て「助っ人」編集部へ。 イラストや写真を用いて、難しく考えられがちな『起業』をもっと身近に感じることのできるコンテンツの発信に取り組む。 フリーのナレーター・MCとしても活動中。