商標における先使用権とは?先願主義と合わせて基礎から解説!

ポイント
  1. この記事では、商標における先使用権と言う法律を、基礎知識から理解する事ができます。また、そもそも先使用権がなぜ存在しているか?等、細かい内容も把握する事が可能です。

商標の先使用権と聞いても、あまりピンと来ないと言う方がほとんどなのではないでしょうか?

勿論、法律関係の資格を有していたり、そのような事務所等で勤務された経験がある方にとっては、理解していると思われますが、一般的には普段私たちが生活をする上で「先使用権」と言う言葉を使用する事は、まずないと思われます。

今回は商標における先使用権と、そこに係る先願主義についても、基礎的な知識と共に、総合的に解説をさせて頂きたいと思います。

商標の先願主義について

先使用権を理解する前に、それに関わりのある「先願主義」を理解しておきましょう。

そもそも、商標とはわかりやすく言うと商品やサービス等に関するマークのような物ですが、これを特許庁に登録する事によって、第三者から同一の物の使用や、類似品の排除をする事ができる制度です。

登録すれば、その商標を使用できるのは、その企業や、その方だけと言う事になります。

もしもその使用する権利を侵害した場合には、最悪の場合裁判で争う事になり、侵害が認められた場合、損害賠償請求の命令が下されるケースがあります。

この商標は、普段使用するだけでは、第三者を排除する事は出来ず、出願をして登録が完了したら効果を発揮します。

また、商標の登録は早い者勝ちとなっており、先に登録を済ませた方がその権利を得る事になります。

その事を「先願主義」と言うのです。

商標における先使用権について

では、先願主義をご理解いただいた上で、先使用権の解説に入らせて頂きます。

商標については、先に登録した者、つまり早い者勝ちであり、登録をしている方の権利が守られる制度です。

しかし、これには例外があり、それが「先使用権」と呼ばれるものとなります。

少し想像してみましょう。

もし、誰もが知っているような有名な商標(マーク)があるとします。

その商標が登録されていなかったとして、他の企業等が同じマークを商標登録したと考えてみて下さい

この場合、通常であれば、先願主義を採用しているわけですから、例え最初から存在し、有名であったとしても、商標の権利は、後から登録を行った方に権利が発生します。

しかしながら、誰もが知っているような認知度の高い商標であり、ただ単純に登録をしていなかっただけの場合は、未登録の商標であったとしても、それを保護しようと言う権利が先使用権と呼ばれるものなのです。

通常は登録に関しては、早い者勝ちだと述べましたが、元々存在し、知名度も高く、登録だけが行われていなかったと言う場合には、例外的に先使用権と言う制度が認められる事となり、法律的にも保護をしてよいと考えられる制度となっております。

先使用権の判断について

では、この先使用権は、一体誰が判断を下すのでしょうか?

おおよその検討が付いている方もいらっしゃると思いますが、先使用権の判断については裁判所が全ての判断を下す事となっております。

ですので、登録をする先となる特許庁が判断を下すわけではありませんので、勘違いがないようにしておきましょう。

先使用権の効果について

次に、先使用権が認められた場合には、どのような効果がもたらされるのでしょうか?

わかりやすく答えから申し上げますが、効果としては許可を得る事なく「無償」にて使用をする事が可能となります。

通常であれば、商標登録をした商標権を有している方から、損害賠償請求が行われたり、使用について、差止めの請求を受ける可能性が出てくるのですが、先使用権が認められた場合には、商標の権利を有している方から、差止めの請求や損害賠償請求が認められないと言う事になります。

ですから、先使用権が認められれば、その効力の範囲内において、それからも継続的に使用する事が認められると言う制度となるのです。

そもそも先使用権が認められる背景とは

法律的な話から解説すると、実は商標法と言う法律には、そもそも、先に登録をしていない有名な商標がすでに存在している場合には、後から同じ商標を出願したとしても、登録自体を認めないと言う規定が存在しています。(商標法第4条第1項第10号)

この事から考えれば、そもそもが、登録ができないわけですから、過誤登録と言う状況が発生しているのです。

そのような法律があるにも関わらず、過誤登録によって登録された方が、すでに存在している有名な商標を使用している相手に対し、損害賠償請求をしたり、使用を差止めする為の請求をするのはおかしな話です

ですから、登録がされていないとしても、すでに存在している有名な商標を保護しようとするのが、先使用権が認められる背景となっているのです。

過誤登録を無効にするには期限がある?

実は、上記で解説させて頂いた過誤登録についてですが、これを無効にしようとしても、一定の期間があり、その期間が経過してしまうと、無効にする事ができなくなってしまうのです。

その期間は商標登録が行われてから5年間となっており、この期限の事を「除斥期間(じょせききかん)」と言います。

つまり、5と言う期間が経過してしまうと、間違って登録されてしまった商標の権利からの攻撃に対抗する手段が無くなってしまうと言う事になるのです。

しかし、先使用権がある場合には、例え無効に出来なかったとしても、使用し関しては許可を得る事なく、無償にて使う事ができる対抗の手段は確保される事となります。

これらの理由としては、有名な商標や知名度が高い商標については、社会的な経済としても、それらが使用できなくなった場合、事業等を中止しなければなりませんから、産業の政策的にも、好ましくないからだと言われております。

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