最終章:これからのクリエイティブ、これからの夢〜メンターからの手紙 ヒロ杉山氏〜

ポイント(この記事は3分で読み終わります)
  1. これからの広告のクリエイターの難しさ
  2. これからのデザイン・クリエイティブ業界はチャンス
  3. これからの夢

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これからの広告のクリエイターの難しさ

デザインや広告って、80年代ぐらいにすごく盛んになって、かっこいいものがすごくたくさん生まれたんですよね。

でも当時は、まだ広告が未熟でもあった。
クライアントや企業の宣伝部自体が、まだあんまりデータも知識もないから、アートディレクターやクリエイティブディレクターにおまかせな部分がかなりあったと思うんですよ。

そうすると、才能のあるアートディレクターとクリエイティブディレクターは、そこでもう自分の思うがままに広告を作るわけです。
そうすると、めちゃくちゃかっこいいものができるんですよ!
だけど、それが果たして、購買的な実績につながってたかどうかはわからない。

対して、今はこういう広告やったときはあまり売れなかったとか、このときはすごい売れたとか、クライアントにはデータも実績も経験もある。
そして、インターネット。ネットはもっとリアルな数字が出るでしょ。マーケティングも始まったし。

そういうデータが蓄積されてきて、広告業界のクリエイターはすごいやりにくくなってると思うんですよ。
つまり、好き勝手に自分の美術的感覚でなにかを作るってことができなくなって、ロジックが必要になってきたんですよね。それは左脳的なロジック。

80年代の人たちは右脳的な、感覚的なものでやってたからこそすごく面白いものができてたと思うんですけど、それがいまは難しくなってきています。
また、今の広告は画一化していくっていう側面もある。だから失敗もしないけど、ものすごく面白いものもできない。平均的な広告になっていく時代だと思うんです。

昔みたいな「なんだこれ?」っていう、わけわかんないけど印象に残るっていう広告が、どんどん少なくなってきたんじゃないかなぁ。

まあ、ロジックやマーケティングを完璧にクリアした上で、ものすごいクリエイティブを作ることができる人っていうのも、難しそうだけどもこれから出てくるかもしれないですね。

これからのデザイン・クリエイティブ業界はチャンス

僕は、京都造形大学で講師も務めています。今12年目なんですが、10年前の生徒と今の生徒って、全く別人のようです。
今の若い子たちって僕らが若い頃にあったような野心や欲や無鉄砲さがないの。全く。
多くの生徒たちは出世欲もないし、平均でいいんですよ。

昔は、芸大なんて面白い子がいっぱいいて、就職なんかしないで東京に出てバイトしながら絵を描きます、みたいな子もたくさんいたんだけど、今はもうみんな就活をしなきゃと思い込んでるんですよね。

そうすると、夢を抱いて芸大に入ったはずなのに就活のタイミングになると学生はいったん夢を脇に置いちゃうんですよ。
でも、夢と就職は分けて考えちゃいけない。僕は、大事なのは就職率じゃなくて就職だ、っていつも言ってるんです。

質のいい就職をすれば、そこで勉強にもなるし、長くいられるでしょう?
この現状は歯がゆいです。もっと夢を追っていいはずなのに、夢を追うこと=悪みたいになってる。

でも、だからこそ逆に今はすごいチャンスなんですよ。
若い人は出世欲があまりなくて、そんなにがむしゃらにがんばらなくなってきてる。そんな中でがむしゃらになったら、一気に抜きん出ることができますからね。

そのために、クリエイターとして重要なのは、個性を掘り下げることだと思います。

やっぱり、この業界でどういう人が名を上げるかっていうと、クリエイティブな面でオリジナリティの強い人。みんなと同じことやっててもやっぱりだめなんですよ。

でも、今って情報が溢れかえってるからみんなが広く浅く同じものを聴き、同じものを見ていることが多いと感じます。

こんな状況のなかだったら、やっぱり作るものもみんな似通ってきちゃうんですよね。
個性がどんどん薄れていって、平均化されてしまっている。
そこから脱しない限り、一流の名が売れるクリエイターにはなれない。

だから、見るものや聴くものを掘り下げる作業をするんです。
たとえば、映画だったらデヴィッド・リンチの作品を全部遡って見てみるとか、音楽なら一人のアーティストの作品を全部聴いてみるとかね。

つまり、人がめんどくさいと思ってやってないようなことまでやる。
一人のクリエイターを掘り下げたら、何がその人の凄さなのかがわかってくるだろうし、そうすることで自分の感性も人と違ってくるわけだから。
それが、オリジナリティになっていくと思うんですよ。
とにかく、掘り下げるっていうことが大事です。

これからの夢

これからの僕の大きな夢は、アートを使った教育、小さな学校みたいなのをやりたいということ。

今は大学で教えているけど、もっと小さな子供たちとかを対象にして、絵をはじめとして、ものを作る楽しさとか、イマジネーション、考える力を養うようなところですね。

まだ漠然とはしてるんだけど、なぜそれを思ったかと言うと、今の子たちって、想像力がすごく弱くなってる気がするからなんですよ。

いまの子供たちは、ゲームをやって、ビデオを見て、ってすごく受動的。
本を読まなくなって、ものを考えるよりも先に目に入ってきちゃうから、見てればそれで気が済んじゃうみたいな現状があると思うんです。
そこで起きることは、想像力の欠如。それによって、他人を思いやれなくなってる子が多いと感じます。

大学でも、友達同志で揉めてることがあって、それは「こういうことを言うと相手が傷つく」っていう想像力が薄れてるから起きる諍いなんですよね。

「そんなこと言ったらあの子は傷つくじゃん」っていう説明をすれば理解できるんだけど、説明されないと目の前の人がどれだけ傷つくかっていうのがよくわかってない子がいて。

僕は、それは想像力の欠如が問題だと思うんですよ。
だから、アートやものを作ることを通して、小学校低学年とかの小さい段階から「考える力」を養えば、人にやさしくなれる子に育つんじゃないかって思うんです。
ゆくゆくは、実現していきたい夢ですね。

僕が信じている宇宙の法則があって、それは自分が人に与えたものは、すべて同じエネルギーで自分に返ってくるということ。
それは、悲しみも喜びも同じことです。

誰かを悲しませたとすれば、同じような悲しみがいずれ自分に返ってくると思う。
誰かに親切にしたら、同じ量のいいことが自分に返ってくる。
これは、紛れもない真実です。

それをわかってると、他人に優しくできますよね。そして、嫌な思いにさせることもない。
自分に返ってくるんだからね。

(了)

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著者プロフィール

ikekayo(池田佳世子)

関西を拠点に活動するライター。 その人のもつ無形の価値に輪郭を描く仕事をしています。