4倍で成長する組織の作り方〜【第5回】 チーム効力感とは?チームに自信を付けるための4つの秘訣

ポイント
  1. 新たなチャレンジのために必要な自信とは
  2. チームとして必要な自信とは?
  3. チームの自信を高めるには?

目次 [非表示]

OKR(Objectives and Key Results)は、Google、facebook、Twitter、Airbnb、そして、日本でもメルカリ、サンサンなど、多くの成長企業で採用されている目標管理の手法です。成長企業で力を発揮している個人、チームは新しいチャレンジにも自信をもって挑むことができるのはなぜなのでしょうか。

新たなチャレンジのために必要な自信とは

まず、個人の自信について考えていきましょう。

過去に実績があったこと、成功したことに対して自信を持つことはよくあります。そこから一歩進んで、新たなチャレンジや課題など、まだ経験したことのないものに挑む際にも自信をも持っていることがあります。

これを「自己効力感」と言います。

自己効力感とは、課題や目標に対して自分は達成できると思う自信感、有能感のことです。これから起こる未来に対して、「自分はできる!」と成功への自信感を持つことが自己効力感と言い換えることもできます。

高い自己効力感はまだ見ぬ未来に対して抱くもののため、ある意味「思い込み」とも言えます。しかしながら、自己効力感があることは、実際にはポジティブにはたらくことが多いのです。自己効力感が高い人は低い人よりも、同じ条件での目標の達成率が高いという実験結果もあります。

同時に、自己効力感の高い人は、より高い目標、課題を設定する傾向にあることがわかっています。

チームとして必要な自信とは?

個人の自己効力感がチャレンジには有効と説明しましたが、チーム、組織でも同様に自信が必要で、「チーム効力感」といいます。

チーム効力感とは、チーム全体でこれからチャレンジする課題や目標に達成できる、成功できるという自信感のことです。そしてそのためにはチームメンバーそれぞれの自己効力感が相互に作用しあっている状況が必要です。

高いチーム効力感で、目的達成や課題解決にチームとして取り組むことができるようになります。そして、自信をもって挑むことから、失敗を過度に恐れることなく高い目標を目指して取り組んだり、使命感をもって挑む傾向も高まります。

チーム効力感の高いチームは、チームのメンバーの個人能力を足し合わせる以上の能力を発揮できるようになる、つまりチームの力を最大化できることで、業績やチャレンジの成功率が高まります。

チームの自信を高めるには?

チーム効力感を高める秘訣は4つあります。

1.成功体験

まず、自分たちのチームが実際に成功体験をすることが、チーム効力感を高めるために一番効果的です。

たとえどんな小さなことでもいいので、成功を積み重ねていくことで、「自分たちはできる!」、「このチームならできる!」という自信が生まれます。

その自信の積み重ねが、新たなチャレンジに対しても自信をもって望臨めるチーム効力感に繋つながるのです。

そのために、早い段階で成功を生み出すことが必要ですが、自分たちで成功を成功であると実感できないことがあります。そのため、上司がたとえ小さな成功でも成功できていることを正しく評価することが必要です。

成功から間を置かずに評価することで成功実感を持つことができますので、適切なタイミングでフィードバックすることが上司には必要となります。

2.代理体験

成功体験を積むことがベストですが、現実にはすぐにはできないこともあります。そのときに有効な考え方が代理体験です。

代理体験とは、その名の通り自分たち以外の他のチームが代理で成功体験をすることです。自分たちに似た他のチームが成功を体験したことを知ることで、自分たちのチームもできる!という感覚、つまりチーム効力感を持つことになります。

競合他社などを参考することも代理体験にはなりますが、やはり自社の中で他のチームの成功体験がより有効です。何より自分たちにより近いチームの成功を知ることは、自分たちもできる!やらなければ!と刺激になるからです。

そのため、組織内の情報がオープンにすることが、チーム効力感を高める一つの手段となります。

3.励まし、激励

上司、顧客などの他者から「任せた!」「君たちならできる!」など励ましを受けることでも、チーム効力感は高まります。

顧客からの励ましは有効ではありますが、組織内でコントロールできるのは上司からの励ましです。

ただし、上司からの励ましは根拠なく行うのではなく、チームの活動や実績を根拠に適切に行うことが重要です。また上司とチームとの信頼関係も必要です。

4.健康状態

最後になりますが、忘れてはならないのが健康状態です。健康状態が悪化すると、比例して、チーム効力感も悪化していきます。健康状態が悪いチームは、明らかに仕事の実行や精度が落ちてしまいます。

そして、その落ちていることを自覚しますので、自信を失うことになりやすいのです。

チーム効力感が高い状態が続くと、長時間や強いストレス下であっても必死に働くことも可能になります。しかしながら、このような状態では結果として燃えつきてしまい、心身ともに不健康な状況に陥ってしまいかねません。

長時間労働を減らす、区切りを設けて休息や休日を設けるなど、リーダーはチームの健康状態に気を配りましょう。

チーム効力感を高めるOKRの運用

OKRを運用するためには、四半期の設定と高頻度のフィードバックが欠かせません。このスピードが小さな成功により早く気づけることにつながります。

同時に全社のOKRは常に公開されています。そのため自社内の他チームの成功を常に確認することができます。つまり、代理体験がしやすい状況を生み出します。

また、高頻度のフィードバックは上下間の信頼関係を築くだけでなく、同時に健康状態にも常に気を配ることを可能とします。新しいチャレンジに自信をもって挑めるチームづくりにOKRが有効であると言えます。

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著者プロフィール

奥田和広

奥田和広

株式会社タバネル 代表取締役 1975年生まれ。1998年一橋大学商学部卒業。 幼少期より父がアパレル卸業を経営していたため、大学卒業後は勉強のために上場アパレル企業の株式会社ワールド、銀行系コンサルティングの株式UFJ総合研究所を経験。父の会社に戻り、1からアクセサリー事業を開始。8年で40店舗170人を超える規模にまで成長させるが、既存アパレル卸業の苦戦、アクセサリー事業の無理な成長で低迷し、東日本大震災後に倒産。その後、株式会社ピアスにて百貨店化粧品ブランドのマーケティング責任者、美容サービスの新規事業責任者を経て、組織マネジメントのコンサルティング企業株式会社識学にて、コンサルティングおよび育成、メニュー開発を担当。Googleなどで使用されている目標管理手法OKRを用いた組織強化のコンサルティングとソフトウエア販売を行うため、タバネルを創業。