個人事業主ができる節税テクニックを7つ紹介

ポイント(この記事は7分で読み終わります)
  1. 所得税とは個人の所得に課せられる税金
  2. 個人事業主の場合は主には「事業所得」になります。事業に必要な経費を漏れなく、最大限計上することで節税に

節税対策を行う上で最も重要なことは税金や納税に関する最低限の情報を知り、節税対策に取り組む意識を高めることです。個人事業主や独立したばかりの経営者も税金の知識と節税への意識を高めれば、節税方法を継続的に実施できるようになります。
今回はそんな個人事業主が今からできる節税対策の方法をご紹介します。節税の基本的な考え方から即効性のある対策など、制度を最大限活用した節税方法を見ていきましょう。

1 課税所得を抑えて節税する

まずは個人事業主が納める所得税の内容や節税での基本となるポイントを見ていきます。

所得税とは個人の所得に課せられる税金で、1年間の全所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率が乗じられ計算されるものです。所得は10種類あり、個人事業主の場合は主には「事業所得」になります。事業に必要な経費を漏れなく、最大限計上することで節税につながります。

 1-1 所得税と節税のポイント

事業所得に対する所得税の計算は以下のようになります。

・収入-必要経費=所得金額
・所得金額-各種控除=課税所得金額

・課税所得金額×税率-課税控除額=所得税額

所得税額を少なくするポイントとしては次の3つがあります。

① 必要経費を多くする
② 控除額を多くする

③ 税率を低くする

各面で効果の高い方法を最大限取り入れることが優れた節税対策となります。

 1-2 必要経費を最大限活用

経費には次のような種類があります。
 

家事関連費

自宅を仕事場にしている場合、家賃・光熱費などは業務で利用する面積の多さに応じて配分して経費として計上することが可能です。

また、自動車関係では「減価償却費」「ガソリン代」「車検代」「保険代」「駐車場代」なども、業務に利用する日数や時間などに応じた経費計上が認められています。

電話料金やインターネット接続料も事業で利用する場合は利用時間等で按分した経費計上が可能です。

事業の目的・遂行上必要な費用

一見すると私的な目的で利用するものと判断されそうな経費でも事業の目的や業務遂行上必要な支出は経費として計上できます。

新聞代、本や雑誌等の費用なども業務で活用する場合経費として認められます(新聞図書費)。喫茶店でのコーヒー代やレストランでの昼食代なども仕事での利用や打ち合わせ等で利用するなら計上可能です(会議費や接待費)。

家族・親戚以外の従業員も利用できる福利厚生目的の支出

家族・親戚以外の従業員も利用できる福利厚生目的の支出は経費として認められます(事業主・家族限定の利用は不可)。

事業所の全員が利用できる「託児所」「社員旅行」(要件あり)、「保養所」「忘年会・送別会等のレクリエーション」「慶弔見舞金」「制服」「健康診断」「事業所の常備薬」などが対象となる費用です。

これらの費用を上手く活用することで従業員の満足度も高められます。

 1-3 所得控除の活用

所得税の控除は、各個人の事情に合わせて税金の負担を軽減するための制度で、所得金額から特定の条件に従って一定額を差し引くものです。

所得金額から控除できる項目は下記の14種類があります。利用できる控除は計上漏れがないように申告しましょう。

  • 14種類の所得控除

 

1.

雑損控除

8.

障害者控除

2.

医療費控除

9.

寡婦控除・寡夫控除

3.

社会保険料控除

10.

勤労学生控除

4.

小規模企業共済等掛金控除

11.

配偶者控除

5.

生命保険料控除

12.

配偶者特別控除

6.

地震保険料控除

13.

扶養控除

7.

寄附金控除

14.

基礎控除

 1-4 所得税率の活用

所得税の税率では、所得が多くなるのに応じて段階的に高くなる超過累進税率が適用されています。つまり、所得額が多くなるほど課税所得金額に乗じられる税率が高くなるわけです。

所得税の速算表

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5

0

195万円を超え 330万円以下

10

97,500

330万円を超え 695万円以下

20

427,500

695万円を超え 900万円以下

23

636,000

900万円を超え 1,800万円以下

33

1,536,000

1,800万円を超え 4,000万円以下

40

2,796,000

4,000万円超

45

4,796,000

*国税庁ホームページ タックスアンサー・所得税の税率 より

税率が下がると税金が少なくなるため、節税としては「適切な税率の適用」が重要課題になります。
例えば、課税所得金額が300万円と600万円の場合の税額を比較すると、600万円の税金は前者の約3.8倍も多くなります。

・課税所得金額が300万円⇒300×0.1-9.75=20.25万円
・課税所得金額が600万円⇒660×0.2-42.75=77.25万円

そのため、どの税率が適用されるかを考慮した節税対策も必要になります。

こちらもあわせてお読みください。
確定申告は代行してもらうべき? 費用やメリットは?

2 青色申告制度で節税する

ここからは個別の節税方法を紹介します。まずは節税対策で最も重要ともいえる「青色申告制度」を見ていきましょう。

 2-1 青色申告制度とは

事業の会計上の取引について複式簿記等による記帳を行い、その記帳に従って正しく申告する者が、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる仕組みが青色申告制度です。

青色申告制度のメリットは「青色申告特別控除」「青色事業専従者給与」「貸倒引当金」「純損失の繰越しと繰戻し」の4つに分けられます。

 2-2 青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、不動産所得あるいは事業所得を得る事業に従事する青色申告者が、複式簿記に基づいて法定申告期限内に確定申告する場合、原則的にその所得から最高65万円が控除できる制度です。

例えば、課税所得が380万円の場合、青色申告特別控除の適用後は315万円となり、税率は20%から10%へと変わることになるため、大きな節税効果が得られるわけです。

 2-3 青色事業専従者給与

青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族(年齢が15歳以上)で、その青色申告者の事業に専ら従事している者への給与は、必要経費として認められます。家族等を専従者にすればその給与で節税ができるわけです(届出が必要)。

なお、青色事業専従者として給与を得る者は、控除対象配偶者や扶養親族から外れるため注意しましょう。

 2-4 貸倒引当金計上

事業所得を得る事業に従事する青色申告者は、事業での売掛金、貸付金などにつき、その年末の帳簿価額の合計額の5.5%以下までの金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れる場合、その金額が必要経費として認められます(金融業は3.3%)。

資本金1億円以下の法人等における引当金の法定繰入率は次の通りです。

  • 卸売業、小売業…1%
  • 製造業…0.8%
  • 金融、保険業…0.3%
  • その他…0.6%

このように青色申告の5.5%は極めて高い繰入率といえ、高い節税効果が期待できます。
ただし、貸倒引当金繰入の対象となるには「更生手続開始の申立て」といった手続きが必要です。

 2-5 純損失の「繰越し」「繰戻し」

青色申告者は事業所得等で損失(赤字)となった場合、損益通算しても控除しきれない損失額を翌年以後3年間繰り越し、各年分の所得金額から控除できます。

また、前年に青色申告をしている場合、純損失を繰越す代わりにその損失額が生じた年の前年へ繰り戻すことで、前年分の所得税の還付が受けられるのです。

こちらもあわせてお読みください。
青色申告特別控除って何? 個人事業主は必見!

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