最終章:弁護士がすべきことはなにか?そしてこれからめざす社会とは〜メンターからの手紙 亀石倫子氏〜

ポイント(この記事は3分で読み終わります)
  1. お金のためではなくすべき仕事が弁護士にはある
  2. 「自由」が守られる社会をめざしたい
  3. 自由を守るのは、自分のため。そして社会のため

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お金のためではなくすべき仕事が弁護士にはある

私は、これまで、普通だったら引き受けないような事件をいくつか担当してきました。

それはお金にならないものや、勝ち目があるとはあんまり思えないような事案。そして、人によっては、それが重要なことだとも思わないような事案。

でも私にとってはものすごく大事だと感じ、心動かされて「絶対守らなくては」って思う事件を担当してきました。

本来、正当なお金をもらってやるのが当たり前です。でも、お金には全然ならなくても、社会のためにやらなきゃいけない仕事もあったりするんですね。

私は、大事なのはそれだと思ってるんですよ。今より少しでもいい社会になるために、たとえお金にならなくてもやるべき仕事。

とはいえ、ほんとに実費さえもらえないとやっていけないので、そのひとつの解決策になるんじゃないかと思ってやったのが、先出のクラウドファンディングで裁判費用を集めるということだったんです。

こういうニーズは、弁護士に共通してすごくあると思うんですよね、お金にならない仕事を、せめて実費だけでも、どうにかまかなえないかっていう…。

だから、あのクラウドファンディングでは、すごく多くの弁護士が応援してくれたんです。やっぱり持続可能性って大事だから、こういうプラットフォームができて、弁護士の公益的な活動が少しでも持続していければって。

「自由」が守られる社会をめざしたい

私は、子どもの頃から振り返って考えてみても、すごくすごく「自由」を求めているんだと思うんです。だから、そんな「自由」が制約される事態に強く反応してしまうんですね。

学生時代のよくわからない校則とかもそうですし、あらゆるよくわからないルールを押し付けられるのが嫌でした。それは弁護士業界入ってからでもそうで「これはこういうものなんだ」と言われたとしても、納得できなければ反抗してしまう。

同じことでも「別にそんなことどうでもいいじゃない」と思う人もいれば、ある人にとっては、すっごく自分のアイデンティティに関わって「絶対イヤだ」と思う人もいる。ホント、人によって大切にしたい自由って違う。

だから私のなかで、自由っていうものはとても大事で、どれだけ一人ひとりが自由になれるかが大事だと思ってるんです。

今まで私がやってきた「普通の弁護士ならやらないような仕事」というのは、そういう「自由」が奪われるようなもの。
例えば「タトゥー裁判(※1)」や「クラブ裁判(※2)」などですね。

(※1) タトゥー裁判:医師免許なく客にタトゥーを入れたとして、彫師が医師法違反の罪に問われた事件。

(※2)クラブ裁判:大阪のクラブ「NOON」にて、「無許可でダンスをさせた」として風俗営業法違反容疑で逮捕された事件。一審および二審で無罪判決を勝ち取り、最高裁で無罪が確定した。



タトゥーに関してはネガティブなイメージを持っている人は一定数いますし、クラブについても騒音の問題などがあるところもあります。

でも、自分の体にタトゥーを入れることや、クラブで好きな音楽聞いてお酒飲んで踊ることは、すごくささやかですが、その人にとってはとても大事で根源的な、絶対に奪われたくない自由だとも思うんです。弁護士として、そういう自由をどれだけ守れるかが重要だと私は思っていて。

周りからするとそれが愚かに思えたり、必要がないものだと思えたとしても、その人にとってはかけがえのない、とても大事な自由だったりすることって他にもたくさんあると思うんですよ。

で、それが制約される場面に刑事弁護人として関わったときに、私のなかでふつふつと「こんなにささやかな、だけどめちゃくちゃ大事な自由を奪うな!」っていう気持ちが湧き上がってくるんですよね。私がこんな社会だったらいいなと思うのは、そういう「自由」が守られる社会なんです。

自由を守るのは、自分のため。そして社会のため

クラブにしてもタトゥーにしても、直接関わりのない人からすればどうでもいいことだし、「自分には関係ない」って多くの人は思うと思うんですよね。実際にそう言われましたし。でも、私はそうは思わない。

誰かの自由が制約されてるときに、それをその人の問題というふうに切り離しては考えない。誰かの自由が制約されてるのを見過ごしたら、それはいつか自分の自由も制約されることになる、っていうふうに考えているので。

GPS裁判のときもそう。国家権力によって勝手に車にGPSをつけられていたということも、「犯罪者なんだからつけられて当然」と思われるかもしれないですが、自分の居場所がつねに捜査機関に把握されてるって、すごく恐ろしいことだと私は思います。

それがいくら犯罪の容疑がかけられている人とはいえ、なんのルール(法律)もなく、どこにいるかという「プライバシー」が守られないことを許してしまうと、そうでないところにまで影響は及んで、いつかは自分の自由が奪われてしまうかもしれない。

私はクラブ大好きっ子でもないし、タトゥー入ってるわけでもないし、たぶんGPSつけられてもないと思うんですが、それを他人事と考えちゃったら、自由が守られる社会には多分ならないと思うんです。

だから、ささやかな自由を守るための仕事は、彼らのためだけにやってるのではなくて、社会のため、自由が守られる社会を作るためにやってるという感じなんですよ。

そして、一人でも多くの人が「ああ、自分は自由だな」って感じられる社会をめざしたいと思っています。

(了)

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著者プロフィール

ikekayo(池田佳世子)

関西を拠点に活動するライター。 その人のもつ無形の価値に輪郭を描く仕事をしています。