働き方改革とは?政府が働き方改革を提唱する事情とその課題を理解しよう

ポイント
  1. 日本社会が必要とする働き方改革とは
  2. 働き方改革をなぜ提唱しなくてはいけなくなったのか
  3. 働き方改革を実現するための課題

あなたは働き方という言葉を聞くと何を思い浮かべるでしょうか?テレビや新聞、ネットニュースを常にチェックしている方であれば、多くの方が政府が推し進めようとしている働き方改革が思い浮かぶのではないでしょうか。今回は働き方改革とは一体何を目的としているのか、またどうして働き方改革が提唱されるようになったのかを含めて考えていくことにしましょう。

働き方改革って何?一億総活躍社会とは

働き方改革を簡単に説明すると、これまでの日本に根付いていた働き方についての古い慣習を打ち破って、
ライフスタイルであったり、日本人のそもそものメンタル面の意識改革をしようとするものです。

働き方改革の中でキーワードのように登場してくる言葉が一億総活躍社会という言葉です。

一億総活躍社会は、人口減少と少子高齢化が世界でも稀有なスピードで進行していく日本において、
50年後であっても日本の総人口が1億人を切ることがないようにし、職場や家庭や地域において誰もが活躍できる社会と定義されているようです。

次項以下ではどうして政策として働き方改革が登場してきたのかについて考えていくことにしましょう。

働き方改革が声高に謳われ始めた背景は?

人口減少(特に労働力人口の減少)

日本は現在、毎年出生数と死亡数を比較すると死亡数が多い人口が自然減の状態に突入しています。
何も対策を打たなければ毎年人口が勝手に減少していくことになります。

まずはここで内閣府が公表している対策を行った場合と、行わなかった場合の人口の推移を見てみることにしましょう。

参考リンク:内閣府 人口・経済地域社会の将来像

まずは人口減少の対策を打たないでここまま推移した場合の試算では、
人口減少には歯止めがかかることはなく、2040年から2050年の間には人口が1億人を切ることになると試算されているようです。

また試算されているデータの最も未来の2110年には、
人口は現在の半分以下である4296万人となるともされています。

これに対して少子化対策を行って合計出生率が人口減少しない程度の数値である2.07程度にまで回復させる施策が成功したと仮定している試算においては、
2060年までは人口減少が続くことは何も対策を打たない場合と変わりはありませんが、減少する割合は圧倒的に緩やかになり、人口減少は2090年代には止まり、その後は人口が増加傾向に転じます。

その場合には2110年の人口は9661万人となっていますので、対策を打った場合と打たない場合とでは将来人口が2倍も違うという結果が出されています。

少子化を食い止めることはもちろん大切ですが、国家の経済を回していくためには労働人口の減少を食い止めることも非常に大切になってきます。

少子化対策を成功させるためには、国民の可処分所得(単純に税金や年金、社会保険料などを差し引いた個人が自由に使えるお金と考えてください)がある程度豊かでなければいけませんので、
長期で対策を行って結果が判明する少子化対策とともに、すぐにでも対策を行うことが可能な労働力人口を維持する政策として働き方改革が提唱されていきているといった面は大きくあるでしょう。

労働力人口はどの程度減少しているか?

政府が1億総活躍社会を提唱して女性の社会進出を今以上に進めようと考えているのは、
生産年齢人口が総人口の減少スピード以上の速度で減少してきていることが大きな要因の1つであることは間違いありません。

生産年齢人口は15歳から64歳までの労働をすることが可能であると考えられる人口の数を表しており、
1995年には約8000万人が生産年齢人口にカウントされていました。

ここまで生産年齢人口が多かったのは第二次世界大戦後の第二次ベビーブームに生まれた、
いわゆる団塊ジュニア世代が就職したことが大きな要因となっているようです。

しかし1995年の約8000万人をピークとして生産年齢人口は減少の一途をたどっており
国立社会保障・人口問題研究所が公表しているデータによれば、現在から今後の生産年齢人口は以下のようになると試算されています。

参考リンク➡国立社会保障・人口問題研究所

生産年齢人口の推移(国立社会保障・人口問題研究所より)

◆2013年  約8000万人
◆2027年  約7000万人
◆2051年  約6000万人
◆2060年  約4400万人

現在は2018年ですので生産年齢人口は約8000万人ですが、わずか50年もたたないうちに生産年齢人口は一気に半分近くにまで減少するという試算が出されていることは
減少スピードという点においては驚きと言えるデータなのではないでしょうか。上記の減少データを冷静に見れば、政府が今の現状を何とかしなければ国家としての経済がいずれ成り立たなくなる可能性があると危機感を感じて働き方改革を必死で考える理由にも納得がいくと思います。

労働力不足を補うための対策方法

労働力不足を解決するための対策としては以下の3つの方法があると考えられています。

現在労働力として計算されていない女性や高齢者が働ける環境を作ること

女性や高齢者を労働市場に参入させるということについては、働き方改革以前から女性の社会進出であったり、元気な高齢者には定年後も継続雇用制度を利用してそのまま会社で働いてもらうなどで既に政策としても行われているのでわかりやすいのではないでしょうか。

ただこれまでの女性の社会進出政策や高齢者の雇用促進の政策では市場が求めている労働力確保には追い付かなくなっており慢性的な人手不足に陥っている業種もあるために、働き方を柔軟にすることで、現在の政策をより推進していくことが重要になってくるでしょう。

毎年産まれる子供の数を増加させて人口減少を食い止めること(出生率の増加)

出生率の増加は労働力人口だけでなく少子高齢化の解消にもつながりますので、国家としては毎年出生率が2~3程度で安定してくれることが最も安心して政治ができる状況でしょう。

しかし日本を含めて先進諸国では軒並み出生率が低下していますので、日本が実際に出生率を2以上にしたいと考えるのであれば、国民の多くの反対を押し切る覚悟でかなり大胆に子供のいる家庭に優遇措置を講じるなどを行わなければ、政府が試算するように簡単に出生率が回復することはないと考えられますので、政治家の政策実現能力次第といったところになるでしょうか。

労働現場での生産性を今以上にアップさせること

参考リンク➡労働生産性の国際比較

労働生産性が上がれば、労働者が少なくても高い生産量をキープできますし、より効率化がはかれてコストの削減にも繋がってきます。

ですから労働生産性を向上させることは非常に必要なのですが、残念ながら公開されているデータのように日本の労働生産性は先進7か国(G7)の中では最下位と非常に情けない結果となっています。

労働生産性とは、労働者1人がどの程度の成果を生んでいるのかを数値としてデータ化したものになります。

労働生産性が高まることは経済成長や経済的な豊かさ(労働者の可処分所得の増加)に繋がる重要なことだとされていますが、日本は上記でも説明しましたとおりの情けなさです。

先進7か国に限らずOECDに加盟している35か国の中でも22位と下の方に位置していますので、女性や高齢者を労働市場に進出させることも重要ですが、生産効率を上げることを同時に行っていかなければ結局は効果が一時的なものになってしまったということにもなりかねませんので、労働生産性の向上は最優先で改善すべき課題であるかもしれません。

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