地方、それも小規模地域で起業するなら、商工会を存分に活用しよう!

ポイント
  1. 商工会とはどんな組織で何をしてくれるの?
  2. 商工会の会員になるメリット
  3. 商工会と互恵関係を作るために

1.商工会とはどんな組織?

 皆さんは商工会という組織をご存知でしょうか?同じような名前で商工会議所という組織もあり、「なんだかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事は、人口11,000人の田舎に住み、自宅兼事務所で行政書士をしている筆者の実際の体験をもとにした、商工会とお付き合いすることのメリットを述べた内容です。これから起業する皆さんの参考になれば幸いです。

 商工会は「商工会法」に基づいて設置されている法人組織の非営利団体です。
地域の事業者が、お互いの事業や地域の発展のために、業種に関わりなく会員となり活動を行っている団体です。
主な役割は、地域の小規模事業者や中小企業を支援することです。会員となっている事業者の多くが、中小企業や個人事業主です。
地域によっては規模の大きな企業が会員となっている場合もあります。

 この商工会に対して商工会議所というのは、「商工会議所法」に基づいて設置されている認可法人です。
主な役割は商工会と大きな差はありませんが、商工会議所はこれに加えて簿記検定やご当地検定といった検定試験を主催していることでも知られています。会員となっているのは中小企業もありますが、商工会と比べると比較的規模の大きな企業が会員となっているケースが多いです。

 商工会議所は都市部、商工会は町村(市町村合併前の町村区域も含む)が主な対象エリアです。担当地区が重なる、ということはありません。また、商工会議所の方が規模が大きいため、商工会の上位組織という見方をされがちですが、上下関係はなく別組織ということになります。

 地方、それも小規模地域での起業を検討されている方にとって、商工会は絶対に付き合うべき組織の一つです。メリットは数え切れません。

 では、どんなメリットがあるのか、次に見ていくことにしましょう。

2.商工会の会員になるメリット

 商工会議所と商工会は同じように見えて実は違う組織であるということが分かったと思います。
商工会議所は主に都市部、商工会は主に小規模地域という区分けがあります。
では、商工会の会員になるメリットはどんなところにあるのでしょうか?ここではそのことについて掘り下げたいと思います。

 メリットその① 経営全般に関するアドバイスがもらえる

 商工会と付き合う一番のメリットはおそらくここです。
 起業すると、経営に行きづまることも少なくありません。
 そうした時、商工会は経営に関する相談に乗ってくれます。筆者も事務所経営に悩んだ時、最初に相談するのはやはり地元の商工会です。
 販路開拓、販売促進、資金繰り、報酬請求等日々直面する課題についての相談はもちろん、また、はじめて人を採用する時は、労務管理等についても教えてくれます。

 メリットその② 確定申告についてアドバイスがもらえる

 最初は一人で個人事業から始める、という方も多いことと思います。
 個人事業主を悩ます最たるものの一つ、それが確定申告です。

 商工会では確定申告の時期になると、経営指導員の方が親切に相談に乗ってくれます。
 また、商工会とつながりのある税理士の方が、確定申告の際には無料で相談に乗ってくれることもあります。
 こうしたサポートも、駆け出しの起業家にとってはありがたいものの一つでしょう。大いに活用したいものです。

 メリットその③ 融資・補助金・助成金等の相談に乗ってもらえる

 創業時のお金は、誰もが悩むところです。
 商工会は政策金融公庫の融資や補助金・助成金の申請に関する相談に乗ってくれます。
 融資・補助金・助成金は創業時の強い味方ですから積極的に活用したいものですが、どうすればいいのかわからない、という方も多いでしょう。
 資金調達の準備を始めるにあたり、ぜひ商工会に相談しましょう。

 創業時であれば、政策金融公庫の融資を受けるという方も多いと思います。
 商工会は政策金融公庫の融資を検討している場合、最初に相談すべきところです。
 政策金融公庫には、小規模事業者経営改善資金(通称マル経融資)と呼ばれる、通常融資より低い金利で借りることができる融資があります。

 その融資を受けるためには、商工会議所又は商工会の経営指導を受けていること、商工会議所会頭又は商工会長の推薦があることの2つが条件になります。
 しっかりと活用していきたいところです。

 そしてもう一つ創業時の大きな味方となるのが補助金や助成金です。
 商工会で取り扱っている補助金の一つに、「小規模事業持続化補助金」というものがあります。
 最高50万円と額は大きくありませんが、小規模事業者をサポートする補助金として広く知られています。

 申請書の作成においては、経営指導員さんが丁寧にアドバイスしてくれます。
 また、商工会は「経営革新等支援機関(俗称:認定支援機関)」に認定されています。
 経営力向上計画や経営革新計画の作成についてもアドバイスをもらうことができます。これらの制度は設備投資などを行った際、税金が優遇されるというメリットがあります。また、ものづくり補助金においても加点項目になっていますので確認しておきましょう。

 メリットその④ 会員企業との人脈づくりができる

 商工会によっては定期的に会員同士の交流会を開いているところもあります。
 そうしたところに出かけていくと、地元の有力企業の社長さんたちと出会うきっかけになります。

 地方での起業は、その地域の他企業とのつながりがものをいう場面が多くありますので、地元企業の方々とはこうした場を利用してどんどん出会っていきたいものです。
 安い会費で出られることも多いので、ぜひ活用したいところです。

 また、地域のイベントの中には商工会主催で行われているものも多く、イベントを通じて出会うこともできます。

 メリットその⑤ ときには紹介してもらえる

 商工会とお付き合いする大きなメリットの一つです。
 場合によっては「こういう人がいるんだけど…」と紹介をしていただけることもあります。

 それだけではなく、法律や税務に関しては、専門家の方を派遣していただいたり、時には無料相談会などを実施していることもあります。
 こうした相談会の情報は商工会の窓口で得ることができます。

 メリットその⑥ セミナーの定期的開催

 商工会では様々なテーマでセミナーを定期的に開催しています。
 会員になれば安い費用(時には無料)で参加できるものも多いので、どんどん活用していきたいものです。

 そして時には、自分が講師として話す場がもらえるかもしれません。
 地道にセミナーを自主開催していけば、目にとめてもらえることもあります。

 また、士業など専門性の強い分野で起業しようとする方については、専門家登録をされることを強くお勧めします。

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3.商工会と互恵関係をつくるために

 このようにメリットが多くある商工会です。
 特に地方で、それも小規模地域での起業を目指すなら、商工会とお付き合いをしない手はありません。

 では、どのようにして良い関係を作っていけばいいのか、筆者の体験をもとに説明したいと思います。

 ①会員登録しよう

 商工会は会員制です。当たり前ですが、会員登録をすることが前提です。忘れずに登録してください。
 会費は地域によりますが、年間6千円くらいから、高くても1万円程度のところがほとんどでしょう
 (登録初年度は登録料が別途かかることもあります。大体3千円~5千円です)。

 登録手続きは非常に簡単です。商工会に行って「会員になりたいです」と言えば、必要な書類をくださるので、それを記入し、窓口に提出してください。
 新しく会員になる方には、非常にやさしく教えてくれると思います。(インターネットからでは会員登録はできないと思いますので注意!)

 ②困ったことは小さなことでも相談しよう

 経営に行き詰ってしまった、資金繰りはどうしよう、採用をどうしようなど、経営していく上では常に困りごとが発生します。
 そんな時は商工会の経営指導員さんにどんどん相談しましょう。

 経営指導員さんは皆さんの味方です。
 地域を巡回していることもありますから、そんな時に声をかけるといいと思います。

 融資や補助金の活用についての情報がもらえることも多いです。
 また、法律や税務に関することについては、登録されている専門家を派遣してもらうこともできます。

 ③イベントを手伝ってみよう

 「えっ?イベント?わざわざそんなことで?」って思われた方、多いと思います。
 ですが、筆者が商工会とのお付き合いをするきっかけとなったのは、実は地元の夏祭りの実行委員会に入ったことがきっかけでした。

 商工会は地域のイベントの主催・運営をしていることが多くあります。
 本業をこなす傍らで、それに協力していくことは、一見時間の無駄に見えますが、実はいい関係を作るためには最も早道であったりします。

 筆者が地元の夏祭りの実行委員会にかかわるようになったのは、実際には19歳の時でした。
 その時に初めて商工会の存在を知り、経営指導員の方と知り合ったのです。

 そこから20年間、毎年その夏祭りの実行委員会には欠かさず顔を出していました。
 そしていざ自分が地元で行政書士事務所を起業した時、最初に気にかけてくれ、相談に乗ってくれたのは、やはり商工会の経営指導員さんでした。
 創業時の融資はもちろんのこと、行政書士として手掛けていた補助金や経営力向上計画作成などの業務についても何度も相談し、アドバイスをいただいています。これは、私が「商工会主催のイベントに参画する」という、一見時間の無駄に見えることを20年続けてきた関係があるからこそだと思っています。

 当時19歳であった私に戦略も何もあったわけではありませんが、このことがスタートとなって、結果的に強い互恵関係を築くことにつながっています。

 「与えてほしければ、先に与えよ」という言葉をよく聞きますが、まさにその通りです。
 こうしたことは、小地域を対象としている商工会ならではの付き合い方だと思います。個人的には、一番おススメな方法です。

 ④セミナー開催や専門家登録をしよう

 士業など専門性が強いお仕事をされている方は、商工会でセミナーを開かせてもらうといいでしょう。
 「こんなテーマで話ができる」ということをぜひ相談してみてください。セミナー開催は専門家登録の際の実績にすることもできます。

 また、専門家の登録要件を満たしているのであれば、ぜひしておくことをお勧めします。
 中小企業庁が運営している「ミラサポ」というサイトがあり、そこから専門家登録ができます。

 登録するためにはよろず支援拠点・地域プラットフォームの構成機関からの推薦を得られる者であることが条件となっていますが、商工会はこの構成機関ですので、推薦が得られれば登録が可能です。登録する際にはぜひ相談してください。登録したことで仕事の依頼につながることも多いです。
 さらに、都道府県単位では産業振興財団があり、ここでも登録専門家を募集しています。経営指導員さんはこうした機関とのつながりもあるため、相談すると情報が得られることも多くあります。

4.商工会を存分に活用し、地方起業の一歩を踏み出そう!

 冒頭でもお話ししたとおり、筆者が暮らす地域は人口11000人程度の小さな町です。
 筆者の感覚ですが、人口5万人を切るような小さな地域では、「向こう三軒両隣」の言葉通り、近所付き合いが密な地域が多いように思います。

 それは、ビジネスの世界でも同じかもしれません。
 小さい地域にいるからこそ、都会に比べて不便でもあるからこそ、助け合おうという精神が都会よりも強く根付いています。
 そのような地域で起業をするということは、その助け合いの輪に入っていくということになります。

 そんな中で、時には人間関係に煩わしさを感じることもあるかもしれません。筆者は小規模地域での起業については「一匹狼」タイプは生き残りが厳しいように思います。 「他の事業者はどうでもいい。自分は自分のビジネスのことだけ考えたい」という方については東京や大阪など大都市での起業を勧めたいくらいです(そういった地域でも厳しいかもしれませんが…)。

 小さな地域に根差す(主に)中小企業を支援し、地域の活性化を図る。それが商工会の役目です。
 最初にお話ししたとおり、商工会は商工会議所と比べ、当然規模は小さいものです。商工会が対象とするのは、人口数万人程度の自治体規模であることが多いでしょう。

 しかし、規模が小さいからこそ、経営指導員さんと顔の見える関係が築きやすいという、何より大きなメリットがあります。
 しっかりと関係を築くことができれば、商工会はあなたの何より強い味方になってくれます。

 大切なことはお互いに支えあう互恵関係をいかに作っていくかということにつきます。商工会や商工会議所のみならず、コワーキングスペース、金融機関、同じ地域の他の企業など、起業すると様々なビジネス上でのお付き合いが生まれます。

 近年は地方、それも過疎地や高齢化が著しく進んだ地域に移住し、そこで起業しようとされる方も多いようです。
 地方での起業は、その土地の方々とのつながりなしには成功できないといっても過言ではありませんし、そのつながりを作るためには、思った以上に泥臭く動き回る必要がありますし、時間がかかります。その土地に長らく住んで生活しているという方ならともかく、縁もゆかりもないという方にとっては「環境に慣れることができるだろうか?」「しっかりと土地の方たちとコミュニケーションが取れるだろうか?」と、不安は大きいはずです。

そんな不安も、商工会の方たちと関係を築いていくことで少しずつ解消されていくように思います。

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まとめ

 ここまで見てきたように、地方起業家が商工会とお付き合いをするメリットは非常に多くあります。
 唯一のデメリットは年会費ですが、かかったとしても数千円単位です。

 しっかりと互恵関係を作れば、その投資は比較的早く元が取れるはずです。
 地方起業の第一歩は、商工会や商工会議所とのお付き合いから始まるように思います。
 また、すでに起業されている方でも、「今まであまり商工会や商工会議所とのお付き合いがなかった」という方も、これを機により深いつながりを作ってみてはいかがでしょうか。

 筆者が行政書士として「中小企業支援を事務所の主軸業務にする!」と決めたきっかけは、商工会とのおつきあいがあったからこそです。自分が生まれ育った地域に根差し、地元にある企業をはじめとした中小企業支援の仕事を通して、わずかではあっても地域活性化のお役に立てていると実感できるのは、商工会とのつながりによるところが大きいです。

 この記事を見て、「自分も商工会や商工会議所ともっとかかわってみよう!」と思っていただける方が一人でも出ていただければ、筆者としては幸甚です。

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