知っておきたい中小企業の資金調達の実態と最新の選択肢

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事業を初め、そして、事業を継続していくためには、資金がどれだけ確保できるかは、重要なファクターとなります。

そして、資金調達の方法を複数知っておくことは、経営の選択肢を増やすことに繋がります。

中小企業では、どのように資金を調達しているのでしょうか。また、どのような選択肢があるのでしょうか。

第一章 中小企業における資金調達の実態

(1)主な調達先は金融機関からの融資

中小企業は、主にどこから資金調達を行っているのでしょうか。おそらくこれを読んで下さっている皆さんの予想通り、金融機関が最大の資金調達先となります。

2016年版 中小企業白書概要より

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借入のある企業では、86%の企業が「成長のための課題解決に必要な資金の調達先は金融機関だ」と答えています。

借入のないいわゆる無借金企業では、主な資金調達方法が内部留保や経営者等の個人資金が多くを占め、これまでの儲けを蓄積してきた結果手元にある資金をもとに、事業展開を行っていることになります。

借入のある企業、ない企業両方で共通することですが、出資(増資)は1%にとどまっており、株主を募って資金を調達(直接金融)するよりは、金融機関やその他から借入をする(関節金融)のが一番メジャーな調達方法となっています。

第二章で詳述しますが、金融機関の借入といっても、まったく担保・保証を取らない「プロパー融資」、不動産を担保にとる「不動産担保融資」、経営者の連帯保証を求める「個人保証融資」、保証協会の保証を確保した上で借入をする「保証協会融資」など、いくつもの種類があります。

自社が可能な、また、自社に合った借入方法を見極めることが必要です。

また、最近では、クラウドファンディングに代表される個人から調達する方法や、ベンチャーキャピタルや、中小企業向けファンド、その他補助金や助成金など、資金調達の方法も増えてきました。

第三章で、融資のほか、今どんな資金調達の方法があるのか、網羅的に確認していきたいと思います。

(2)たまに見聞きする「〇〇社が〇億の資金調達」ってどういうこと?

時折見かける「〇〇社が〇〇億円の資金調達」というニュース。

スタートアップ企業といって、新たなビジネスモデルを開発する企業で、市場を開拓する段階にあるものが、ベンチャーキャピタルやファンド、投資家から、資金調達を行ったと発表されたときに、このようなニュースが流れます。

ベンチャー企業と混同されやすいのですが、スタートアップ企業は、これまでにない商品やサービスで新しい価値を世の中に提供して役に立つものがほとんどです。

これまでの改善の延長にあるものではなく、イノベーションが伴うものがスタートアップと言われるものです。

2018年で言えば、65億円を調達した会計システム提供会社freee社や、資産運用全自動サービスを生み出したWealthNaviなどが代表的です。

この場合の「資金調達」は、ほとんどが「第三者割当」という増資です。

借入金である場合もありますが、多くが直接資本金や資本準備金として払い込んでもらう方法をとっています。

このような資金調達方法をとっている中小企業は、ほんの一握りです。

しかし、事業にイノベーションの観点があり、人々の生活に新しい価値をもたらすことができるものであって、投資家の共感と納得を得られるものであれば、スタートアップ資金調達の可能性はあります。

新規性のある事業をされる方には、選択肢として、持っておいて頂きたいです。

なお、このサイト「助っ人」を運営している株式会社ウェイビーさんも、第三者割当増資や融資などにより、資金調達を行ったとのプレスリリースが発表されています。

起業支援を軸に事業を展開する株式会社ウェイビーが総額約1億円の資金調達を実施

VCからの資金調達のリアルはこちら
3年悩んでのはじめての資金調達。約1億円の資金調達を実施してわかったこと

第二章 円滑な資金調達を実現させるには

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一番身近な資金調達先はやはり金融機関となります。第二章では、金融機関からの円滑な資金調達を実現させるために、必要なことをまとめました。

(1)どの金融機関と付き合うかを見極めよう

どの金融機関とお付き合いするのか?金融機関選びは大変重要です。どのような視点で選ぶとよいのかをまとめました。

自社と規模感が合っているか

有名な金融機関だとメガバンクを思い浮かべますが、中小企業の場合、メガバンクとお付き合いするケースは比較的少なめです。

第一地方銀行といわれる金融機関は、地域の中堅企業が主な取引先となります。

中小企業では、第一地方銀行から第二地方銀行、そして信用金庫や信用組合から融資を受けるケースが多いです。

これらのなかで、比較的親身に自社のことを見てくれるのは、主観にすぎませんが、地域に根差した信用金庫・信用組合だと思います。

信用金庫や信用組合は、限られた地域にしか存在しませんが、地域の金融の円滑化を通して、地域の発展に貢献することそのものがその存在理由として設立されています。

本業支援にも力をいれているか

地域に密着した金融機関のなかには、融資先企業の課題をヒアリングし、社内のイントラネットに共有し、他の担当者と情報交換をして、企業同士のマッチングを行う本業支援にも積極的なところもあります。

本業で儲かってもらって、融資に繋がればよいとの考えから、融資先の事業の発展を一番に考え、支援しようとする姿勢をもつ金融機関も増えています。

金融機関のHPを確認したり、金融機関の担当者と話してみるなどして、自社のことを応援しようとする姿勢があるかどうかも見極めの材料です。

金融機関が主催するセミナーやイベントなどにも参加してみると、その金融機関の姿勢や意気込みがわかり、とてもよい機会になると思います。

この他にも重要な視点はありますが、経営者からの評判も大切な情報となります。どことお付き合いして、どうよかったかを聞いてみるとよいでしょう。よければ、紹介してもらうことも可能です。

(2)融資のしかたの種類をおさえよう

金融機関からの融資の受け方にも種類があります。中小企業で多いのは、信用保証協会の保証を受けて融資をうける「信用保証協会の保証付き融資」です。

他にも融資の受け方があるので、併せてご紹介します。

信用保証協会の保証付き融資

中小企業は、大企業と比べて、信用力に乏しいため、信用保証協会と保証契約を行い、保証料を支払うことにより、信用を担保してもらうことにより、融資を受ける方法です。

金融機関にとっては、信用保証協会に保証をしてもらえるので、貸倒れリスクを少なくすることができます。

万が一会社が返済できなくなったら、信用保証協会が代わりに金融機関に返済(代物弁済といいます)し、信用保証協会が会社に、また、経営者による連帯保証契約を結んでいたら、経営者に対して返済の要求をします。

メリット:担保がなくても、融資を受けられる。

デメリット:支払利息のほかに、保証料がかかる。経営者が連帯保証をしている場合は、会社が返せないときには、私財をもって弁済しなければならない。

経営者保証による融資

経営者が連帯保証をすることにより、信用力を補完して金融機関から融資を受ける方法です。

メリット:担保がなくても、融資を受けられる。

デメリット:会社に万が一の返済できないことがあれば、私財をもって弁済しなければならない。

最近では「経営者保証に関するガイドライン」の普及が少しずつ進み、会社の状況によっては、経営者保証なしで、融資を受けられるケースも増えています。

経営者保証に関するガイドラインについてはこちらをご覧ください。

不動産担保による融資

会社あるいは経営者が所有する不動産に、金融機関の抵当権をつけ、もし借入が返済できなかった際には、その不動産を差し出すと約束することで、信用を担保し、融資を受ける方法です。

いわゆる運転資金での借入でも不動産担保を取ることがありますし、不動産の購入に際して融資を受ける際には、その購入する不動産を担保に差し出すケースが多いと思われます。

メリット:不動産の価値の分だけ、融資が受けられる。

デメリット:返済できないことがあれば、不動産を処分されてしまうおそれがある。

事業性を評価した担保・保証に拠らない融資

近年、金融庁から担保や保証に依存せずに、その企業の事業性を評価して、融資せよという方針が掲げられています。

メリット:実現すれば、担保や保証が要らなくなる。

デメリット:自社の事業について、客観的にわかりやすく伝える必要があり、少しハードルが高め。

事業性を金融機関担当者に評価してもらうために、どう伝えるかについては、税理士などの専門家の力を借りる必要がある。

公的金融機関からの融資

日本政策金融公庫が代表的ですが、このような公的な金融機関から融資を受ける方法があります。とくに創業融資では日本政策金融公庫を利用するケースが多いです。

また日本政策金融公庫はたとえば災害があったときなどに、救済するための融資商品を出したりと、公的な役割も果たしており、困ったときの味方的存在です。

メリット:保証人不要制度もある。比較的借りやすく、日本政策金融公庫からの借入があると他の民間金融機関からも借りやすくなる傾向にある。

デメリット:特になし。

動産担保融資(ABL)

在庫や売掛金などを担保とした融資の方法です。常にまとまった在庫がある、あるいは、常に売掛金がある場合に、これらの金額を評価して、担保とすることで融資を受ける方法です。

常に在庫がある、売掛金のある企業においては、常にお金が在庫や売掛金となって現金化せず、運転資金が常に発生している状況となります。

この場合は、この金額に見合う分の借入を確保しておかないと、資金繰りを徐々に悪化させてしまいます。

最近はこの手法による融資も少しずつですが増えてきています。

メリット:資金確保がしやすい。売上増加による資金繰りに対応しやすい。

デメリット:金融機関に対して担保提供している売掛金や在庫の内容を定期的に報告しなければならず、事務処理負担がある。

(3)自社のことを知ってもらうための努力をしよう

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(2)で、借入の種類を説明してきましたが、大切なのは、会社に合った融資を受けることです。それには、金融機関に対し、適切に自社の状況を開示しなければなりません。

しかし、金融機関の担当者は1人で数十件以上の担当先を持っていることが一般的です。ひとつひとつの企業に対し、じっくりとヒアリングする時間はほとんどないといってよいでしょう。

それには、こちらから自社の状況をわかりやすく開示することが欠かせません。

経営計画を策定して、自社の展望を知ってもらおう

金融機関は、この会社に融資をして、きちんと返済してもらえるのかどうかを常に知りたいと考えています。

また、経営者自身が、今の会社の状況をどのように捉え、これからどうしていこうと考えているのかについても、関心があります。

展望を言葉のみで話すのではなく、数値計画も共有しておくことで、金融機関の関心事にも答えることができます。

ローカルベンチマークツールで自社についてまとめておこう

最近の金融機関では、決算書に表れる数値情報のみならず、会社の強みや弱みなどの内部環境、機会や脅威などの外部情報についても積極的に情報提供を受けたいと考えています。

しかし、じっくり情報収集をするマンパワーには不足しているため、こちらから開示する必要があります。それには、ローカルベンチマークツールが便利です。

ほとんどの金融機関では、これに沿った情報収集をしていますので、このフォームに、自社のことをまとめておき、このまま渡すと、大変喜ばれます。

また、自社のことをまとめる過程で、自らの課題にも気付けることができます。一度整理をしてみるとよいでしょう。

ローカルベンチマークについてはこちらから

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ローカルベンチマーク 非財務情報2:業務フローと商流をまとめます。

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ローカルベンチマーク 非財務情報2:内部と外部環境についてまとめます。

専門家のアドバイスを受けて、希望する融資額・返済期間・融資方法まで含めて金融機関側にこちらから提案しよう

理想を言えば、融資の受け方を金融機関任せにするのではなく、こちらから必要な融資額・返済期間・融資方法まで含めて提案したいものです。

自社についてよくわかってくれている税理士などの専門家を活用して、今後の事業計画や返済計画を練り、なぜ、この融資額が必要なのかという裏付けをもって、提案するとよいでしょう。

日ごろ忙しい金融機関の担当者は、それをもとに稟議書を書くことができるので、融資のスピードも上がります。

(4)融資を受けたあとも応援してもらうには

融資を受けたら、終わりではなく、そこからがスタートといえます。

金融機関は、貸した方の責任もあり、その後の事業の進捗を見守るモニタリング機能を担うこととなります。

金融機関は定期的に、経営状況を報告してくれる企業を好みます。金融機関も、融資先について、自社で報告をする必要があるからです。

決算書ができたら、経営計画とともに報告

毎年の決算が終われば、次の期の経営計画とともに報告に行き、現状と、これからの展望について、共有しておくことがよいでしょう。

ただ口頭で話すのではなく、要約をまとめたA4用紙1枚くらいの報告書があるとよいでしょう。金融機関の担当者はそれをもとに、内部に報告ができるので、とても喜ばれます。

毎月試算表を提出する

できれば、毎月15日くらいに月次決算を行い、その結果を金融機関に報告しておきたいものです。

毎月の状況がわかれば、どこでどんな支援が必要かについても、提案しやすくなると思います。

可能であれば、試算表だけでなく、会社の現状についてもコメントした報告ができるとよいと思いますし、そのような仕組みやサイクルを作ることができたらベストです。

たとえば、TKCの会計システムでは、毎月会計専門家による巡回監査を経て、正確性を確保したうえで、試算表や資金繰り実績表を、オンラインで取引金融機関に送る仕組み「モニタリング情報サービス」があります。

金融機関にとっては、試算表をやり取りする手間がなく、試算表を会社に行かずに入手できるため、一通り目を通したうえで、経営者と話をすることができると好評です。

金融機関の担当者は、先述したように1人で数十件の担当を持っているため、ひとつひとつの企業について、じっくり情報を取りに行く時間がありません。

こちらから、情報を積極的に開示することが大切です。なかなか情報がないところと、積極的に開示してくれるところを比較すると、断然に後者に対して、応援したくなると思います。

積極的にこちらから開示することが、資金調達を円滑にすることに繋がります。

第三章 他にもある!資金の調達方法あれこれ

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中小企業にとって、一番メジャーな資金調達方法は、金融機関からの借入であること、そして、その種類と金融機関に協力してもらうために必要なことを確認してきました。

最後に、融資によらない資金調達方法について、ご紹介します。まだまだ少数派かもしれませんが、資金調達の方法は増えてきています。

選択肢として知っておくことはとても有効だと思います。

(1)出資を受ける方法

借入ではなく、出資として資本金あるいは資本準備金として、会社に払い込んでもらい、資金調達をする方法があります。

自分で増資する

経営者自らの資金をもって、資本金等を払込み、資金調達をする方法です。

メリット:ほとんどの場合、自己判断のみで可能。

デメリット:当然ですが、個人の手元の資金が少なくなる。

ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受ける

企業への投資をし、投資先を上場や事業売却などで勝たせ、キャピタルゲインを得ることを本業としている営利目的の投資元を言います。

ベンチャーキャピタルは、投資家を集めてファンドを形成しており、一定期間内にある程度の結果をだすことを使命として背負っています。

最近特にベンチャーキャピタルの数は増えており、狙いも様々です。すぐに利益を出すことを求められないものもあるようです。

メリット:多額の出資が期待できる。事業の価値を上げるための助言が得られる。

デメリット:知識や経験が乏しいとVC側に理論で負けてしまい、不利な条件での投資契約になるケースもありうる。

エンジェル・個人投資家から出資を受ける

エンジェル投資家や個人投資家から出資を受ける方法があります。

もともとは、会社を経営していて、上場や売却などを経て、まとまった資金を手にした方が、起業家を支援しているようなケースです。

メリット:返済しなくてよいので、元本返済の心配がない。助言が得られる。

デメリット:会社の議決権をお金と交換して渡しているので、自分の支配権が薄まる。いつかは上場や売却などの出口を求められる。一般的に探しにくい。

ちなみに、出資を受けるためのプレゼン資料づくりについては、こちらが参考になりそうです。(友人の現役個人投資家から教えて頂きました。)

J-KISS: 誰もが自由に使える、シード資金調達のための投資契約書

(2)助成金・補助金を活用する方法

補助金や助成金を活用して資金調達を行う方法があります。補助金は税金を、助成金は労働保険料を原資として支給されることになります。

いずれにしても、国にいったん納められたお金を配分して給付するわけですから、その目的に沿ったことに使われるものでないと支給されません。

間違っても補助金や助成金を受けることを目的としてはいけません。会社の課題解決に必要な取り組みに対して、「たまたまマッチした補助金や助成金があったから応募する・使う」というスタンスであることが大前提です。

補助金や助成金を受けることを目的としてしまうと、本当はやらなくてもよいことを、やらなければならなかったり、会社にとって不利となる内部ルールの改正をしなければならなかったりと、会社の本来のあり方をゆがめてしまうことにもなりかねません。

「会社のやりたいことに合致したから、補助金や助成金を使う」はOKですが、「補助金や助成金が出るから、やろう」はNGです。

また、助成金については、不正受給が発覚すれば、その後5年間は申請できないというペナルティがありますので、特にご注意ください。

補助金とは?

補助金とは、国の政策目標があり、その目標を達成するために、目的に合った事業を企業に取り組んでもらうために設けられたものです。

ですから、それぞれの補助金ごとの目的と仕組みがあり、これに沿ったものでないと応募ができません。

例えば、創業補助金や事業承継補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、ものづくり新サービス補助金などが挙げられます。

メリット:返済不要である。

デメリット:その目的に沿ったものでないと応募できない。また、補助金は後払い。先に支出した経費を、あとで補填してくれるものなので、先に資金が必要となる。

助成金とは?

助成金とは、国(主に厚生労働省)が行っている、雇用関係の助成金を指します。助成金でも国の施策に合わせた活動に対して助成金が交付されます。

フリーターなどの非正規労働者を正規雇用にするための活動や、高齢者を雇用するための活動、介護離職を防止する活動などを積極的に助成するものです。

主に、人を雇うときに雇われにくいと言われる人(高齢者、障害者、母子家庭の母など)を雇ったとき、社内の人材に対して教育するとき、待遇をよくするとき、に受給できるものがほとんどです。

メリット:これを使って積極的な人材投資が可能となる。

デメリット:助成金を受けることが目的化すると、会社にとって不利な内部ルールの改定が必要となる。

補助金や助成金情報を効率よく集める方法

下記のサイトから情報を取得することが可能です。

みんなの助成金(LINEアカウントもあります)
・J-NET21
・ミラサポ

このほか、宣伝を兼ねて補助金や助成金情報をソーシャルメディアから発信している人と仲良くなる(フォローする)方法も有効です。

(3)資産を売却して調達する方法

事業運営に影響を与えない資産の売却で資金調達をする方法です。

売掛債権を売却して資金を調達する

一般的に「ファクタリング」と呼ばれる手法です。売掛債権をファクタリング会社に売却して、資金を早く回収する方法です。

例えば、医療機関や介護関係の事業者であれば、健康保険や介護保険から支払われる売掛金が必ず発生しますが、入金は2ヶ月後と資金化するタイミングが遅くなります。

その売掛金をファクタリング会社に売却し、1ヶ月早く資金を回収することが可能となります。

メリット:融資枠を使わなくてよい。資金繰りの改善につながる

デメリット:ファクタリング手数料がかかる。

セールアンドリースバックで資金を調達する

事業で使用している不動産や車・機械などの動産を、リース会社に売却し、資金を手元に得て、そのリース会社からリースすることで使用し続けることが可能となる資金調達手法です。

メリット:融資枠を使わなくて良い。

デメリット:所有権はリース会社に移転する。また、リース料が割高となる。

(4)一般消費者からお金を集める方法

最近では、クラウドファンディングという言葉を聴くように、ソーシャルメディアを活用して、一般の方からお金を集めるという資金調達方法もあります。

「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題を、こんなふうに解決したい」といったアイディアやプロジェクトを持つ起案者が、インターネットを介して、世の中に呼びかけて、共感を集め、サポート資金を集める方法です。

おもに寄付型と購入型があり、その事業に対して寄付感覚でお金を出すタイプと、今後製作される事業やサービスを購入する権利を購入させるタイプとがあります。

新しいテクノロジーを使った商品やサービスの開発、ゲームやアプリの開発、伝統工芸品の政策や、規模の大きいものでは、施設の建設資金など。幅広い分野で活用されています。

また、クラウドファンディングには、それを行うことにより、資金調達のみならず、広報活動を兼ねることもあり、インターネットが普及した今だからこそ可能となる資金調達方法です。

一般の方から共感を得やすい事業であれば、この方法も視野に入れておくのがよいかと思います。

まとめ

ここまで、資金調達の現状と、資金調達の選択肢について、解説してきました。

金融機関をはじめ、自社に合った資金調達方法を見出して頂き、事業の発展につなげて頂ければ幸いです。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ