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日本政策金融公庫に提出する事業計画書の作成ポイントまとめ

目次 [非表示]

(2)設備投資資金の融資を申し込む場合

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既に事業を開始している場合で、店舗拡大や移転、製造設備の増強など、設備投資資金を申し込む場合について、解説します。

必要となる書類

借入申込書
企業概要書
設備投資計画書
決算書・確定申告書
設備資金の申込みの場合は見積書
法人の場合、履歴事項全部証明書または登記簿謄本

企業概要書の記載ポイント

1.企業の沿革・経営者の略歴等

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これまでの企業の歩み、そして経営者の略歴を記載します。創業計画書と異なるのは、実際経営者や後継者について記載するところです。

2.従業員

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従業員の雇用状況について、記載します。

3.関連企業

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代表者やその親族が経営する別の会社や、子会社などについて記載をします。これは、グループ企業とみなして、一体としてとらえて融資の審査をした方がよい場合もあるため、記載を求めています。

4.お借入の状況

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ここには、既にある借入金や、代表者個人の借入についても記載をします。代表者個人の借入についても記載するのは、中小企業では企業と個人を一体として評価する慣習があるからです。

5.取扱商品・サービス

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自社で取り扱う商品やサービス、セールスポイントや販売方法、外部環境などについて、記載をします。ポイントは創業計画書の同じ項目と同様です。

6.取引先・取引関係等

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販売先や仕入先、外注先の状況や、付き合いの長さ、決済方法や約定について記載をします。お金の流れを金融機関側が把握するためです。

設備投資計画書の記載ポイント

1.今回の設備投資を計画した理由等

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ここには、今回の設備投資に至った理由を記載します。何のために設備投資を行うのか(目的)、その内容は何なのか(内容)、その効果はどのくらいあるのか(効果)を言葉でまとめます。

この前提条件として、自社の課題が明らかになっていることが必要です。設備投資は、1年や2年で投資が回収できるものではありません。おすすめしたいのは、3~5年の中期の経営計画を策定しておくことです。設備投資をしたうえで、軌道に乗ったあとはどのくらいの利益が出るのかを数字で示すことができれば、金融機関側も投資効果を認め、融資に賛同しやすくなると思います。

2.資金計画と調達方法

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必要な設備をそろえるのに、必要な資金と、その調達方法についてまとめます。設備については見積書を添付するなどして、できるだけ正確な金額を記載し、その根拠もそろえておきましょう。

ここで忘れないでほしいのが、運転資金の箇所です。例えば、美容院などで店舗の改装をする場合、工事のため、やむを得ず休業する期間があります。その分にかかる家賃や従業員に払う給与など、休業資金も忘れずに入れておきましょう。

3.事業の見通し

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ここでは、設備投資をした稼働当初と、軌道に乗ったあとの数値計画について記載をします。ポイントは、創業計画の「事業の見通し」と同様となります。

数値計画については、こちらのページが参考になると思います。
経営に役立つ事業計画書の考え方とおすすめテンプレート

4.自由記述欄

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ここには、本計画についてのアピールポイントや、事業を行う上での悩み、希望するアドバイスなどを記載します。

設備投資は、経営者にとっては大きな賭けとなります。金融機関にとっても、設備投資資金を融資するということは、その計画の実効性を見極める目利き力が試されることになります。

例えば、美容院の2店舗目への展開の資金だとすれば、客観的に見て、「十分な顧客が獲得できるのか」「1店舗目の顧客が割れてしまい、1店舗目の利益状況も悪くなるのではないか」という懸念が浮かぶと思います。これに対して、問題ない理由や対応できていることなどをアピールしておくとよいでしょう。

懸念事項を挙げて、その対策の状況をまとめておくと、計画の信ぴょう性が上がります。このように当欄を使って頂くと、より確実性ある計画書になります。

(3)一般貸付や中小企業経営力強化資金など、その他の融資を申し込む場合

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既に事業を開始している場合で、中小企業経営力強化資金などの融資制度に申し込む場合について、解説します。

どの融資制度でも必要となる書類

借入申込書
企業概要書
決算書・確定申告書
設備資金の申込みの場合は見積書
法人の場合、履歴事項全部証明書または登記簿謄本

企業概要書の記載ポイント

(2)に記載の通りです。

その他、申し込むことができる資金と、その場合に必要となる書類について解説します。

マル経融資(小規模事業経営改善資金)

商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度があります。

この融資を受けるには、まず、商工会議所や商工会の指導を受ける必要があります。

事業計画書はこの時点では作成は必須ではありませんが、今後の見通しと必要となる資金について指導を受けることになりますので、指導を通して事業計画を策定することになると思います。

一般貸付

事業を営む事業者ならば、誰でも申し込むことができる融資制度です。

こちらも、事業計画書は必須ではありませんが、作成しておくと相談と審査がスムーズになります。

中小企業経営力強化資金

新事業分野の開拓のために事業計画を策定し、外部専門家(認定経営革新等支援機関)の指導や助言を受けることで申込ができる融資制度です。

申込みには、事業計画書(中小企業経営強化資金用)を策定しなければなりません。この融資制度の申し込みには、税理士など認定経営革新等支援機関の指導や助言を受ける必要があります。決して丸投げせずに、一緒に策定することが望ましいです。

原則として、現況から新商品や新サービスの開発・提供方法の刷新などの取り組みが必要となります。事業計画書には、そうすることになった現況の課題や方向性について、まとめていくことになります。

1.現況、新商品の開発又は新役務の内容、課題・重点取組み項目、具体策

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・現況
現況と「このままでは、こうなる」という見込みを書くとよいでしょう。

・新商品の開発又は新役務の内容
新しく開発する商品や役務の内容を記載します。新市場の開拓や、新しい提供の方法(例えばアナログ店舗からインターネット店舗への展開など)も記載することが可能です。取り組みの中で今までと異なる新しい要素が必須となります。

・経営上の課題項目/課題項目または重点取組み項目を踏まえた具体策
現況における課題と、新商品などの新しい取り組みを実行する場合に考えられる課題に〇印を付け、課題と具体策をまとめます。

2.業績推移と今後の計画

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1.でまとめた取り組みをした結果を、数値でまとめます。新しい取り組みは、必ずしもすぐに芽が出るわけではないので、3年間の中期計画を策定することになります。

創業計画書と異なるのは、純資産や純負債、自己資本などの推移についても記載する詳しい計画となっていることです。

なかなか事業者のみでここまで作るのは難しいため、必ず事業計画書策定のノウハウを持った認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けるようにしてください。

認定経営革新等支援機関についてはこちらをご確認ください。

3.借入金・社債の期末残高推移

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2.で記載した総負債の推移のうち、借入金の内訳を金融機関別に記載をします。

4.計画終了時の定量目標及び達成に向けた行動計画等

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3.で示した計画を達成するために行う行動計画を定量目標とともに記載をします。

例えば、売上高10%UPといっても、何をどれだけいつやるのかが明らかでなければ、実効性に乏しいものとなります。

美容院であれば、

売上=客単価×来店回数

と定義されますが、さらに分解すると、

売上=客単価×(新規客数+(新規客数×2回目以降来店回数)+(既存客数×平均来店回数))

となります。

売上を10%UPさせるには、客単価を上げるか、新規客数を増やすか、2回目来店率を上げるか、既存のお客様の来店頻度を上げるか、などの方法が考えられます。

このうち、重点的に取り組むものについて、定量目標(例えば、「2回目来店率30%から60%にする」)を設定し、そのために実施する計画を行動レベル(「次回予約を割引付きで促す」「次はこうしましょう、という提案をする」など)で策定します。

この行動計画は、決して融資を受けるためだけに書くだけのものにせず、実際に事業運営に落とし込めるものであることが大切です。

5.認定支援機関等の所見等

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この箇所は認定支援機関に記載をお願いすることになります。具体的には、アドバイスの内容や客観的に見た新商品等の評価、計画の確実性などです。

この事業計画書を利用するメリットは、専門家から見ても信ぴょう性のある事業計画まで練りこまれる必要があることだと思います。「この計画には妥当性がある」と所見に書いてもらえるまで、考えて策定してみましょう。

その他、日本政策金融公庫では、様々なシチュエーションに合わせて融資制度を設けています。必要な書類はその都度異なりますが、基本的にはここまで解説したことがポイントになると思います。

まとめ

創業計画書や事業計画書を作成することを通して、事業を見つめ、課題をできるだけ具体的に出すきっかけにして頂ければ、事業の方向性を示し、事業の発展に貢献し得る羅針盤になると思います。

実効性のある計画を練りこむのは、想像力も必要ですし、テストマーケティングを行う行動力も必要なので、何かと手数がかかります。しかし、すべては事業の成功のため。必要に応じて専門家の支援を受け、事業を成功に導く事業計画書を作成してください。

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著者プロフィール

神佐 真由美

神佐 真由美

京都大学経済学部在学中から「プロフェッショナルになるために手に職を」と税理士を志す。卒業後は、税理士を顧客とする株式会社TKCに入社し、税理士事務所を顧客にシステムコンサルティング営業に4年間従事。本当に中小企業経営者にとって、役に立てるプロフェッショナルはどうあるべきかを問い続け、研究する。税理士試験5科目合格後、税理士業界へ転身。
自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を抱き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、最近では事業承継支援など多くの経験を積む。経営計画を一緒につくり、業績管理のしくみづくりを通して、未来を見通せ、自ら課題を見つけ、安心して挑戦できる経営環境づくりが得意。大阪産業創造館のあきない・経営サポーターも務め、セミナー実績も多数。「経営者のための資金繰り基礎講座」「本当に自社にとって必要?事業承継税制セミナー」など。

<関連サイト>
角谷会計事務所
未来を魅せる税理士 神佐真由美のブログ