税理士を開業する前に知っておきたい士業の心構えとは

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税理士や弁護士など、士がつく職業はたくさんあります。社会的地位も高く、資格を取って開業すれば高収入が得られると考える人も少なくありません。ただ、開業して成功するにはスキルを磨くことはもちろん大事ですが、心構え(適切な考え方)を事前に見つけておかないと、能力を十分に活かすことはできません。

ここでは、士業を始める前に知っておきたい心構えについてご紹介します。

士業の現状と心構え

税理士などの士業で開業したいと考えている人の中には、資格があるから高収入を目指せると思っている人が多いです。開業にはお金と人と物が必要と言われていますが、販売業や飲食店などと比べて士業の人は人と物の部分が必要ないからです。ただ、自分が思っている以上に士業の経営は難しくなっています。

各士会ならびに監督官庁ホームページを参考にすると、2005年の税理士数は69,243人であったのに対し、それから12年後の2017年には76,314人になっており、10%ほど増加をしています。これは他の士業も同じで、年々登録者数は増えていく一方です。一方で、中小企業の顧客者数は2000年から2017年の間に3万4000人ほど減少しています。

つまり、現在は供給過剰の状況にあるのです。仕事をするために資格は必要ですが、持っているからといって必ずしも成功するとは限らないことが分かります。

士業で成功するためには、何かしら他の同業者と差別化できる強みを持っていなくてはいけません。一人で独立するなら、営業はもちろん収益に関するマーケティングスキルや売り上げなどを計算する能力など、資格とは関係ないさまざまな業務をこなさなければいけません。稼げるプロの士業者になるには、まずは経営に関する技術を身に付ける努力をしなければいけないのです。

経営に関するノウハウを知らなければ、資格を持っていても開業して成功する確率はかなり低くなります。 士業者の数が少なかった一昔前は、確かに資格を持っていれば仕事に困ってどうしようもなくなるということはありませんでした。ただ現代は、データからも分かるように税理士だけでも7万人を軽く超えており、顧客獲得競争の時代に入っているのです。

このような中で会社を運営していくには、高いコミュニケーション能力が必要になります。顧客が求めているものを察知し、スムーズにその要望に対応できるスキルが必要です。

士業者は社会的地位が高く、顧客を得るために営業することは想像できないかも知れません。しかし、サービス業の一つとして士業をとらえると、待っているだけではなく顧客にプラスアルファの付加価値をサービスとして提供するような心構えが必要になります。

競争が激しくなっている士業ですが一般的にはまだ敷居が高く、上述のような営業活動をしている会社は多くありません。そこをチャンスと考えることができるなら、顧客をゲットすることは難しくはないでしょう。

士業を開業する場合、初めから成功すればいいななどという弱々しい考えは捨てることです。何が何でも成功するぞという強い決意を持っていなければ、成功はあり得ません。なぜなら、士業で成功するためには、寝る間も惜しんで取り組まなければいけないほどの努力が必要だからです。

漠然と成功したいと思っているだけでは、ちょっとしたことで挫折しあきらめてしまいます。実際に成功して活躍している士業者は、きれい事だけでは済まない地味な作業や泥臭いことを乗り越えています。そのような成功を実現できた人たちは、結果として楽に顧客を得ることができるので、周りから見てとても信頼感がありスマートです。

このような境地に達するように、猛烈な努力と強い意志は必要なのです。

顧客を増やす方法

特に開業して間もない時は、なかなか顧客がいなくて悩む士業者も少なくありません。顧客を獲得する方法で一番最初に考えられるのが、ホームページやフェイスブックなどのSNSを利用するやり方です。知人にお願いする場合、知人に気を遣わせてしまうケースがあります。例えば士業者が紹介を受けた人のニーズに合っていなければ知人としては断りずらいものです。

しかし、士業者本人ではなくホームページを紹介するとなれば、話は意外に簡単です。この方法だと、紹介を受けた人がホームページを見て依頼するかどうかを決めることができ、最終的な判断を士業者本人に任せられるので角を立てずに済みます。最近では、無料で利用できるホームページサービスもあるので、コストを抑えて作成することが可能です。

顧客を獲得するのに、人脈はとても大きな力を発揮します。ただ、人脈はコミュニケーションが上手いというだけでは作れません。人が人を紹介するのは、能力・人間性がともに秀でていて、一個人として信用がなければ有り得ないのです。

もし人から紹介された士業者が、仕事は適当で態度も冷たかったらどうでしょう。紹介を受けた人はカンカンになって怒るでしょう。それで終わるのならいいですが、紹介した人に苦情がきたり周囲に悪評がたつ可能性もあります。逆に、人脈を使って顧客を紹介してもらえるようになれば、士業者として一人前になったと考えてよいでしょう。

顧客を増やすには、紹介などの待つ姿勢から、営業などの攻めの姿勢に転じることも重要です。特に紹介してもらう当てがないときは、自分から積極的に宣伝していかなければ、だれも自分が開業したことを知ってはくれません。

広告などを出す費用がないときは、飛び込み営業やビラを配ったりする方法が効果的です。ただ、冊子やカタログにすると印刷代金の他に製本代も必要になるので、一枚の紙に効率よく宣伝を載せるのが費用的にはおすすめです。

チラシの印刷でカラーにこだわる人もいますが、実際はカラーでもモノクロでも見る人にとって大きな差はありません。女性向けのファッションやお化粧の宣伝などカラー印刷が好ましい場合もありますが、士業者が重視したいのは信頼性なのでカラーにこだわる必要はありません。

その他に、団体に向けて無料相談会を開催する方法があります。有料にすると人が集まりませんが、無料だと話だけでも聞いてみようという人が集まります。ただ、注意点として、相談を無制限に受けてしまうと次に繋がらないので、時間や回数を区切ることがポイントです。人件費は自分自身なのでお金がほとんどかかりません。

このようなケースの時のために、開業前から営業スキルは磨いておきましょう。

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