国が事業承継5ヶ年計画を進める理由とは?支援内容を紹介

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中小企業が大半を占める日本は、経営者の高齢化に伴って事業承継が必要な企業が増えています。2017年、国は集中的に支援を実施していく「事業承継5ヶ年計画」を策定しました。

ここで、事業承継とは何か、どのようなメリットがあるのかを説明します。また、今、国が事業承継に力を入れている理由と5ヶ年計画の具体的な施策についてもお伝えしていきたいと思います。

事業承継とは?国の支援やサポートネットワークも拡大中

事業承継とは、経営者や創業者が自社事業や経営を、後継者に引き継ぐことです。引き継ぎ先としては、親族、従業員(社内)、第三者(社外)のほか、M&Aによって他社に譲渡するという手段があります。これらのうちいずれの手段も取れない、もしくは取らない会社に残される選択肢は「廃業」です。

普通の仕事を引き継ぐこととは大きく異なります。事業承継で実行していく引き継ぎは、経営や事業に関わるスケールの大きいものだからです。単純に経営権を引き継ぐだけでなく、資産や知的財産、自社が持つ信用やブランドなども後継者に承継していかなければなりません。そのため、適切な事業承継を完了させるには、10年ほどの期間が必要になると考えられています

。国も、事業承継のための準備開始のタイミングとして、10年後に引退を控える60歳あたりを推奨しています。

メリットは多い!事業承継をおすすめする理由

事業承継をしないのであれば「廃業」ということになります。

廃業の場合、抱えている売掛金や負債のすべてを精算することが条件となるため、すべての資産を売り払ったとしても手元に残る利益が少なくなります。企業が消滅するため企業や事業価値が付加されないので資産の額も低くなります。それらに関わる税務処理も複雑になってくるため税理士などに依頼して進められることが多いです。

働いてくれていた従業員の雇用先を確保する必要性も出てきます。取引先のビジネスにも影響を与えてしまうのです。長年培ってきた事業も技術もノウハウなどのすべてが消滅してしまいます。

事業承継ができれば、事業を継続していくことができます。事業に伴う技術やノウハウも世の中に残せるのです。従業員の雇用も守られますし、取引先との関係性も継続できます。廃業するために新たに発生する、あらゆる処理や費用も発生させずに済むのです。もちろん、事業承継の実行にも費用はかかるものですが、比較してみると、廃業ほどのマイナスにはなりません。

存続する企業としての税制度が適用されるため、税負担が軽減できるほか、M&Aでの事業承継であれば、損失ではなく売却益を得ることも可能となります。事業承継は、引退する経営者自身にとって、より良い条件で余生に入ることができる方法なのです。

今、国が事業承継に力を入れているのはなぜか?

日本企業の大半は中小企業です。日本経済は中小企業の存在によって成り立っているといっても過言ではありません。しかし、近年、その中小企業の経営者の高齢化が進んでいます。

東京商工リサーチの調査によると、2018年における中小企業の経営者の平均年齢は61.73歳で、統計開始以来、過去最高を記録しています。近年のペースで進むと近い将来、平均年齢が70歳を超えてしまうことも懸念されているのです。

この状況は、事業承継が必要な企業が急速に増えていることを示しています。 70歳以上の経営者の割合も高いのですが、経営者の年齢が上になるほど、減収や赤字の状況になる傾向も見られるようです。今後、ますます高齢の経営者が増えていけば、全体的に業績が悪化する企業が増えてしまうことが予測できます。適切に次世代に引き継がれることで、新しいビジネスモデルや価値が生み出される環境を整備する必要性が高まっているのです。

国の統計では、倒産する企業数はそれほど増えていないことが分かっています。一方で、廃業の数が上昇しているのです。高齢の経営者の中には、企業が将来的に存続できる可能性があると考える人は少なくありません。しかし、廃業を選択しているのは、ほかでもなく後継者の問題があるからなのです。

国(中小企業庁)は、このような状況を受け、全国にある地域の事業を存続させるために支援を強化しています。引き継ぎを行える経路を提供したり、引き継ぎのプロセスがスムーズになるようなサポート環境を整えるべく「事業承継5ヶ年計画」を策定したのです。

事業承継5ヶ年計画の具体的な支援策

事業承継5ヶ年計画には、5つの項目が掲げられ、それぞれに関連するさまざまな施策が講じられています。

まずは、現在の経営者や創業者に対し、事業承継の必要性と意義に気付いてもらうための施策です。事業承継には時間がかかるため早めに準備に取り掛かるよう示唆し、事業承継診断など自社の必要性に気付けるような情報提供が行われています。その情報提供や事業承継支援を行う専門人材の育成にも力が注がれています。

後継者となる人が、経営を引き継ぎたいと思えるような環境整備も行われています。早期継承により、経営改善のための事業計画作成、資金繰りや税制措置などの支援でインセンティブが得られるというものです。

後継者探しに悩む経営者が増えることが予測されることから、後継者を見つけるためのマッチング支援も強化されています。事業引継ぎ支援センターでは、民間の仲介支援企業との連携を行うなど支援の強化が図られています。小規模企業も対象とされている点が特徴です。

また、企業が廃業すると、自社だけの問題に留まらず、地域や取引先にも影響を与えてしまいます。

事業統合や再編、地域の企業同士が協力して事業を進められる環境整備の支援が行われています。さらに、後継者となる人材を育成する人材が必要とされます。 経営経験を積んだ人材を社内幹部、もしくは社外アドバイザーとして活用できる環境整備も行われています。

国も事業承継支援を強化!中小企業の経営者も積極的に取り組める

日本では、中小企業の経営者の高齢化が進み、事業承継の準備が急務となっている企業が急速に増えています。国は事業承継5ヶ年計画を策定し、中小企業の後継者不足や、経営者の後継者探しの問題を解決できるよう、支援体制を強化しました。さまざま施策が講じられていることで事業承継を実行するハードルも下がってきているようです。

経営者には、事業承継の必要性に気付き、引き継ぐ準備を始めることが求められています。できるだけ早いうちから取り組むことによって、将来的にも繁栄、成長していける企業として承継できる可能性も高められるでしょう。

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