事業モデルなどのフィードバックの受け取り方を間違えてしまう失敗

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僕もよく相談を受けるので独立、起業を考えている人の質問のレベルの低さや前提条件のなさに驚くことがあります。相談相手がそもそもプロや経験者でない場合には、その人が言うことというのは、本当にただの主観的な感想だと思ったほうがいいです。
(それをどこまで参考にするかは要検討です。もちろん一般論や一ユーザーとしての感想ということであればよいと思います。)

相談を受けて、僕がよく聞くのは、「それは本当ですか?」ということを聞きますか?
それは本当かどうか?というのは、主観か客観かを聞いています。

質問してきた方が、「絶対に商品やサービスはよいので、お客さんに知ってもらえさえすれば売れるんです」ということを言います。

そこで僕はそれって本当ですか?と聞きます。これは疑っているわけではなく、誰がそう言っているのか、思っているのかがとても大切なわけです。
自分が主観的にそう思っているだけなのか、客観的にお客さん候補50人にそのように言われているのかでは状況は全く違うわけです。

このようなやりとりを繰り返していると、「本当ですか?」「それは誰が言っているんですか?」「事実ですか?そう思っているだけですか?」など、相手が事業を否定されたという気持ちになって怒る方や自信をなくす方がたまにいます。

相談者に応じて僕もわざと厳しい言い方をしたり、質問をします。
特に外部から資金調達を考えているような人の場合には投資家から厳しい質問が浴びせられたりするのでその練習も兼ねて僕がわざとやったり、厳しいお客さんはたくさんいますので、常にホームな感じで話を一生懸命聞いてくれる人だけではないので、どのような状況であっても話に引き込むことや話を聞いたら納得してもらえるようにしておく必要があるわけです。

また、僕の場合には、回答の仕方をとても気にしています。

わからないことに対してはわからないと言いますし、その中でも〇〇の領域は詳しいので経験値からコメントしますとか、わからないので僕の主観ですと言ってコメントをします。
今日はどの目線でコメントすればよいですか?と最初に聞くくらいです。
伊藤さんが話を聞いていて思ったことを言ってくださいと言われることもあり、その場合、感じたことをそもそも言うわけです。これはただの僕の個人的な感想なので、普通の人の感想よりかはフィードバックとしての精度は高いと思いますが、いうても、所詮はただの感想なわけです。

注意しないといけないのが、回答する人のレベルが低いと、本当に事故のようなことが起きます。何の事実にも基づかない点から、本人の主観で事業を否定することがあります。
自分の経験上、似たようなビジネスをやっていて失敗した人がいるよとだけ言って、だからうまくいかないと結論づけたり(当たり前ですが、大切なことは何故その人が失敗したのか?という失敗した客観的な原因が大切なわけですが。)、その人が状況を全然正確にわかっていない状況にも関わらず結論づけたりします。


事業モデルへの客観的なアドバイスというよりも、結局自分の専門領域や得意なところに落とし込み誘導したりということもあります。

事業とは関係ないところの話に終始したり、各論の各論、どうでもよいところ(まだ事業モデルなどもできていないのに仮の値段設定についてやたらコメントするとか)をつつきそこが争点となっているなど、みていて飽きれることもあります。

これは質問者の情報の出し方、聞き方にも大きな問題があるので注意が必要です。
質問者が情報の出し方が下手なことが多く、全ての情報をまとめていないことで、回答者がそれを把握できずに、情報に大きな不足があるまま、憶測での話になってしまうことがあります。

今日聞きたいのは、この部分なのですとか、この部分なのですがこのように検討して3つ可能性があると思っていて、1はこう、2はこう、3はこうで、今は2がベストだと思っています、何故ならば・・・・と思っていますが、どう思いますか?など、個別化、具体化して質問をするようにしたほうがいいと思います。

漠然と、まるっと話をしたことに対してコメントしてくださいというのは、相当に雑な話になりがちで、問題解決には近づきにくいです。相談相手が相当に経験者であればそれでも的確な方向や答えに導いてくれると思いますが。
人によって思うことや感じ方は全く違うということです。良い質問ができないと良い回答を引き出すことはできないと思ったほうがいいと思います。
また、無料で相談をお願いしているのか、有料で相談をお願いしているのかということも回答の差を分けることだと思っています。

僕が、事業相談を個別で受けるとなると、まず正直な感想としては、とても重いなと思ってしまいます。
なぜなら、ちゃんとやろうと思えば思うほど、その人の考えていることを全部理解し、その人自体を理解し、場合によってはチームを理解し、マーケットを理解しないといけないからです。これは相当に時間がかかります。

質問者は気軽に簡単なことだと思い、また、不安なのでとにかくコメントを欲しがりますが、本当にちゃんとコメントしようとすると相当に時間がかかるのです。
そのためプロであればあるほど無料でということと、たとえば60分でということはできない構図になります。最低限の一般論や確率的な話、主観的な感覚であればいくらでもできますが、本当に実際的なコメントは実際を知らないとできないということです。

今相談を受ける側の人で、この感覚まで持っている人というのは少ないと思います。それは感覚としてプロではなく、客観的でなく、主観的な人だと思います。
質問者、回答者サイドともに経験不足で主観的な人ばかりなので要注意です。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

2009年慶應義塾大学法学部を卒業後に、2010年株式会社ウェイビーを創業。
創業以来、一貫して、中小企業、個人事業主のインキュベーション(成長支援)に従事。
その数1,200社超。「世界を豊かにする経済成長のビジネスインフラを創る」というウェイビーの理念が大好き。
世界経済フォーラムが選ぶ若手リーダー選抜、徳島大学客員教授、スモールビジネス向け書籍7冊出版。