打ち切り寸前のマンガにもスポットライトを!~面白いものをより多く世に広め、語り合う『トリガー』の挑戦~

ポイント
  1. マンガ好きが高じてマンガのお仕事へ
  2. 『トリガー』でマンガへの恩返しを
  3. ポリシーは「3巻までしか置かない」

目次 [非表示]

①マンガ好きが高じてマンガのお仕事へ

 

助っ人編集部

 

まず簡単なご経歴から伺いたいと思います。

兎来

 

僕の経歴は簡単に言い表せないぐらいいろいろあるんですけど。この『トリガー』の1個前の仕事としては、聖地巡礼(マンガの舞台になった土地などを訪れること)というのにはまり過ぎて、それが高じて聖地で働いていたんです。 聖地で観光客の案内をしたり、イベントを企画したりいろいろやっていました。

助っ人編集部

 

それが高じてお仕事にもつながってきた?

兎来

 

そうです。もともと堀江貴文さんがやっていた、マンガのレビューサイト「マンガHONZ」の初期メンバーの1人でした。マンガには、「ワンピース」などの誰もが知っていて、何もしなくても売れていく作品がありますよね?一方で、本棚に1冊しか刺さっていなくて、誰にも発見されずに返本されて、「売れない」という烙印を押されて消えていく作品も非常に多くて。 ただ、その中でも面白い作品はいっぱいあるはずで、そういうのも紹介して売れるようにしていきたい、というコンセプトのレビューサイトが「マンガHONZ」なんです。

助っ人編集部

 

そして、そのリアル版としてお店をつくられたのですね。

兎来

 

そうです。マンガのイベントをやる場所というのは今までほとんどなくて、大体大きい書店さんや、ロフトさんぐらい。新しくマンガのイベントができる場所もほしいということで、マンガHONZのメンバーでつくったのがこのお店というかたちになります。 今も月1でマンガHONZの定例会のようなものをここでやっています。やはり実物のマンガがここにはあるので、すごく話もしやすいですね。

助っ人編集部

 

『トリガー』の店長は、話し合って決められたんですか。

兎来

 

やるとなったら僕かな、という感じでした。僕が突出してマンガに詳しかったので。

助っ人編集部

 

お前しかいないというかたちで。オープンはいつでしたか。

兎来

 

2015年の6月です。

マンガを「語り合う」コミュニティスペース

 

助っ人編集部

 

今1年半ぐらいのところですね。こちらのお店のコンセプトを教えてください。

兎来

 

「読んで飲んで語り合う」というキャッチフレーズでやっています。

助っ人編集部

 

マンガというと、結構一人で読むものというイメージですけど、語ったりコミュニケーションも重要になってくると。

兎来

 

漫画喫茶などもそうですが、一人で黙々と読むじゃないですか。でも面白い作品に会った時って、その面白さを誰かと語りたいっていうときが必ずあるはずです。 意外とそういうものを語れる場所が今まであまりなかった。そこでうちでは、いくら声を出していただいても構いません、ということになっています。 本当に大声でその作品に対する愛、面白さを語り合っていただければというかたちです。片手にお酒もあると話が進めやすいでしょうということです。好きなものに対して存分に語っていただく場所です。

助っ人編集部

 

渋谷ということで立地もすごく良いので、来たい方は本当に毎日でも来られますね。

兎来

 

はい。仕事帰り毎日来てくださる方もいます。 13時~17時までのコワーキングスペースとしての運営となっていまして、18時~23時までがお酒を飲みながら語る、バータイムと呼ばれる時間です。

 

②『トリガー』でマンガへの恩返しを

 

助っ人編集部

 

先ほどイベントというお話がありましたが、通常営業以外で『トリガー』特有のことは何かありますか?

兎来

 

不定期ですが漫画家さんをお呼びしてトークイベントを開催しています。そのときはテーブルを完全に取り払ってしまって、客席を30席ぐらいつくるというかたちになります。

助っ人編集部

 

それは楽しそうですね!

兎来

 

今まではニコ生で配信していましたが、最近はそれもAbemaでやるようになりました。あと定期開催ということで、毎月、月始めに、先月面白かった新刊を持ち寄って語る会のような。マンガ好き同士でお薦めし合うっていうものがあります。

助っ人編集部

 

話は変わりますが、兎来さんはどのような想いでこの事業をおこなっているのでしょうか。

兎来

 

僕は本当に小さいときからマンガが大好きで、マンガによって全てを育てられているという思いがありました。 大きくなった今、自分を育ててくれたマンガに何かしらのかたちで恩返しをしたいというのが1番にあり、今自分ができることがこの『トリガー』だと思います。

世の声を問うためにクラウドファンディングに挑戦

 

助っ人編集部

 

出版社さんとも提携されているんですよね。

兎来

 

初期から小学館のマンガワンさん、講談社さんのシリウスさんとか、コミックスマートのGANMA!さん、eBookJapanさんとかも協賛してくださっていました。 出版社さんの提供が最初から入っているのは、1個の飲食店としてはすごく珍しくて。 もともとクラウドファンディング始めたときに、企業向けのプランというものをつくっていたのもあるかと思います。

助っ人編集部

 

クラウドファンディングでの資金調達については、今回のメインのお話になるので、そのあたりのいきさつを教えてください。

兎来

 

そもそも、なぜクラウドファンディングをしたかというと、世の声を問いたかったんです。 やってみて、そんなに全然集まらなかったらそもそもニーズがないので作らないでおこうという話でした。 でも実際やってみたら、目標金額800万円のところ1,260万円ぐらい集まりまして、それは腰を入れてやりましょうということになりました。

助っ人編集部

 

すごいですね!企業からの協賛ももちろん中に入れてということですね。

兎来

 

そうです。当時のマンガ関係のクラウドファンディング事業ではほぼトップ5ぐらいには入っていたかな。

助っ人編集部

 

目標の150%の資金調達できた要因は店長としてはどう分析されていますか?

兎来

 

そうですね。思ったより、企業以外の、一般のお客さんが支援してくださることが多かったんです。 本当にマンガ好きの方が多いんだなということをすごく肌で感じました。

助っ人編集部

 

協賛して頂いた方と何か意見や感想はありましたか。

兎来

 

「大阪とか福岡にもつくってください」という地方の方が多かったですね。意外に、地方から出資してくださった方が多かったです。

助っ人編集部

 

それはやはりコンセプトが好きとか、あったら嬉しいということですね。

兎来

 

いまだに「1番最初に支援して、今まで1回も来たことがなかったんですけど、たまたま東京に来て今回初めて寄らせていただきました」という方がちょくちょくいらっしゃいます。九州から四国から来ましたという方も結構います。本当にありがたいことです。 また、多くはありませんが海外の方もいました。

③ポリシーは「3巻までしか置かない」

 

助っ人編集部

 

マンガのラインナップとしては、どんなイメージですか?

兎来

 

18禁だけは条例でNGになってしまっていますので、それ以外は区別なく、ジャンルや出版社さんに全くこだわらず、ただとにかく面白いものを置こうというコンセプトです。

助っ人編集部

 

全部で何冊ですか?

兎来

 

今1万冊ちょっとあります。 ただ基本的に3巻までしか置かないというルールがあるので、タイトル数にすると4,000タイトル以上になります。

助っ人編集部

 

3巻までしか置かないことの狙いはどんな部分ですか。

兎来

 

3巻までしか置かないことによって、続きが気になる方は是非買ってください、買ってくれることで業界の活性化になるので是非お願いしますというものです。 なので、普通の漫画喫茶より冊数自体は少ないのですがタイトル数ではだいぶ多いかなと。しかも普通のところでは置いていないタイトルがいっぱいあると思います。いろんな作品に出会っていただきたいという思いです。

助っ人編集部

 

これが見たいという指名というよりも、ここに来たらいつも新しいマンガと出会えるという需要のほうが多いですね。

兎来

 

僕がマンガコンシェルジュとなって、お客様が「こういう作品が好きです」とか、「今日こういう気分なのでこういうマンガちょっと読みたい感じです」という情報をちょっといただいたら、それに適切なレコメンドを提供するというサービスを無料でやっています。

助っ人編集部

 

それは嬉しいですね。新しいマンガとの出会いって難しいんですよね。

兎来

 

そうですね。最近特に本当に出版件数がどんどん増えてて、個人ではとても追いきれない量なんです。 出版されているものだけではなくて、今ウェブマンガなども大量にあるじゃないですか。絶対に自分だけでは探せない面白いマンガがどこかにあるので、それを探すお手伝いをできればと思います。 僕自身もお客様と常に情報交換して教えてもらうこともしています。

助っ人編集部

 

コミュニティならではの強みですよね。

兎来

 

そうです。『トリガー』というのは「きっかけ」という意味があるので、マンガや人との出会いのきっかけになるのがコンセプトになっています。

クラウドファンディングは自分を試す場

 

助っ人編集部

 

先ほどなるほどと思ったのが、事業って、世の中にファンがいたり、支持されなかったら、成り立たないものなので、そのきっかけの1つとしてクラウドファンディングを活用するというのは大事ですね。

兎来

 

そうですね。事業者がやりたいことを、熱意をもって語って、それにいかに共感してもらえるかというのが1つのクラウドファンディングの肝だと思います。なので、コンセプトや思いを、どのように打ち出すかは結構話し合いました。

助っ人編集部

 

これから起業する方が、「こういうふうにクラウドファンディングを活用すればより良いよ」とか、うまくいくんじゃないかということが、もしありましたらお伺いしたいのですが。

兎来

 

この人がやっているこれ面白そうだなって思わせたら勝ちだと思うので、本当に事業者自身がどれだけコミットしてやっているかですね。 やはり新しくて面白いことやっている人には、人は興味を持ちやすいので。うちもそういうかたちになると思うのですが。新規事業的な、今までにない試みをやる人にはすごく相性の良いシステムだと思います。

助っ人編集部

 

例えば1回打ち出してみて、なかなか思うように資金が集まらなくても、もちろん情熱があるのであれば諦めず挑戦することが大事ですね。

兎来

 

諦めず熱意をもってやれる事業者の方だったら、すごくフィットしやすいシステムかなと思います。 逆に、それで支援者を集められないぐらいなら、始めても営業が上手くいかないと思います。そういう意味では、自分を試す場ですね。

④昨今のマンガ業界事情

 

助っ人編集部

 

今のマンガ業界はどのような状態にあると分析されていますか?

兎来

 

今は出版全体が非常に厳しいですし、例えばジャンプが600万部売れていた時代のように、出版社が立ち行くことがきっとできないだろうと思っています。

助っ人編集部

 

読者側からすると昔と比べてどうでしょう?いわゆる雑誌が全盛期だったような頃と比べて、デバイスがあるので出会いやすくはなっている?

兎来

 

出会いやすくなっていますが絶対量がものすごく多いので相対的にあんまり変わっていないような気がします。

助っ人編集部

 

発表タイトルはどんどん増えていますよね。

兎来

 

どんどん増えています。なぜなら本屋の平台の面積って限られていて。本を出さないとどんどん面積を他社に奪われてしまうのです。だから、出版社はどうしても点数を増やすしか選択肢がないのですが、それをどこもやるので、過当競争です。

助っ人編集部

 

漫画家としては大変ですね。

兎来

 

大変です。最近はSNSで発表するということもすごく増えています。 特にツイッターとマンガはすごく相性が良いので、今後はそんな経路もどんどん増えていくと思います。

どうせ大変な思いをするなら、好きなことをしたほうがいい

 

助っ人編集部

 

今後の構想などがあればお聞きしたいのですが。

兎来

 

マンガ業界に対してより多くのインパクトを与えていきたい。もっと本当に1人1人に知られていない面白いマンガが行き渡る世界にしていきたいです。

助っ人編集部

 

起業家の方々にメッセージをいただけますか?

兎来

 

好きなことを仕事にするって最高です。今はどんなことも仕事になる時代だと思うので、本当に自分が面白いと思うことをやって損はないと思います。 どうせ仕事で辛い大変な思いをするなら、自分で好きなことをしたほうがいいんじゃないかなと個人的には強く思っております。

助っ人編集部

 

すごく勇気が沸いてくる言葉です。特にクラウドファンディングをすることで世の中の反応も見られるし、自分も試せるし、攻めるしかないですね。

兎来

 

攻撃は最大の防御です。クラウドファンディングは良いPRの材料でもあるので。「私こういうことやっております」という良いコマーシャルとして使ってほしいと思います。

助っ人編集部

 

最後に何かお伝えしておきたいことはありますか?

兎来

 

堀江さんや弊社の社長もそうですが、経営者ってわりとマンガが大好きなんです。 うちには経営者の方にもお薦めしたいマンガもいっぱいあるので是非遊びに来てください。

助っ人編集部

 

経営者の方が来て、「なにかお薦めのマンガあります?」と聞いたら教えていただけますか?

兎来

 

もちろんです!

助っ人編集部

 

「これから起業したい」っていう方にも?

兎来

 

そういう方にも是非是非!

助っ人編集部

 

ありがとうございます!それ以外でもいろいろな方がいろいろな形で活用することが増えそうですね。今後の発展も楽しみにしております。

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著者プロフィール

助っ人編集部

助っ人編集部

起業家を増やし、一緒に世界を楽しくするべく立ち上がった助っ人編集部。 起業家、起業を志す全ての方へ、全国の有力な起業情報をお届けします。 無料会員登録をしていただくと さらに多くのコンテンツをご覧いただけます! ホームページ: https://suke10.com/

兎来 栄寿

兎来 栄寿

マンガサロン『トリガー』 10 歳の頃から神保町やまんだらけに通い詰めジャンプ作品からトキワ荘・大泉サロン作家まで読み漁 っていた生粋の漫画愛好家。少年青年少女漫画から BL・百合まであらゆるジャンルを愛する。漫画 を読むのは呼吸と同じ。自分を育ててくれた漫画文化に少しでも恩返しすべく、日々様々な作品の布教活動を行うマンガソムリエ。