クリニック開業取扱説明書【第2回】開業する前に考えるべきコト2

更新日:2017.05.13

医師ではどうにもならない外的要因の把握をしておくべし

急速に進む日本の高齢社会

少子高齢化と言われて久しい日本であるが、高齢化社会と言われた段階をさらに加速させた高齢社会というものが現実に訪れようとしている。 人口割合があきらかにいびつになり、高齢者と言われる人々が国家の人口の最大勢力とな っている状況がある。人間に限らず高齢になれば身体的にも問題が発生してくるわけで、 その意味で医師の存在は必要不可欠となってくるだろう。

ただ、人口構成が変化しているので、より高齢者に対しての医療の比重が必然的に高ま ってくるだろうということは予測しておいて間違いはないだろう。あなたが少なくなる一方の子供専門のクリニックを開業したいと思っているのであれば 需要を満たすためには頭を使ってあなたのクリニックをアピールするマーケティングを行 わなくてはいけないかもしれないし、逆に高齢者専門の病院を行うのであれば、需要の多 さに対応できないほどパンクするという可能性もある。

また地域によって需要も変化するので、あなたのクリニックの場所や診療科目によって 今後の社会情勢をよく見極める必要はあるだろう。

時代に合わせて変化する医療制度

クリニックを開業しようと考えているあなたほどの経験豊富な医師であれば、すでに医 師として活動を始めてから何度かは医療制度の改正には直面しているのではと思う。元々 現在の医療制度の根幹は日本が戦争に負けた直後にできたものなので、その当時の医療環 境に合わせて作られたものが時代に合わなくなってくるのは当然のことであり、医師が活 動しやすく患者が利用しやすいように医療制度は時代に合わせて改良されてきたと言える だろう。


戦後の医療が絶対的に不足している状態から人口が毎年のように増加して経済も成長し ていた高度経済成長の時代、そして現在の少子高齢化社会と医療が直面する問題が変化し ていくなかで、医師も時代の変化に敏感になる必要があることは否定できない事実であ る。

個人のクリニックの役割が変化しつつある現在

現在の日本は地域包括ケアシステムという制度の構築を目指している。 このシステムを構築するにあたって、大学病院や地域の総合病院や基幹病院とあなたがこ れから開業する個人クリニックの役割も明確に分類しようと政府は考えているようだ。

<総合外来診療>
総合病院が入院や検査などに特化する方針のなかで個人クリニックは地域の住民の皆さ んへの「かかりつけ医」の役割が求められ、総合病院から退院した後はその後のアフター ケアも「かかりつけ医」である個人クリニックが行うことを理想形としており、病院間の 連携の強さが必要になってくるだろう。あなたが現在勤務している病院の地域で開業するのであれば、病院間の連携は他の地域 よりもスムーズに進むのではないだろうか。

<在宅医療>
  医療費の莫大な負担を少しでも緩和するために政府が打ち出しているのが、自宅で療養 続けることを目指す在宅医療である。 診療報酬改正でも外来機能が存在しないクリニックを開設することが認められ、政府とし てはとにかく現在の外来中心での医療制度で医療費が国家財政を悪化させている状況を改善したいという強い意志が見て取ることができる。
今後も医療費削減の流れはますます強くなっていくと思われるので、あなたが在宅医療 に特化したクリニックを開設したいと思っているのであれば市場は拡大すると断言してお こう。
 

<専門外来診療>
この専門外来診療は、総合病院の一部門を特化させて専門性を極限まで高めた個人クリ ニックと判断していいだろう。 非常に専門性が高く、高い対応力が要求されることになるが、大学で学んだ高度な医療行為が実現できるという意味では、より優秀な医師の能力を発揮させる制度とも言える。

あなたが勤務している病院での専門性を活かしたうえで開業したいと考えている場合に は専門外来診療はあなたには最適なクリニックの形態と言えると思われる。 このように外的要因は医師が1人では変化させることができないものであるが、あなたの 思いと社会的な要請を理解した上であなたのクリニックを考えていくべきだと思われる。

あなたが開業する時に持っておくべき必要なもの

開業の必要3要素


クリニックに限られないが、すべての事業活動を行うことに関して、必要な要素は人、 物、金の3要素であると言われている。 ではこの3要素をあなたのクリニックに当てはめてどの程度重要なのかを考えてみよう。 リアリティのあるほうがより実感を得られるはずだ。 読みながらあなたの頭の中で十分に想像を膨らませてほしいと思う。

あなた1人では何も回らない 

まずはからだ。 人が非常に重要なのは理解できるもの思う。いくらあなたが開設する個人クリニックだと いえども、あなた1人ではクリニックは1日ですらまともに運営することが不可能である ことは想像に難くないはずだ。 診察はあなた自身が行うとして、あなたが指示した注射や点滴、血液検査などの処置を実 際に行ってくれるのは看護師のスタッフである。

またカルテや次回の診察の予約など患者の管理をおこなってくれるのは医療事務など資 格を所有している事務員のスタッフである。人に関しては、あなたが開設しようと考えているクリニックの規模で必要な人数が変化 してくるので、ここで何人いなくてはいけないとは断言することは不可能である。 開業時のスタッフ雇用に関しては、医療系専門の求人サイトに掲載して募集をすることも いいだろうし、勤務していた病院からどうしても信頼できるスタッフをヘッドハンティン グしたいのであれば、その方法も考慮してもいいだろう。

すべてのスタッフがあなたと初めて仕事をする状態よりも1人でもあなたと仕事をした 経験があるほうが、あなた自身もスタッフも仕事を行いやすい面もあるかもしれない。 スタッフに関して最適な答えはないので方針は経営者であるあなた自身が決定すること だ。

クリニック開業には予想以上に必要なものがある

次は物である。

クリニックには土地や建物も必要だが、あなたの医師としての能力を活かすための医療機 器を欠かすことができない。あなた自身がどのような診療を行いたいかということが必要 なる医療機器の決定には密接にリンクすることになるので、開業する前にじっくりと判断しておかないと、後でこの医療機器が必要だったとか、逆にこの医療機器は必要なかった などとなりかねないので慎重に判断してもらいたい。
特に必要のない医療機器の購入は金額が大きいだけに要注意と言えるだろう。

俗物的だが資金は重要

最後はである。 非常に世俗的な話になってしまうが、クリニック開業は他の業種が開業するのと比較する と初期投資が非常に高額になる特殊な形態の事業であるといえるだろう。

ある業種はほとんど初期投資が必要なくオフィスもバーチャルオフィスで十分可能とい うケースであったとしても、クリニック開業にバーチャルオフィスなどありえないし、開業段階で必要となる医療機器を揃えていなければ患者に対して満足する医療サービスを提供すること自体が不可能になってしまう。

実はクリニックの特徴としては開業段階の初期投資が極端に多く、その後の継続投資というものは、あなたがクリニックの診療科目を増加させるために新たな医療機器を導入す る必要性があるなどといった大変革があるときでなければ発生する可能性は低い。初期段階を乗り切ることができれば、順調にクリニックの運営が推移するようであれば 後初期投資額を回収することに頭を抱えるということは少ないようである。金額的に数千万になるクリニック開業の場合であれば、あなたは融資を受けることを前提に考えている 場合が多いのではないだろうか。

融資を受けることは確かに必要なことであるが、それでも自己資金を少しでも多く所有 していることは非常に有効といえる。自己資金が0の場合ではほぼ借りることは厳しくな るし、自己資金がかなりあるのであれば、あなたの要求額まである程度柔軟に融資しても らえる可能性が高まるからである。

自己資金は融資の金額だけなく、その後のリスク軽減も図れるので、少しでも自己資金 を用意できるように、いずれは開業を考えているのであれば戦略的に行動してほしい。

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