アパレル開業取扱説明書【第4回】ブランドコンセプトとターゲットについて

ポイント
  1. 設計図であるブランドコンセプト
  2. コンセプトを作っていこう
  3. ブランドのターゲットは誰か?

目次 [非表示]

設計図であるブランドコンセプト

ブランドのイメージを考えよう

アパレルに限らず、どのような業種であってもブランドを立ち上げようと考えたときにはコンセプトをまとめなくてはいけないでしょう。 コンセプトはあなたがこれから提供していくブランドに対して、顧客にどのようなイメ ージを持ってもらいたいかを決める大切なものになります。コンセプトが決まることによって、商品の企画、デザイン、PR方法など今後の計画もはっきりしてきます。

ブランドはあなた1人で作り上げるものではないことを理解していなくてはいけません。 あなたがデザインを行う中心だとしても、商品として市場で日の目をみるためには、商品の 企画、営業、広告、販売店舗など、あなたのデザインを市場に出すために関わってくれている周囲の人の協力がなければ実現は不可能なのです。

周囲の人に対してあなたのブランドがどのようなものか、を認識してもらう為に必要とされるのがブランドのコンセプトです。コンセプトを決めることなくブランドを作ろうと は思わないようにしましょう。

ブランド作りの段階でコンセプトが存在していないと、あなたがブランドで一体何を表現したいのかに迷いが生じてしまい、たとえ商品化まではたどり着いたとしても、顧客に対してアピール力の乏しいものが完成する可能性が高くなります。

コンセプトは家で言えば中心の柱のような存在です。家を建築するときに柱を立てない人がいないように、ブランドを作るときにコンセプトを明確にしないことはあり得ないことなのです。

コンセプトを作るとやるべきことが見えてくる

ブランドのコンセプトを作るのは、デザイナーであるあなたが独立して始める事業に対して、どのようなブランドとして顧客に思われたいと考えているかを確固たるものにする ために大切ですが、あなたのブランドと言えば?と聞かれたときに明確に答えを出せることも合わせて大切になってきます。

コンセプトは家で言う柱であると述べましたが、柱を立てれば家が次にどのように作られるかを想像できるように、ブランド作りにおいてもコンセプトが決まることで、次にやらなくてはいけないことが明確になってくる効果があります。

デザインが楽しいからそれでいいと満足するのではなく、あなたのデザインをブランド として世間に周知してもらうためにもブレのないコンセプトを定めましょう。 独立して早く事業を行いたい気持ちは理解できますが、コンセプトに時間をかけて決めることで、必ず必要になるビジネスモデルも見えてくることになります。

事業で悩んだときには最初のコンセプトに立ち返れば完璧ではないものの、必ずある程度の解決策が見えてくるようなコンセプトが決定していれば最終的にはあなたの時間を最も節約してくれる最高の存在になってくれるはずです。

コンセプトを作っていこう

ここではブランドコンセプトを作るための考え方を説明します。
いくらコンセプトを作らないといけないと思っても、どうやって作ればいいのかそもそもわからなければ、コンセプトを作る以前に挫折してしまうので、あなたのブランドコンセ プトをどのように導き出すのかの参考にしていただけたらと思います。

あなたのブランドらしさを掘り下げる

顧客が好きなブランドをデザインで選ぶことがあるように、デザイナーであるあなたにもお気に入りのデザインやこれまでは実現できなかったが温めていたデザインが存在する ことと思います。しかし、これがコンセプト作りの際に危険なものになってくるので要注意です。

危険だと述べた理由は、温めていたお気に入りなどのデザインは、その時点であなたが「いいな」と感じたものをまとまりなく集めたものであるという可能性が非常に高いからである。あなたがこれまでのデザイナーとしての時間で気に入ったものに果たしてブランドとし て成り立っていく統一感が存在しているかどうかをよく見直してみてほしい。

デザインのネタはあるからということで統一感を感じない商品を同じブランドとして発売してしまうと、外部からみていると一体このブランドは何を表現したいのかよくわからないということになってしまい、顧客になってくれるかもしれない人々にあなたのブランド の特徴が全く伝わらないという悲しい事態に陥ってしまうことになりかねない。

そこでコンセプトを作る時は、、、、
 あなたが得意分野である強みは何か
 あなたがどんなことがあっても継続していけることは何か
 世間で必要とされていることかどうか
 他のブランドと比較してどのような特徴が際立っているか

の4つを基本として考えてみるといいでしょう。

最初に覚悟しておいてもらいたいのは、このコンセプトを生み出すのは時間がかかるということです。なかなか生み出せないからと見切り発車することなく、この段階では何度も自分に問いかけて、あなたしか生み出せないコンセプトを考えて下さい。 あなたしか生み出せないコンセプト、はいずれ間違いなくブランドを予想外に飛躍させてくれる存在になるはずです。

ブランド独自の世界を構築しよう

ブランドの世界の構築は根本的なデザインが素晴らしいことが前提になってきます。 いくら世界観が独自でおもしろくても顧客が身に着けるには躊躇するような商品ばかりではブランドとしては成り立たなくなるからです。

あなたのデザインが優れていることが客観的な視点で評価されているのであれば、デザ インに世界観を加えることでより顧客にアピールすることに繋がってくるでしょう。 私が好むイタリアのスーパーカーメーカーには創業者が車を作るまでの逸話が残っています。

その部分に共感できるからこそ、他のメーカーが作れば派手すぎて乗りたいと思わないような攻撃的なデザインであっても、このメーカーだから攻撃的なデザインは当然だと合点 がいくことにも繋がっています。 あなた自身がブランドを作り上げる以上は、そこには間違いなくブランドを作るきっかけとなった出来事が存在するはずです。

あなた自身では些細な出来事だと思っているかもしれませんが、顧客にとってはその些細な出来事と思われる世界観こそあなたのブランドを愛するきっかけになるかもしれないのです。

ブランドのターゲットは誰か?

世界中すべての人がターゲットはアウト

独立開業を目指している方に、どのような人があなたの商品のターゲットにしているの か?と訊ねると世の中のすべての人を対象にしています、と答える方がたまに存在します。 もし、あなたが同じように考えているのであれば、今すぐにその考え方は改めたほうがいいと強く忠告します。

少しでも多くの人に商品を販売したいという気持ちはとても理解できますが、世の中で聖人のように思われている人であっても、すべての人がその人物を慕っているわけではないように、商品でもすべての人が喜んでくれる商品というものは絶対に存在することはないと強く認識しておくことが必要になるでしょう。よく考えてみて下さい。

プレミアムブランドはなぜできる?

プレミアムブランドと普通のブランドというものは、なぜ世の中に存在しているのでしょうか?全ての人がターゲットとして商品を提供していたらブレミアムブランドという選ばれたブランドは存在しないと思わないでしょうか。

露骨な表現かもしれませんが、プレミアムブランドは明らかに顧客層を選別して商品展開を行っています。プレミアムブランドにとっては、自分たちが築き上げたブランド価値を貶めるような安い商品を、市場に多量に流通させることは自身のブランド価値に著しくダメー ジを与えてしまうことをよく理解しているので、開発の段階から顧客層を一定以上の資産を持っていると思われる所謂富裕層と呼ばれる人種にターゲットを絞って、彼らがいかに気持ちよくお金を支払ってくれるかに注力しているのです。

世間で注目されることの多い富裕層がブランドを所持することで、プレミアムブランド はさらに世間の人にブランドとしての価値を高めることに成功しています。 このように所有している人自身がブランドイメージを作り上げてくれるということも覚えておくと役に立つでしょう。

顧客が商品を所有することで、あなたとは意図しない場所で自然にブランドイメージを高めてくれることを考慮して、ターゲット設定時には、あなたのブランドを大好きにな り、愛用してくれるのはどんな人かを完成させればいいでしょう。先程も述べましたがすべての人に売る必要はないのです。

あなたが自分のブランドの商品を所有してもらいたいと考える人物を年齢や性別、生活環境、家族構成、収入などを具体的にして1人完成させてみて下さい。

ターゲットとなるイメージがはっきりすれば、後はそのターゲットに訴求するにはどのような方法を執るべきかの戦略を考えて実行していけばいいのです。  ターゲット設定がなく広告などで情報を発信してしまうと、全く想定していない層に情報を発信してしまい、費用だけが必要となって効果が上がらないという悲惨なことになりかねないので、ターゲット設定はリアルに人物を想像するように心がけて下さい。

例えターゲットに完璧にシンクロした顧客が1人であっても、その顧客があなたのブランドの商品を数億円も購入してくれれば、他のなんとなく商品を購入した数百人の顧客に勝る価値があると言えるでしょう。

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