等身大のママ起業を支援し、発信する~これからの社会を支える新しい働き方をつくりたい~

更新日:2017.05.22

ママたちの「雇われない」自由な働き方を提案する、「ママントレ」の代表、須澤美佳さん。お子さんが待機児童となったことをきっかけに、雇用ではない働き方を発見したそうです。地に足の着いた事業内容や、今後社会に向けて発信したいことなどたくさんの思いを伺いました。

雇用される働き方しか知らなかった

― まず簡単な経歴から教えてください。

須澤 大学を卒業した後に、三菱総研系の会社のシステムエンジニアとして6年間人事給与系のシステムをつくっていました。

結婚の都合で転勤希望を出して大阪に行ったのですが、大阪支社がものすごい激務だったということもあり、体調を崩して退職。

その後2007年に出産したのですが、その後にリーマンショックが起こり、保育園の倍率の高さもあって子どもが待機児童となり、働きたいけど働けないという状況に陥ってしまいました。

― 待機児童に関しては今もまだ解決できていない問題ですね。そこからどのような活動をされたのでしょうか。

須澤 当時の私は、働き方というのは、派遣・パート・正社員といった、雇われる働き方しか知りませんでした。でもそれだと、子どもがいる限りできないのかなと少しあきらめているところもあって。

自宅で勉強をしていたのですが、ちょうどそのときにできた女性の起業塾が始まるとのことで応募してみました。

毎週土曜日4時間の計5回の講義。聞いてみて、初めて雇用ではない働き方というものを知って。職業についても、事務かITしか自分にはないと思っていましたが、みなさんがいろいろな働き方をしているということを知りました。

― そこから世界が広がったと。

須澤 そうですね。ラッキーなことに、そこでホームページを作る仕事を引き受けることができました。そこからどんどんつながりができて、ママで起業して頑張っている人の存在もたくさん知るようになりました。

これはひょっとしたらママの新しい働き方になるのではないか、私のように雇用しか知らない、正社員やパートしか知らない人たちに「こんな働き方があるよ」ということを伝えていきたいという思いで、2012年にママントレを立ち上げ本格的に活動を始めました。

― 始めたときの事業内容はどんなものでしたか。

須澤 目指したのはママのハローワークというかたちで「こんなお仕事があるよ」という紹介と、スキルやノウハウをここで紹介していくということ。あとは、ITが苦手なママのために、個別指導をしたり、セミナーを開いたりといった支援をしていました。

フリーランスから社長も経験

須澤 その後、「パワーウーマン」という団体がWeb系でママ社長を募集していて。ちょうどフリーランスの孤独感を感じていたときだったのもあって応募したんです。

― フリーランスからいきなり社長になられたんですね。

須澤 はい。ただ、拠点が埼玉で、毎月子どもを連れて出張することが結構つらくて。子どもも翌年には小学校にあがるという時期でしたので、さすがに小学校を休ませるわけにはいかないので、1年でその仕事は辞めました。

― その時代にできたコネクションは、起業された今でも役立っているんじゃないでしょうか。

須澤 はい。社長を経験したときに、全国で60人のママクリエイターさんたちと仕事をしたことがすごく活きています。どんな人でもネットでつながっていれば仕事ができるということがわかったということもありますし。

本当はスキルがあるのにあきらめてしまっている人が、周りにすごく多いことに気付きました。逆にお付き合いのあった企業さんからも、「クラウドソーシングがすごく伸びてきているけれども、せっかくだったら地域の中で対面で話をして、コミュニケーションできる主婦の人とつながれたらいいな」という声も上がっていたんです。

それだったらそれをマッチングしたらいいのではないかという思いで、2014年の11月から、主婦の方と企業さんをマッチングする「エリアマイスター」というサービスを始めました。

フリーランス集団でプロジェクトを動かす

― 今の事業内容としては在宅ワークをメインにされているママさんの支援と、お仕事の紹介などでしょうか?

須澤 そうですね。メインはWebディレクターというかたちでしたが。法人を20167月に立ち上げたので、今はチームで、ママと企業さんをマッチングしたり、プロジェクトとしてチームで仕事をするほうにどんどんシフトしています。

― それからイベントやセミナーなどもされているそうですが。

須澤 フリーランスでやっている方の悩みの1番は、やはり情報が少ないというところです。

交流が無くて孤独になりがちなところもあるので。ママって、フリーランスでも夜の勉強会とか全然行けないんです。異業種交流会なども全部平日の夜だったりして。そういう声も多いので、だったら自分たちで開いてしまおうということで、昨年の10月からは在宅ワークの勉強会ということで基礎のところからさまざまな講座を行っています。

― セミナーや交流会に来られた方々とは、将来的には一緒にお仕事をしていくような関わり方もあるということでしょうか。

須澤 もちろんです。交流会をやっている1番の目的は、登録者の方のことをもっとよく知るということです。企業さんから依頼がきたときに、この案件にはどのような人をアサインしたらよいか、ということを考えるにあたって、すごく大事なところなので。最近は、勉強会や相談会や交流会に来られた方にどんどん依頼させていただいています。

子どもたちの将来のために私たちがいきいきと働く

― 今抱いている想いや、描いているビジョンを教えてください。

須澤 これからの子どもたちは、仕事に就くのがますます大変になってくると思います。スーパーのレジ打ちなど単純な仕事は無くなったときに、自分がどんなことができるかということをしっかり見つけないといけないので。

そう考えたときに、私たちは育てる立場として、私たちがいきいきと仕事をしている姿を子どもに見せるということも大事なのではないかと思います。

仕事観を植えつけるきっかけには、背中見て育つということもあるんだろうなというところも考えていますね。

― 確かに、お母さんがいきいきと働いていたら、自分も早く働きたいと思うのかもしれませんね。

須澤 あとは、私自身の仕事のスタンスなのですが「絶対にこうあるべき」というものを押し付けないと決めています。

私がこの活動の中でやらなければいけないことは、「場作り」。たとえば、働き方に悩んでいる人がここに来たら一歩踏み出せるきっかけができるとか、今まで知らなかった情報を得ることができるとか、つながれるとかですね。

― なぜそのスタンスを大切にしていらっしゃるのでしょうか。

須澤 私が「こうあるべき」と言ってしまったら、私の考えに賛同してくれる人は来てくれるかもしれませんが、世界の全てが私の頭の中で完結してしまい、そこからもう広がらないんだろうなという思いがすごくあるので。

「ママがやっている=片手間」というイメージ

― ママ起業家ならではの苦労や大変だったことはございますか?

須澤 私の思いを伝えてから仕事をオファーしてくださる方は、絶対にそのようなことがないのですが、「ママがやっている=片手間」だと思われていて、片手間だから安いんでしょ?といったような感覚をもたれることが多いです。「納期が間に合わないから安いんだよね」などの声も。

― 先入観からくる指摘ですよね。

須澤 「主婦だけのチームでやっていけるの?」という言われ方もしたこともありますが、主婦と言っても一応フルタイムで働いていますし、チームでやっているのでお互いにカバーし合うことはできます。

主婦の方たちはすごく真面目なので、納期間に合わせようと思ってくださる方も多いのに、やっぱり主婦の仕事=安いという、固定概念というか、捉え方をされてしまうところがまだあるというのは、実感としてあって、私が変えていきたいなと思っているところです。

― 今後は固定観念も活動の中で変えていくことが1つの課題になってきますかね。

須澤 企業としても、「片手間の人にどんな仕事を頼めるのかわからない」であったり、「どういうかたちで仕事をしてくれるのかわからない」ということがあるようです。そこで私がやっていることは、ひたすら事例を増やすことです。

実際に主婦の方とお仕事をしてもらうと、普通に仕事するよりも真面目にやるし、プラスアルファのユーザー的な目線を返してくれる側面もあるので、一度一緒にお仕事するとリピートしてくださる方が多いです。就業意欲が高いからモチベーションも高く、社会人経験もあるから即戦力にもなる。このポテンシャルに気が付いてくださる企業がぜひ増えてほしいです!

既存の選択肢に起業を加えるだけで、幅が広がる

― 今のママ起業家の潮流などはどのように感じていらっしゃいますか。

須澤 起業のハードルが低くなっているのは、すごくいいとは思います。転職先などがないから自分ができることで勝負をしていこうというのはすごく良い。ただ潮流として結構、資格を取ったら仕事ができるような感じのものが多くて。

 

 

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プロフィール

須澤美佳

ママントレ 代表須澤美佳
SEとして長年勤務を続けていたが、出産を機に退職。保活を行うもお子さんは保育園に入れず、就職の道を断念。
芦屋の女性起業塾に参加し、様々な働き方の女性に出会い、その人たちが苦手とするITの支援を行うようになる。”正社員”、”パート”という働き方ではない選択肢として”起業”があれば、という想いでママントレを起こす。
笑顔で働きたいママのフェスタ2012実行委員や、全国在宅ワーカーママのweb部門の社長を請負ったりと精力的に活動を続け、2016年7月に株式会社ママントレとして法人化。


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