宅地建物取引業の免許

更新日:2017.06.03


皆さんは、宅地建物取引業と言う言葉をご存知でしょうか。


宅地建物取引業とは、一般的に皆さんが目や耳にする、不動産屋さんなどの事を意味します。アパートやマンションなどの賃貸物件を借りる時や、マンション、一軒家の購入をする場合に、売り手と買い手の間に立って仲介をしてくれるのが、この宅地建物取引業です。
宅地建物取引業の免許を取る前に、基本的に必要とされるのが宅地建物取引士と言う、士業の免許となります。これは国家資格となっており、事業所の人数にもよりますが、この宅地建物取引士の国家資格を持っている人を一定の人数おいておかなければなりません。勿論、会社を作って宅地建物取引業を行う経営側となり、自分が宅地建物取引士の資格を持っていなくても、他の従業員が持っていれば大丈夫です。

しかしながら、その方が何かしらの理由によって会社を辞めてしまうような自体となれば、宅地建物取引士の免許を所有している人がいないと言う事になる為、会社は次の新たな資格(宅地建物取引士)を持っている人を雇うまでは事業を行ってはいけない事となっておりますので、基本的には宅地建物取引業を行おうとする方自身が、宅地建物取引士の国家資格を持っている事が通常であると考えて頂ければと思います。
では、晴れて宅地建物取引士の国家資格に合格し、宅地建物取引業を行う場合に、どのような許可や申請などが必要となるのかを見て行きましょう。

1.宅地建物取引業の免許の種類

そもそも、あなたが宅地建物取引士の国家資格を持っていると言うだけでは、会社を設立し、事業を開始する事はできません。宅地建物取引業を行う際には、必ず宅地建物取引業免許と言うものが必要となります。
その必要となる、宅地建物取引業免許の種類は以下の2つになります。
・大臣免許(国土交通大臣):2以上の都道府県に事務所を設置して宅地建物取引業を営む場合に必要になります。
・知事免許(都道府県知事):1つの都道府県のみに事務所を設置して宅地建物取引業を営む場合に必要になります。
この二種類に分類されております。

2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合の、大臣免許に関してですが、これは、事務所が2つあるかどうかではなく、その2つの事務所がどこに設置するのかと言う事がポイントとなります。
ですので、例えば同じ県内に2つの事務所を設置する場合であれば、知事免許で良いと言う事になり、大臣免許が必要な場合には2つの事務所が異なる都道府県に設置されている場合に必要と考えておいてください。

1-2.宅地建物取引業の定義

宅地建物取引業者を営む者には宅建業法の中に確定的な定義が存在しています。
★1つ目が、「宅地又は建物について自ら売買又は交換することを業として行う」
★2つ目が、「宅地又は建物について他人が売買、交換又は賃借するにつき、その代理若しくは媒介をすることを業として行う」
とあります。

つまり、業として行うと言う事(それを事業として運営して行くという意味になります)がポイントとなるでしょう。客観的に見て、明らかに不動産に関する業、経営、運営をしているとみなす事ができるのであれば、この宅地建物取引業の免許が必要だと言う事となります。

2.宅地建物取引業の免許には失効がある

宅地建物取引業の免許を持っていたとしても、半永久的に使えると言うわけではありません。この免許は、5年ごとに更新をしなければならないのです。更新をしなければ、失効する事となり、宅地建物取引業として経営をする事は不可能となります。

失効に関する事由に関しては次の通りとなります。
①5年ごとの更新に関する手続きを行わず、受けていた免許の有効期限が満了した場合。
②免許の換えに際して、新しい免許を受けた場合。
③事業を廃業とした場合などに、その届出を行った場合。
④個人で運営している宅地建物取引業者が死亡したり、合併などによって消滅した場合。
⑤④に該当する事実が判明した場合。
⑥宅地建物取引業の免許を取り消された場合。
以上の6点が失効の事由となっています。

あなたが継続して宅地建物取引業を行うつもりであれば、免許の更新は絶対に忘れないようにしてください。

3.宅地建物取引業の免許を拒否される場合

宅地建物取引業の免許は欲しいと思った方が免許の申請をすれば、誰でも免許を貰えると言うものではありません。申請をしても、免許を拒否される理由としてはどのような事が上げられるのでしょうか。

ここでは大きく2つに分類して免許を拒否される理由を解説していくことにしましょう。
①記載漏れや、虚偽の記載など。
これは、申請をする際に、添付をしていた書類につき、記載漏れがある場合や、虚偽(嘘)の記載があった場合が該当します。
更に、拒否の記載をした場合についてですが、当然の事ながら免許の申請は拒否される事になりますし、嘘をついているわけですから、100万円以下の罰金に処される事になりますので、絶対に嘘の書類を提出しないように注意して下さい。

②成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ていない人。
成年被後見人や、被保佐人と言うのは、体が不自由であったり、何かしらの理由によって自身で契約や、判断をする事が難しい場合に、裁判所によって代理人を立てられている人の事を意味します。
また、破産者で復権を得ていない人と言うのは、自己破産をした人は、法律上「破産者」と言う扱いになっています。このような方々は、制限を受けている事になります。
ただし、復権と言い、この制限を解除されて、一般の人と同じ状態に戻る事があります。ここでは、この復権を得ていない人も、宅地建物取引業の免許を拒否される事になります。

③宅建業法の法律の中にある項目の一部(※66条1項8号、若しくは9号)に該当し、免許を取り消されており、その取消をされた日から5年を経過していない人。

④上記※に該当するとして、免許の取消をされたり、その処分の聴聞(ちょうもん)の日や場所の公表をされた日から、処分をする、しないを決める日までに、解散したり廃止をする事を届ける事によって処分から免れた人で、その届をした日から5年を経過していない人。

⑤上記④の期限の内に、合併するなどして消えた法人(会社など)、または、解散や廃業の届をした法人の聴聞の公表される日より前の60日以内に役員であった人で、その消えた、若しくは届をした日から5年を経過していない人。

⑥犯罪を犯し、禁固刑以上の刑に処された人で、その刑期が終わる、若しくは刑の執行を受ける事が無くなった日から5年を経過していない人。

⑦宅建業法、又は暴力団員によって、不当な行為の防止等の法律に対し、規定違反をした等の事によって、又はその他暴力行為の処罰に関係する法律の罪を犯してしまい、罰金の刑を処された人が、その刑を終えたり、執行を受ける事がなくなった日から5年を経過していない人。

⑧宅建業免許の申請をする前の5年間の間に、宅建業に関して不正を行った人や、著しく不当な行為をしたとされる人。

⑨宅建業を行うにあたり、明らかに不正や不誠実な行為をするとされる人。

⑩宅建業の営業を行うに当たって、未成年である場合、その未成年の法定代理人(親や、その法定代理人が法人である場合はその役員を含みます)が上記のいずれかに該当している人。

11法人でその役員若しくは、政令で定められている使用人のうちに上記の①~⑨までのいずれかに該当している人。

12暴力団員等が、その事業活動を支配する人。

13宅建業を行う時は、従業員の数に合わせて法律により何人の宅地建物取引士の国家資格を有している人を置いておかなければいけないと言う規定があります。この規定の人数に到達していない人。

このように、拒否をされる理由としては、細かく規定が設けられている事がわかって頂けたと思います。法律的に条文がある為、少し噛み砕いて掲載させて頂いていますが、法律における条文と言うのは、一般の方にとっては、非常にわかりにくく、理解しにくい項目だと思われます。
ですが、免許を受けたいと言う人が、それまでの人生の中で、常識から逸脱した行為などを行っていないのであれば、そこまで気にする必要はないと言えますので、ご安心下さい。

4.申請をする前に専任の取引士の登録をしておこう

実際の免許の申請を行う前に、やっておくべき事がありますので、こちらから先に解説させて頂きたいと思います。
ここをしっかり行っておかなければ、免許の審査の時に指摘を受けるケースもありますので、確認しておいて頂きたいと思います。

4-1.専任の取引士って?

宅地建物取引業の免許を受けるに当たって、上記でも解説させて頂きましたが、宅地建物取引士と言う国家資格が必要となります。専任の取引士と言うのは、この国家資格に合格した後、宅地建物取引士として登録を行い、その免許の交付を受けて事務所や営業所などに、常時勤務している宅地建物取引士の事を意味します。

宅地建物取引業を行うにあたり、上記でも少し触れておりますが、宅地建物取引士の資格を有している者をどのくらい置いておかなければならないかと言うのは、法律によって定められております。その人数は、1つの事務所ごとに、5人に1人の割合で設置しなければならないと言う規定があります。その中で、専任の宅地建物取引士を置くと言う事ですが、宅地建物取引業における法律には、専従性と言う言葉があります。専従性とは、そこに常時勤務して、宅地建物取引業の業務に従事している言う事をイメージして頂ければ良いと思われます。この専任の宅地建物取引士を置く必要があるわけです。

4-2.専任の取引士がしておく事

取引士資格登録簿と言うものがあります。ここには、宅地建物取引士の資格を有している人の勤務先名が登録されております。宅地建物取引業の免許を、新たに申請をする時に、専任の取引士として就任される方については、この取引士資格登録簿に勤務先の名前が登録されていないと言う必要があります。

しかし、実際には、宅地建物取引士である本人が、この取引士資格登録簿に登録されている勤務先の名前がどのようになっているのかと言う事について記憶がないと言う事が多いのです。ここを確認するには、宅地建物取引士資格登録申請書、またその後に貰う宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書の控えを探してみて下さい。探しても見つからないと言う場合については、申請をスムーズに行う必要がある為、登録をした先の都道府県に必ず事前に確認を行う事が大切です。

更に注意して頂きたい項目としましては、新しく免許の申請をする時以外に、新しく就任される場合です。この時も、専任の取引士については、専任の取引士の変更をする届を提出する前に、事前に宅地建物取引士の資格登録簿変更登録申請を行っておかなければならないからです。会社側が行っている就任または退任の変更の届では、資格登録簿の内容が勝手に変更となる事はありませんので、注意が必要です。

都道府県によって差はあるかもしれませんが、基本的に登録の申請書に関しては国土交通省の地方整備局のホームページより申請書類がダウンロードができるようになっておりますので、予め確認をしておきましょう。
ちなみに、変更登録をする際に必要な物を上げておきます。(例:東京都で行う場合)
・宅地建物取引士証
・宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書2部
・退職証明書1部
・印鑑(シャチハタは不可ですので認印を準備するようにしてください)
これらを用意し、各不動産課免許係にて変更手続きを行いましょう。

5.実際の免許申請の流れについて

5-1.書類の作成

免許申請については、宅建業の申請書類を作成する事から始まります。申請書には、申請をする人、名称や商号、個人または代表者に関する事項、法人の場合であれば、役員に関する事項も必要となります。
次に、事務所に関する事項と、政令で定められている使用人の事項、選任の宅地建物取引士に関する事項等を記載し、提出をします。

5-2.申請料金に関して

申請をする際には、申請手数料を支払わなければなりません。この手数料の事を登録免許税と言います。
これは上記の種類で申し上げたように、知事免許と大臣免許によって税額には違いがあります。同じ都道府県内に一店舗以上の営業所を構える場合は知事免許となりますので、料金は33.000円です。次に別々の都道府県に二店舗以上の営業所を構える場合については大臣免許となりますので、料金は90.000円となっております。

5-3.審査を受ける

宅地建物取引業の免許を受けるにあたって、申請を行えば誰でも免許の交付を受けられると言うわけではありません。上記にも掲載しましたが、拒否される場合があったり、欠格事由があるのです。申請を受けた側(国や地方自治体などの行政機関のことです)は、本当に免許の交付をしても良いかどうかを、審査します。

自分が交付を受けられるのかどうかは、申請書類を提出する前に相手の視点に立って丁寧にチェックを行っておくとより安全な申請書類を完成させることができるのではないでしょうか。

5-4.審査期間

審査にかかる期間についてですが、こちらも大臣免許なのか、知事免許なのかによって少し違いがあります。国土交通省の大臣免許でかかる審査期間は、大体2~3か月程度かかります。一方、都道府県の知事免許については、大体30日~40日程度かかります。

免許の交付なので、案外もっと短期間で結果が出るのではと思われる方もいらっしゃると思いますが、意外にもこのくらいの期間がかかってしまいます。ですので、このくらいの期間がかかると言う事を念頭におき、他に必要と登録や準備を進めて行くと良いでしょう。免許の申請を行ってしまえば、すぐに宅地建物取引業を開始できるわけではありませんので、あなたが事業を始めようと考えている日時から逆算して早めに申請することを強くオススメします。

5-5.免許の決定

審査の結果、免許の交付を認められたら、書面にて免許日と有効期限が通知されます。ちなみに、免許証の交付を受けられるのは、この後解説させて頂きますが、営業保証金の供託や、弁済業務保証金の供託をしてからとなります。

これらを済ませ、交付を受けなければ業務を行う事はできませんし、供託金を収めることを無視して勝手に業務を開始してしまうと宅建業法の違反となりますので十分に注意が必要です。

5-6.営業保証金の供託、その他の加入や供託について

上記でもお話させて頂きましたが、例え免許の申請を行って審査をクリアしたとしても、営業保証金の供託や、弁済業務保証金の供託などを行わなければ免許の交付をして貰う事ができません。営業保証金の供託については、本店で1.000万円と言う大きな金額を用意しなければなりません。

現在では、営業保証金の供託の義務について免除をしてくれる協会は2団体となります。
それは、「全国宅地建物取引業協会連合会(ハトのマーク)」と、「全日本不動産協会(うさぎのマーク)」の2つです。
この2つは、保証協会付きの不動産団体となっています。ハトのマークの全国宅地建物取引業協会連合会は全国47都道府県全てに拠点を持っている協会です。不動産屋さんの約8割が入会していると言われていますので、非常に大きな団体だと言う事がわかって頂けると思います。(あなたが一人暮らしなどをした経験がある方であればっ不動産屋でハトのマークは一度は見たことがあるのではないでしょうか)ちなみに通称名は「全宅連」となっております。

次に、うさぎのマークの全日本不動産協会ですが、こちらは業界の中でも最も古い団体となっています。加入者数は毎年新しく開業する宅建業者の3分の1が入会していると言われております。どの選択を取るかは、事業を始めようと考えているあなたの考え方や資金力次第だとは思われますが、興味があるようでしたらこの2つの団体に問い合わせを行ってみたり、開業セミナーなどにも足を運ばれる事をオススメします。

また、団体や、同じ団体でも地域などによって入会する条件が違う事がありますので、わからない事などはしっかりと相談して確認を取っておきましょう。ここまでで、営業保証金の供託、または保証協会の加入、または弁済業務保証金の供託を済ませれば、免許の交付を受ける事ができ、ようやく事業を実際に開始する事が可能となります。

6.免許を受ける前に必要となる宅地建物取引士の資格について

宅地建物取引業をするにあたり、免許が必要な事はここまでご説明させて頂きました。また、専任の宅地建物取引士の国家資格を有しており、その交付を受けている方で専任の取引士が必要な事も、解説させて頂きました。

では、そもそも、この宅地建物取引業の元となる宅地建物取引士についても、少し解説をしておきたいと思います。
ご自身で宅地建物取引業を開始されたいと言う事でしたら、この宅地建物取引士と言う資格は必要不可欠な物と言えます。ですので、まずはこちらの知識も免許と同時に入れておかれる事をオススメします。宅地建物取引士の有資格者を、1つの事業所にて5人の内1人置かなければならないと言う規定については、これまでのお話で申しあげましたが、この人達はそもそもどのような業務をする為の資格なのでしょうか。

イメージして頂きたいのですが、アパートや賃貸などを借りる場合、若しくは、土地や建物などの不動産を購入する場合に、現地を案内してくれる方がいらっしゃるのは想像して頂ければわかると思います。この方々については、案内をするだけですから、基本的に資格は必要とされていません。実際に宅地建物取引士が行う業務については、契約を仲介する際に、重要事項説明と言う書面を見せて説明をする必要があるのです。

この説明を行う事が可能なのは、宅地建物取引士だけと言う事になります。

まず、毎年1回行われる宅地建物取引士の試験に合格する必要があります。ここで、すでに不動産業界において実務経験が2年以上ある方であれば、登録の手続きに移ります。もし実務経験がない、若しくは2年に満たないと言う場合においては、実務講習と言うものを受ける事によって、登録をする事になります。登録を行わず、宅地建物取引士の試験に合格している方は、合格者と呼びます。ですので、合格者は、登録を受けた都道府県知事から、取引士証の交付を受ける事により、実際に業務を行う事が可能と言う事になるわけです。

このように、実際に宅地建物取引業を行う為に、免許の交付を受けるまでにも、様々な事をクリアしておく必要があります。
宅地建物取引士の試験に関しても、近年は大変難しい内容になっている傾向にありますので、資格を取る為の勉強期間から、免許の交付を受けるまでの期間、そしてかかる費用などについても、事前に長い期間でイメージをしておく必要があると言えるでしょう。

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