「日本を元気にするために」。スペースマーケット重松氏の起業ストーリー

更新日:2017.06.09

対談の内容

アメリカでの広がるシェアリングエコノミーの流れを敏感に感じ取り、ビジネスチャンスへとつなげたスペースマーケット代表の重松氏。前職では、東証マザーズ上場の経験もお持ちです。根底にある「日本を元気にしたい!」という想いが、どう起業に結実したのでしょうか。お話を伺いました。

アメリカのムーブメントに着目

― まずは、起業したきっかけについて教えてください。

重松:やはり、スタートアップで急成長を体験したことが大きいと思います。社会に対してインパクトを与えていくことに刺激を受けました。それで、自ら起業したいという気持ちがふくらんでいったのかと思います。実際に起業するまでは、いろいろな人にお会いし、アドバイスをいただきつつ、ビジネスモデルを調べるなどしていました。そのうえで、自分にも実践できるビジネスを模索していったのです。

― シェアリングエコノミーに着目した理由は何ですか?

重松:起業を考えはじめた当時、アメリカで伸びているスタートアップが「Uber」や「Airbnb」などでした。いわゆるシェアリングエコノミー関連のベンチャーです。似たようなモデルのスタートアップも増えていました。そのムーブメントを目の当たりにしたとき、「これは日本でも拡大するはずだ」と確信し、そのトレンドに乗ることにしたのです。加えて、元手もそれほどかからず、私のやりたいことと合致していましたので。

私がやりたいと考えていたことはつまり、「日本を元気にする」ということです。その文脈で仕事をしたかった。シェアリングエコノミーのモデルなら、地方の遊休資産を活用し、地域活性化にもつながると考えたのです。

プロダクトストーリーを考慮する

― 次に、事業内容について教えてください。スペースマーケットの特徴はどのあたりにありますか?

重松:コンセプトは空きスペースの貸し借りですが、当初、予想していた流れとは少し変わってきています。それというのも、業者ではなく一般ユーザーが8割を占めていますので。いわゆる個人の方です。

最初は、もっと法人よりのサービス、つまりBtoBになるのではないかと考えていました。法人利用が拡大し、社会的な認知による安心感が醸成され、やがて一般ユーザーにも普及するのでは、と。

結果、プロダクトストーリーとしては、BtoBtoCという現在の流れになりました。

― トレンドをつかみ、プロダクトストーリーを考慮しつつ、突き進まれたのですね。

重松:あとは、自分が実現したいと思うことと合致していたのも大きいかと思います。できれば自分が好きなこと、得意なことで起業したいと考えていましたので。もちろん、ビジネスとして成り立たなければいけませんけどね。そのうえで、ビジネスモデルとしてもきちんと成立すると見越してから、飛び出していったという感じです。

起業におけるタイミングとは

― 日本で起業するにあたり、日本ならではのカスタマイズについても苦心されたのでしょうか?

重松:そうですね。日本とアメリカでは文化が違いますので。物の貸し借りならまだしも、場所の貸し借りとなるとプライベートな部分が大きいので、抵抗感があるかもしれないと危惧していました。その点、いきなりAirbnbのモデルを日本で普及させるのはむずかしいだろうと考えたいたのです。ただ、シェアリングエコノミーという考え方が普及さえすれば、少しずつ広がるだろうとは予想していました。

なぜなら、日本にも昔ながらの「シェア文化」があったためです。たとえば、隣近所お醤油の貸し借りをするなど、かつては自然に行われていましたよね。ですので、あとはコンセプトを理解してもらえるかどうかだと。最初のうちはハードルがあっても、普及さえしてしまえば自然になる。そのような流れをつくってしまえば、大手が参入する前に一定の地位を確立できると考え、着手したという経緯です。

― 普及させるにあたり、とくに注力された部分はどのあたりですか?

重松:Airbnbのビジネスモデルを研究していたとき、普及のポイントになるのは「ユーザーレビュー」だと思いました。部屋のオーナーと利用者、双方によるレビューです。これはまさに、SNSが普及していたからこそ可能になった仕組みです。いわゆる「ソーシャル的な評価」が双方に安心感を生み、サービスの拡大に寄与してくれる。そこにスマートフォンというデバイスが拍車をかけました。

ですので、シェアリングエコノミーのモデルで起業しても、10年前であればもっと苦労したと思います。やはり、タイミングは大事ですので。似たようなビジネスモデルが同時期にでてくる背景には、そのような理由があるのです。

協会を設立する意義について

― 重松さんは一般社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事もされていますね。その理由は何でしょうか?

重松:とくに新しいコンセプトのビジネスを普及させるには、法的なアプローチも必要となります。その点、個社で挑むよりも団体として政府に働きかけた方が効果的ですよね。それでシェアリングエコノミー協会を立ち上げました。シェアリングエコノミーのようなビジネスで難しいのは、まさにその点にあります。社会全体から受け入れられるための土壌を構築しなければ、ビジネスとして成り立ちません。だからこそ、団結する必要があるのです。

もちろん、各社ともにそれぞれのビジネスがあるわけですが、ムーブメントとして普及させたいという気持ちは同じです。社会のために、です。その点、シェアリングエコノミー協会の活動には、大きな意義があると思います。

さらなるチャレンジを続けていくために

― 今後の目標についてはいかがでしょうか?

重松:注目している分野は「民泊」です。政府が今国会(2017年度)に提出する予定の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」は、今、大詰めです。本法案が通れば、ようやく日本でもきちんと民泊をスタートできるかと思います。そのマーケットはかなり大きいですよね。日本人の民泊経験者はまだ少ないと思いますが、安く宿泊できるということだけでなく、新しい体験として利用してもらえるようになれば、より普及するかと思います。

海外においては、旅行者の2割ほどが普通に使っているそうなので。もし日本でもそのような流れがくれば、相当なビジネスチャンスになるはずです。そのあたりはチャレンジしていきたいですね。

スペースマーケット
https://spacemarket.com/

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プロフィール

重松 大輔

重松 大輔

2000年NTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーション等を担当。 2006年、当時10数名の株式会社フォトクリエイトに参画。 一貫して新規事業、広報、採用に従事。ゼロから立ち上げたウェディング事業は現在、全国で年間約3万組の結婚披露宴で 導入されるサービスまでに育つ。2013年7月東証マザーズ上場を経験。2014年1月、全国の貸しスペースをマッチングする株式会社スペースマーケットを創業。


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