仲間からの共感を、それぞれの過去を、サービスに。バハール・イシャナズ氏インタビュー

更新日:2017.12.15

 第2回目は早稲田大学政経学部に通いながら、「国際サバイバル (KOKUSABA)」という教育事業を始めたシンガポールにルーツを持つ日本人、バハール・イシャナズさんに日本でスタートアップを立ち上げるに至った背景を聞いた。

<バハール・イシャナズ氏プロフィール>
 日本生まれ日本育ち。14歳の時に親の仕事の関係でシンガポールに渡る。早稲田大学政経学部2年生。インターナショナルスクールに通いながらも、英語がまだ十分に使うことのできない学生を対象に、英語授業のフォローアップができる「KOKUSABA」を立ち上げる。

国際サバイバーに「KOKUSABA」!!

――インターナショナルスクールに通いながらも、英語がまだ十分に使うことのできない学生に、授業のフォローアップができる「国際サバイバル (KOKUSABA)」という教育事業は、どんな内容でしょうか。

バハール・イシャナズ氏氏(以下、イシャ) 「日本国内でも、英語やグローバル教育への関心が高まり、『中学や高校は国際学校に』『大学は英語で授業を』と考える学生や親が増えていると思います。そういった方たちをターゲットに、インターナショナルスクールに入る前の英語力の向上に、また学校に入ってからの授業のフォローアップに、私たちのサービスを使っていただいています」

得意な勉強が日本語から英語になっただけで、ついていけなくなる・・

――何かきっかけがあったでしょうか。

イシャ 「私の両親は日本に帰化したマレー系で、私自身は日本で生まれ育ちました。小学校は日本の公立学校に通い、中学校からはインターナショナルスクールに進みました。この日本の学校とインターナショナルスクールに通った経験がKOKUSABAにつながっています」

「インターナショナルスクールというと、英語がペラペラ、何カ国語も話せる学生しかいない、という印象を持たれるかもしれません。しかし、最初からみんな英語が使えるわけではなく、英語が十分に話せない学生もいるんです。私自身も英語での授業についていくのに非常に苦労した経験があります」「日本の公立学校に通っていた小学校時代は、皆勤賞を取ったくらい、勉強も学校も大好きだったんです。でも、インターナショナルスクールに入って、英語での授業に慣れていないだけなのに、周りから勉強ができない子だと思われてしまう。英語で授業を理解するのも実際大変でしたし、すごく辛かったのを覚えています

仲間からの共感を、それぞれの過去を、サービスに。

――まさに今の「KOKUSABA」のターゲットの思いをイーシャさん自身が経験されたと。

イーシャ 「大学で日本に戻ってきた時から、このKOKUSABAのアイディアをずっと抱いていました。早稲田の政治経済学部に通う学生は、インターナショナルスクールに通っていた学生が多く、私のKOKUSABAへの想いにすごく共感してくれたんです。みんなも私と同じく授業についていくのに大変だったと。当時の私たちが必要としていたサービスを作ろう、と考えました


――ちなみにイーシャさんは、現在20歳の現役大学生。大学ではどういったことをされているのですか?

イーシャ 「高校時代はインターナショナルスクールでIB(International Baccalaureate)という、国際バカロレア機構が提供する教育プログラムを受けていました。そこで学んだ『経済学』が面白かったんですね。日本が恋しかったので、日本の大学に進もうと決めていたのですが、日本語で大学の授業の履修するのは厳しいと思ったので、英語で授業を受けることができる早稲田大学政経学部に進みました。経済学を勉強しています。教授や周りのみんなも個性的でいい人ばかりで、刺激的な環境ですね。毎日楽しく過ごしています」

「アルバイトは塾講師と家庭教師をやっています。KOKUSABAのアイディアを思いついた時、まずは日本の教育業界を知るために、塾でインターンをしようと考えたんです。でも日本でいうインターンというのは、就職活動のためにあるものといいますか……。私以外にそのインターンに参加したのは就活生だったんです(笑)。大学1年生からインターンを探して、働く経験を積むのは、他の国だと普通のことなので、インターン文化があまりないのも一つ、日本で驚いたことですね」

大学生こそ社会を探求するのにふさわしい

――大学に入られてすぐ「KOKUSABA」の実現に向けて動いてこられたんですね。

イーシャ 「私は、この子供と社会人の間『大学生』こそ、社会を探求するのにふさわしい時期だと考えています。まだまだ学ばないといけないこともたくさんありますが、一方でこの若さゆえの、私たちにしかない知性があると思うんです。しがらみなく自由に動くことのできる今こそが、ビジネスを始めるのにベストなタイミングだと思います。もし失敗したとしても、失うものもないですから」

「このKOKUSABAを進めることになったのは、シンガポールにいる母の知人ザイ・ミズティーク(Zai Miztiq)さんと出会ったことが大きいかもしれません。その方はイスラム教徒の女性で、ヘナタトゥーのアーティストでもあり、ヒジャブを海外で販売しているほか、『Turn Your Passion to Profit』というベストセラーの本の著者でもあり……と幅広い活動をされているんですね。その方に言われました。『お金でお金をつくるのではない。アイディアでお金をつくりなさい』と。この言葉がこう心に響いたんです。アイディアだったら、リソースがない私でもできる、そう思いました」

「またリソースがないというのは、自分の持っているものの範囲で見てしまいがちですが『本当はすぐ周りにある』と言われたんです。それは、私の場合だったらKOKUSABAの思いに共感してくれる仲間の存在で。私にできないことは、できる仲間に任せる。私は一人でなんでもやるところがあって、それって自分の長所を生かしきれていないんですよね。みんなでKOKUSABAを大きくしていこう、という思考に変わりました」

国サバチーム

父と母から学んだこと、日本と外国から学んだこと

――イーシャさんのこれまでの経験で、プロジェクトに生かしていることを教えてください。

イーシャ 「私の父は当時成長していた日本に勝機を見出して、日本に渡ってきています。未知の世界に飛び込み、キャリアを築いてきた父の背中は大きく、その勇気と起業家精神を見習っています。母はストイックな父とは違って、大らかで純粋なんですね。母のすごいところは、ものすごい金持ち、ものすごい権力がある人とも壁を作らず、誰とでも仲良くなってしまうこと。先ほどのリソースの話にもつながりますが、欲しいリソースがあったとして、そこにゼロのつながりから電話やメールで営業をかけるよりも、誰か共通の知人を介してつないでもらったほうが、信用もしてもらえますし、リソースを掴みにいけると思うんです。ネットワーキングは特にリソースがない起業家に大事だと感じるので、そこも見習ってやっていますね」

「私は日本が大好きなんです。もちろんシンガポールも日本と同じように美しい外観なんですけど、その中身が違うんですよね。シンガポールは政府が作ったルールを破らないために、その秩序がある。でも日本は、日本人一人ひとりの心に秩序がある。この違いは『思いやり』の精神によるものだと思います。日本はみんなと同じを良しとしますが、そこに他人を気遣う心があると思うんです。対して、インターナショナルスクールでは、自分の意見を伝える、自分に正直になる大切さを経験しました。この『他人を考えること』は『自分を考えること』のバランスを、組織を回してくのに意識しています」

日本人の最大の障害は、自分の能力を過小評価すること

――日本で起業を考えている日本人に向けて、何かメッセージをお願いします。

イーシャ 「ビジネスを始めるには多くの困難がありますが、最大の障害は、自分の能力を過小評価してしまうことだと思います。私たちは、自由であるようで『学生はビジネスをするべきではない』『お金が足りないとビジネスは失敗する』という、社会の当たり前・価値観に縛られてしまっていると思うんです。それを自覚したうえで、『Never, ever be afraid to give yourself what you want. Work for it, work hard for it.』(訳:決して、怖がるなと。自分が望むものに突き進むことを。どこまでもそれに向かって突き進みなさい。)という考えを私は大事にしています。『自分はできる、できない』ではなくて、『自分は何ができるのか』で物事を思考するようにする。そして、ゴール、目標は何なのか、それをいつまでに達成するのか、を決めて行動し続ければいいんです。自分の望むことは、歩みをとめなければ実現できると信じています」

KOKUSABAホームページ: www.kokusaba.com
KOKUSABAブログ: http://kokusaba.com/kokusaba-news

<2018年 KOKUSABA サマースクール開校!!>
Calling all Japanese students enrolling in international schools for our Summer School program on August 2018. Limted spots available! Email us at kokusaba5938@gmail.com for more information!

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