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「時代」の変化を嗅ぎ取るメディア王 (あすへのヒント)

ポイント
  1. 米ウォルト・ディズニーが、フォックスのコンテンツ部門買収から見る転換点

目次 [非表示]

写真:米ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO、左)は、ルパート・マードック氏と買収に合意した©︎Disney

変化のスピードが激しい時代、起業家は、経営者は、何をみつめてビジネスの種を探せばいいのか。「助っ人」編集部員らが普段の仕事や暮らしから探し出した起業家へのワン・テーマを、コラム「あすへのヒント」としてお届けします。

クリスマスを控えた12月半ばの米ニューヨーク。ウォール街の話題をさらった大型買収案件がまとまった。日本でもおなじみのメディア大手、米ウォルト・ディズニーが、同業の米21世紀フォックスから映画やテレビなどコンテンツ部門の大半を買い取ると12月14日に発表したのだ。買収額は負債込みで661億ドル(7兆4000億円)というから、大きい。(参考記事はこちら→日本経済新聞電子版より)。


買収作業の完了まで今後1年半をかけるという。これにより21世紀フォックスのグループ売上高規模は年間100億ドルほどと現在の約3分の1に縮小する見通しだ。メディア各紙は、「メディア王」とも呼ばれてきたフォックスのルパート・マードック会長(86)の「帝国の終焉」だと騒ぐ。


マードック氏は急逝した父親からオーストラリアの小さな新聞社を21歳で譲り受けて以来、英大衆紙「ザ・サン」買収で地歩を築くと、1979年に現在の持株会社であるニューズ・コーポレーションを設立。英名門紙タイムズや経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」を発行する米ダウ・ジョーンズを買収したほか、映画会社の「20世紀フォックス」を買収してエンターテインメント事業にも参入。一方でニュース・ネットワーク「フォックスTV」を設立するなど、過去65年近くも世界のメディア事業を牽引しながら規模を拡大してきた。


世界の政財界に影響を与えてきたマードック氏の「メディア帝国」だが、近年はネット広告や動画の有料ネット配信が優勢になり、テレビや娯楽番組での広告収入が低下傾向にあった。放映後の作品を録画やオンデマンドで楽しむ層は増えているが、ほとんどの場合はCM=広告を飛ばして視聴する。マードック氏は今回のディズニーによる買収が発表された14日に、「断じて退却ではない。極めて需要なタイミングでの方向転換だ」と株主に説明した。


規模が大幅に縮小する新生フォックスだが、マードック氏の事業意欲は衰えたのか。新生フォックスが目指すところを調べると、そうではないことが分かる。むしろ「新しい時代の波」を改めてとらえようとの野心もうがかえる。今後、注力するのはスポーツの生中継や、ニュースなどの分野だという。部門売却後も残るFOXニュース・チャンネルはニュース専門放送で国内ナンバーワンだ。また、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)や大リーグなどの試合の放映権も持つ。
 

こうしたニュース番組やスポーツ中継は、生中継のライブ番組が依然、高い人気を誇る。こうしたライブ系番組は今も大手の広告主からの需要が高いという。ロイターなどの報道によると、新生フォックスはストリーミングなどの配信方法も強化する方針とされ、新しい時代に合わせたライブ番組を事業の柱として強く打ち出していくことが見込まれる。
 

 日本のメディアでも生のライブ番組には多くの視聴者が集まり、ツイッターなどで視聴者がそれぞれ実況しながら楽しむ文化も広まってきている。音楽CDの売り上げは伸び悩んでも、ステージでのライブやコンサートの人気は高く、ネットでの高額転売業者などが社会問題になるほどだ。

 86歳と高齢のマードック氏だが、これからの「ライブ感の重要性」を認識して事業を絞り込んだ、とも考えられないだろうか。いかに本物を生で伝えるか。同時性を提供できるか。21世紀フォックスの事業売却は、そんな時代の転換点を象徴している。

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著者プロフィール

三河主門

三河主門

2017年5月に日本経済新聞社を退社して独立。各種新聞・雑誌・ウェブメディアに記事を執筆しながら、フリーランスの編集者、メディア・リレーションのコンサルティングとしても活動している。17年11月に「Mikawa&Co.合同会社」を設立、中小企業・スタートアップベンチャーのためのPR(広報)コンサルティング、セミナーなどを手掛けるほか、教育関連コンテンツの製作も開始した。 日経記者時代は主に企業取材を担当。産業部(現・企業報道部)記者として長い経験がある。2007~10年にバンコク支局長として駐在した経験と人脈を生かし、タイのビジネス・社会・文化を研究・紹介する活動に長く携わる。