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劇団四季が導入する「字幕メガネ」の大きな可能性(あすへのヒント)

ポイント
  1. インバウンド効果を狙うスマートグラス

目次 [非表示]

変化のスピードが激しい時代、起業家は、経営者は、何をみつめてビジネスの種を探せばいいのか。「助っ人」編集部員らが普段の仕事や暮らしから探し出した起業家へのワン・テーマを、コラム「あすへのヒント」としてお届けします。


劇団四季が2018年2月26日から、札幌市にある専用劇場「北海道四季劇場」で、海外から訪日したインバウンド客を取り込むための新しい装置を導入する。劇団が日本語で上演する「ライオンキング」を観ながら、英語や中国語、韓国語で字幕をリアルタイムで見ることができる「スマートグラス」だ。


これは「へー、便利だ」と単純に聞き逃してはいけないニュースではないか。同劇団やこのスマートグラスに協力している会社が思っている以上に、様々な市場が広がっていく可能性がある、と筆者はみている。


劇団を運営する四季(横浜市、吉田智誉樹社長)が同年1月31日に発表したプレスリリースによると、セイコーエプソンが開発し子会社のエプソン販売(東京・新宿)が販売する「両眼シースルーでハンズフリー」が特徴のスマートグラス「MOVERIO(モベリオ)『BT-350』」を使う。観劇している最中にグラスを通した視界の下に字幕が出る。この字幕表示と音響技術はエヴィクサー(東京・中央、瀧川淳社長)が開発・提供したという。


劇場での貸し出しはイヤホンガイド(東京・中央、久門隆社長)が担当し、海外から来た客は1万円をスマートグラスのデポジット(借受金、後に払い戻す)として預けると、利用が可能になる。中国語は簡体字、繁体字ともに対応。また日本語も表示できるという。


四季は、海外からの観光客が多い札幌からまずは導入。日本語で歌われる四季の舞台をリアルタイムに字幕上演で楽しんでもらう。実際に観劇した客の反応を見ながら、インバウンド旅行者の多い福岡市など他の都市でも導入できるかを検討するという。四季の越智幸紀専務は「観たいお客様がどれだけいるか予想し難いが、日本に来る観光客が興味を持ってもらえるよう、広報宣伝活動を中国など海外で展開したい」と意気込む。


日本人でも、海外でオペラや演劇、ミュージカルを見る人は多いだろう。だが、語学力を持っている人でも全てを聞き取れるとは限らない。仮にイヤホンで日本語の解説が入っても、舞台で進行している劇の内容に合わせてセリフが進んでいくことはほぼない。日本で歌舞伎や文楽を英語・中国語などで解説するイヤホン音声ガイドもそうだが、文化的な違いや背景の説明などが途中に入るため、すんなりと舞台の内容を理解できる例は少ないことがほとんどだ。


もしも、スマートグラスを個人が所有したら、どうなるだろう? スマートグラスを、個人が持つスマートフォンなどと連携させる。そして、個人が見たい演劇や映画、オペラなどの字幕や音響を事前にダウンロードする。舞台を観ながらスマートグラスに流れた字幕を追って内容を理解できるし、スマホの画面には時代背景や文化の違いなどの解説などが表示されたら、舞台も字幕も画面での解説も楽しめる。


……そんな個人が持っているスマートグラスで世界中の舞台が楽しめる時代が来れば、日本に来るインバウンドだけでなく、日本人が海外へと出ていくアウトバウンド旅行も刺激されるに違いない。観劇や映画鑑賞だけでなく、利用シーンは広がっていかないだろうか?


スマートグラスは用途がいまひとつ不明確で市場も盛り上がりに欠けていたが、舞台を観ながらスムーズに字幕を追えるという一つの新しい事例が登場したのではないか。そんな風に妄想していると、未来がとても豊かになるような気がするのである。

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著者プロフィール

三河主門

三河主門

2017年5月に日本経済新聞社を退社して独立。各種新聞・雑誌・ウェブメディアに記事を執筆しながら、フリーランスの編集者、メディア・リレーションのコンサルティングとしても活動している。17年11月に「Mikawa&Co.合同会社」を設立、中小企業・スタートアップベンチャーのためのPR(広報)コンサルティング、セミナーなどを手掛けるほか、教育関連コンテンツの製作も開始した。 日経記者時代は主に企業取材を担当。産業部(現・企業報道部)記者として長い経験がある。2007~10年にバンコク支局長として駐在した経験と人脈を生かし、タイのビジネス・社会・文化を研究・紹介する活動に長く携わる。