「3割打てば一流打者」の発想で圧倒的なスピードを意識しよう

更新日:2018.02.08

野球やラグビーの現場でアスリートのトレーニングをサポートしているコンディショニング・コーチの弘田雄士です。

スポーツ現場のグラウンドで、「回転テーブル状態のスタッフ」をみることが多々あります。スポーツチームに携わっているスタッフは選手や編成部が思う以上に忙しいもの。中でも、プログラム作成やGPS(位置測定システム)データの管理や入力、日々のトレーニングプラン、進捗状況の報告書を書いて提出するなど、こなすべきタスクはたくさんあり、締め切りはどんどん迫ってくるわけです。

ひとたび通常業務の波に完全につかまり追われ始めたら、抜け出すのは至難の業です。日々の忙しさのせいで、自分の志や目的、それを達成するための目標などは、だんだんと忘却の彼方に消え去ってしまうことさえあります。「これが本当に自分のやりたかったことだったのかな」とハタと感じた時には、もう燃え尽きる寸前ということも。こんな経験は起業家や独立したばかりの方にも、多かれ少なかれあるのではないでしょうか。

「リーダー」として忙殺されないために

小さいながらも一国一城のリーダーという立場ならば、自分自身は必要な精度を見極め、それをクリアするための圧倒的なスピード感をまず意識すべきでしょう。もちろん高い完成度が求められる案件もあります。しかし、そういった案件は全体のタスクの1割程度あるかないか、ではないでしょうか。

現実問題として、我々が直面している問題の大半は70~80点でいい。最も求められるのは圧倒的なスピードでまず形にすること。細部の改善点は事後にPDCA(Plan→Do→Check→Action)のサイクルを「驚速」かつ「らせん状」で回しながらしていけばいいのです。

私が専門家としてスポーツ現場で関わっている業務は、例えばプログラム作成や、トレーニング指導です。これも、こだわり抜く情熱は必要なものの、定型的な答えが存在するものではありません。不定期に依頼される派遣業務や専門外の技術コーチなどから依頼された案件は、基本的に「スピードが勝負」です。「鉄は熱いうちに打て」の姿勢でなくては、忘れられてしまいます。どれだけ精度の高いものを提案したとしても、相手にせっつかれてイライラした状態で提供しては、もはや正当な評価は受けられません。

そもそも、何が精度の高いのかを見極める専門性が先方にはありません。なので、精度を高めすぎること自体が自己満足、ともいえるわけです。方向性を間違えず、後から若干の修正や変更があることは織り込み済みで、道標となるポイントは押さえながら素早く仕上げる。短時間で100%集中し、頭から煙を出しながら仕上げて、「えいやっ!」と提案するぐらいの気合が必要です。

私は幸運にも2003年から09年にかけて、プロ野球チームの千葉ロッテマリーンズにいて、ボビー・バレンタイン監督や、レン坂田・二軍監督というアメリカ人リーダーのもとでトレーニング・コンディショニング部門を担当する機会がありました。彼らは常にスピード感を持って、優先順位のもとで迷わずに指示を出していました。これを目の当たりにして、「こういったスピード感を身につけているリーダーには部下やスタッフも不安なくついていくことができるんだな」と強く実感しました。

圧倒的な速さで仕事をしていく人は、自ずと多くのチャンスを享受できるものです。私自身も彼らから学んだ現場でのスピード感を武器にしてきたからこそ、単年契約のスポーツ現場で16年契約を勝ち取ることができてきたのだと感じています。


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社員に伝えるべきこと

少人数での業務を行っている間は互いに密なコミュニケーションができるため、細かな指示を出さなくても意図は伝わります。しかし、少しずつチームが大きくなってくると「まぁ、言わなくても伝わるだろう」が通じないケースも増えていきます。

そういった事態を避けるために、リーダーに求められるのは「3割打てば一流選手ぐらいの気持ちで積極的にあげてこいよ!」というシンプルなメッセージと「速く報連相(報告、連絡、相談)が入った事案の内容に関しては責めない」という2点に絞られます。「とにかく企画書を明日までにA4用紙1枚にまとめて持ってきて」「アイディアを30個提出すること」「最低限の精度でいいから一刻も早く上げてよ」といった具合です。高い精度や正確性が求められる仕事も時にはあるでしょう。その際もゆっくり丁寧にやれよ、ではなく「考えうる可能性は網羅してどんどん報告と相談をしてくること!」といった指示で充分です。

私が従事してきた尊敬するリーダーたちは、一様に早い期日で形にすることを求めてきました。通用しないレベルの精度やお粗末なデータと判断すると、すぐに修正や再要求がありましたが、叱責や罵倒を受けたことは一度もありません。一方で、指示があったにも関わらず後回しにして放っておいた案件や、問題が起こった事後報告などの際には、震え上がるほどの勢いで怒鳴られたものです。

これを徹底していくと、組織の中に「まず形にし、チームに提出することこそ重要」というスピード重視の文化が形成されていきます。迷ったり問題が起きたりした場合でも、すぐ報告し相談するようになれば、しめたものですよね。10年前、20年前とは「仕事という戦場のルール」が全く変わった今。変化にすぐ対応して、動きながら修正していかなくては生き残れないのは、どの業界でも同じです。圧倒的なスピード感を組織全体が共有している文化をつくっていく意識を持つべきでしょう。

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プロフィール

弘田雄士

弘田雄士
弘田雄士オフィシャルサイト「be」

コンディショニング・コーチ、鍼灸師。アスリート・スポーツの世界でフィジカル強化・コンディショニング指導を専門としたトレーナーとして15年以上活動。MLBマイナーリーグでのインターンを経て、日本のプロ野球「千葉ロッテマリーンズ」のコンディショニング部門などを歴任。現在はラグビートップリーグ「近鉄ライナーズ」にてヘッド・コンディショニング・コーチを務める。著書に「姿勢チェックから始めるコンディショニング改善エクササイズ」(ブックハウスHD、2013年)。全国でのセミナーなども積極的に展開し、「コンディショニング」の重要性を伝えていく活動を展開している。


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