弘田雄士

3タイプを見極め効果出す一流トレーナーの「声かけテクニック」

ポイント(この記事は3分で読み終わります)
  1. 個人のタイプに合わせて声掛けを変える。
  2. 主に聴覚優位型・視覚優位型・感覚優位型の3タイプ存在する。

これまでプロ野球やラグビー・トップリーグの選手ら、のべ400人以上のアスリートのトレーニング指導をしてきたコンディショニング・コーチの弘田雄士です。スポーツの最前線で働いてきて17年目を迎えましたが、幸運にも多くの選手たちと良好な関係を築いてくることができました。

専門家としての知識や経験を日々研鑽していく中で高めてきましたが、仕事をスタートさせたころを振り返ると、幼稚な自分のアプローチを恥ずかしくも感じてしまいます。キャリアを積んできた後も、たとえ能力を買ってもらえた部分はあったとしても、年ごろも国や文化も違う選手たちから信頼を勝ち取ることはできなかった場合も1度や2度ではなかったのです。

自分なりに選手から信頼を勝ち取るための要素を分析してみると、トレーニング指導と同様に「個人個人をタイプ別で考えていることが大きいのではないか」と気がつきました。


前回の記事はこちら
年上のトップ選手から学んだスタッフ掌握の極意

人には主に3つのタイプがある

トレーニングを指導する専門家にとってはコーチングの常識ですが、人には3つのタイプがあるといわれています。「聴覚優位型」「視覚優位型」「感覚優位型」です。

聴覚優位型は、物事を文字や数字で捉える傾向にあり、論理的な思考をする人が多いようです。セルフトークも多く、気がつけば独り言をいっているようなタイプは聴覚優位型と思っていいです。野球選手のイメージでいえば、元巨人軍の桑田真澄投手やメジャーリーガーであるイチロー選手はこのタイプでしょう。

視覚優位型は、物事を映像やイメージで捉えるのが得意です。聴覚優位型に比べて感情の表現が分かりやすく、早口でせっかちな印象の人が多い印象です。ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手などは視覚優位型タイプのはずです。

感覚優位型は視覚型と似ている部分もありますが、自分の気持ちや感覚をコミュニケーションによって表現しようとします。自分の感覚をいったん言語化するため、どこかのんびりしており、ゆっくりとした口調の人が多いでしょう。神がかった守備力を誇る職人、広島東洋カープの菊池涼介選手はこのタイプに属するでしょう。

タイプによって指示の出し方や声掛けを変える

コンディショニング指導の専門家として心がけていることは「相手に伝わる言葉や手段で伝える」ということ。無意識レベルではありますが、前述した3つのタイプに各選手を分類。そのうえで相手によって伝え方を工夫しています。

トレーナー業界では、指導中の声掛けのことをキューイング(Queing)といいます。これは大きく「内的キューイング」と「外的キューイング」の2つに分けられています。

・内的キューイング…論理的で本質的な声掛け 例:「殿筋をしっかり収縮させて!」
・外的キューイング…例えやイメージを用いた声掛け 例:「後ろの壁を足の裏でグーっと押し付けるように!」

といった違いがあります。上記の3つのタイプに合わせて、このキューイングも使い分けながら声かけするのが効果的です。
聴覚優位型にはまず納得して取り組ませることが重要です。「四の五の言わずにとりあえずやってみろ!」というような言い方は、このタイプには絶対にNG。実施することで得られる利益をできるだけ可視化して伝えることが重要です。「このプログラムを3か月やることで下肢筋力が最大で20%程度向上することが期待できる」というような言い方です。ビジネスに応用するなら、内的キューイングとして「この部門の数値を15%上げるための施策を考えてほしい。期間は10日以内でA43枚程度にまとめてくれ」といった指示が有効です。

視覚優位型に対しては、とにかく資料を活用するのが効果的。画像や動画を通してイメージしやすい環境を作りましょう。まずはデモ動作を見せてしまうのも、このタイプには有効です。悪い例なども一緒に見せてあげると、実施の際の精度が高まります。パワーポイントの図を用いた資料なども効果的ですし、新規案件のアイディア出しなどにはブレインストーミングなど直感的なものがおススメです。「先方がびっくりした後、ちょっとクスッと笑っちゃうような仕掛けを考えて!」のような外的キューイングが効きます。

一方、感覚優位型に対しては「急かさない」ことが重要。このタイプはコミュニケーションの取り方や言葉のチョイスも独特なことが多いものです。ほかの2タイプよりも、特に「傾聴」の意識が大切になります。トレーニング指導では動作中に特定の部位を触れ感覚に訴えかけるものが有効です。ビジネスにおいては「報連相」をできる限りフェイス・トゥ・フェイスでおこなった方が、このタイプの能力を最大限引き出せるでしょう。外的キューイングの一部ですが、「ズーンとくる企画でなく、ドカンドカンと響くものを持ってきてくれよ」のように「オノマトペ」といわれる擬態語を駆使した表現が、このタイプには響きます。


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相手に伝わる手段を用いて目的を達成しよう

無意識でこういった使い分けをしている方も多いのではないでしょうか。改めて、明確な意識を持って3つのタイプ分けとそれぞれのタイプに対応したアプローチを用いれば、今まで以上に精度の高いコミュニケーションが取れるはずです。

正直、「ちょっと面倒くさいなぁ……」と感じる方もいるかもしれませんが、目的を達成するためには「相手に伝わる手段を用いる」のは当たり前のこと。目の前にいないクライアントやお客様をイメージすることが必須のビジネスの世界に生きる方にとっては、難しいことではありません。ぜひ参考にしてみてください。

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著者プロフィール

弘田雄士

コンディショニング・コーチ、鍼灸師。アスリート・スポーツの世界でフィジカル強化・コンディショニング指導を専門としたトレーナーとして15年以上活動。MLBマイナーリーグでのインターンを経て、日本のプロ野球「千葉ロッテマリーンズ」のコンディショニング部門などを歴任。現在はラグビートップリーグ「近鉄ライナーズ」にてヘッド・コンディショニング・コーチを務める。著書に「姿勢チェックから始めるコンディショニング改善エクササイズ」(ブックハウスHD、2013年)。全国でのセミナーなども積極的に展開し、「コンディショニング」の重要性を伝えていく活動を展開している。