起業する!個人から法人成りに!法人成りを様々な視点で解説

ポイント
  1. 個人と法人の登記にかかる費用
  2. 個人事業税と法人税について
  3. 金銭面以外で見る法人成りとは?

目次 [非表示]

皆さんは、法人成りと言う言葉をご存知でしょうか?法人成りは個人事業主として事業を運営されていた方が法人化する事。つまり、「株式会社」「合同会社」のような法人に形態を変えて規模を大きくさせる事を「法人成り」と言います。

勿論、これから起業を考えられている方の場合、最初は小規模である個人事業主として起業し、いずれは法人成りを見据えた上で、個人事業主として起業される方もいらっしゃいますし、今個人事業主として経営をされており、法人化をすでに検討されている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、個人事業主から法人成りを考える場合や、これから起業される方で、将来的には法人成りを検討されている方の為に、あらゆる視点で法人成りの解説をさせて頂きたいと思います!

1  個人と法人の登記にかかる費用

起業を考えられる方の中には、個人事業主から始めようと思われる方も居れば、いきなり法人として「株式会社」や「合同会社」の設立を考えられる方もいらっしゃると思います。

まず、ここで先に知っておいて頂きたいのが、会社を設立する際に必要となる費用についてです。少し違いがありますので、ご紹介しておきます。

  1-1  個人事業主として起業する場合の費用等

個人事業主の場合、答えから申し上げますが、設立にかかるお金は0です。必要な事は、個人事業としての開業の届けや、廃業等届け出書の提出、そして青色申告承認申請書等を提出すれば大丈夫なようになっています。

それ以外にかかる費用とすれば、税務署に出向くための交通費程度ではないでしょうか。勿論の事ながら、これはあくまでも設立の届に関わる費用面ですから、事業内容によっては別にご自身で使用するOA機器や、事務所の賃料等は、別途必要とはなりますから、個人事業主だから0円で出来る!と安心する事は出来ませんので、ご注意下さい。

  1-2  株式会社の場合

株式会社の場合は、定款の作成を行う事になります。そして、その承認を受けた後、登記を行います。費用としては以下の通りです。

登録免許税:15万円
定款謄本手数料:2000円程度
収入印紙:4万円
定款認証:5万円

合わせて25万円程度の費用が必要だと言う事がお分かり頂けると思います。ただし、収入印紙代については、専門家に電子定款を依頼する事によって無料にできますし、依頼料も収入印紙代の4万円に比べると遥かに安い為、是非ご利用下さい。

  1-3  合同会社の場合

合同会社の場合、株式の発行はせず、設立をする時に出資をした人々が社員と言う形で出資金を払い込む形態となっております。こちらも定款を作成してから出資金を払い込み、登記を行う事になります。費用としては以下の通りです。

登録免許税:6万円
定款謄本手数料:2000円程度
収入印紙:4万円

合わせて10万円ちょっとの費用がかかる計算となります。

ここでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、株式会社には「定款認証」の費用があったのに対し、合同会社の場合は認証を受ける必要がありませんので、その分安くする事が出来る上、登録免許税も株式会社と比べると半額以下となりますので、登記に関する費用としては抑える事ができます。

更に、収入印紙についても、株式会社同様に、専門家に依頼をする事で収入印紙代は0で済ます事が出来ますので、参考にして下さい。

こちらも合わせてお読みください。
個人事業と法人の違いを超わかりやすく解説

2  個人事業税と法人税について

次に、法人成りでも、先に税金面の事を知っておかなければ、法人成りのタイミングを考えるのは難しい為、税金の事についても解説しておきます。

  2-1  個人事業主の税金

まず、基本的には、個人事業主として支払う税金については「所得税・住民税・消費税・個人事業税」の4分類です。

法人と比較しますと、個人事業主の場合、総合的な設けとなる「総収入金額」から、必要経費や、配偶者等の扶養控除等を差し引いた額を計算する事になるのですが、個人では認められる経費の幅が法人に比べると狭くなるのが特徴です。課税される所得税の金額や税率は以下をご覧下さい。

・195万円以下・・・「税率」5%「控除額」0円
・195万円超330万円以下・・・「税率」10%
・330万円超695万円以下・・・「税率」20%
・695万円超900万円以下・・・「税率」23%
・900万円超1800万円以下・・・「税率」33%
・1800万円超4000万円以下・・・「税率」40%
・4000万円超・・・「税率」45%

以上の事からお分かりの通り、儲けが出る程に、どんどんと税率は上がって行くシステムとなっています。

  2-2  法人の税金

法人には、個人事業主とは別にかかる税金があります。まず、「法人税・法人事業税・法人住民税・地方法人特別税・消費税・固定資産税」等の税金が基本的にかかる税金となっております。

法人税と言うのは、個人事業主が支払う「所得税」と同じものに該当します。先に、個人事業主と同様に、以下の法人税に関する税率をご覧下さい。

★平成28年4月1日以降開始事業年度
・800万円以下・・・19%(15%)
・800万円超・・・23.4%

★平成30年4月1日以降開始事業年度
・800万円以下・・・19%(15%)
・800万円超・・・23.2%
(※ちなみに()内の数字は、軽減税率の特例となっており、平成31年3月31日までの開始事業年度まで延長予定となっています)

上記を見れば、お分かり頂けるように、法人税は、個人事業主にかけられる所得税と比べると大変シンプルな内容となっています。また、平成30年4月1日以降開始事業年度となる場合には、800万円超の場合の税率が少し下げられている事が分かります。

  2-3  税金面で見る法人成り

では、2-1.と、2-2.の税率の内容を比較してみる事にしましょう!まず、一番明確にわかりやすいのは、法人税の部分です。800万円以下なのか?800万円を超えているのか?で税率が変わります。

一方、個人事業主の場合は、法人に比べると、かなり細かく税率の設定がされている事がわかりますね。

以上の事から、総合的に見てみると、個人事業主の場合、195万円以下であれば税率が5%・・・10%・・・と上がって行く所を見ると、法人税を上回る税率が、かかる部分があります。

個人の場合、330万円~695万円ですと、税率は20となっていますが、法人の場合では800万円以下の場合15%の税率になりますので、税金面で見る法人成りのタイミングはここにあると考えて良いと思われます。

つまり、個人事業主であっても、儲けが大きくなる程に、細かい税率の設定がなされており、儲けが大きくなるのであれば、法人成りにする方が、税率が逆に下がると言う事になるのです。以上が税金面で見る、法人成りの考えとなります。

こちらも合わせてお読みください。
起業時に知っておくべき税金に関するまとめ

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