決算月を決めるのは意外と重要!!そのポイントを解説します!!

ポイント
  1. 決算月はあなたの自由に決定することができる
  2. 一度決めた決算月は変更することはできないの?
  3. 状況的に決算月にすると大変な時期を理解しよう

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いざ会社を設立しようと考えたときに、あまり重要視されないで決められる可能性が高いと考えられるのが決算月ではないでしょうか?既に会社を設立した方も、これから設立しようと考えている方も、決算月は会社を設立する場合の決定事項の中では、そこまで優先的に行うことであると思っていないかもしれません。しかし決算月は会社の存亡がかかるほどではありませんが、設立直後などであれば地味ながらも重要になってくることもあるのです。今回はそのような決算月についてお話をしていくことにします。

決算月はあなたの自由に決定することができる

これから会社を設立しようと考えている方の中には、決算月は3月でなければいけないのだろうか?と思っている方も、もしかしたらいるかもしれません。しかし、決算月は必ず3月にしないといけないわけではありません。テレビなどで決算期が報道される大企業の多くが3月の決算を選択しているので、どうしても3月に決算を行うことが当たり前であるという認識が自然と頭に刷り込まれているのかもしれませんが、法律で必ず3月を決算月にしなければいけないとは決められていませんので安心してください。さて、ではここでは例を使って考えてみることにしましょう。

会社を設立しようと考えている、あなたの誕生日が3月3日であり、どうせ設立するのであれば2月11日を会社の設立日にしたいと考えていたとします。会社設立日が2月11日になると、この日から初年度の事業年度がスタートすることになります。ここで少し考えていただきたいのですが、この場合では決算月はいつになるでしょうか?多くの方が2月から1年後がこの会社の決算月であると考えた方が多いのではないかと思います。実は必ずしも決算月は会社が設立された2月から1年後である時期にしなければいけないということはないのです。

ただし、1年を超えて2年や3年を事業年度とすることはできませんが、会社が設立されて1年間の間であれば、いつを決算月にしても問題はありません。1年で決算を行うのはいろいろと整理をしたりするので大変だと思うのであれば、半年ごとに分離させてもいいですし、さらに四半期(3か月ごと)ごとに決算月を迎えるように設定することも理論上は可能ということになっています。ただ、1年間の中でなんども決算月がやってきてしまうと、そのために決算処理をしないといけませんから、結果的には会社で行う手間が増えてしまうことが予想されますので、多くの会社が1年を決算としているところがほとんどのようですね。

ですから、例で挙げた会社であれば2月11日が設立日ですから正確に1年後と計算すると決算日は2月10日までは設定することが可能なのですが、このように月の途中での決算日は中途半端で相手に与えるイメージもあまりよくありませんので、1月31日を決算日として、次の事業年度は2月1日から1月31日とすることが一般的な会社で行われていることであると言えるでしょう。

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一度決めた決算月は変更することはできないの?

会社の設立時には決算月を決めたものの、ある程度の年月が経ってきて、当初の決算月を変更したほうが、より会社のためになると思った場合には決算月の変更はできるのでしょうか?それともできないのでしょうか?またできる場合にはどのようなことをすればいいのでしょうかについて、ここでは見ていくことにしましょう。

定款変更することにより決算月を変更することはできる

会社の1事業年度は、会社設立時に必ず作成している定款によって定めていますし、さらに定款は公証役場というところで公証人に認証を受けなければ効力を発しないことになっています。公証人という専門家の認証を受けることで、ある意味で公的な書類であるとお墨付きがでるといったイメージを持っていただければいいと思います。会社を設立して間もない方であれば、設立後に管轄の税務署に届け出をだしたことを記憶している方もいると思います。では、ここで結論ですが定款は会社のものですからいつでも変更することは可能になっています。そして事業年度がいつからいつまでなのかは定款に記載してあるということは決算月も定款を変更することで変更が可能であるという事なのです。

ちなみに定款を変更する方法ですが、ここでは株主会社を例として考えていきますが、株主総会を開催して、その中で定款を変更することが了承されなければいけません。また定款変更を了承する際の決議は一般的な決定の場合の過半数と異なる特別決議と呼ばれるものであり、議決権全体から計算して過半数の株主が出席したうえで、さらに出席した株主のうち議決権全体で計算して3分の2以上の賛成があれば定款を変更できることになっています。

株主総会の決議に関しての詳しい内容については、会社法の第309条を一度ご覧になってみてください。会社設立の時と同じですが、定款を変更した場合にも管轄の税務署に届け出をすることは忘れないようにしてください。ここで注意をしていただきたいのは、決算月を変更できるからと言っても1年を超える事業年度を設定することはできないということは十分に理解したうえで、新たに設定する決算月について考えてみるようにしてください。また決算月を変更した場合には、一度決算と申告をする必要もあるので、会社で行っている場合には結構な手間になることになりますので、日頃から相談している税理士事務所があるのであれば、専門家にお任せしたほうが、あなたは事業に専念できますのでいいかもしれません。

これは小ネタかもしれませんが、会社の売り上げ実績や、消費税の免税期間などが連動して決算月を変更したら本来支払うはずの税金を少なくすることもできたという思わぬ副次的な効果もあるようですが、とにかくここでは定款を変更すれば決算月を変更することは可能であるということを覚えておくようにしてください。

消費税の免税期間を考えて決算月変更を行おう

資本金が1000万円未満(999万円までということです)の会社であれば、会社設立から2期目までは消費税の納税が免除されることになっています。消費税の免除期間でよく間違えやすい点としては、会社を設立して2年間は消費税が免除されるのだろうといった間違った考えを持っている方がいることです。消費税の免除期間は会社を設立してから2期目(会社を設立してから2回決算期がやってきたということです)までであって、会社を設立してから2年間ぴったりではないという事なのです。

先程の例で説明した会社で言えば、会社の設立が2月11日で、それから2年間であれば2年後の2月10日になりますが、決算期を11月30日に決定していれば決算期を2回迎えた後の11月30日になるということです。消費税の免税期間を最大限に利用するためには、設立日と決算日を許された1年間という事業年度のなかで可能な限り長くすることでしょう。

1月1日に設立したのであれば決算日を12月31日にするなどすれば、定められた2年間の消費税の免税期間を最大限に利用することが可能になるということなのです。開業して2回決算を迎えているといっても、会社の資金繰りは非常に重要であることには変わりはありません。そこに8%(いずれは10%)というこれまで支払いを免除されていた消費税がいきなり発生してくるわけですから、会社の資金面を圧迫することは確実です。そのためにも設立の段階から消費税の免税期間を最大限に利用するために決算日と設立日を考えて動くということも1つの方法なのではないでしょうか。

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状況的に決算月にすると大変な時期を理解しよう

決算月は自由ですので、経営者のあなたが好きなように設定すればいいのですが、それでもなるべくなら避けた方がいい時期というものも存在しています。今回は会社の決算月にはあまり向かない時期について見ていくことにしましょう。

ほかの会社が決めているからといって、あまり考えずに3月にしてしまう

周囲の会社を見てみて3月の決算月が多いなということで、3月にしておけば自分の会社も問題はないだろうという考えで決算月を3月にすることはやめた方がいいでしょう。理由は簡単で、会社を設立して数年後にあなたの会社が大きく成長した場合には決算申告は会社内ではなく税理士事務所や公認会計士事務所、はたまた監査法人といった専門家にアウトソーシングすることになることがほとんどになります。世間で3月決算の会社が多いということは専門家の事務所も必然的に3月周辺の時期は個人事業主の確定申告も重なりますので、1年で1番忙しい時期ということになり、事務所のキャパをオーバーしてしまい細かな対応が追い付かない可能性が高くなります。

その結果として決算申告書類にミスが出てきてしまうと、また手間をかけないといけませんので、なんとなく3月にした結果で大変な目にあってしまったとなりかねません。ですから、何か考えがあって3月を決算にしたいのであればいいですが、安易な気持ちで3月にしてしまって、あとからしまった!!とならないように注意するようにしてください。

売り上げが高い月は節税対策が行いにくい

行っている事業によって変わってくるとは思いますが、売り上げが高いと予測される月を決算月にするのは避けた方が無難です。売り上げが高い月の場合には利益がどれくらいになるのかを予想するのが困難で、節税対策が行いにくいということがあるからです。このためにも売り上げが高い月はなるべくなら決算月と時期をずらすようにしてくださいね。

資金(現金)が不足する月は決算月には向かない傾向が強い

会社は法律で決算日から2か月以内に決算申告を行わなければいけないとされています。上記の例で挙げている会社であれば、11月30日が決算ですので、2か月以内の1月31日までに決算申告を行わなければいけないということです。決算申告の期限は法人税や消費税の納付期限でもあるので、現金が少ない時期ですと、資金繰りで悩む可能性もありますので、現金がある程度余裕のある時期を決算月とするようにしましょう。

会社の業務の忙しい月は避けるようにする

決算月から2か月以内には決算書を作成することもありますが、先程も述べていますが法人税や消費税の申告を税務署にも申告しないといけません。税理士事務所などの専門家にお願いしていないと申告業務に事業の時間を取られてしまいせっかくの事業の成長の機会を奪ってしまいかねません。ですから会社の業務の忙しい月は決算月としないように、会社設立の段階から業界を調査したうえで決定するようにするといいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?なんとなく決めてしまいそうな決算月ですが、意外と重要なことが理解できたのではないでしょうか?今回のことを少しでも参考にして、あなたの会社に最適な決算月を決定していただければと思います。

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