ビッグデータ時代でニーズ高まる人材を確保せよ(あすへのヒント)

更新日:2018.05.11

米フェイスブックが利用者の個人データ流出問題で火消しに追われている。フェイスブック創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏が米議会の公聴会に召喚されるなど、問題はさらに大きくなってきた感もある。

そんな中、2018年4月2日(月)の日経新聞1面に掲載された「データ分析のプロ育成」の記事に目がとまった。「データサイエンティスト」と呼ばれるデータ分析の専門家についての記事だった。彼らが手がけるのは、数値の規則性を探り出したりする統計学だけではない。専門分野に関わる問題解決や改善に対して、データを取捨選択する能力も必要だ。

日本には統計学を専門に教える大学さえも少ないのが現状で、データサイエンティストの育成体制には課題があった。そこで一般社団法人サーキュラーエコノミー推進機構が発足され、日立やヤマト、アステラス製薬、NTTドコモなどが参画するという。

東京大学や京都大学など5大学の大学院生を対象に、就職支援の一環として7週間にわたりデータ分析手法を指導する。初年度は20~30人ほどだが、早期に年間100人の育成を目指すという。

インターネットはセキュリティーやモラルの問題を常に抱えるものの、次世代の通信規格「5G」が広がっていく2020年代は、間違いなくビッグデータの時代となる。データの分析や活用法は、私たちがこれまで活用していたレベルを超えて、より専門性の高いものが求められる。

すでにデータサイエンティストは争奪戦が激しく、大手求人情報が扱う募集件数は1年間で6倍近くに増えた。膨大なデータの中から、企業やプロジェクトにとって必要な本質を見極める分析力は、AI(人工知能)でもとって代わることは難しいとされ、この専門家のニーズは今後より高まることは間違いない。

筆者はトレーニング・コンディショニングの専門家として、アスリートのトレーニングやコンディショニングを管轄している。この仕事を始めた2000年前後には目にすることもなかった、本格的なGPS(全地球測位システム)デバイス。今ではこれを活用して、各選手の練習時や試合における総走行距離やトップスピード、1分間における運動量などを管理している。

アメリカ留学時に学んだ基礎的な統計学とあわせて、自分自身を日々ブラッシュアップしながらデータ分析を実行しているが、こうした現状は15年前には想像すらしていなかった。

現在アメリカでは「データアナリスト」という肩書きで、スポーツにおける解析や活用法を考える人材育成のための大学カリキュラムが、学生からの高い人気を集めている。スポーツ分野でも、より専門的な学問を学びそれぞれのスポーツの特異性を理解したデータサイエンティストが求められる時代となった。

時代のこの流れのリアルを肌感覚で知っておくことは重要だ。大企業が伝統的に実施してきた、大掛かりな人材育成システムや、それを支える「青田買い」的な雇用は、ベンチャーや中小企業にとって難しいだろう。

しかし今後、小さな組織にとっても統計学を学び、データアナリストを目指す学生にアンテナを張ることは必須である。在学中に彼らがインターンとして「この企業で学びたい、経験を積みたい」と感じるような、魅力的で親和性のある事業を展開していくことは、一段と重要になる。

卒業後も彼らが「この組織とともに大きく強く成長していきたい」と感じるような、ストーリー性のある組織を作っていくイメージを持って、将来性のある人材を確保していく必要があるだろう。ベンチャーや小さな組織が勝ち抜いていくカギを握るのは、「データサイエンティスト」人材の確保にかかってくるかもしれない。

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プロフィール

弘田雄士

弘田雄士
弘田雄士オフィシャルサイト「be」

コンディショニング・コーチ、鍼灸師。アスリート・スポーツの世界でフィジカル強化・コンディショニング指導を専門としたトレーナーとして15年以上活動。MLBマイナーリーグでのインターンを経て、日本のプロ野球「千葉ロッテマリーンズ」のコンディショニング部門などを歴任。現在はラグビートップリーグ「近鉄ライナーズ」にてヘッド・コンディショニング・コーチを務める。著書に「姿勢チェックから始めるコンディショニング改善エクササイズ」(ブックハウスHD、2013年)。全国でのセミナーなども積極的に展開し、「コンディショニング」の重要性を伝えていく活動を展開している。


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