ついに登場「ドラクエVR」 超人気ゲームの闘いを疑似体験 リピーター呼べるか

更新日:2018.04.28

モンスターなぎ倒す!リアルに汗

動き出すVRエンタメ①

東京・新宿にあるVR ZONE SHINJUKUの外観も「ドラクエ」仕様に変更

「こいつ、どうやったら倒せるの?」

「いやー危ない! ホイミッ!」

「うわ〜、死んじゃったよ! 『しんでしまうとはなさけない』だ!」


4人人組みになって協力しながらモンスターを倒す

小さな体育館ほどの広さがある薄暗いスペースで、4人1組となって協力し合いながら、モンスターと戦っている。全員がゴーグル状のヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着しており、両手には端末を持ち、背中には回路基板のようなものを背負っている。強そうなモンスターが登場するとそれぞれが叫び声を上げ、時におびえ、時に励まし合いながら、約30分の「ドラゴンクエストの世界」に浸り、リアルに汗をかいていた。

東京・新宿の繁華街、歌舞伎町の一角にあるバンダイナムコエンタテインメント系列のVRアミューズメント体験施設「VR ZONE SHINJUKU」。4月27日に新しいフィールドVRアクティビティー「ドラゴンクエストVR」が稼働した。1回の体験料金は3200円。別途、施設に入場するために800円が必要になる。7歳以上が体験可能だが、13歳未満の子どもは保護者の同意が必要になる。

「ドラクエならではの世界をリアルに体験してもらおうと、さまざまな知恵を絞った。『ルーラ』という移動の魔法や、実際にモンスターと戦って剣で切った時の感触を実感できるようにハードにも工夫を凝らした」と説明するのは、バンダイナムコアミューズメント(東京・港)でドラクエVRのコンテンツ政策に携わった濱野孝正アシスタントマネジャーだ。短い時間でもドラクエ世界を堪能できるアイデアを厳選したという。

「原作」としたのは「ドラゴンクエストⅢ」だが、VR世界の物語はもっと単純だ。VRで体験者は、国王からの命をうけ、大魔王ゾーマとの戦いに旅立つ冒険者となる。体験者は4人1組となり、その中から「戦士」を2人、「魔法使い」を1人、「僧侶」を1人、それぞれ決めて役割を分担する。

4人のパーティーが国王と会話して部屋を出ると、360度方向に広い草原が広がる。そこで人気モンスターである「スライム」や「ドラキー」「さまようよろい」「キメラ」などと戦った後は、「山ろく」のシーンに移り、大型でパワーの強いモンスター「ゴーレム」と戦う。これをクリアすると、いよいよラスボスのいる「ゾーマ城」のシーンだ。

戦士は利き腕に持った大きな剣と、反対の腕につけた盾で自身の体や、仲間である魔法使いや僧侶の身を守らなければならない。敵の攻撃を受けてHPが下がるとVR内ではうなだれたようになる。これを僧侶が回復呪文「ホイミ」でサポートするほか、魔法使いが攻撃呪文「メラ」などで援護射撃する。

3つのシーンはそれぞれ約10分ずつ。全部が終わると、戦士役でドラクエVRを体験した20代の女性は「驚くほどの没入感で、思った以上に動きもハード。戦って動き回ると汗だくになって、明日の筋肉痛が心配です」と息を切らしながらも弾む声で話した。

ゴーグルやVR世界の中で武器となる端末などを全身につけると重さは約4キログラムにもなるが、「対象年齢の7歳から大人まで、同じ装置で体験できるようにした」と、バンダイナムアミューズメントでドラクエVRの運営責任者である田宮幸春マネジャーは説明する。3つのシーンを10分ずつに区切って体験できるようにしたのも、「4人ずつを3シーンで順番に回していくことで、長い待ち時間がなくなり、効率的に施設を稼働させられる」(「Project i Can」田宮氏)だからだ。わずか30分でも、「体験としては十分にドラクエの世界観を味わえる作りになったと自負している」(濱野プロディーサー)。


「Project i Can」田宮氏(タミヤ室長)/プロデューサー濵野氏/「Project i Can」小山氏(コヤ所長)

ドラクエといえば、最初のファミリーコンピューター向けゲームソフトが発売されたのが1986年5月だった。以後、シリーズは遊べるゲーム機はハードウエア技術の進展などで変更を繰り返しながらも、2017年7月に発売された「ドラクエXI(11)」まで進展し、また派生コンテンツなども含めて17年までに累計7500万本を販売した“おばけコンテンツ”だ。「ドラクエⅠ」の発売から32年をへて、ファンは50代のシニア層にまで広がる。「その世界観の中にいつか入ってみたい」と願う声は根強かった。それがVRで実現したとなれば、幅広い年代から多くのファンを実際の施設まで誘い込める可能性はある。

VRアミューズメント施設は、ヘッドマウントディスプレーのハード技術が進化して価格が下がった2016〜17年に本格的に広まりだした。VRを体験できるさまざまなコンテンツやゲームが開発され、それに対応する施設側のハードや機材も進化しているが、多くの人が「一度は体験してみたい」と願うコンテンツは、それほど多くない。

アミューズメント施設側にすれば、多く客を集めうるキラーコンテンツが不在だ。それだけに今、圧倒的な人気を持つドラクエのVR作品を、人々がこれからどう受け止めていくのかを、固唾をのんで見守っている。

やはりゾーマは強かった!!

体験リポート(イラスト,桃井美里)


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プロフィール

三河主門

三河主門

2017年5月に日本経済新聞社を退社して独立。各種新聞・雑誌・ウェブメディアに記事を執筆しながら、フリーランスの編集者、メディア・リレーションのコンサルティングとしても活動している。日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)で編集長。17年11月に「Mikawa&Co.合同会社」を設立、中小企業・スタートアップベンチャーのためのPR(広報)コンサルティング、セミナーなどを手掛けるほか、教育関連コンテンツの製作も開始した。
日経記者時代は主に企業取材を担当。産業部(現・企業報道部)記者として長い経験がある。2007~10年にバンコク支局長として駐在した経験と人脈を生かし、タイのビジネス・社会・文化を研究・紹介する活動に長く携わる。


林聖人

林聖人
林聖人のTwitterアカウント

フリーランスライター。
大学卒業後、商社で輸入品の流通事業に8年間携わる。
月100時間を超える残業や、生産性の低い働き方を続けることに疑問を抱き、2018年に「働き方」専門のライター・ジャーナリストとして独立。
また独立前に8つの副業を経験し、自身でも「副業」を専門テーマに実態調査や、情報発信をおこなう。
2017年から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで「働き方・副業」に関する記事を担当している。




桃井美里

桃井美里
桃井美里HP

2018年から、日本最大の起業・開業・独立者向けポータルサイト「助っ人」(www.suke10.com)の編集チームで、コラムを担当。
こども写真館「スタジオマリオ」の店長を経て「助っ人」編集部へ。
イラストや写真を用いて、難しく考えられがちな『起業』をもっと身近に感じることのできるコンテンツの発信に取り組む。
フリーのナレーター・MCとしても活動中。




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