代表取締役=社長ではない?紛らわしい用語を徹底解説

ポイント
  1. 社長が必ずしも代表取締役とは限らない
  2. 役員は社長だけではない
  3. 執行役員と執行役は紛らわしいので注意

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会社の役員・・・と一言で言っても、一体どこからどこまでが会社の役員って呼ぶの?と疑問を持たれる方は、結構いらっしゃると思います。役員と聞くと、なんとなくのイメージでは、会社における偉い人達と言う印象が強いのではないでしょうか?

答えとしては、あながち間違いではありません。会社の中での立場として、役員と名前が付く方は、会社の中での偉い地位にいる方です。ただし、役員と一言で言っても、役員には種類があります。今回は、この会社の役員について、知識を深めて頂く為に、基礎的な部分から、総合的な部分まで、あらゆる観点から解説いたします。

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会社の役員に関する基礎知識

会社の役員と言うのは、会社法と言う法律で定められているものがあります。みなさんが一般的に使う役員と言うものと、通常使われる役員と言うものには、少し違いがありますので見ておきましょう。まず、法律における会社法での役員は、次の3つとなります。

①取締役
②会計参与
③監査役

以上の3つが、法律による役員とされております。ちなみに、委員会が設置されているような巨大な会社の場合は、状況に合わせて「執行役」と言うものが役員として存在します。これらの方々を総称する形で「役員」と使われる事が多いのが事実です。ただし、正式な法律による役員として覚えておく場合は、しっかりと「取締役」「会計参与」「監査役」の3つであること。そして委員会設置会社の場合は、その役員に「執行役」が含まれると言う事を頭に入れておきましょう!

執行役員は役員ではない!?

執行役員と言う言葉を耳にした事がある方は結構いらっしゃると思うのですが、この執行役員と言うのは、実は役員ではありません。執行役員と言うのは、実は役員ではなく、社員の事なのです。ですから、役員と名前は付いていますが、役員ではなく、部長や課長などと同じく立場は従業員と言う事となります。じゃあなぜ役員って名前が付いてるの?と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

これは、簡単に言うと、会社の組織図として見た時、平社員に比べると上の方、そして取締役会からすると、すぐ下の方となります。つまり、役員ではないけれど、従業員の中で最も取締役会に近く、従業員の中で偉い人だと言うと、理解しやすいと思われます。もっと砕けた言い方をすると、次に役員会に入られる役員候補の方とイメージしてみると良いのではないでしょうか。

会社の組織図から取締役と執行役員の違いを理解しよう

それでは、ここから、もっと詳しい内容に入って見てみましょう!想像をして貰いやすくする為に、株式会社を例にとって解説させて頂きます。みなさんが、役員の中でも、最も聞いた事がある、若しくは具体的な印象が強いのが「代表取締役」だと思います。株式会社の代表取締役と言うのは、その会社の取締役代表者の事を表しております。

ただし、社長=代表取締役と言うわけではありませんので、勘違いしないようにしておきましょう。あくまでも、その会社の代表としての取締役なのだと言う事です。株式会社の場合、名前の通り、株式の発行をしており、その株式を購入した出資者(株主)がいます。その購入して頂いた株式のお金を貰う事によって、会社の資金にする事が可能となるわけですね。

ちなみに、この株式を発行し、購入して頂いたお金については、返済する義務はありません。あくまでも、会社が利益を得た時に、株主には配当金としてお金が戻ってくる事になっている為、借金のように、お金を借りて、そのお金と利息を返済しなければならないと言うものとは全く違いますので、こちらも頭に入れておきましょう。

話を戻しますが、一般的に、株式会社の株については、代表取締役社長が過半数を保有している事が多い傾向にあります。これは、その株式会社の会社自体のステージによって違いがあるのですが、どのくらい保有しているか?によって、株式会社特有の、権利関係等に違いが生じる為です。また、いくら代表取締役だからと言っても、株主には敵いません。

ここで、株式会社の組織図について、見ておきましょう。まず一番トップにくるのが「株主総会」です。この株主総会と言うのは、会社の株式を保有している出資者、つまり株主や、投資家などの事を言います。

次に、二番手となるのが「取締役会」です。取締役会は、代表取締役・専務取締役・常務取締役等の、取締役と言う肩書きの名前が付く方々の事を言います。そして最後の三番手が「部署」と言うように、3つの構成によって、組織図が成り立っております。

ちなみに、この三番手の部署と言うのは、一般的にも馴染みがある、総務部や、経理部、そして営業本部や営業部等を表しています。このように会社にも、組織図となるものがあると言う事を理解しておきましょう。

取締役って何?

では次に、役員となる「取締役」と言うのは、一体どのような方々なのかについて、解説させて頂きたいと思います。まず、これまでの解説の通り、代表取締役については、すでにご理解頂けていると思います。では、取締役と言うのは、何を表すのか?と言う事になるのですが、取締役とは、一言で表すと、「取締役会のメンバー」だと理解して頂ければと思います。

つまり、取締役とは、取締役会において、会社の大切な方針であったり、重要な内容等を決定する時にあつまるメンバーなのです。ですから、取締役が、取締役会を開く事となります。

社長は、代表取締役ではない?

では次に、みなさんも一度は耳にした事があると思われる「代表取締役社長」についてお話していきましょう。代表取締役社長とは、社長がついているので、社長=代表取締役と思われている方は、結構いらっしゃるのではないでしょうか?

実は、社長だからと言って、必ずしも代表取締役だとは限りません。つまり、社長=必ず役員と言うわけではないと言う事になります。では、取締役と付かない「社長」の場合は、一体何になるのか?と思われた方もいらっしゃると思うのですが、実は社長は、社員や従業員と同じだと言う事になるのです。

つまり、社員の中での最高責任者だと言う認識を持って頂ければと思います。なぜ、代表取締役が社長だと言う認識を持たれている方が多いのか?と言う話になりますが、これには代表取締役が、社長を兼任し、「代表取締役社長」であるケースがある為、このような誤解を持たれている方が多いと推測されます

代表取締役社長は、役員としての代表取締役と、社長の二つの顔を持っていると言うわけですね。ですから、法律上で言うと、取締役とついていない社長は、役員には当てはまらないと言う事になります。また、逆に、上記からの解説で、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、代表取締役だからと言って、社長とは限りません

社長と名が付かない代表取締役は、役員と言う事になるのです。更に、こちらもよく目したり、耳にしたりすると思うのですが、「CEO」や「COO」についても、少し触れておきたいと思います。CEOと言うのは、最高経営責任者の事を意味しており、COOは、最高執行責任者の事を表しています。

これらは、どちらも会社の役職であり、法律上の役員には当てはまりません。ですから、「代表取締役CEO」となっているのであれば、役員としての代表取締役と、CEO(最高経営責任者)を兼任していると言う意味合いになります。このように、一見、社長であったり、CEOと肩書きに付いており、その会社のトップのような印象を受けがちな名称であったとしても、実際には役員ではない場合もありますので、これらの違いについても、覚えておいて頂きたいと思います。

役員と社員の雇用形態について理解しよう

みなさんも、どちらかの企業で働いた経験がある方は、雇用契約と言うものを、入社時に会社と締結された方が多いと思います。ですから、社員の雇用形態については、想像が付きやすいのではないでしょうか?しかし、この雇用形態については、実は社員と役員には違いがあるので、こちらも合わせて解説をさせて頂きたいと思います。

社員に関しては、上記でもご説明した通り、雇用契約を結ぶ形の雇用形態となっております。一方、役員の場合には「任用契約」として契約を締結する事になるのです。これには、法律における労働基準法第9条(わかりやすく表現を変えて解説をしています)によりますと、労働者である社員については、会社や上司が監督している元で、労働を行います。

しかし、役員の場合については、上司や会社等の監督のもとで業務をこなすわけではない為、法律上では労働者として該当しないと言う事になっております。ですから、当然の事ではありますが、役員については雇用保険も対象外ですし、労災保険の適応を受ける事もないのです。(※役員と社員が同じように勤務しているような場合は例外的に、社員として業務をこなす部分のみ、雇用保険や労災保険の対象となります)

また、従業員と役員のお給料については、違いがあります。従業員の場合は従業員給与となりますが、役員の場合は役員報酬と言う形で報酬を受け取ります。更に、従業員給与については、法人税法と言う法律の上では、毎月貰える給与や賞与についても、損金として計上できるのに対し、役員の場合では損金に計上できるものには条件が存在します。

ちなみに、損金と言うのは、非課税対象の支出となる費用の事を指します。役員の報酬については、原則的に毎月支払われる定額同額給与と、税務署に事前届にて支給される事前確定届出給与だけが損金として計上できる決まりとなっているのです。

社員から役員にはなれるのか?

ここまでの解説でも、すでに想像がお付きの方も結構いらっしゃると思いますが、社員と役員と言うのは、根本的に違います。ですから、社員として入社したら、いずれ昇進を果たして役員になると言うイメージは間違いとなります。社員から役員になる場合には、一旦社員としての雇用契約を解除し、退職をして、再度役員として任用契約を締結して就任するという事になります。

まとめ

今回は、会社の役員について、基礎的な知識から総合的な部分まで、解説いたしました。これから起業等を検討される方にとっては、必要最低限の知識となりますので、しっかりと頭に入れておきましょう。

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