第1章:群れない子供時代、学生時代を経て社会人になるまで〜メンターからの手紙 河合義徳氏〜

ポイント(この記事は4分で読み終わります)
  1. 群れない・迎合しない子供時代
  2. 未来を見る「御用聞きのプロ」に
  3. 美意識があるか?

プロフィール
河合義徳 (かわい・よしのり)
有限会社バックステージ代表取締役。
1967年大阪市生まれ。日本大学経済学部卒業後、オリックスにて設備リースの法人営業を通じて多業種のファイナンス業務に従事。退社して2002年バックステージ(有限会社)を設立。エンドユーザーの満足度アップのために、店舗や企業などの「価値創造力」を育む土壌づくりをサポートしている。
また、JimdoCafe大阪/神戸の運営や、「なりわいづくり講座」、価値創造のための様々なコミュニティ事業、ファシリテーション、講演など「ひとりひとりの新しい価値の創造」をテーマにあらゆる分野で活躍中。身長は188cm。

群れない・迎合しない子供時代

僕は大阪生まれなんですが、父親が転勤族だったので、子どものころから転校が多かったんです。だから「幼馴染み」っていうのがいないんですね。大阪で生まれて宝塚にいって、京都にいって、次は東京。小学校の途中から大学卒業するまではずっと東京。社会人になったときに再び大阪に戻ってきました。

どんな子どもだったか? なぜか色々なところで興味を持たれるんですけど、子どものころから群れるのが苦手で。どこか1つのグループに属すというのは迎合するようで僕には合わなかったので、一緒に遊ぶ友達もいなかった。

孤独で寂しいかというと、実はそうでもないんですね。仲間はずれになったり拒絶されたりするわけでもないけど、特定のグループに属すると1つの価値観に縛られてしまいそうなのが嫌で、色々なグループを横断的にふらふらとしていました。だから基本、浮いてましたよ。周りも扱いに困ったと思う。

思えば、子どものときから人には興味がないんです。言い方を変えれば、僕はドライだと思いますよ。よく、「河合さんは、すごく人が好きですよね」って誤解されるんですけど、僕はいつも「いや実はそんなに好きじゃない」って返すんです。 僕が興味あるのは「人」ではなくて、その人のプロセスや興味や目指している「方向性」。その人がなぜこういう行動を起こしたのかとか、 掲げているビジョンなどで、 それが僕にない世界観だったらすごい興味があるわけ。
この感覚は自分のルーツかもしれないですね。

そして東京で大学に進学しました。そのころは音楽なんかも少しやっていて、バンドでギターも弾いていました。将来のビジョンなんかはなかったけど、ライブとか見てると思うわけです。これだけ人に「ありがとう」っていわれてお金が入る、そして演奏する側も、真剣にお客さんを喜ばせようとしている。この関係性のビジネスって、なにかなぁと。

いわゆるエンターテインメントでしょう。エンタメって、ウケなかったらまったく総スカンでチケットも売れない。逆に、期待以上ならお客さんはお金を払ううえに「ありがとう」とまでいう。これってなんなんだ?と。

でも、音楽は自分が行く業界ではないなぁと感じていました。なので、それ以外のエンターテインメントでビジネスになっている業界を見たいと思った。

例えば、街のパン屋でも「その店のパンをすっごく喜んで買う人がいたら、それも一つのエンターテイメントじゃないのか?」と思ったわけです。今が食糧危機の時代だったら、パン屋はインフラ会社にもなりうる。そういう時代じゃないけど、これだけたくさんのパン屋から、なぜこの人はこの店のこのパンを選んだのか?

そう考えると、本屋でも居酒屋でもそう。なんで俺はいつもこの本屋に来てしまうんだろう?なんでこの飲み屋に入っちゃうんだろう? と考える。

そこにあるのは「価値」なんですよね。

なにかが、なんらかの価値を生んで、それを喜ぶ人がいれば、それは全部エンターテイメントに変わるんじゃないかと思ったんです。

でも、その価値を生むための経営を僕は知らなかった。経営学部にいたはずなのに(笑)。だから、たくさんの経営者に会える会社を選ぼうと思って大学卒業後に入社したのが、オリックスでした。

未来を見る「御用聞きのプロ」に

オリックスでの仕事は、僕にピッタリでした。「未来を見る」という意味で。

僕が担当していたのは、企業への設備のリース業務。リースするときは、数千万という設備費を、契約したリース期間内できちんとその企業が返済してくれるかというのを判断しなければいけない。しかし、担保なんてないから、事実上の無担保金融なわけです。

その与信判断をするために、企業から決算書などもいただくのですが、リース会社は銀行とは違う与信判断をしなきゃいけない。

当時お世話になった上司から教わったのは「この数千万円の設備がこの企業に入って、しっかり動いて価値が生まれて、その価値がお客さんに評価されて売り上げが上がった中から、リース料を返していただくんだ」ということ。だから「決算書は過去の成績だ。過去じゃなくて未来を見ろ」といわれたんです。

この「未来を見る」ということが、僕にはピッタリだったんです!

入社して数年後にはバブルが崩壊して、色々なリース会社は案件を取るためにどんどんリース料を値下げしていました。でも、低価格競争になれば業界がつぶれてしまうから、僕らはそれを許されなかった。しかし、売り上げは上げなければいけない。ここで、工夫が生まれるんです。

上司から指示は出ない。「◯◯しろ」じゃなくて「どうしたいねん?」と聞かれる。

「すげー試されてるな」と思いました。つまり、相見積もりになると競合に負けてしまうから、1人のお客さんに対してリース契約したあとも、本気で向き合うようになる。きちんと売り上げが上がっているかなどを、一緒になって考えるわけです。
もし売れてないならどうすれば売り上げになっていくのか、どこに課題があるのかを、自分とはまったく関係ない部分でもどんどん見つけていきました。例えば、パッケージデザインに問題があるのかな、とか。

クライアント企業の課題解決のために僕ができたことは、自分のまわりにいる優秀な人たちを探すことでした。社内外問わず「僕はその問題についてはわかんないですけど、わかる人がいると思うんで探してきます!」って。

重宝されたのは、うちの会社の優秀な先輩たち。審査部、法務部、財務部、経理部、あらゆる部署にブレーンがいる。僕には半分くらいしか理解できないことでも、クライアント企業の社長さんに情報提供することで喜ばれて、それが信頼につながっていきました。

そういう動き方をしていたら、社内からも社外からも「お前は御用聞きか!」ってよくいわれました。でも、「待てよ、両方から言われるってことは、御用聞きのプロっていないんじゃないの?御用聞きのプロになればいいじゃん!」って思ったんですよね。

それを徹底してやっていくうちに、お客さんも何かあればすぐ僕に連絡をくれる。そのうち、決算書に表れてないこと、抱えている課題や悩みまで教えてくれるようになりました。

美意識があるか?

御用聞きをしていて見えてきたのが、「決算書は素敵だけど何故か魅力を感じない会社」や、逆に「すごく裕福でもないのに、なぜかすごく魅了されてしまう会社」なんですね。この違いが何かというと、「どういうお客さんを喜ばせたいかということに真剣であるかどうか」だと気付きました。

すごく不器用でも、本気で「どういうお客さんを幸せにしたいか」を考え続けている社長がいる。そういう会社は、スタッフもみんな本当に幸せそうなんですよ。ものづくりや、技術や、自分たちが何に挑んでいるかということを、社長はもちろん、担当役員に聞いても担当課長に聞いても、場合によっては受付の女の子に聞いてもすごい熱く語ってくれる事がある。

「すげー、みんな同じところを見ている!」って、魅了されちゃうんですよね。
そこにあるのは「美意識」です。

その頃からふつふつと「きれいごと」って良いんじゃないかなと感じ始めていたんだけど、そればかりでは営業ノルマは達成できないのも事実なので、まだまだボンヤリと感じていたことでした。

実はこれは、起業してから「美意識ってすごく大事だ!」って、思い出してから気づいたことなんです。

会社の資産は、有形と無形があります。設備や不動産なんかの目に見える資産は、有形資産。一方、「美意識」は無形資産です。

それは企業においては「事業理念」であったりするわけなんですが、みんなあんまり無形資産を大事にしないんですよね。
でも、その無形資産によってチームの推進力がすごく良くなったり、きちんと価値を生み出す力につながったりするんじゃないかっていうのは、オリックス時代に漠然と感じていました。

今ははっきりと、その美意識の必要性を理解していますよ。すごくそのときの経験が生きています。
美意識がないと、仕事って楽しくないんですよ。で、楽しくないものは続かない。

だから、いまのクライアントには自信持って問います。「事業理念、美意識はありますか?」って。

河合義徳氏 第2章:友人と起業。そして、バックステージの設立へ

おすすめの関連記事

ー起業家対談!ー
【起業家一年目の通信簿】起業してから事業内容を変えることは怖いことではない!ボラティリティが高いからこその強み

ー人材でスヴベテが決まる?!ー
ベンチャーの成否は人材で決まる!?「ベンチャー×人材」インタビュー

類似記事

記事にコメントしたり、専門家に質問しよう

コメント数:0

ダウンロードコンテンツ

関連記事

著者プロフィール

ikekayo(池田佳世子)

関西を拠点に活動するライター。 その人のもつ無形の価値に輪郭を描く仕事をしています。