第3章:日常のあらゆる出来事が、仕事に結びついている〜メンターからの手紙 河合義徳氏〜

ポイント(この記事は4分で読み終わります)
  1. 娘のバスケの指導者の言葉が、自分に刺さる
  2. チームのために自分ができることをやる娘
  3. マンション建て替えで経験したこと

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娘のバスケの指導者の言葉が、自分に刺さる

娘はいま大学生ですが、小学生のころからバスケットボールをやっていました。
そのバスケ指導者が子どもに言うことが、「え? 俺に言ってんの? なにこれ道徳の時間?」と思うような、グサグサ刺さる言葉ばっかりでした。

最初は「小学校や中学校の先生って、そういうことをよく言うよね」って思っていた。だから聞き流していましたが、なんか、言っていることがその通りになっていくんですよね。

娘が小学生のときお世話になった指導者の方は、今では60代後半に突入されているんだけど、もう20年以上バスケ教えていらっしゃる。でも教育者ではなくて、ガソリンスタンドでも働いていたし、賃貸マンションの経営もする、事業者なんですよ。

その方が言うんです。
「みんなどんどんバスケは好きになればいい。でも、バスケが上手くなりたいと思ったら、自分にできる仕事や自分が必要とする情報は自分で取りに行かないといけない。仕事と情報は、待っていてもやってこないよ」って。

仕事と情報は自分から取りに行け……。え? 俺に言ってる?」と思いました(苦笑)。

「コート上の大事な瞬間ほど、日常生活のすべてが出る」って、いつも言うんです。それはつまり「自分たちの生活態度が職場で全部出る」って言われていることと同じですよね。

例えば、体育館の入り口にはバスケットシューズが砂やゴミで滑らないようにするため、シューズ裏を拭く濡れ雑巾が置いてある。それがいつのまにか乾いてしまったとき、それに子どもたちが気づくか気づかないか、そして気づいたときにどうするか、じっと見ている。そして生徒に言うんです。
「雑巾が乾いていることに気づいた? 気づいたときにどうした? 試合時間、残り1分30秒しかないときに、3点差、5点差で負けている。そこでどうするか。ベンチの指示なんかない。その試合の流れをくんで、どうすればいいか。試合の流れのなかで気づきがないプレイヤーは、絶対勝たれへん。そして気づいてなにもしないやつは、もっと勝たれへん」って。

これはもう、本質ですよ。その積み重ねは、ありとあらゆるところでバンバン出てくる。これって僕たちに対しては「大人って、都合のいいときは関心持つけど、見て見ぬふりすることもいっぱいあるよね」という諭(さと)しです。

でもこれって、自分が子どもの立場だったら、道徳的に説教されたようで、ここまで気づかなかったと思うんですよね。体育館で、上から子どもが怒られているの見て「なんやろ、このひっかかり、俺が怒られているみたいや」とモヤモヤする。なぜか。親である自分が、当たり前のことを本当に出来てないんですよね。

娘が中学校の時の指導者も実に素晴らしかった。小学校と中学校の娘への指導は、親も一緒に育んでもらった気がします。まさに親子共育でした。
日常生活でのすべての学びが、ビジネスにも結びつきます。だから、講義も机上の空論にならない組み立てにすることができるのです

チームのために自分ができることをやる娘

娘本人の姿勢からも学ぶことは多いんです。彼女は小学校2年生のときに見たプロバスケの試合で感激してバスケを始めたんですが、もう、ぜんぜんうまくなかった。

ベッタベタと走るから足は遅いし、不器用だし、右手と右足一緒に出してボール投げるし(笑)。すぐ泣くしワガママだし、しんどいこと知らないし。まわりのお母さん方も「この子は続かんわー」って言うくらいだったんです。

それでも、なんやかんやと努力して、中学生の時には大阪の代表になって、高校では国体にも行かせてもらいました。

そんな娘でも、小学校低学年の頃は足が遅かったから、速攻(※注:チームがボールを保持してからオールコートで展開する速い攻撃のこと。相手チームのディフェンスの体制が整わないうちに攻めきることを目的としているので、非常に足の速さが求められる)に絡めたことがないとブツブツ言う。

でも監督はどうすればいいか教えてくれない。そこで彼女は自分でどうすればいいか考えるわけですよ。

早くゴール下まで行っとけばいいんだと、敵がまだ攻撃しているのにもうゴール下まで戻って、ディフェンスしないで監督に怒られたり、敵のシュートが入るか入らないかを見て予測しようとしたり、速攻のときにメンバーから飛んでくる強いパスを取れるように練習したり……。

そうこうするうちに、ゴール下でフリーな状態になって、パスが回ってきて絶好のシュートチャンスにも恵まれるようになるんですが、そうなったらなったで、実はけっこう緊張しちゃってシュートを外しがちっていうこともわかり始めるんです。

そのとき、もちろん「シュート決めるようになろう」と思うんだけど、同時に「チームメイトがシュート外したときにリバウンド入ろう」っていう意識も生まれるんですよ。だから彼女は、徹底してリバウンドのフォローをするようになった。
むしろ、もう前を走るメンバーに「後ろにおるで!」って走りながら叫んでいるわけですよ、「安心して打って」と。そして、メンバーがシュート決めたら決めたで、誰よりも早くゴール下に戻ってディフェンスするんです。

娘のそういう姿を、大阪代表の監督が見ていてくれて、中学の時に大阪代表に入れてくれたんですよね。「その姿勢は、チームには絶対必要だから、娘さんをメンバーに入れるのは早々に決めてました」と。「決してうまくはないけども」とも言っていましたが(笑)。

でも、これって仕事も一緒だって思った。「自分にできることはなにか」を考えるということです。娘には「チームが勝つために貢献したい」という気持ちしかないから、「何が苦手だ〜」とか、そういうことは関係ないわけです。

そりゃあ、少しは目立ちたいとかいう気持ちもあるでしょうけど、でも「貢献したい」っていう目的から、自分にできることをやるという姿勢は、いまの社会にはちょっと足りないとこかも、とも思うんですよね。

マンション建て替えで経験したこと

ほかにも、今の仕事に直結する大きな気付きを得た経験があります。それは今も住んでいるマンションが建て替えられたときのこと。

その時は、36戸のマンションだったのですが、建て替えの話が出ると、最初のうちは36通りの意見が出て全然まとまらなかったんです。そういうときって、お互いの顔を見て話すからうまくいかない。

でも、「ここに長く住みたい」っていう将来ビジョンだけは、みんな一緒だったんです。その意識が生まれて、みんなが同じ方向を見て話すようになったら、意見がまとまるようになった。「長く住みたい」っていう目的さえブレなければ、「どうやって住むか」は36通りでいいわけですよ。

だから、いつも僕は目的と手段は絶対混同させてはいけないっていうんですが、それは実生活でも経験しているからなんです。

そして、さらなる気付きは「配慮が生まれる」ということ。住人みんなの目的が合致したら、それを達成するためにお互いへの配慮が生まれます。結果、きちんと住民の合意形成ができて、マンションは建て替えられました。

目的を見ず、お互いの顔をみて自分たちの都合ばかり主張しているうちは、決議とれないからマンションの建て替えなんて絶対に実現しません。でも、目的が合致し、お互いに配慮しあう「文化」が生まれたからこそ、マンションは建て替えられたわけです。

それと、やはり日ごろのあいさつなどの人間関係や文化形成の積み重ね、つまりはソフト面での資産形成もあったからこそ。「文化」という無形資産によって、マンションという有形資産が生まれたのです。

これって仕事でもそうですよね。みんなが同じ目的をもつことで生まれる、お互いへの配慮の大切さ。文化もそう。企業文化とか理念がない組織って長続きしないですから。

娘のバスケにしても、いま住んでいるマンションにしても、仕事にメチャメチャ生きている学びです。ちょっとした関心事が仕事に生かせるときっていっぱいありますよね。日々の生活態度に価値創造のヒントって本来あるはずなのに、職場、プライベート、子育てってぜんぶボーダーラインを引いてしまう人が多い。

あれ、これで世の中を息苦しくしているのは自分たちではないのか?」って考えさせられますね。

(続く)
第4章:クライアントの先にいる顧客のためにクライアントと歩む〜メンターからの手紙 河合義徳氏〜

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著者プロフィール

ikekayo(池田佳世子)

関西を拠点に活動するライター。 その人のもつ無形の価値に輪郭を描く仕事をしています。