第4章:クライアントの先にいる顧客のためにクライアントと歩む〜メンターからの手紙 河合義徳氏〜

更新日:2018.06.14

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目の前のクライアントを喜ばせるだけの仕事はしない

僕が今、自分のクライアントにはっきり言っていることがあります。

「あなた(クライアント)だけを喜ばせる仕事はしない」ということです。
単に自分のクライアントを喜ばせるだけでは不十分でしょう。やはり、クライアントの向こうにいる「お客さん(エンドユーザー)」を喜ばせるのが最終目標で、そこを見据えていっしょに価値をつくっていくことをしなければならないと思うからです。

そして、お引き受けするのは競合を避けるという意味から「1業種1社のみ」と決めているし、「共感できるビジョンでなければお手伝いしない」ということも僕のルールです。

僕がやっていることって、「お客さんを喜ばせるために価値をつくる」という当たり前のことです。

でも、みんなその当たり前ができていないし、当たり前をすることがすごく難しい社会構造なんだなって実感しています。

中には、はっきり「こんなん当たり前やん!」っていう人もいます。でも、そこで「(その当たり前が)できてへんやん!」て心の叫びがあるわけ(笑)。

でも「口で言うてもあかん、背中で見せるしかない」と思って、「できてへんやん」と言いたい気持ちをグッと抑えている時期もありました。

今でこそ実際にクライアントに厳しいことも言いますし、「どうすればいいですか?」と聞かれても「どうしたいんですか?」と打ち返しています。

それでも共感してくださる人も多いのですけど、……実は、5年くらい前までの僕は、社会的には「総スカン」の状態でしたよ。ほんとうに。

最初からいまのスタイルを想定していたか? そんなことなかった。最初のころは、やはり教えちゃうんですよ。指南するというか、いわゆるコンサルティングをしてしまっていたんですね。

実績もお金も欲しかったから、目の前のクライアントに認められることに必死だった。でもそれって、会社員が上司の顔見て仕事しているのと同じだと思って。必死にクライアントに喜ばれるようにやっていると、現場からも社長からも「勉強になります!」っていわれることが多かったんですけど……。「なんかこれ違うぞ」って思っていました。「俺から勉強している場合じゃないでしょ」って。その点に最初は苦労しました。

でも、それは「自分もアカンな」と思った。だから「クライアントを喜ばせるだけの仕事はしない」「共感できるビジョンがないと仕事しない」と決めたけど、それにはものすごい勇気が必要でした。

中には、ヨイショして欲しい人や、助けてほしい人もいて、依存されることもありました。それも「マンションの建て替え」のときと同じで、お互いの顔色をうかがって話しているうちは、うまくいかなかったんです。

お互いのためではなく、一緒になって「その先のお客さんをどう喜ばせるか」という、同じ目的を見始めたら、うまくいくようになりました。
 

挑んでいるか?

僕は、基本的に「◯◯すべきだ」っていうのは、いっさい教えません。
コーチングとしては厳しいかもしれませんが、でも、その人がなにかに挑んだときは「こういう意図があってやったんだろうな」ということをきちんと見るようにしているんです。

それは、お互いが同じ目的に向かっていればズレることはないと思うからです。だから逆に、「目的からズレたな」と思ったときは、僕はすごく手厳しいんです(笑)。

組織において「目的に向かってチャレンジする空気」を作るのは、僕や上層部の人の仕事です。挑まなくなった時点で、例えば過去の成功体験とかを話し始めるようになると「老害の始まり」だと思いますから、そんなときはいっさい評価しません。

でも、本気で挑んでいるなと思うときは、ちゃんとサポートします。挑み始める瞬間が楽しくなるときもあるんですよね。

うまくやろうとしてないか、そこに魂が入っているかどうかっていうのは、すぐ見抜けますから。殴り書き手書きのような不器用な企画書1枚でも、グッとひき込まれるときがありますもん。

とにかく、エンドユーザーにきちんと向き合っていれば間違いない。そのために行動できずにいる人には、背中を押すこともあるし、なんなら「行けよ!」って蹴っちゃうくらいの勢いのときもあります(笑)。

で、やって失敗もするわけですよ。でも「よかったやん、失敗して。構想だけなら、このまま一生、舟出しなかったよね」って。それの繰り返しです。

問うべきは、マーケットに

みんな「答え」を求めるけど、大事なのは「応え」です。つまりクライアントのその先にいるお客さん、つまり「マーケット」の「反応」です。

解答はここにはない。とにかくやってみて、マーケットに問うしかないわけですよ。

でも、みんなその「応え」を確かめるのが、実は恐いんですよね。でも「やったらいいじゃん、やったらやったで、なんらかの反応はあるんだから」と言い続けています。

やってみないとわからないし、そこで得られた反応を次に生かして、失敗も全て資産にすることで、次につなげられるんです。

それは、挑んだ者にしか得られない資産です。僕は、実行して失敗して再トライするっていう「失敗の回転率を上げる」ということを大事にしています。そういった点で、これからは中小、零細企業にはものすごいチャンスがあると思います。

小さな組織は意思決定のスピードも早いから、失敗の回転率は高まるでしょう。小さな失敗の回転率を上げている組織は、絶対に価値創造力が上がりますから。
 

神戸で通算50回以上開いている次世代の価値創造のための交流会「ロコラボ」の様子。ただの名刺交換会には終わらない、濃く熱い交流が毎回生まれている

これから20年後、30年後、いまの子どもたちが社会の中心になったときにどんな世の中になっているのか、僕たちは予測できません。だから、そのときに認められる価値をつくるしかない。その価値を創るためには挑まなきゃだめです。

そして、挑み続ける姿勢を見せるのが僕らの世代の役割。だから、僕らは若い世代に挑む姿を見せるだけの「つなぎの世代」だと思っています。それに気づいて、挑み続ける同志を増やしたいと思っているんですよ。

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Ikekayo(池田佳世子)

Ikekayo(池田佳世子)

Ikekayo(池田佳世子)
関西を拠点に活動するライター。
その人のもつ無形の価値に輪郭を描く仕事をしています。


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