三河主門

佐渡島で現代の三賢人は何を教えたか(学校蔵リポート①)――先入観に左右されない「学び方」とは?

ポイント(この記事は3分で読み終わります)
  1. 地方の歩き、現場で実態を見てこそ「数字のウラ」がわかる
  2. 高齢化が進む佐渡、生活ができない東京

「学ぶ」とは何か――。それを改めて考えさせられるイベントに、今年も参加した。

新潟市の沖合に横たわる佐渡島。島の南西部にある旧・西三川小学校は、日本海に沈んでいく夕日があまりに美しく「日本一、夕日がきれいな小学校」とも呼ばれていた。しかし、児童数の減少で2010年に廃校となってしまった。

その校舎を買い取って、夏に仕込む日本酒を醸造する酒蔵にしたのが、佐渡島に本社のある尾畑酒造(新潟県佐渡市)だ。「学校蔵」と名付けて再生したのが2014年。その年に「せっかく元は学校なのだから、佐渡で学ぶ場所を設けたい」と始めたのが、夏に開かれる「学校蔵の特別授業」だ。

尾畑酒造社長の平島健社長を「校長」に、尾畑酒造の“跡取り娘”だった尾畑留美子専務を「学級委員長」とし、ご夫婦で始めた学校蔵の特別授業は、全国から毎年100人超が集まって学びや地域活性化について話し合う、ちょっとした「白熱教室」となっている。

学校蔵の事業と特別授業を立ち上げた尾畑酒造の平島健社長(右)と尾畑留美子専務夫妻

2018年で5回目を迎えたその特別授業で講師となったのは、日本総合研究所の主席研究員である藻谷浩介氏、東京大学社会科学研究所の教授である玄田有史氏、そしてライフネット生命の創業メンバーで現在は立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明氏の3人だ。“現代の三賢人”は佐渡で、日本と世界について何を話したのか? 尾畑酒造の快諾を得て、3人の講義内容から3回にわたって「起業家が考える『学び』とは?」についてリポートする。

 

地方の歩き、現場で実態を見てこそ「数字のウラ」がわかる

2018年の特別授業でトップバッターとなった講師は藻谷浩介さんだ。「デフレの正体」「里山資本主義」などの著作で、客観的なデータ・数字と綿密な調査で現代日本経済のファクトを示し、「地方の経済・社会の立て直し方」を提唱してきた論客だ。過去5回の「学校蔵の特別授業」すべてで講師を務めている。

今年の講義テーマは「地方通いのススメ」だ。


写真:尾畑酒造提供
藻谷 浩介(もたに・こうすけ)
日本総合研究所主席研究員。東京大学法学部卒業。米国ニューヨーク市コロンビア大学経営大学院(ビジネススクール)卒業。2000年頃より、地域振興や人口成熟問題に関し精力的に研究・著作・講演を行う。日本政策投資銀行地域企画部で特任顧問 (非常勤)。特定非営利活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長 (無報酬)。著書「デフレの正体」「里山資本主義」(共に角川Oneテーマ21)、「観光立国の正体」(山田桂一郎氏との共著、新潮新書)、「世界まちかど地政学」(毎日新聞出版)、「経済成長なき幸福国家論」(平田オリザ氏との対談、毎日新聞出版)ほか。1964年山口県生まれ。

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著者プロフィール

三河主門

2017年5月に日本経済新聞社を退社して独立。各種新聞・雑誌・ウェブメディアに記事を執筆しながら、フリーランスの編集者、メディア・リレーションのコンサルティングとしても活動している。17年11月に「Mikawa&Co.合同会社」を設立、中小企業・スタートアップベンチャーのためのPR(広報)コンサルティング、セミナーなどを手掛けるほか、教育関連コンテンツの製作も開始した。 日経記者時代は主に企業取材を担当。産業部(現・企業報道部)記者として長い経験がある。2007~10年にバンコク支局長として駐在した経験と人脈を生かし、タイのビジネス・社会・文化を研究・紹介する活動に長く携わる。