三河主門

起業に「リスクのない時代」が到来している(地方創生会議リポート②)

イナカミチ特別編 地方創生会議@高野山 トークセション・リポート②

起業と地方の結びつきは今後どうなるのか――。2018年6月30日〜7月1日の2日間、和歌山県の高野山で開かれた「第2回 地方創生会議」。新進気鋭の起業家やブロガーを招いた7月1日午後に開かれた最後のトークセッションのテーマは「地方における新しいお金の作り方」だ。仮想通貨やブロックチェーンといった新しい技術は、地方での“経済圏”をも変革する可能性を秘める。

このトークセッションに登壇したのは、だれもが簡単に自分のネットショップを作れるサービス「BASE」を創業した、BASE(東京・渋谷)の鶴岡裕太・代表取締役CEO(最高経営責任者)、クラウドファンディング大手「CAMPFIRE」を立ち上げた家入一真社長、そしてプロブロガーのイケダハヤト氏と、モデレーターを務めたNext Commons Labファウンダーの林篤志氏の4人だ。繰り広げられ内容をダイジェストでリポートする(一部敬称略)。

(地域創生会議リポート①はこちら

第2回地方創生会議とは 全国47都道府県から「まちおこし」「地域づくり」に携わる人たちが集まり話し合うが。17年に創設された同会議は今年2年目を迎え、約200人が高野山大師教会本部の本堂内で議論を交わした。

圧倒的に浸透したクラウドファンディング

林篤志(司会) きょうの登壇者は著名人ばかりなので、自己紹介もごく簡単に。では鶴岡さんから。

鶴岡裕太 ネットショップが簡単に作れるBASEの代表取締役CEOをしている。現在で50万人がEC(電子商取引)サイトをBASEで立ち上げている。


BASEのトップページより

家入一真 クラウドファンディングのCAMPFIREで社長をしている。ほかに、鶴岡くんのBASEで社外取締役をしているほか、シェアハウスの「リバ邸」、「NOW」などやっている。

イケダハヤト 高知県の山奥に住んでブログをひたすら書いているプロブロガーです。


家入氏の立ち上げた現代の駆け込み寺シェアハウス「リバ邸」のトップページより


 きょうのテーマは「これからの地方におけるお金の作り方」です。「稼ぎ方」ではなく「作り方」というのがポイントになる。

まず、イケダさんにうかがいたい。高知県への移住はいつ? この4年間で、「お金の作り方」という視点で変わってきたことは何か。実体験をふまえて。

イケダ ちょうど4年前(2014年)に移住した。その4年間でお金に関する変化では、クラウドファンディングが圧倒的に集まりやすくなったことが印象深い。今は100万円を集めるのは簡単だし、会場でも200万円集めた人も当たり前にいるでしょう。だが、4年前は難しかった。せいぜい20万〜30万円とか。つい最近も高知県の山奥でのプロジェクトで500万円集めたが、今では話題にもならない。それくらいクラウドファンディングがこの4年間で一般化した。

 実際、クラウドファンディングの事業をしている家入さんはどう思うか?

家入 クラウドファンディングの立ち上げからもう7年。東日本大震災と同じタイミングでCAMPFIREを立ち上げた。日本においてのクラウドファンディングの歴史は、震災復興で始まった。米国ではキックスターターとかベンチャー企業を応援しようとして立ち上がってきたが、日本では2011年の大震災からの復興がキーになった。

この数年で潮目がだいぶ変わってきた。お金が集まるペースが変わったほか、価値観も変わったと思う。クラウドファンディングは社会貢献性が高くないといけないと思われていた。もともと震災復興で始まったこともあったし、もともと日本人のお金にまつわる価値観とも関係があったかもしれない。

昔は、自分がやりたいことがあれば、「自らがバイトなどして働いてお金を貯めてからやれよ」と批判された。初期のクラウドファンディングでは、これが多かった。今でもやりたいことに10万円が必要だとすると、「10万円くらい自分で稼いでからやれば?」という人は多い。

しかし最近は、例えば10万円だったら「1万円を10人で出そう」「1000円を100人で出そう」と変わってきた感じはある。

 10万円を自分で集めろというか、クラウドファンディングで集めようとするかの境目は、世代の差になるのか?

家入 世代間の差はあるかもしれない。高度経済成長で国が豊かになって、会社が豊かになって、家族も豊かになろうとみんなで頑張ってきた。これを否定するつもりはないが、ある種の世代感覚を反映していると思う。

 ちなみにこの会場にいる人で、自分でクラウドファンディングを立ち上げたことのある人は?

(会場の半数近くが挙手)

 おお、多いなぁ。では、1回でもクラウドファンディングで支援した、出資したことのある人は?

(ほぼ全員が挙手)

 これはすごい。世の中が変わったのを見た感じだ。次に鶴岡さんにうかがいたい。BASEを立ち上げたのはいつ?

鶴岡 2011年の11月ごろで、7年半前になる。母親が大分県で婦人服の小売店をやっていて、「ネットで販売したい」と話すのを聞いて、「ああ、こういう人もネットでモノを売りたくなるんだなぁ」と考えて作ったのがBASE。もともとは(家入氏の)CAMPFIREにいたのですが、「クビ」になったので(笑)。

 BASEは「地方創生」という文脈では、どういう役割を果たしているのか。

鶴岡 BASEという会社が地方の人に何かをするというのはないが、インターネットの普及とともに、(地方の人でも)売るサービスを使えるようになってきたと思っている。スマートフォンが普及してきたタイミングで、地方の人もBASEでネットショップを作るというポジションをたまたま取れたというのがよかった。EC(電子商取引)が発展することで場所の制約を受けることはなくなったので、(BASEを立ち上げた)意義はあると思っている。

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著者プロフィール

三河主門

2017年5月に日本経済新聞社を退社して独立。各種新聞・雑誌・ウェブメディアに記事を執筆しながら、フリーランスの編集者、メディア・リレーションのコンサルティングとしても活動している。17年11月に「Mikawa&Co.合同会社」を設立、中小企業・スタートアップベンチャーのためのPR(広報)コンサルティング、セミナーなどを手掛けるほか、教育関連コンテンツの製作も開始した。 日経記者時代は主に企業取材を担当。産業部(現・企業報道部)記者として長い経験がある。2007~10年にバンコク支局長として駐在した経験と人脈を生かし、タイのビジネス・社会・文化を研究・紹介する活動に長く携わる。