投資会社の設立って難しくないの?

ポイント
  1. 投資会社について
  2. 投資会社の設立方法
  3. 上手な投資家との付き合い方

目次 [非表示]

投資会社とは?

投資会社とは、投資家から資金を集めて,企業を買収したり、ベンチャー企業や 不動産に資金を投入して利益を得る会社のことです。正確に言うと、アメリカでRICと言われる、投資家の保護のため1940年に制定された投資会社法によりコーポレート・ガバナンスに係る厳しい規制をクリアした法人のことで、日本では1998年(平成10年)の証券投資信託及び証券投資法人に関する法律により導入された証券投資法人のことで、ざっくり言うと、テレビCMなどでも存在がお馴染みの投資信託を発行している会社ということになります。

 

このような本来の意味の投資会社は、設立に最低でも5,000万円を必要とすることから、起業の最初として投資会社を設立しようとする行動は資金面からしてかなり難しいことと言えるでしょう。また、いろいろな報告書や守らなくてはならない規制などが多いため、維持費用だけで莫大な費用が掛かることになります。一般的に言われる投資会社は、投資会社といっても、株式会社のことだと思いますので、ここでは、単に、株式会社の設立として話をすすめてみたいと思います。資金面で余裕があり、本来の意味での投資会社を経営したい方は、設立して行動されることは素晴らしいことだと思います。

 

なぜ、投資会社を考えるのか?

平成25年までは、臨時的に上場株式等の配当・譲渡所得等の税率が10%でしたが、平成26年からは、従来通りに20%へとなりました。そこで、いままで個人投資家として行ってきたのを、法人化して行うことで、株式投資の税金を減らそうというものです。投資会社を設立してのメリットは、

 

国内株式の配当金の20%が益金不算入(非課税)になるのと、

経費計上により課税利益を圧縮し最終的に納める税金を減らす効果があることです。

 

また、

 

③法人は1人以上の組織であって、家族は自由に役員や株主になれます。利益をご自身の報酬、所得が少ない家族の報酬にすることで、給与所得控除と所得分散効果によって税金が小さくなります。

④投資をして損失が発生しても、法人であれば、最長9年繰り越しが可能で、個人の時の場合より期限切れのリスクが小さく安心してじっくり運用できます。

 

例えば、特定口座の年間株式売買利益と配当金が500万円であった場合。
☆個人投資家
平成25年の所得税・住民税(特定口座)
500万円×10%=50万円

平成26年の所得税・住民税(特定口座)
500万円×20%=100万円

☆投資会社
年間必要経費300万円+役員報酬200万円で、
法人の利益はゼロ + 法人住民税7万円を税務申告
役員報酬の場合のその本人の所得税・個人住民税 12万円
税金合計 19万円 + 年間税務会計報酬(税理士費用)30万円=49万円

 

つまり、何もしないと、100万円の税金となりますが、投資会社にして手続きをすれば、

半分の49万円で済むということですかた個人投資家から投資会社に変更することは大きな効果があることがりかいできるでしょう。特に利益が大きくなればなるほど、投資会社を設立した効果が威力を発揮してくることになってきます。
※配当金の金額や投資スタイルによって、最終的な節税効果は変化しますが、おおむね200万円以上の利益があれば、検討する価値がありますので、個人投資家で活動している方はご自分の利益を確認したうえで、投資会社となったほうが得かどうかを判断してみるといいでしょう。

 

投資会社(株式会社)の設立方法

最近では、税理士法人が設立のお手伝いをしてくれます。設立後に、毎年のように発生してくる税務書類の報告や仕訳、計算を依頼して貰いたいためという場合が多い模様です。利用者の方からしても、法人化することで、どうせ経費で利用できるなら損にはならないだろうという考えからも、税理士法人に設立から毎年の決算までお願いする場合が多いでしょう。ですから、投資会社(投資に関する節税を目的とした株式会社)の設立は、簡単と言えば簡単です。ただ、全てを税理士法人にお任せしたとしても、やはり、あなたが関わらなければならない部分もあるので、設立までの流れを一通り紹介いたしますので必要な部分をチェックしておいてください。
①会社基本事項の決定→ ②類似商号の調査(法務局)→ ③法人印鑑の作成

 

→ ④印鑑登録証明書の取得(市町村役場)→ ⑤定款の作成→ ⑥定款の認証(公証人役場)

 

→ ⑦出資金等の払込(金融機関)→ ⑧取締役会等の開催→ ⑨ 登記申請書類の作成

 

→ ⑩設立登記の申請(法務局)→ ⑪補正の確認・登記完了(法務局)→ ⑫ 諸官庁への届け(諸官庁)

 

 

以上見てきましたが、本来の意味の投資会社は難しいけれども、一般的な個人投資家の節税を目的とした法人化、株式会社化はそれほど難しくないと言えるではないでしょうか。

 

 

投資家とのうまい付き合い方

 

投資家と普段からお付き合いするという方は少ないかもしれません。投資家に投資してもらうということは、投資家のために出口をつくらないといけなくなります。出口としては大きく2つあると言われており、

 

1つは会社を上場させること、

2つ目は、会社を他の会社に売却することです。

 

投資家の基本的な性質として、リターン(投資したお金が、結果、増えること)があるから投資をするわけです。このリターンがなければ投資家は1円たりとも投資をすることはありません。投資を受けてビジネスを行う場合の典型が、ベンチャータイプのビジネスの場合になります。

 

もちろん、ベンチャータイプでない起業であっても、投資家から投資を受けるケースもあります。ただ、会社は誰のものなのかという、会社法の答えは、株主となります。株というのは、実はその会社の所有権の割合を表していることになります。資本金1,000万円の会社があり、この会社が1株1万円だとすると、会社の株式は全てで1,000株が発行されていることになります。

 

たとえば、起業時に、自分以外の第3者が700万円株を引き取ってくれることになった場合(700万円出資してくれる)、あなたは300万円出資し、300株手に入れます。ただ、この会社は誰のものですかというと、70%は、第三者のものです。株をどの割合で持っているのかというのは、とても大切なことです。所有割合に応じて、株主として行使できる権利が変わってきます。投資を受けるということは、実はこの所有権である株を誰かに引き渡すということなのです。会社の所有権を創業者以外に渡すのは違和感があるというのであれば、投資を受けないで活動していくことになるでしょう。

 

投資家にもVC(ベンチャーキャピタル)のような、投資を事業としている会社があったり、個人で投資をしている人もいます。また、最近は、大企業が自分の事業とのシナジー効果のが期待できるのようなベンチャーに対して投資をするようなケースも増えてきて新しい資金の投資手として台頭してきています。

 

投資家の中には、自分自身がベンチャーを創業したり、起業をし、成功したお金を投資している人もいます。このような人は、お金はもちろんなのですが、それ以上に、キーマンを多数知っていたり、的確な経営、事業のアドバイスをしてくださったりします。そのため、投資を受けてビジネスをする場合には、注意が必要なのですが(株の権利関係の問題)、味方にすると大変心強い仲間になるケースもあります。

 

投資を受けてビジネスをスタートされる方は少ないですが、投資家との付き合いは大切にされてもよいと思います。いろいろな起業、企業の話を聞けることだけでも、大きな価値になります。

 

僕のおすすめは2つあります。

1つ目は、実際に、自分が起業し大きく事業を成功させたことのある投資家の人を見つける。実際にやったことのある人の話にはリアリティーや生きた価値があります。理屈だけしか話せない投資家はアドバイスが説得力にかけるでしょうから絶対にやめたほうがいいでしょね。

 

2つ目は、自分の業界に多数投資しているような投資家をみつけるということです。自分の業界のトレンドなどをキャッチするためには、他社状況などを知ることや、一般論の業界環境、変化などを知ることも大切です。この点、自分1人だけの経験ではなく、多数の同一業種に投資をしている人は、複数の経験をしているので、多角的に業界のことを知っている可能性があり、そのような投資家のアドバイスはとても再現性が高く、有用なことがあります。

投資家に投資していただくためには、あなたの起業に対しての考え方も大切になってきます、こちらも一緒に読んでいただき「累積数千社の起業の応援をやってきた男が考える起業家精神とは」参考にしてみてください。

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