合同会社設立(LLC設立)について日本で恐らく1番分かりやすいまとめ

更新日:2017.02.23

合同会社・LLCの人気の理由

合同会社・LLCブームの背景、数の増加の理由

今、なぜ合同会社がブームとなっているのでしょうか?

 

合同会社の設立が増えてきているのは、合同会社の知名度が徐々に上がってきたためです。合同会社は、2006年の会社法の改正に応じまして、新たに設立できるようになった会社形態です。そのため、一昔前では合同会社といっても誰も知らなかった存在なわけです。合同会社を知らないから設立の件数も伸びていないということが一番大きな合同会社の設立の件数の少なさだと思います。これが、少しずつ時間が経ってきたことによりまして社会が合同会社を認知し始めます。

 

専門家が増えてきますと、各自のホームページやブログなどで合同会社の説明をします。

 

すると、そのホームページやブログを見た人は株式会社しか頭になかったものが合同会社のことを知ることになります。この点、合同会社のメリットを活かせる人に対して、われわれ専門家は株式会社の設立ではなく合同会社の設立をもちろんお勧めいたします。

合同会社・LLCの認知度が上がってきた

会社をはじめて設立しようと考えた人で、株式会社と合同会社の違い、どちらがどのようなメリットがあって、デメリットがあるのかを知っている人は当たり前ですが多くはありません。そのような人の話をしっかりと伺いまして、合同会社を設立したほうがメリットが大きいという判断が専門家の中でもできるようになってきたということも合同会社の設立件数の増加に寄与しているのだと思います。

 

また、最近では、アップルや西友などの有力企業が合同会社を設立しているというニュースなどが世に出ていくことで合同会社自体の知名度が上がってきています。時間の経過によって、合同会社を説明する専門家が育ってきたり、社会的な認知度のアップによって件数が伸びてきたという背景だと考えています。そもそも大前提としまして、合同会社は会社の形態の中でもメリットの大きな会社形態であることがあります。もちろんメリットの大きい会社形態だからこそ、認知度がアップしたことによって必然的に合同会社の設立件数が増えてきたという背景です。

合同会社・LLCに向いている業種とは

Businessmen Cityscape Handshake Partnership Concept
合同会社に向いている業種などとしましては、まずは、簡単に申し上げますと、一般消費者を相手に展開する事業ということです。そして、さほど会社の規模としましては大きくない会社様であれば合同会社という形態はよいと思います。合同会社はやはり社会的な認知がまだまだ弱い部分があります。企業を相手に事業を展開する会社は、取引先も含めまして、信用をかなり重んじます。そのため、まだ現在では、株式会社のほうが、合同会社よりも信用力は高いと思われています。

 

この点、一般消費者向けの事業ですと、一般消費者の方は、企業に比べまして信用などはそれほど気にしません。(もちろん気にする業種もありますが)そのため、特に、会社名は伏せて、商品名やサービス名で展開する場合などには会社の信用力は関係なくなります。

 

しかし、もちろん合同会社は小さな規模の会社のイメージに良く合いますので、会社の規模を大きくしていこうとお考えの場合には、いくら一般消費者向けの事業を展開していたとしましても、株式会社を設立して事業展開をされたほうがよいと思います。

 

また、合同会社の場合には、損益の分配を自由を決定することができますので、お金はないけど技術のある人に成功した場合の利益配分を多く設定することができます。合同会社の場合であれば、このような様々な人が集まっての研究開発や事業というものが展開されやすいということができると思います。

 

合同会社に向いている会社のイメージや業種としましてはこのようなところかと思います。もちろん、このようなケースであっても全てが合同会社に適しているのかということは個別的な判断になってきますし、また、必ずしもこのようなケースに限らずとも合同会社に適している会社ということもありえますのでご注意ください。

合同会社・LLCのメリット

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①会社設立にかかる費用が安い

株式会社にせよ、合同会社にせよ、会社を設立するには一定の決まった金額のお金がかかります。

 

株式会社の場合は、会社を設立するために最低設立費用が約20万円ほどかかるのに対して、合同会社(LLC)の場合は6万円程度で設立できます。(あくまでも最低限、会社設立にかかる費用になります)

 

会社設立の設立にかかるコストだけでみてみますと、合同会社のほうが株式会社に比べまして、14万円近く安いということになります。この会社設立にかかる費用の安さというのは、合同会社の大きなメリットです。この安さによって、初期コストを気にされる人は、株式会社ではなく合同会社を選ばれます。

 

しかし、個人事業主の場合には、法人を設立する必要などありません。そのため、個人事業主で事業を開始する場合には、法人で事業を開始する場合とは異なりまして、費用はかかりません。この点では、個人事業主が一番初期費用という点では、お金をかけずにスタートをすることができます。

②社会的信用の獲得

合同会社(LLC)は、株式会社と同じように会社を設立しますと「法人格」を取得します。法人格とは、法律上の人格のことで、法律上、権利や義務の主体となることのできる存在ということです。(この点、有限責任事業組合のLLPとは違います。)法人格を有することで、対外的な信用が高くなります。ビジネスの世界において「信頼・信用」はとても重要ですので、法人をつくるということ。すなわち、法人格を取得することは大きなメリットがあります。

 

この社会的な信用という点では、株式会社と合同会社はどちらも法人格がありますので変わらないように思います。しかし、確かに、どちらも法人格がありますが、社会的に合同会社はまだまだ、認知されていないこともありまして、実際の意味での信用というものは株式会社に比べまして劣るというのが現実だと思います。法人格がありますが、日本ではそれだけ株式会社がメジャーということなのです。

 

株式会社と合同会社以上に、社会的な信用という点で大きく変わるのが、法人と個人事業主との比較です。個人事業主というのは、あくまでも個人、たとえば私個人が契約の主体になります。もちろん屋号といわれるいわゆる事業者の名前、例えば私の場合、行政書士事務所は個人事業主でやっています。屋号はウェイビー行政書士事務所です。屋号がありますと、ウェイビー行政書士事務所というなんか組織があって、契約などはウェイビー行政書士事務所という組織がしていそうですが、実際は違います。

 

個人事業主ですので全て、ウェイビー行政書士事務所についての契約は、私個人名義での契約となります。この点、私は株式会社ウェイビーという会社も経営しております。この株式会社ウェイビーで何か契約することなどがあれば、株式会社ウェイビーの名前で契約することができるのです。これが法人格のある会社と個人事業主との違いとなります。

 

取引先などからしますと、個人と契約するのと会社と契約するのではやはり大きく信用の点から変わります。個人よりも会社のほうが信用力があると思われています。この信用力の点から、個人事業主としてずっとやってこられた人が、会社をつくるケースもたくさんあります。

 

結局、会社を設立するのなら最初から会社を設立すればいいじゃないかと思われるかもしれません。会社を設立する場合には、初期で一定の費用が必要になってしまいます。そのため、まだまだ上手くいくかわからない事業で、お金をできる限りかけたくないという人は個人事業主でスタートを切るのです。このような人が、事業がうまくいきはじめて、会社形態に変更します。

③自由な損益配分

自由な損益配分
事業を開始するということは、うまくいけば利益が出ます。その利益をどのように分配するのかということも会社の形態によって少々異なります。この点、株式会社では、出資した割合(会社にいくらお金を出したのか)に応じて、原則としまして会社の利益が配当される金額が決まるという決まりがあります。ある会社の株主になって、一定の利益を株主が会社から配当という形で受け取ります。

 

合同会社(LLC)では、出資の割合(会社にいくらお金を出したのか)に関係なく、能力、技術を持った人に対して、定款によって多くの利益を配当できるように決めることができます。

 

株式会社の場合は、株式というものを発行します。この株式は、1株いくらという形で金額が決まっています。1株買うのと、100株買うのとでは、100株買う場合には、100倍のお金が必要ということになります。この株式の会社が利益が出たので、利益を株主(株式を持っている人)に配当をしようと考えたとします。

 

そうしますと、1株につき100円配当するとした場合、1株しか持っていない人は100円を受け取ります。100株持っている人は、10,000円を受け取ることになります。つまり、わかりやすくご説明いたしますと、株式会社の場合には、多くの株式を持っている人(多くのお金を出資した人)が、多くの配当を受け取ることができることが原則となっているのです。

 

この点、合同会社はどうでしょうか。

合同会社の場合には、なんとお金を100円しか出していない人と、100万出した人では、定款(その会社のルールを記載したもの)の中に、利益などの配分の仕方を自由に設定することができるようになっています。つまり、出資した金額に関係なく、配分を定めることができるのです。

 

現実的に考えますと、確かに、お金は出していないけど、会社がうまくいったのはAさんのおかげというケースはたくさんあるかと思います。このようなときに、Aさんに他の人よりも多く利益を分配できるのが合同会社です。この利益の分配を内部で自由に決定できるという点は、合同会社と株式会社では大きく異なる部分です。この自由な損益分配が理由で、合同会社を設立される人もやはりいらっしゃいます。

 

この点、会社と個人事業主で比較しますと、個人事業主の場合には、事業で得たお金から経費を除きますと、全てその個人の所得となります。

しかし、例えば複数人で共同で事業を開始した場合で、事業開始時点で利益が出た場合の利益の配分の仕方などを内部で決めておくことはできます。この点は、合同会社に近いものがあります。すなわち、内部で自由に損益の分配を決定することができるということです。

 

そうしますと、株式会社よりも、合同会社、個人事業主の方が、損益の分配については自由がきいて、メリットが大きいということがいえます。

④役員の任期が無制限

会社を設立しますと、代表取締役や代表社員、取締役などの役員(合同会社の場合には、代表取締役ではなく、代表社員といいます。どちらも会社の代表のことです。)を選ぶ必要があります。

 

株式会社では、代表取締役などの任期は原則2年間と会社法で決まっております。この任期の度に取締役の変更の手続をする必要があり、書類作成をはじめ、法務局への届出などの作業が必要となるうえにお金が必ずかかります。

 

しかし、合同会社の場合には、代表社員などの役員に任期が定められていないので、変更の手続も不要ですし、お金もかかりません。小規模な会社であれば、このような任期の際の面倒な手続きをカットできますし、無駄な費用もかかりませんので、この役員の任期が無制限ということは1つの大きなメリットになっています。

 

この点、個人事業主の場合にも、任期などはありません。そのため、合同会社と同様に株式会社よりもランニングのコストや手間を省くことができます。

⑤資金調達の幅も広がる

事業を開始しますとやはりお金の問題は切っても切れない問題です。お金をどのように用意するのかということは、経営者にとって大きな課題であり、重要な仕事になります。この点、一般的なお金の準備の仕方としまして、皆さんも想像できるのが、銀行などの金融機関にお金を借りる(融資を受ける)ことがあります。金融機関から融資を受けることは、最もポピュラーな資金調達の方法です。

 

しかし、金融機関からの融資意外にも資金調達の方法はいくつもあります。

 

たとえば、社債(会社が資金調達を目的として、投資家などからの資金の振込みと引き換えに発行する債券)の発行は、今まで株式会社だけが発行できました。社債は、会社の資金調達の方法の1つとして、実際に活用されている重要な資金調達方法といえます。これが、新会社法においては合同会社(LLC)などの持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)も発行できるようになりました。

 

この点で、株式会社にしか認められていなかったメリットが、合同会社にも認められるようになりました。

 

この点、個人事業主は会社ではありませんので、社債を発行して資金を集めるということはできません。しかし、類似した制度としまして、私募債を発行するという方法があります。私募債は会社も発行することができます。私募債とは、非公募債あるいは縁故債とも呼ばれており、公募債(証券会社を通じ広く一般に募集されるもの)とは異なり、 少数の特定先が直接引き受けることによって発行される社債ですが、その法律上の性格は公募債と何ら変わるところはありません。 近年、企業の資金調達のパイプを太くするため、資金調達の多様化が進められていますが、私募債発行はこうした多様化の一環として、多くの企業や個人事業主に利用されています。

 

一般的に、資金調達の観点では、個人事業主よりも会社のほうが、資金を集めやすく、方法としましても多様です。これは、会社と個人事業主の信用力の違いや、事業をどの程度大きくやろうとしているかの違いによるものです。

⑥決算公告の義務が無い

決算
会社を設立いたしますと、1年に1回は決算といいまして、その年にいくら稼いだのかということを税務署に報告しなければいけません。この決算の手続きは、株式会社、合同会社どちらも必要となります。

 

しかし、違う点が1点ございます。株式会社では、毎年の決算の内容を官報などで発表する義務があります。決算をするのはどちらも同じです。しかし、決算の内容を報告する必要が、株式会社には課されているのです。決算の報告をする場合には、通常は官報に掲載するという方法をとります。そのため、官報に掲載する費用としまして最低6万円程度の費用がかかることになります。

 

合同会社(LLC)には、決算をする義務はありますが、決算内容を公告する義務がありません。そのため、株式会社で毎年かかる決算広告の費用である最低6万円が合同会社の場合にはかかりません。年間に6万円ですが、無駄な経費についてはやはり削れるとすごく大きいと思います。

 

この点、個人事業主の場合にも、決算(確定申告)は毎年1回行う必要がありますので、会社と変わりません。しかし、合同会社と同様に、決算広告などの義務はありませんので、株式会社と比較しますと個人事業主はメリットがあります。

⑦税制の違い

会社は決算をします。決算をしまして、利益が出ていますと、その利益に対して一定割合で税金がかかります。

 

この点、株式会社、合同会社は同じ税金の割合がかかりますので、どちらの会社形態であっても、税金上の違いはありません。しかし、会社と個人事業主とでは大きく税金についての扱いが異なります。

 

一般的には、会社のほうが個人事業主よりも経費に認められます範囲が広くなります。会社や個人事業主にかかる事業の税金というのは、売上から経費を差し引いた金額に一定の割合をかけることで納める税金が決まってきます。すなわち経費として認められる範囲が広ければ広いほど、税金のかかってくる金額が小さくなります。そうしますと、最終的に支払う税金の金額は小さくなります。

 

もちろん個別のケースによって、対応は異なってくる部分はございますので注意は必要となります。たとえば、交際費についていえば、個人事業主の場合には全額経費としてカウントできますが、法人の場合には一部経費として認められないということもあります。

合同会社設立の基本事項

基本事項

 ①事業目的

事業目的とは、簡単に申し上げますと会社を設立した後に実際に行う事業のことです。また将来的に行う可能性のある事業も記載します。事業目的は、必ず決めなくてはいけません。少ない会社で2個くらい、多い会社ですと30個以上事業目的を記載している会社もあります。

 

<事業目的についての注意点>
○将来行うかもしれない事業も目的として記載する
事業目的として記載していない事業については、会社を事業をすることができません。会社設立当初は事業としてはやらない場合でも、将来は飲食店も必ずやるんだと決めている場合は、飲食店という事業目的を記載した方が良いでしょう。もちろん、後々、事業目的を追加することもできます。しかし、事業目的を追加する場合には、3万円の費用を法務局へ支払う必要がありますので、出来る限り会社設立時点で記載できるといいです。
○いろんな事業目的が記載されていてもOK
例えば、飲食店の経営、食料の輸出入、建設業、ホームページ制作などといった感じで、一貫性がなくとも構いません。

②資本金

資本金とは、社員(出資者)が会社に出すお金のことです。資本金は会社に提供しましたら基本的には返ってこないお金です。資本金は会社の運転資金など会社が事業をする中でに使われます。現在は、資本金の最低金額は1円からとなっておりますので、会社設立の敷居は低くなったといえます。(会社法が改正される前では、株式会社の場合資本金が1000万円ないと会社を設立することができませんでした。)

 

資本金をいくらに設定するかは一つ皆様が迷われる事項です。資本金は1円からできますが、なかなか1円で設立される方は少ないでしょう。資本金=会社規模(=信用)を確認するひとつの指標とされているためです。

 

設立されたばかりの会社には信用はありません。ビジネスは信頼の世界で成立しています。そのため会社に存在する多くの取引先は、設立されたばかりの会社の信用を資本金で判断しています。銀行などの金融機関は、資本金の金額によって銀行口座を作れたり、作れなかったりしますし、融資の金額も変わってきます。そのため、信用という観点では資本金は多いに越したことないのです。

 

その他、気をつけないといけないことがあります。

許認可事業では、資本金の要件をクリアしていなければ許認可を受けられません。せっかく会社を設立してもそのままでは事業を始められない事態もありえるのでそういった意味で、資本金の額は重要になってきます。資本金要件がある主な許認可事業は、一般建設業(自己資本が500万円以上)や一般労働者派遣事業(2,000万円×事業所数)です。

 

また、一般貨物自動車運送事業では許認可の申請直前に、規定の必要資金額を自己資金額が上回っている預金残高証明書やそれに付随する書類が必要になります。ただこのような今日認可が必要となる事業を始める場合には合同会社でなく株式会社で行うことがほとんどだと思いますので、元々合同会社でも株式会社となるときに資本金を増加して許可申請が必要となる事業を行うといいのではないでしょうか。

 

許認可は業種や業態によって細かく規定されていますので、設立後の事業に支障をきたさないよう、事前に業界団体や申請先へ問い合わせるようにしてください。

 

 

また、消費税の免税につきましては注意が必要です。実は、資本金の金額によりまして、一定の場合には消費税を支払わなくてよい場合がございます。それは資本金が1000万円未満の場合です。資本金が1000万円未満ですと、会社設立2期目まで消費税が免税となります。資本金を1000万以上とした場合は、会社設立初年度から消費税の納税義務が生じます。

③商号

商号とは、会社の名前のことです。会社の名前ですので、基本的には一生名乗ります。人の名前のように何かしら想いのある名前をつけれたらよいです。商号には、商号を決めるにあたって少しルールがあります。商号には記述の方法と利用することができる文字体が決まっているのです。

 

記述の方法としましては、必ず「合同会社」という文字を商号の前後どちらかにつけないといけません。
使用できる文字についても制限があります。使用できる文字については、以下のものになります。

 

・漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(小文字、大文字)
・アラビア数字(0123456789)
・符号「&」「’」「・」「,」「.」「‐」となります。

また、有名な会社の商号を使用することなども禁止されております。

④本店所在地

本店所在地とは、会社の住所のことです。住所としまして、法務局へ本店として登記した場所になります。本店の場所と実際の活動の場所は異なるといったケースもあります。

 

<本店所在地について注意しなくてはいけないこと>

○本店所在地の住所の記載は省略してはいけません
「東京都渋谷区神宮前2―3―14」のように省略してはいけません。2丁目3番14号のように正式な住所を記載します。

 

○定款上、最小行政区画の記載でもOK
「東京都渋谷区」や「神奈川県横浜市」までの行政単位の区画のこと最少行政区画といいます。定款上は、全ての住所を表記しても、最少行政区画までの表記でもどちらでも構いません。しかしあくまでも最小行政単位だけの表記であっても問題ないのは、定款上のお話でして、実際に法務局へする登記については本店の全ての住所を正確に届け出る必要があります。

 

最少行政区画までの記載にしておくと良いことがあります。例えば、建物の名称が変わったり、階を移動する、また本店を同じ行政区内(渋谷区⇒渋谷区)で移転する場合に、定款を変更する必要がなく、また法務局へ支払う法定費用を安く済ませることができる可能性があります。そのため、定款上は通常最少行政区画までの記載になっております。

⑤社員

社員を選ぶ
合同会社(LLC)では、資本金を出す人を「社員」といいます。株式会社で言えば社員=株主にあたります。合同会社の社員は、原則出資をするだけではなく経営にも関与します。(所有と経営の一致)そのため合同会社の社員の決定は非常に重要です。合同会社の社員は一人でも構いません。社員もいくつかの役割を持つ社員に分けることができます。

 

合同会社は、所有と経営が一致していますので、お金を出した人は原則、会社の業務を行っていくことになります。この会社の業務を行っていく社員のことを業務執行社員といいます。業務執行社員は、会社の経営上の意思決定をしていく社員のことです。また、原則ですが、合同会社の場合には、小さな規模の会社が想定されています。そのため、意思決定のスピードを早める点などから、業務執行社員は、皆、会社を代表する社員、すなわち、代表社員としての役割を持ちます。代表社員は、対外的な意味において、その会社を代表することになります。株式会社でいうところの代表取締役にあたります。

 

例えば、新しく合同会社を設立し、2人が資本金を出すことになった場合、この2人が社員になります。さらに、原則としまして、この2人が業務執行社員となりまして、さらに、代表社員にもなります。これは、あくまでも原則的な形となります。といいますのも、株式会社のように、お金を出したいが、経営はしたくないといった人もたくさんいます。株式会社の場合には、所有と経営が分離していますので、お金を出す人という役割と経営という役割は分離していますので、お金だけを出す人もいます。

 

合同会社の場合は、原則的には、所有と経営は一致していますが、定款などで定めることによっては、株式会社でいう株主のようなう役割の社員を設定することができます。このお金だけ出す人を、単純に社員といいます。社員は、原則的に業務執行社員になることが予定されていますが、定款で業務執行社員としてなりたくない場合には、業務執行社員にならなくする制限をかけることができます。

 

ここまでのご説明をまとめますと、社員は3種類あります。
お金だけ出すだけの社員=社員、
お金も出す+業務をする社員=業務執行社員
お金も出す+業務をする社員+会社を代表する社員=代表社員となります。

 

原則的には、合同会社の場合には社員皆が代表社員になることが想定されています。しかし、会社の代表が複数人いるとなりますと、取引先などは誰が会社を代表しているのか少々混乱します。そのため、実際には代表社員を1人に絞る会社さんがかなり多いです。

 

合同会社の経営事項などを決める場合のルールを、社員の人数などと関係いたしますのでこちらでご説明いたします。合同会社(LLC)を複数の出資者で設立した場合には、会社の経営に関する意思決定は、原則として、出資者全員の過半数の同意により行なうものとされています。定款で業務執行社員を限定した場合は、業務執行社員の過半数で決めることになっています。

 

しかし、業務執行権を持つ社員の人数が多い場合は、「過半数」では、迅速な意思決定が出来ない場合もあります。例えば、業務執行社員が2人の場合には、常に意思決定として2人の合意が必要になります。この合意がない場合には、どうしようにも会社を前進させることができません。そこで、定款で意思決定の方法を過半数以外の方法に定めることも可能です。例えば、意思決定方法を「多数決」にすることもできますし、「3分の1」にして要件を緩和することも可能です。

⑥費用

合同会社を設立する際にかかる費用についてご説明いたします。まずは、法定費用といわれる合同会社設立のために必ずかかる費用ですが、法務局への登録免許税としまして、資本金の1000分の7の金額で、最低金額が6万円となります。ほとんどの方が登録免許税は6万円ということになります。その他ですが、会社の印鑑ですが、こちらは数千円~、印鑑証明書が1通、約300円程度です。

 

その他、定款を電子定款で作成しない場合、印紙税としまして4万円の費用がかかります。

 

では、電子定款とはなんでしょうか?
従来の定款は、紙でつくられてきました。(パソコンなどでつくりますが)紙の定款の場合には、印紙税法という法律によって、税金がかかる扱いです。税金の金額が4万円かかります。

 

しかし、定款を電子文書で作成しますと、紙の定款とは異なるものという扱いになりまして、印紙税法の適用がなく税金の4万円が必要なくなります。このような、電子文書で作成しました定款のことを電子定款といいます。(電子定款を作成するためには、電子定款作成のための特別なソフトを購入したり、電子証明書を取得する必要があります。費用的にも10万円近くかかるので、お客様ご自身で電子定款を作成することは現実的でありません。)

 

この電子定款のカラクリによりまして、合同会社の設立費用は変わってきます。プロに依頼しますと、印紙税の4万円はなくなりますが、その分報酬がかかります。合同会社の設立にあたりましても、以上の費用が最低限必要となります。(もちろん法務局へ行く交通費など多少の実費もあります。)

⑦注意点

<社員になる人は慎重に選びましょう>

合同会社を1人で設立する場合には問題はありません。しかし、合同会社を2人以上で設立する場合には、誰と一緒にやるのかということは相当慎重に考える必要があります。

 

といいますのも、合同会社の場合は基本的には、社員(出資者)は全員が業務執行をし、会社を代表します。出資する金額の大小によって、会社への影響力が違うことはありません。そのため、業務を進めていく上での、意思決定なども基本的には全会一致となります。

 

そうしますと、最初は意見があっていましても、後々意見対立などが起きてしまいますと、収拾のつかない事態にもなりかねません。どのような人と一緒にやるのかといえば、意見が違うのはある意味では当たり前ですし、よいことの可能性もあります。問題は、お互いが譲らずに話し合いにすらならないような場合です。そう考えますと、阿吽の呼吸の人や、意見対立があってもちゃんと収拾ができる人とやらないといけません。一緒にやる人は慎重に選び、合同会社ならではの特徴(このようなリスクもあること)を理解して設立することが大切です。

 

<信用力の問題>

合同会社のもうひとつの大きな問題として知名度、信用の問題があります。

 

どうしても、日本ではまだまだ歴史が浅いため、認知度がなく、そのため信用力も株式会社に比べますと低くなってしまいます。この認知度や信用というのは、かなりビジネスの世界では大きいことかもしれません。この信用などを補うひとつの方法が、資本金をしっかりとした金額で設定するということがあります。

 

会社法の改正によりまして、今では資本金は1円あれば会社を設立することができるようになっています。しかし、資本金を実際に1円にしまして会社を設立される方はあまりいません。これは、資本金1円の会社って皆さん、信用できますか?という話です。

 

資本金の大きさというのも、日本では伝統的に信用力を表す一つの指標になっています。そのため、合同会社で資本金が少ないとなりますと、信用力を落とすことにもなりかねません。もちろんこれは全ての合同会社にあてはまるわけではありませんが、ひとつ認知度、信用力の問題は、あなたがやられる業種などをよく考えて決定することが大切です。

合同会社・LLCの各種手続き

各種手続き

①役員変更(社員変更)の手続き

役員変更の手続きが必要となるのは、新たに業務執行社員を追加したり、代表社員を変更したり、代表社員の住所を変更する場合となります。

 

合同会社において、役員(社員)に関する主な登記事項は下記となります。
・業務執行社員の氏名
・代表社員の氏名、住所
これらの事項に変更があった場合には、2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ変更登記の申請を行う必要がございます。

 

<ご準備いただくもの>
役員変更のケースによって異なりますが、一般的には以下となります。
・会社の代表印
・役員全員の認め印(辞任する者も含む)
・新役員の個人の実印
・新役員の個人の印鑑証明書1通
・役員の変更内容詳細
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 

<一般的に作成が必要な書類>
・変更登記申請書
・社員総会議事録
・就任承諾書
・OCR用紙
・委任状(代理人が申請する場合)

②商号変更の手続き

会社の名称のことを商号といいます。会社の名称を変更する場合には、商号変更手続きを行う必要がございます。

 

<ご準備いただくもの>
・会社の代表印
・役員全員の認め印(代表社員を除く)
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)※会社代表印を変更する場合は、下記もあわせてご準備ください。
・今まで使用していた会社の代表印
・新しく作成した会社の代表印
・代表社員の個人の実印
・代表社員の印鑑証明書1通

 

<一般的に作成が必要な書類>
・変更登記申請書
・社員総会議事録
・OCR用紙
・委任状(代理人が申請する場合)

③本店変更の手続き

本店所在地として法務局に登記している住所を変更する場合に必要は手続きとなります。

本店住所を移転する場合は、「管轄の法務局内での本店移転の場合」と「管轄の法務局外への本店移転の場合」の2つのケースがございますのでご注意ください。

※管轄の法務局外への本店移転の場合、登録免許税が新旧の法務局に30,000円ずつ、合計60,000円必要となります。
※書類は新旧法務局分作成しますが、提出は旧本店所在地の法務局に一度で済みます。

 

<ご準備いただくもの>
・会社の代表印
・役員全員の認め印(代表社員を除く)
・本店移転先の正確なご住所
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 

<一般的に作成が必要な書類>
・変更登記申請書
・社員総会議事録
・OCR用紙
・委任状(代理人が申請する場合)

④事業目的変更の手続き

会社は定款に記載されている事業目的に沿った事業を行うことが求められます。もし記載されていない事業を行う場合は、事業目的の変更や追加の変更登記の申請が必要となります。

<ご準備いただくもの>
・会社の代表印
・役員全員の認め印(代表社員を除く)
・変更する目的の内容
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 

<一般的に作成が必要な書類>
・変更登記申請書
・OCR用紙
・委任状(代理人が申請する場合)

⑤支店登記の手続き

支店を法務局へ届け出る場合には、支店登記という手続きが必要です。支店一つにつき、法務局に支払う登録免許税が60,000円かかります。また、支店設置場所が本店所在地と別の市区町村にある場合、支店設置場所を管轄する法務局へ別途9,000円の登録免許税を支払うことになります。

<ご準備いただくもの>
・会社の代表印
・役員全員の認め印(代表社員を除く)
・支店設置場所の正確なご住所
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 

<一般的に作成が必要な書類>
・変更登記申請書
・社員総会議事録
・OCR用紙
・委任状(代理人が申請する場合)

⑥増資の手続き

会社設立時に、各社員が出資した金額の合計が現在の資本金となっております。基本的に、資本金や会社の売上、金融機関からの借入等によりまして事業を運営してまいります。しかし、事業を運営していく中で、当初の資本金では足りなくなった場合などに資本金を増やそうと考える場合がございます。

 

合同会社において、資本金を増やす方法として大きく2つ方法がございます。

①既存の社員(出資者)が追加で出資することで資本金を増やす方法
②新規で社員(出資者)を追加することで資本金を増やす方法

 

①の方法においては、増資分の登録免許税が30,000円(もしくは増資金額の1000分の7)となりますが、
②の方法においては、増資分の登録免許税の30,000円(もしくは増資金額の1000分の7)の他に、社員追加のための登録免許税10,000円が必要となります。

<ご準備いただくもの>
・会社の代表印
・役員全員の認め印(代表社員は除くが、新たな社員は含む)
・法人名義の銀行通帳の写し(表紙、表紙裏、記帳部分)
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

 

<一般的に作成が必要な書類>
・変更登記申請書
・社員総会議事録
・就任承諾書(新たに社員が追加となる場合)
・払込証明書
・資本金の額の計上に関する証明書
・OCR用紙
・委任状(代理人が申請する場合)

合同会社から株式会社への組織変更の方法

合同会社には、株式会社と比較すると、会社設立のコストが安い、決算公告をしなくて良い、役員の任期がない等のメリットがございます。しかし、株式会社に比べますと社会的な認知度は低く、取引先などからの信用の点から、合同会社の設立後に株式会社へ会社変更をなされるお客様も多くおります。また、事業を展開していく中で、多くの方から資金を集めて広く事業展開を行なっていく場合などでは、株式会社の方が適した組織形態となるでしょう。

 

合同会社から株式会社へ組織形態を変更する場合の手続きとして、既存の合同会社を解散させ、新たな株式会社を設立する必要がございます。

合同会社から株式会社への会社変更への流れ

①どのような株式会社にするのかを合同会社の総社員で決定(組織変更計画)いたします。
商号、事業目的、本店所在地、発行可能株式総数、役員の氏名、効力発生日などをまとめた組織変更計画書を作成いたします。

 

②合同会社の債権者に対して、株式会社へ組織変更することを知らせる必要がございます。
具体的には、官報(国の発行する公刊物)に最低1ヶ月間会社変更の公告を掲載いたします。掲載費用は約26,000円でございます。さらに会社が把握をしている債権者には、それぞれ各別に組織変更のことを伝える必要がございます。

 

そして一定期間内に債権者から異議の申し出がなかった場合には、その債権者は組織変更について承認したものとみなされます(もし、異議を述べた債権者が現れた場合には、その債権者に対して所定の手続きが必要になります)。

 

③組織変更の効力発生、組織変更登記の申請
組織変更をする合同会社は、「組織変更計画」で定めた「効力発生日」に株式会社となります。合同会社の解散の手続き、及び株式会社の設立の手続きを同時に行われることになります。

 

④関係官庁へ書類提出
株式会社の登記完了後は、税務署、都道府県税事務所、市町村役場、 ハローワーク、労働基準監督署、社会保険事務所等に組織変更の届出をいたします。

 

<ご準備いただくもの>
・会社代表者の印鑑証明書
・合同会社の定款
・最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)

合同会社に合わせて、各種、法人の設立全般のまとめ記事もつくってみました。
是非ご確認ください。「5つの人気法人の設立・形態・種類・比較についてまとめてみました

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