伊藤 健太
株式会社ウェイビー 代表取締役CEO
松田 励

家族連れの旅行者向けに、”Wow”のあるホテルを~東南アジアに1000軒の開業を目指す起業家の挑戦~

ポイント(この記事は6分で読み終わります)
  1. 「ホテルの世界は面白い」「東南アジアは肌に合う」
  2. コンビニとスターバックスをベンチマークに

「ホテルの世界は面白い」「東南アジアは肌に合う」

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はじめに、東南アジアに来られた経緯をお話いただけますか。

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日本でドリームインキュベータ(DI)という戦略コンサル会社で働いていました。2006年頃に仕事でマレーシアのホテルに関するリサーチを行い、初めてホテルの世界に触れました。それまでもずっと、人を楽しませるエンターテイメントビジネスの世界に興味があったのですが、自分の中でエンターテイメントビジネスと言えば映画やスポーツでした。ただ、ホテルのビジネスを知った時に、ホテルもある意味で人を楽しませるエンターテイメントビジネスだと感じたんです。

また、東南アジアに触れたのも、その時が初めてでした。それまで、中国、アメリカでは仕事をしたことがありましたが、東南アジアは、何とも言えず居心地がよく、「肌に合う」と感じた場所でした。

東南アジアでホテル関係の仕事に就きたいなと思った際に、「そういえば、アメリカのコーネル大学にホテルスクールがあったよな」と思い出しました。調べると、米国のコーネル大学のホテルスクールに半年間、シンガポールのナンヤン工科大学に半年間という1年間のホテル経営学修士プログラムがちょうどできたばかりでした。東南アジアへの関心も高まっていた時だったので、いい機会だと思い、2008年から2009年に留学しました。シンガポール政府から奨学金をもらって留学したため、卒業後後3年間はシンガポールで働かなければならない条件でした。

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ホテルスクール卒業後はどのようなことをされていましたか。

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2009年に卒業して、ちょうどリーマンショックの直後で景気が悪く、シンガポールでの就職活動には苦労しました。在学中にグローバルホテルオペレーターのアジア本社でインターンとして働き、本採用されることを目指していたのですが、結局その会社には就職できませんでした。アジア本社の社長さんに「採用してくれ!」と一生懸命アピールしていたら、その社長さん自身が業績不振でレイオフされてしまった、という、笑うに笑えない状況でした。その後は、オリックスのシンガポール現地法人の契約社員として、プライベートエクイティや不動産の投資の仕事をしていました。その後、古巣であるDIのシンガポールオフィスの立ち上げを行いました。

ゼロからオフィスを立ち上げ、コンサルタントやM&Aアドバイザーとしてインドやインドネシアで日系企業の事業拡大に携わったのは、エキサイティングな経験でした。ただ、本来の目的であったはずのホテル関連の仕事をするという意味では、まだ遠い状態でした。

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どのようなきっかけでKokotelを始めたのですか。

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ホテルスクールを卒業して6年ほど経った時に、中国のエコノミーホテルのビジネスモデルを学ぶ機会があったんです。中国のエコノミーホテルは過去10年ぐらいでバーっと伸びていて、分散していた業界を規模が利く業界に一気に変えてしまった。まだこれと同じ事を東南アジアでやっている人はいないなと思いました。そして、たまたま同じ頃に、現在の投資家であるREAPRAの諸藤さんと数年ぶりにシンガポールで再会しました。彼もホテル関連の事業への投資に興味があるということで、すぐに「一緒にやりましょう」ということになったんです。それが、2014年の10月頃です。

東南アジアの中で、どの都市から立ち上げようかと考え、バンコクに決めました。実は、それまでの仕事はシンガポールをベースに、ジャカルタやインドの各都市が中心で、バンコクへは、ほとんど来たことがなかったんですよ。バンコクの魅力は、立地がいいのにそれを活かしていない既存ホテルがたくさんあることでした。既存ホテルをリブランディングして高いパフォーマンスのホテルに変えていく、という事業の仮説が、最もはまると思えた街でした。2015年5月にバンコクに移り、事業を始めました。

オーナーと旅行者の問題解決

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その1店舗目が、こちらですね。コンセプトについて教えていただけますか。

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弊社の事業は、不動産オーナーさんと一般旅行者の各々の問題を解決していく仕事です。

バンコクに限らず、東南アジアには小規模の独立系ホテルがたくさんあるんですけど、たいてい家族経営で、クオリティが伴っていません。理由は簡単で、ほとんどの場合は、オーナーさんの興味は不動産資産の保有であって、ホテルの運営ではないからです。運営をやりたくないけど、たまたまホテルを持っているので仕方がなく運営している、という状態がほとんどなんです。そこで、建物を賃貸契約で借りたり、運営受託契約を結んでホテルを運営したりして、不動産オーナーさんの負担を減らし、労せずに不動産資産からのリターンを享受できるようにする。それが、不動産オーナーさん向けの問題解決ですね。

一方で、旅行者向けには、家族連れや女性が安心して楽しく泊まれる安価なホテルが少ないという問題があります。私にも子どもが2人いて、家族4人で東南アジア各国を旅行する機会が多いんですけど、4人ってとてもホテルが取りにくいんです。特別大家族だというわけではなく、「4人家族」ですよ。何も特別なことはないはずなのに、泊まるホテルがない。だいたいが2人部屋なので、2部屋に分かれてしまうか、もしくは非常に高いスイートルームになってしまう。格安航空会社で飛ぶので、節約しようとしてスーツケース1つで旅行していたりすると、部屋が2つに分かれたら本当に面倒なんですよ。かつ、せっかく家族4人で楽しい時間を過ごそうとしち得るのに、部屋が分かれてしまうこと自体が、とてももったいない。そういうお客さん向けに、「3人や4人で安心して安くホテルがあったらいいね」というのが出発点です。そこでイメージしていたのは、自分が幼少時に親戚一同で泊まった、日本の温泉旅館でした。あの体験を、ホテルの世界でも実現したいな、と思ったんです。

「1部屋=2人用」というのは、供給者論理の発想ですね。同じ大きさでも、2段ベッドを入れて4人部屋にすれば、子供が小さい家族連れには十分なんです。これが、3人部屋/4人部屋のコンセプトの発想ですね。

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ホテルとカフェが一緒になっているのも特徴的ですね。

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ホテルの1階って通常はすごく場所が無駄遣いされているんですね。ロビーは、売り上げも生んでいないし、顧客満足も生んでいない。これはもったいないだろうと言うことで、ロビーは無しにして、そのスペースを全部カフェにしてしまった。フロントデスクとカフェカウンターが同じで、1人の接客スタッフが同時にホテルとカフェの両方の仕事をこなします。それで、「Bed and Café」のコンセプトができました。一階のカフェの空間が、宿泊者のお客さんも地元のお客さんも集まる1つの共同空間になっていて、ホテル自体の魅力も上げてくれます。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

株式会社ウェイビー 代表取締役CEO

中卒ながらもとても頭の良い父と、少しグレていたけど人の王道を教えてくれた母親のもと、1986年11月21日生まれ。 慶應義塾大学3年時にリクルート主催のビジネスコンテストで優勝し、23歳の時に病気をきっかけに小学校親友4名、資本金5万円で起業。 起業当初お金がなさすぎて、カードで借金生活を送る。お金がなかったため、知恵を絞った伊藤独自のマーケティング手法を多数考案。 8年間で、累計10,000件を超える起業、起業家のアクセラレーションに関わるようになり、日本屈指の起業支援の会社と言われるまでに成長。 月間20万人以上の商売人をお助けしているポータルサイト「助っ人」や全国500人以上の商売人が参加している、世界で一番お客様を喜ばす商売人輩出のアクセラレーションコミュニティー「チャレンジャーズ」を主宰。 2016年末に、世界経済フォーラム(ダボス会議)の若手リーダーとして日本代表に選抜。 全国の小中高校への出前授業や、次世代の教育の在り方を問うシンポジウムなどを開催。 最近では、地方自治体の首長からご指名をいただき、起業家の力で地方にイノベーションを起こすべく、徳島県美馬市、熊本県人吉市、三重県伊勢市、千葉県銚子市などと取組を開始。 元LINE社長の森川亮氏推薦の「起業家のためのマーケティングバイブル」など著書5冊。 NHK、日経新聞、エコノミスト、夕刊フジ、日刊工業新聞、CCTVなどメディア出演多数。

松田 励

Kokotel(ココテル) 慶應義塾大学総合政策学部卒業、ロンドン大学インペリアル・カレッジ経営学修士、コーネル大学/ナンヤン工科大学ホテル経営学修士(シンガポール政府奨学生) 10年超の戦略コンサルティング経験と、7年超の東南アジア/インドでの事業経験を持つ 。 日系戦略コンサルのドリームインキュベータ(東証一部上場)シンガポールオフィスを立ち上げ、責任者として勤務 - シンガポールにおいて、グローバルホテル運営会社アジア本社で戦略/開発/ブランディング業務に従事した経験を保有 。