中小企業を成長させる「組織図」の考え方と作り方

ポイント
  1. 組織図を活用することで会社が成長する
  2. 組織図は今いる社員に合わせてつくってはいけない
  3. 組織図もPDCAを回していく

目次 [非表示]

組織図という言葉自体は聞いたことある社長の方が多いと思います。
ただ、自分の会社が組織図なんてつくる必要はないと思われている中小企業の社長はとても多いと思います。

しかし、組織図をうまく活用、作成することを通じて、中小企業は成長することができます。

中小企業こそ組織図を作成し、活用するべきなのです。

この記事では、組織図の正しい考え方を理解していただき、どのように作成、活用すればよいのかということを具体的にご説明していきます。

組織図とはそもそも何なのか

一般的に組織図とは、会社の部門構成や指揮系統1枚の図にしたものです。

 

 

部門と言っているのは、営業部、商品開発部、人事部などの会社の中での機能(役割)をブロックにしたものです。指揮系統というのは、会社内における意思決定の流れや、権限、責任の所在などがどのようになっているのかを意味しています。

組織図というのは、会社における機能(役割)を明確にしつつ(組織の構造、骨組み)、その機能ごとの権限、責任などを明確にしたものと言えます。

一般的に見かける組織図には意味がない!?

大きな会社などの会社資料の中に組織図を見かけることがあります。
一般的に見かける組織図というのは、とても無機質に感じます。

そのため、組織図をつくっても何の意味があるのか?ということがわかりにくいわけです。

これが中小企業の場合にはなおさらです。
なぜなら、組織図なんてつくらなくても社長と社員数名しかいないので全員で全てのことをやっていますだったり、社長が全てやっていますみたいな状態だからです。
わざわざ組織図をつくる必要を感じないわけです。

これらは組織図の本来の活用の仕方を知らないことが原因としてあります。

中小企業こそ組織図を徹底的に活用する

組織図の本来的な活用の仕方というのは、今の会社の状況を書いたものではなく、将来のあるべき会社の姿=ゴールを考え、それを示すものだと思ってくださください。

つまり、今のこの時点における会社の状況を表すためのものということではなく、 中小企業の場合には、未来のあるべき姿を具体化するためのフレームワークであって、
実際に組織図を作成したあとでいえば、その組織図を実現できるように、計画に落とし込み、日々どうしていけばいいのかという羅針盤として使っていくということです。

経営者の仕事というのは、間違いなく、未来をつくることです。
そのため、あるべき未来を具体化する必要があります。
そのあるべき未来を具体化したものの1つが組織図だということなのです。

もちろん最重要な未来というのは、経営理念、ビジョンの実現になります。
そのため、経営理念、ビジョンから、こういう会社であるべきだということで組織図を考えるわけです。

組織図は完璧なものをつくるというよりも日々改善していくもの

組織図の本来的な使い方についてご説明しました。ここで大切になるポイントも合わせてご説明いたします。それは完璧な組織図というものはつくれないということです。
どういうことかと言えば、完璧な未来を考えるということは難しいということです。 そのため、おおよそを捉えていて、進みながら、改善をしていって、解像度を上げていくというあり方、やり方が正しいということです。

経営者としての経験値によって、また、現在の社歴などによっても現在の状況も違ったりします。どこまでの未来を見通しているのか?に差があるわけです。

また、未来の姿ということを示すのですが、これがものすごく長期で実現するものとなってしまいますとなかなか現実味がなかったり、考えることがしにくかったり、壮大すぎるものになってしまいます。そのため、中期経営計画(3-5年)の達成時にはどのような組織図になっているべきなのか?と少し限定して考えるとより効果的な組織図の使い方になると思います。

経営計画書とは何か?作成方法や運用についても合わせてお読みください。

絶対にやってはいけない組織図の作り方

ここでやりがちなのですが、絶対にやってはいけない組織図の作り方についてご説明しておきます。それは、仕事の考え方の基本でもあるのですが、「仕事は人に合わせるのではなく、仕事に人が合わせる」ということです。

組織図というのは正に客観的な仕事の状態を示したものであって、そこに人を合わせていくということが正しい考え方になります。

つまり、組織図が先にあって、そのあとに人がくるということです。

多くの中小企業の場合には、これが逆になってしまいます。
どういうことかと言うと、人が先にあって、そのあとに組織図がきます。
「この人はこういう仕事をしているので、組織図はこうなるな」と考えるということです。

これでは組織図の目的であるあるべき姿の実現や、会社を強く、成長させるためのものにはなりません。

これは組織図の作成に限った話ではなく、そもそも会社を成長させるために経営者として押さえておかなくてはいけないポイントです。

会社の成長や経営者の仕事とは何か?ということも合わせてお読みください。

組織図の作成にあたってのポイント

ここでは組織図を作成するにあたってポイントになる部分をご説明していきます。

各機能(役割)を明確に定義する

組織図というのは、人に合わせるのではなく、会社にとっての必要な機能などを客観的にまず書く必要があります。その機能に対して、どういう目的を持っているのか、実際に何をやるのかを明確に定義をしましょう。

たとえば、

営業部というのがあった場合には、営業部の目的としては「見込みのお客様に対して、真に役に立つ、問題解決につながるように、自社の商品、サービスなどを提案し、ご契約をいただくこと」といった具合にしっかりとそれぞれの機能(役割)における目的などを明確に決めていくことが大切です。

これができることで、「人に仕事を合わせるのではなく、仕事に人が合わせる」という正しい状況をつくることができるようになります。

責任、権限を明確にする/責任者を重複させない

各機能(役割)に対して、明確に責任と権限を定義しましょう。
また、必ずルールとして、各機能(役割)の責任者は1人であって複数人にしないことも守ってつくってください。

組織図においては、会社全社で重複しないように、責任、権限を明確に整理することもします。そのことによってあるべき姿、全社で共通理解を持つことができます。

責任者を複数人にしないというのは、責任の所在を明確にするためです。複数人いると、責任の所在が曖昧になり、その機能(役割)の目的が果たせないということが起きます。

各機能(役割)の名称をワクワクするものにする

名は体を表すと言いますが、これは間違いありません。
機能(役割)の名称によって間違いなく人が受ける印象は形成されます。
それが正しいものであればよいのですが、間違えた形で理解をされてしまうと、 各機能(役割)の目的が果たされないことに繋がってしまいます。

シンプルに、目的をはじめ、どういうことが求められているのかといことなどを考えて、名称を決めるとよいと思います。

社員全員がどこに位置しているのか決める

人に合わせて組織図をつくることはよくない作り方ですと先に書きました。
ただ、組織図に社員全員が必ず配置されている状態でなければいけません。
これはもちろん人に合わせるわけでなく、組織図から考えて、今いる社員は本来的にはこうあるべきだという観点から、どこに位置づけるのかを考えるようにしてください。どこにも位置づけられないという人がいないようにしてください。

組織図が仕組みづくりの一歩目

組織図の正しい考え方、フレームワークを使うことによって、組織化、仕組み化が進んでいきます。

組織図において最も大切なことは、

  • あるべき姿を考えること
  • 仕事に人をつけるということ

でした。

この発想自体が極めて大切です。

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著者プロフィール

伊藤 健太

伊藤 健太

1986年生まれ、横浜出身、慶應義塾大学法学部卒業。

23歳の時、病気をきっかけに、小学校親友4名、資本金5万円で株式会社ウェイビーを創業。

10年間で10,000人を超える経営者、起業家の「組織づくり」「売上アップ」に携わる。

社長がいなくても回る強い組織、仕組みをつくる「01組織クラウド

小さな会社、個人事業主のビジネス成長を実現する「01クラウド

の01シリーズを展開中。

2016年10月より、世界経済フォーラム(ダボス会議)の日本代表選抜
2018年9月より、徳島大学客員教授就任
2020年4月より、iU 情報経営イノベーション専門職大学客員教授就任

「行動の品質」「自分の力で稼ぐ力を身につける本」など著書7冊。
日経新聞、エコノミスト、NHKなどメディア掲載も多数。